「高等学校古文/漢文とは何か、漢文をどうして学ぶのか」の版間の差分
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内容を構成や展開にそくしてとらえる。その方法は、語句の意味や句形につうじて、それにより目にしている文章の全体を見渡たせるようになることである。漢文を、日本語の文章と同じような感覚で、すらすらよめる、そういう状態を想像し、勉強をする。 |
内容を構成や展開にそくしてとらえる。その方法は、語句の意味や句形につうじて、それにより目にしている文章の全体を見渡たせるようになることである。漢文を、日本語の文章と同じような感覚で、すらすらよめる、そういう状態を想像し、勉強をする。 |
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また構成や展開にそくしてとらえる、というのは、目にしている文章のあるフレーズについて、そのようにする、ということである。それは、 |
また構成や展開にそくしてとらえる、というのは、目にしている文章のあるフレーズについて、そのようにする、ということである。それは、一面としてつぎのことである。目にしているフレーズ内の語句が、同じ文章内のべつの箇所にもでていないかをさがし、べつの箇所での、その語の用法をみる。つまりその語がどういうほかの事物とイメージ的に結び付けられているかをみる。そしてその〈用法〉を、もとの目にしていたフレーズにあるその語句に代入して読む。 |
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このような、他の箇所での用法をみてそれを代入して読む、というやりかたが客観的な漢文の読解法になる。 |
このような、他の箇所での用法をみてそれを代入して読む、というやりかたが客観的な漢文の読解法になる。 |
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===4優れた表現の理解=== |
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表現の特色を理解し、優れた表現に親しむ。自分が好きであると感じる文章を読むのが、ひとつのいい方法である。漢文の文章手に入れるには、岩波文庫が手頃である。漢詩、論語、荘子、歴史書、仏典などさまざまなものが手に入る。ウェブ上でも |
表現の特色を理解し、優れた表現に親しむ。自分が好きであると感じる文章を読むのが、ひとつのいい方法である。漢文の文章手に入れるには、岩波文庫が手頃である。漢詩、論語、荘子、歴史書、仏典などさまざまなものが手に入る。ウェブ上でも、中国の古典なら[http://wagang.econ.hc.keio.ac.jp/txthuangye/home.html 電脳瓦崗寨 電子文献黄頁]や[http://www.let.osaka-u.ac.jp/chutetsu/lunwen/etxt_lst/index.html 電子テキスト類目]、仏典なら[http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT 大蔵経テキストデータベース]で漢文を入手できる。 |
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===5日本文化と中国文化の関係=== |
===5日本文化と中国文化の関係=== |
2009年1月29日 (木) 11:45時点における版
漢文とは何か
漢文は、漢人つまり中国人が書いた文章。中国人は漢字を用いるため、漢字のみで書かれる。ただ、ここでいう中国人は、一般に清代以前の中国人をさす。清代とは日本史にでてくる日清戦争の清である。このように、漢文は古い中国語にあたる。
また、日本人などが同様に、漢文を読むことで、漢文の語彙・文法を頭に入れ、それによって書いた文章も漢文の一種になる。ただ和語も混ざるので和様漢文とよばれる。『日本書記』などがそうである[1]。
清代よりあと、つまり中華人民共和国(中国)以降の中国人も、古い中国語を読み、暗記し、そこにおける語彙や文の作りを覚え、古い中国語の文体で書くことがある。それも「漢文」にあたる。
高校漢文
漢文をどうして学ぶのか
古典の学習の理由としては、たとえばつぎのことがいわれる。以下は学習指導要領の要約。
- 1 古文・漢文の語句の意味、用法、文の構造を理解する。
- 2 内容を構成や展開にそくしてとらえる。
- 3 人間、社会、自然などにたいする思想や感情を読み取る。そうしてものの見方、感じ方、考え方を豊かにする。
- 4 表現の特色を理解し、優れた表現に親しむ。
- 5 古典を読んで、日本文化と中国文化の関係について考える[2]。
漢文を学ぶ方法
要領では上のようにあった。ここではおのおのについてまとめる。
1古文・漢文の語句の理解
語句の意味、用法、文の構造を理解する。その方法は、辞書を引くことなどになる。漢文の場合は、おのおのの漢字と熟語については、漢和辞典を引く。句形や置字については、教科書の中で説明を探すか、漢和辞典の句形や置字の解説をよむ。また、熟語の中で、専門用語の場合は、広辞苑を引く。 漢字を引くことについては、教科書・受験問題に関わらず、自分が目にする文章を、冒頭からながめ、すこしでもひっかかり、意味がすぐに思いうかばないものは、どれも辞典を引く。辞典を引くのは時間がかかるようだが、自分で意味を考え出そうとして時間をかけるより、引いた方が、早く、ひとつひとつ地道にやっていくと、意外と、進みははやい。
2内容を構成や展開にそくしてとらえる
内容を構成や展開にそくしてとらえる。その方法は、語句の意味や句形につうじて、それにより目にしている文章の全体を見渡たせるようになることである。漢文を、日本語の文章と同じような感覚で、すらすらよめる、そういう状態を想像し、勉強をする。
また構成や展開にそくしてとらえる、というのは、目にしている文章のあるフレーズについて、そのようにする、ということである。それは、一面としてつぎのことである。目にしているフレーズ内の語句が、同じ文章内のべつの箇所にもでていないかをさがし、べつの箇所での、その語の用法をみる。つまりその語がどういうほかの事物とイメージ的に結び付けられているかをみる。そしてその〈用法〉を、もとの目にしていたフレーズにあるその語句に代入して読む。
このような、他の箇所での用法をみてそれを代入して読む、というやりかたが客観的な漢文の読解法になる。
3思想や感情を読み取る
人間、社会、自然などにたいする思想や感情を読み取る。その方法も、他の箇所での用法をみてそれを代入して読む、ということになる。これが著者にそくして客観的に読み取る方法である。
4優れた表現の理解
表現の特色を理解し、優れた表現に親しむ。自分が好きであると感じる文章を読むのが、ひとつのいい方法である。漢文の文章手に入れるには、岩波文庫が手頃である。漢詩、論語、荘子、歴史書、仏典などさまざまなものが手に入る。ウェブ上でも、中国の古典なら電脳瓦崗寨 電子文献黄頁や電子テキスト類目、仏典なら大蔵経テキストデータベースで漢文を入手できる。
5日本文化と中国文化の関係
古典を読んで、日本文化と中国文化の関係について考える。『源氏物語』などの古文には、仏教に関する話があるが、仏教はインドでつくられたものであるものの、日本に入ってきたのは中国でインドの言葉から翻訳された漢訳仏典で、日本人は漢文で仏教にふれてきた。漢文を通じて仏教文化を共有している面がある。
ただ、各時代の「日本」の範囲や、各時代の日本の読書が可能な人の割合、については、日本史を勉強することが必要である。「中国」の範囲についても、王朝の変遷による地理的範囲の変化がある。このように、日本文化と中国文化の関係について、過去の歴史上の事実として把握するには、漢文だけでなく、歴史についても学ぶ必要がある。
漢文を学ぶための本
漢文に関わる背景的歴史的知識については、日本史の教科書や、世界史の中国史の部分が、参考にできる。各漢和辞典は、本文や巻末に句形・置字(助字)の解説や、中国の昔の時代の地図などもあるので、漢字を引くだけでなく、参考書としてもつかえる。学習参考書としては、駿台の『漢文 学習資料集』が、句形の索引があり便利である。漢字については、大島正二『漢字伝来』岩波新書などが内容豊富に書いている。漢文の概説書としては、手頃なのとして、岩波全書の『漢文入門』や、『漢文法要説』朋友書店などがある。また、句形・置字のより詳しい参考書としては、『漢文を読むための 助字小字典』内山書店が、値段も定価473円で薄くコンパクトである。書店の店頭にはあまり置いていないものだが、注文すれば、どの書店でも購入できる。
脚注
- [1]和様漢文は山川『日本史用語集』にあり。
- [2]『高等学校学習指導要領』p21。