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119 行 |
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注)そのようなベクトルはただひとつではない。 |
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注)そのようなベクトルはただひとつではない。 |
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==一般の線型空間でのノルム・内積== |
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==<math>\R,\C</math> 上の線型空間でのノルム・内積== |
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次に、上で書いたような数ベクトルのノルム・内積の概念をさらに拡張しよう。 |
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次に、上で書いたような数ベクトルのノルム・内積の概念をさらに拡張しよう。 |
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===定義=== |
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===定義=== |
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<math>\ V</math> を <math>\bold K</math>上の線型空間とする。 |
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<math>\ V</math> を <math>\R </math> または <math>\C</math>上の線型空間とする。(以下、<math>\bold K</math> は一般の体ではなく、実数体 <math>\R </math>または複素数体 <math>\C</math>を指すことにする ) |
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<math> \bold x,\bold y \in \ V </math> に対して、<math> \bold K </math> の元をかえすような演算<math> (\bold x, \bold y)</math>が次の'''(Ⅰ)'''~'''(Ⅳ)'''の性質をみたすとき、<math> (\bold x, \bold y)</math>を'''内積'''という。 |
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<math> \bold x,\bold y \in \ V </math> に対して、<math> \bold K </math> の元をかえすような演算<math> (\bold x, \bold y)</math>が次の'''(Ⅰ)'''~'''(Ⅳ)'''の性質をみたすとき、<math> (\bold x, \bold y)</math>を'''内積'''という。 |
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169 行 |
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:<math> 0 \leq ||a\bold x + b\bold y||^2 = (a\bold x + b\bold y,a\bold x + b\bold y) = |a|^2||\bold x||^2 + a\bar b(\bold x,\bold y) + \bar a b(\bold y,\bold x) + |b|^2||\bold y||^2 </math> |
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:<math> 0 \leq ||a\bold x + b\bold y||^2 = (a\bold x + b\bold y,a\bold x + b\bold y) = |a|^2||\bold x||^2 + a\bar b(\bold x,\bold y) + \bar a b(\bold y,\bold x) + |b|^2||\bold y||^2 </math> |
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ここで、<math>\ a = ||\bold y||^2 ,\ b = -(\bold x,\bold y)</math> とおけば、 |
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ここで、<math>\ a = ||\bold y||^2 ,\ b = -(\bold x,\bold y)</math> とおけば、 |
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:<math> 0 \leq ||\bold y ||^4 ||\bold x||^2 - ||\bold y||^2 \overline{(\bold x,\bold y)} (\bold x,\bold y) - ||\bold y||^2 (\bold x,\bold y)\overline{(\bold x,\bold y)} + |(\bold x,\bold y)|^2||\bold y||^2 = ||\bold y||^2(||\bold x||^2||\bold y||^2- |(\bold x,\bold y)|^2)</math> |
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:<math>\begin{align} 0 & \leq ||\bold y ||^4 ||\bold x||^2 - ||\bold y||^2 \overline{(\bold x,\bold y)} (\bold x,\bold y) - ||\bold y||^2 (\bold x,\bold y)\overline{(\bold x,\bold y)} + |(\bold x,\bold y)|^2||\bold y||^2 \\ &= ||\bold y||^2(||\bold x||^2||\bold y||^2- |(\bold x,\bold y)|^2)\\ \end{align}</math> |
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両辺を <math> ||\bold y||^2 </math> で割り、正の平方根をとれば、 |
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両辺を <math> ||\bold y||^2 </math> で割り、正の平方根をとれば、 |
179 行 |
179 行 |
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逆にこれが成り立つとき、不等号は等号になる□ |
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逆にこれが成り立つとき、不等号は等号になる□ |
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(2)<math>||\bold x + \bold y||^2 = (\bold x + \bold y,\bold x + \bold y) = ||\bold x||^2 + (\bold x, \bold y) + (\bold y,\bold x) + ||\bold y||^2 \leq ||\bold x||^2 + 2|\bold x, \bold y|+ ||\bold y||^2 \leq ||\bold x||^2 + 2||\bold x|| ||\bold y|| + ||\bold y||^2 = (||\bold x + \bold y||)^2 </math> |
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(2)<math>\begin{align} ||\bold x + \bold y||^2 = (\bold x + \bold y,\bold x + \bold y) & = ||\bold x||^2 + (\bold x, \bold y) + (\bold y,\bold x) + ||\bold y||^2\\ & \leq ||\bold x||^2 + 2|(\bold x, \bold y)|+ ||\bold y||^2 \\ |
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& \leq ||\bold x||^2 + 2||\bold x|| ||\bold y|| + ||\bold y||^2 \\&= (||\bold x + \bold y||)^2\\ \end{align}</math> |
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したがって、正の平方根をとれば <math>|| \bold x + \bold y || \leq || \bold x || + || \bold y || </math> となる。 |
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したがって、正の平方根をとれば <math>|| \bold x + \bold y || \leq || \bold x || + || \bold y || </math> となる。 |
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187 行 |
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==基底の直交化== |
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==基底の直交化== |
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==種々の特徴的な変換== |
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===随伴変換=== |
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===ユニタリ変換と直交変換=== |
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===エルミート変換と対称変換=== |
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このページでは、2、3次元の数ベクトルの長さや内積を拡張し、一般の線型空間のベクトルについても、長さ(ノルム)や内積を定義する。
2、3次元の数ベクトルの場合は、高等学校数学B ベクトルを参照のこと。
数ベクトルのノルム・内積
ノルム
ベクトルには大きさも定義される。ふつうそれは||a||で表され、
と定義される。これをaのノルムと言う。
例
演習
- 次のベクトルのノルムを求めよ
内積
ここでは実ベクトルの場合に関して述べる。
をaとbの内積という。
特に2,3次元空間ベクトルaとbとの内積は、aとbのなす角をθとすると、
と表される。逆に、一般のn次元実ベクトルのなす角という概念を、この関係式によって定義することができる。
内積については、次の性質が成り立つ。いずれも証明は易しい。
- (a,a)=||a||2
- aとbが直交する⇔(a,b)=0[1]
- c(a,b)=(ca,b)=(a,cb)
- (a,b+c)=(a,b)+(a,c)
- (a+b,c)=(a,c)+(b,c)
- (a,b)=(b,a)
- ||a||+||b||≧||a+b||(三角不等式)
- |(a,b)|≦||a||||b||(シュワルツの不等式)
- ^ なす角について上で述べたのと同様に、これは二次元・三次元の実ベクトルについては「性質」である。逆に、それ以外のベクトルではこれは直交の「定義」である。
演習
空間ベクトル
とのなす角がであり、かつ
とのなす角がであるようなノルムが1のベクトルを求めよ。
注)そのようなベクトルはただひとつではない。
上の線型空間でのノルム・内積
次に、上で書いたような数ベクトルのノルム・内積の概念をさらに拡張しよう。
定義
を または 上の線型空間とする。(以下、 は一般の体ではなく、実数体 または複素数体 を指すことにする )
に対して、 の元をかえすような演算が次の(Ⅰ)~(Ⅳ)の性質をみたすとき、を内積という。
- (Ⅰ)
- (Ⅱ)
- (は の複素共役)
- (Ⅲ)
- (Ⅳ)
- が成り立つのは、 のときに限る。
また、
で定義される量をxのノルムという。
このように、内積が定義された線型空間を計量ベクトル空間(計量線型空間)という。
例
1. のとき、
とすれば、これは内積になっている。
2. のとき、
とすれば、これは内積になっている。(Trについては行列概論を参照)
3.{上連続な関数} , は上連続な関数のとき、
とすれば、これは内積になっている。
三角不等式・シュワルツの不等式
ここで定義した内積・ノルムに関しても数ベクトルの場合と同様に三角不等式・シュワルツの不等式が成り立つ。
定理 に対して、次の(1),(2)の不等式が成り立つ。
(1)(シュワルツの不等式)
等号が成り立つのは、と書ける場合のみ。
(2)
等号が成り立つのは、実数 を用いて、 と書ける場合のみ。
(証明)(1) とすると
ここで、 とおけば、
両辺を で割り、正の平方根をとれば、
となる。
等号が成り立つのは、 すなわち、 となるときだから、 と書ける。
逆にこれが成り立つとき、不等号は等号になる□
(2)
したがって、正の平方根をとれば となる。
1つ目の等号は が非負の実数となるときに成り立ち、2つ目の等号は と書けるとき成り立つ。この2つの条件から、実数 を用いて、 と書けるときのみ等号が成立する□
基底の直交化
種々の特徴的な変換
随伴変換
ユニタリ変換と直交変換
エルミート変換と対称変換