中学校理科 第2分野/植物の生活と種類
生物
植物の体のつくりと働き
[編集]花のつくり
[編集]花などは、いろいろな場所に存在する。これらの花は、やがて果実に変化し、種子をのこす。花はどのように果実になるのだろうか。
花には、普通、外側から順に、がく、花弁(かべん、petal)、おしべ(stamen)、めしべ(pistil)がある。めしべのもとのふくらんだ部分を子房(しぼう,英: ovary)といい、子房の中にある小さな粒を胚珠(はいしゅ、ovule)という。 胚珠は、将来、種子(しゅし,seed)になる。
花粉がめしべにある、柱頭につくことを受粉と言う。受粉が行れると、子房が成長して果実(かじつ)となり、子房の中にある胚珠は種子(しゅし,seed)になる。
- おしべ
おしべは、やく (anther) と 花糸(かし、filament) から、なる。やく は花粉の入った袋である。やくは、細い糸のような花糸によって支えられている。
- めしべ
めしべは、柱頭(stigma)・花柱(style)・子房から、なる。子房の中には胚珠があり、受精すると胚珠は種子になる。 柱頭は、めしべの先端部にあり、花粉がつきやすいように、粘液状のものが付いている。花柱は、柱頭と子房をつなぐ部分であり、花粉管が通る部分。
- 花のつくり・花粉
花には、 花弁(かべん、petal) と、花弁の根本のほうにある緑色の先のいくつか別れた がく(sepal) がある。花弁は、いわゆる「花びら」(はなびら)のことである。 花弁は、昆虫などを引きよせるために、目立っている色と香りを持つ植物(plant)が多い。
タンポポの先っぽの黄色い部分は、実は、多くの花の集まりである。「花びらのように見える物」が、実は一つ一つが、花である。そのため、「花びらのように見える物」一つ一つが、それぞれ おしべ と めしべ・子房などを持っている。
ヒマワリも同様である。
種子植物
[編集]花が種子をつくるためには、めしべにある柱頭に花粉がつく必要があり、柱頭に花粉がつくことを 受粉(じゅふん、pollination) という。 柱頭いがいの場所についても、受粉では無い。たとえば子房に花粉がついても受粉では無く、とくに変化は起きない。同様に花柱(かちゅう)に花粉がついても、とくに変化は起きない。
花粉が柱頭につくと、花粉から花粉管(かふんかん、pollen tube)という管が出て来て、その管とともに花粉も花柱の中を下る。そして花粉管が胚珠に達して、同時に花粉も胚珠に送られ、受精(じゅせい)が行われる。受精をすると、胚珠は種子になり、子房は果実になる。
- (※ 花粉管の説明画像を募集。だれか作ってください。)
- 種子のつくり
種子には、種の中に栄養分である胚乳(はいにゅう、endosperm)を持っている有胚乳種子(ゆうはいにゅう しゅし)と、胚乳を持たない無胚乳種子(むはいにゅう しゅし)とがある。
有胚乳種子は、種皮(しゅひ)と、植物体になる胚(はい)と、栄養分の胚乳(はいにゅう)とからなる。 カキやイネなどが有胚乳種子である。
いっぽう無胚乳種子であるアサガオ、エンドウ、クリの種子は、種皮と胚と子葉(しよう)からなり、栄養は子葉に蓄えられている。無胚乳種子は、種皮と胚と子葉からなる。
有胚乳種子も子葉を持っており、胚に子葉がふくまれている。有胚乳種子の胚は、子葉・幼根(ようこん)・胚軸(はいじく)・幼芽(ようが)から なる。
被子植物と裸子植物
[編集]種子植物には、子房のある植物と無い植物とがあり、子房のあるほうを被子植物(ひし しょくぶつ、angiosperms)といい、子房の無いほうを裸子植物 (らし しょくぶつ、英語: Gymnosperm、学名:Gymnospermae)という。つまり、種子植物には被子植物と裸子植物の2種類がある。
- 被子植物
タンポポ・アブラナ・サクラ・エンドウなどが被子植物(ひし しょくぶつ)である。 子房があり、胚珠は子房の中にある。
- 裸子植物
マツ・スギなどの針葉樹や、イチョウ・ソテツなどが裸子植物(らし しょくぶつ)である。
子房が無く、胚珠がむきだしになっている。雄花(おばな)と雌花(めばな)を持つ。
- (※ マツの胚珠の位置の説明画像を募集。だれか作ってください。)
なお、イチョウの「実」(み)と言われている銀杏(ぎんなん)は、じつは実(み)ではなく、銀杏全体が種(たね)である。
- (※ 範囲外) 裸子植物(マツ・スギなど)の花は、普通は、風媒花(ふうばいか)です。ふつう、裸子植物には、目立った花びら(花弁(かべん))が無いので、そのため、虫での花粉の運びようが無い。マツの花びらとか、スギの花びらとか、見たことが無いと思う。ほか、スギ花粉などの問題を考えれば、日常にも結び付けて理解しやすいだろう。
裸子植物では、「雄花」や「雌花」という言い方をするが、べつに「花びら」があるわけではない。
いわゆる「まつぼっくり」とか「まつかさ」は、あれが雌花の集まりである。
マツの雄花は、なんか松の枝の先端から出ているアレが、雄花の集まりである。
根や茎や葉のしくみ
[編集]根のつくり
[編集]根の種類には、「主根と側根からなる根」と、「ひげ根」の2種類がある。
主根とは、真ん中に一本ある、太い根である。側根とは、主根から枝分かれした根である。
双子葉類(そうしようるい、dicotyledon)は、主根と側根からなる根を持つ。タンポポやヒマワリが双子葉類であるので、主根と側根からなる根を持つ。ホウセンカ、アサガオも、双子葉類である。
双子葉類とは、文字どおり子葉が ふたば の植物である。子葉を見なくとも、葉脈(vein)が網目状のものが双子葉類である。
- (※ 双子葉類と単子葉類の、それぞれの子葉の写真を募集。だれか作ってください。)
単子葉類(たんしようるい、monocotyledon)は、ひげ根を持つ。イネやトウモロコシやツユクサやススキが、単子葉類なので、ひげ根を持つ。単子葉類とは、文字どおり子葉が一つの植物である。
子葉を見なくとも、葉脈が平行状のものが単子葉類である。
双子葉類 - 葉が網静脈 - 主根と側根
単子葉類 - 葉が平行脈 -ひげ根
よく公立高校入試では、「次の植物はひげ根をもつか」とか出されて、ホウセンカやツユクサなどの地面から上の絵が出されるが、どの植物がどの根をもつかを覚えなくても、絵に書いてある葉の部分を見て、網静脈なら主根と側根をもち、平衡脈なら ひげ根 をもつ、と判定すれば良い。
- ※ べつに、公立高校入試では、各植物の根の暗記を要求しているわけではない。
根のはたらき
[編集]根の先っぽ付近には、多くの根毛(こんもう)が生えている。
- (※ 根毛の説明画像または写真を募集。だれか作ってください。)
根毛は細いので、土の細かいすきまにも入り込めるので、水(water)を効率的に吸収できる。このとき、水に溶けている養分も吸収している。
また、根毛によって表面積が大きくなるので、水などの吸収にも都合が良い。
側根や主根の中心部には、水を運ぶための道管(どうかん)と、葉で作られた栄養を通すための師管(しかん)が、いくつもある。道管は、茎や葉にもある。根の道管は、茎や葉の道管と、つながっている。
茎のつくり
[編集]茎には、道管と師管(しかん)がまとまった維管束(いかんそく、英語: vascular bundle)が、いくつもある。この維管束の並びかたが、双子葉類と単子葉類とで違っている。
- (※ 双子葉類と単子葉類の維管束を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
双子葉類(ホウセンカなど)では、いくつもの維管束が、輪のように整列している。いっぽう、単子葉類(トウモロコシなど)では、いくつもの維管束が散らばっている。
双子葉類(ホウセンカなど)では、輪の内側が道管で、輪の外側が師管である。道管と師管とのあいだの輪の部分の細胞を、形成層(けいせいそう)と言う。単子葉類には、形成層は無い。
道管のあつまりを木部(もくぶ、英語: xylem)という。師管のあつまりを師部(しぶ、英: phloem)という。
- (※ 木部と師部を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
茎の表面の一部を輪状に はぐと、師管が切られるので、上側の表皮がふくらむ、下側の表皮はふくらまない。
茎の内側の道管は切られていないので、根から吸い上げてる水は、そのまま流れつづける。
葉緑体と気孔・蒸散
[編集]いろいろな所に咲いている花は、必ずしも葉が付いている。この葉に見られる筋(すじ)のことを、葉脈(ようみゃく,vein)という。葉脈は、道管(どうかん)や師管(しかん)が通っており、茎の維管束(いかんそく)とつながっている。この葉脈が、水や栄養の通り道になっている。
なお、双子葉類(アブラナ・アサガオなど)の葉脈は網目状であり、単子葉類(トウモロコシなど)の葉脈は平行状である。
葉の表皮や断面には、たくさんの部屋のようなものが見られる。このひとつひとつを細胞(さいぼう,cell)という。(細胞のことは、今は詳しく習わないので気にする事はない。)
細胞は、生物の体に共通して見られる。また、葉の細胞の中に見られる、小さな緑色の粒を葉緑体(ようりょくたい,chloroplast)という。 葉が緑色をしているのは、葉緑体があるためである。この葉緑体で、太陽の光のエネルギーを利用してデンプン(starch)を作る光合成(photosynthesis)が行われる。
葉の、空気にふれている外側の部分を表皮(ひょうひ)という。日の当たってる側はもちろん、日かげになってる、葉の裏側でも、空気にふれている外側の部分は表皮という。
葉の表皮には、三日月形の細胞が2つ向かいあった孔辺細胞(こうへんさいぼう)がある。葉の裏側には、孔辺細胞に囲まれたすきまの穴である気孔(きこう,stoma)が多くあり、気孔などを通して葉から水蒸気として水が出ていく現象を蒸散(じょうさん、transpiration)という。
- ※ 孔辺細胞にも、それぞれ核がありますので、「孔辺細胞」はこれで一つの細胞です。向かうあった一つの細胞ごとに、核があります。つまり、クチビルにたとえると、上クチビル(孔辺細胞の片方)に核が1個あり、下クチビル(孔辺細胞の残り片方)にも核が1個ある。なので、1つの気孔をつくる孔辺細胞の一対には、合計で2個の核があります。
- ※ 気孔は孔辺細胞のあいだの単なるスキマですので、「気孔には核はない」です。
- (※ 孔辺細胞を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
蒸散が、植物のどの部位から多いのかを調べる実験で、下記の実験がある。なお、結論から言うと、一番多いのは、葉の裏側。
ワセリンを塗って、その部位からの蒸散を防ぐことができる。なので、葉の表だけにワセリンの標本と、葉の裏だけにワセリンの標本と、なにも塗らない標本を用意する、典型的な実験がある。
もちろん、葉の裏側にワセリンを塗った標本が、いちばん蒸散量が少なくなる。下記の実験例でも、そうなってるか確認しよう。
ワセリン以外にも、アルミニウム箔(はく)でメスシリンダーの天井に、茎を囲むように蓋(フタ)をする方法でも蒸発を防ぐ方法もある(宮崎県の過去問など)。
実験例、葉からの蒸散
[編集]- 実験1
- (※ 実験を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
同じくらいの大きさの、葉つきの枝を用意する。そのうち1本は、葉をすべて取って茎だけにする。葉を取った後にワセリンを塗っておく。もう1本の枝は、葉を残す。
葉の残っている枝は、葉の枚数を同じにする。
水の入ったガラス管に枝をつなぎ、その水量の変化から、蒸散の量を調べる実験をする。
そのため、ガラス管は2本、必要になる。
ゴム管などで、ガラス管と枝との間を密封する。
実験結果は、葉の付いている枝のほうが、水の減りが早い。
- 実験2
- (※ 実験を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
葉の裏側からの蒸散のほうが、表側からの蒸散よりも多いことを調べる実験には、ワセリンなどを葉の表に塗った場合と、葉の裏側に塗った場合とで比べれば良い。なお、比較として、下記では3本の枝が必要である。それぞれの枝は、葉の枚数を同じにする。
それぞれの枝と水を入れる容器としては、3本のメスシリンダーを使うと、水の量を測定しやすい。
- 具体的には、試験管を3本、用意する。葉の何枚か付いた枝を、3本、用意する。
- 枝の3本とも、試験管に水を、同じ量、いれる。水面からの蒸発を防ぐため、試験管3本とも、油を足らしておく。
- 試験管Aの枝の葉には、すべての葉の裏側にワセリンを塗る。試験管Bには、すべての葉の表側にワセリンを塗る。試験管Cには、何も塗らない。
- 水の量を調べる。
この場合、理論上は、蒸散が一番多いのは、何も塗らないCである。次に多いのは、表側にだけワセリンを塗ったBである。一番少ないのは、葉の裏側だけに塗ったAである。
なお、当然だが、水が多く減るほど、蒸散が多い。(なお、蒸散以外の水の蒸発をふせぐために、葉の表面には油を垂らしてある。)
- ※ 公立高校受験あたりでは、実験結果の表などは与えられているので、上記の比較からの考察をきちんとできるようにすれば十分だろう。私立高校はどうか知らない。
考察は、下記のようになるだろう。
- 蒸散は、葉の表側よりも裏側でさかん。
葉の表側からの蒸散も、けっして、ないわけではない。(ないとすると、表側ワセリンのBは、ワセリンを塗らないCと同じ蒸散量になるはずだが、しかし実際にはCよりもBは蒸散量が減っている。)
残った水の量の大小の順序と、蒸散の量の順序は、違うので(逆なので)、けっして混同しないように。意味を考えれば、表から導けるはず。
- ※ 考察の大まかな仕方を覚えておいて、試験の本番では、与えられた実験結果の表から、思考をしてキチンと考察できるようにしよう。
- 機械的に覚えると、大小の順序がこんがらがって、ワケが分からなくなる。きちんと科学的な思考を理解するのが早道。
上記の実験から、葉の裏側で、蒸散が多いことが、証明される。
さらに、葉の裏側には、「孔辺細胞」(こうへん さいぼう)が多いことが、観察をされる。なお、「気孔」(きこう)とは、開閉する孔辺細胞のスキマの事である。(「気孔」は、細胞名ではない。)
中学高校の実験では、そこまで深入りできないが、上記の知識を組み合わせて、
「孔辺細胞で、気孔からの蒸散が積極的に行われているのではないか」という予想が、自然と浮かび上がってくるだろう。
結論から言うと、その通りで、この孔辺細胞が、蒸散を積極的に行っている。ただ、実験をするのは困難なので、知識として知っておけばよい。
- ※ このように、習った知識どうしを組み合わせよう。また、そのために、質の良い問題集なども購入して解こう。
- 対照実験
この植物ワセリン実験のような、微妙に条件を変えた2~3種類以上の複数の標本を用意して実験することを「対照実験」(たいしょう じっけん)という。(※ 中学の検定教科書には書いてないが、参考書に書いてある。また、高校だと検定教科書で「対照実験」を習う)。対照実験は、調べる条件以外は、すべてを同じにする必要があります。つまり、基本的には、同じ日に、同じ実験者が、同じ場所で、試験管と標本だけを別に分けて実験します。
- ※ 旺文社の参考書で確認。
一般に植物は、昼に気孔を開く。夜は、気孔は閉じている。
しかし、日照りなどの場合は、昼に開くと水がうばわれてしまうので、昼は気孔を閉じて、夜に気孔を開く。こうすることで、植物から水がうばわれるのを防いでいる。
ほか、サボテンなど砂漠の植物も、昼は気孔を閉じ、夜に気孔をひらく植物が多い。
まとめ
[編集]双子葉類 | 単子葉類 | |
---|---|---|
子葉の数 | 2枚 | 1枚 |
根 | 主根と側根 | ひげ根 |
維管束 | 輪状に1周 | 散在している |
形成層 | あり | なし |
葉脈 | 網静脈 | 平行脈 |
光合成と呼吸
[編集]光合成
[編集]光合成では、デンプンが作られる。光合成は日光のある昼間しか行われていない。 光合成は植物の葉の細胞にある葉緑体(ようりょくたい、chloroplast)という部分で行われ、動物の細胞には葉緑体は存在しない。
水 + 二酸化炭素 → 栄養(デンプンなど)+ 酸素 ↑ 光エネルギー
光合成には、水と二酸化炭素と光の3つが必要である。これらのうち、一つでも欠けると光合成は出来ない。水も必要だと言うことを忘れないように。(水の一部から得られる水素(化学式はH)は、デンプンや糖などの栄養素にも含まれる。ブドウ糖(glucose 発音: グルコース)の化学式はであり、水素が含まれている。デンプンの構造は、ブドウ糖などの糖がいくつも、くっついた形をしている。)
- エタノールを用いた葉緑体の漂白実験の例
- (※ 実験を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
- エタノールなどの漂白剤で葉の一部を白くして色素をぬくと、その部分にヨウ素液をつけても反応せず、光合成は行われないことが分かる。(葉の緑色の部分は、ヨウ素液で青紫に変色するが、葉の白い部分は変色しない。) → 光合成には葉緑体が必要。
- アルミニウム箔などで葉の一部をおおうと、おおわれた部分では光合成は行われない。 → 光合成には、光が必要。
以上の2つの実験を合わせると、「光合成には、葉緑体に光が当たることが必要である。」ことが分かる。つまり、葉緑体が光を利用して光合成を行っている。
※ 葉の漂白の実験の手順
- (※ 実験を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
- まず、熱い湯に葉をひたして、やわらかくしておく。
- これとは別に、漂白剤を用意する。エタノールを用いる場合は、温める必要があるが決して直接火でエタノールを温めてはいけない。これはエタノールが引火しやすいためである。なのでまず、エタノールの入ったビーカーをべつのそこの広い湯の入ったビーカーに入れて、その湯で間接的にエタノールを温める。
- 漂白材に葉を付け漂白する。
- 漂白が終わったら葉を取り出して、水洗いする。
- これでヨウ素液の実験ができる。
- BTB溶液を用いた二酸化炭素の検知の実験
- まず、試験管2本とオオカナダモなどの水草1本と、BTB溶液と、ゴム栓2本(試験管用)を用意する。
- 2本の試験管をそれぞれAとBとして、その2本ともにBTB溶液を入れる。
- 2本の試験管とも、BTB溶液に息をふきこみ、緑色(中性)にする。
- Bにはゴム栓をして、BTB溶液いがいは何も入れない。
- Aには水草を入れ、ゴム栓をする。
- AとBとも、光の当たる場所に置く。
もし、光合成で二酸化炭素が吸収されるなら、溶液中の二酸化炭素が吸収されるはずである。そして、二酸化炭素が吸収されれば、その分、酸性が弱まり、BTB溶液の色が変わるはずである。
予備知識として、 BTB溶液は、
- 酸性で黄色。
- 中性で緑色。
- アルカリ性で青色
である。
入試でBTB溶液の色の暗記を都道府県もあるようなので(奈良県とか)、語呂合わせを紹介します。「キミはアホ(黄緑は青)」(酸性→中世→アルカリ性 のPHの低い順番に並んでいる)とかのゴロ合わせがあります。ほか、酸性しか使えませんが、「サンキュー」(酸黄ュー)なんてのもあります。この2つを組み合わせると良いでしょうか。
さて、実際に実験すると、オオカナダモの入ったフラスコは、青色になるので、アルカリ性になっていったことが分かる。
いっぽう、オオカナダモの入ってないほうは、緑色のままである。
この試験管AとBのように、調べようとしている条件(この場合はオオカナダモの有無)以外は、同じ条件にして実験をすることを、対照実験(たいしょうじっけん)という。
- ※ 参考書では、受験研究社の参考書が「対照実験」を紹介している。このため、受験研究社の参考書を取り入れたワークブックでも「対照実験」が紹介される。
、
- 石灰石を用いた二酸化炭素の検知の実験
- (※ 実験を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
- タンポポの葉を用意。試験管を2本、用意。ゴム栓(試験管用)を2個、用意。石灰水をフラスコ2個分、用意。
- 試験管Aには、タンポポの葉を入れる。試験管Bには、何も入れない。
- 両方の試験管とも、それぞれ息を吹き込んで、すばやくゴム栓をする。
- 両方の試験管を30分ほど、光に当てる。
- それぞれの試験管に、ゴム栓を一時的に外して石灰水を入れ、すぐにゴム栓をつける。
- ゴム栓をしたまま、試験管を、よく ふる。
石灰水は、2酸化炭素で白くにごるのであった。タンポポの葉を入れたほうの試験管は、光合成で、二酸化炭素が吸収されるので、にごらないはずである。
実際の実験でも、タンポポの葉を入れたほうの試験管は、白くはにごらないで透明のままである。タンポポの葉の無いほうは、二酸化炭素が、そのまま残るので、石灰水で白くにごる。
この試験管AとBのように、調べようとしている条件(この場合は葉の有無)以外は、同じ条件にして実験をすることを、対照実験(たいしょうじっけん)という。
このオオカナダモのBTB溶液での実験も、タンポポの葉の石灰水での実験も、光合成の検証の代表的な実験であるので、参考書などで、きちんと学習しておくこと。
これらの実験によって、光合成では二酸化炭素を吸収していることまでは検証できるが、まだ酸素を合成していることの検証はできていない。
酸素の合成の検証は、つぎのような点火実験である。
- まず、水槽などの水中に、オオカナダモなどの水草をしずめる。
- 光を当てると、泡(実は光合成で出来た酸素)が出るので、その泡を漏斗(ろうと)などで試験管に集める。酸素は空気より、やや軽いので、試験管は下向きにして集める。
- 火の付いた線香を、さきほどの泡をあつめた試験管に入れると、火花をだして激しく燃えることから、気体が可燃性のものであることが分かり、泡の気体の種類が限られてくる。
中学・高校の段階では、この可燃性が分かった段階で、この実験では酸素が発生したと判断してよい。
光合成は、葉緑体で行われてる。より、くわしい場所を言うと、葉緑体の中にある、葉緑素(ようりょくそ)という緑色の色素で光合成を行っている。この葉緑素が緑色なので、それをふくんでいる葉緑体が緑色に見えている。
葉緑素のことを英語でクロロフィル (Chlorophyll)ともいう。
- 対照実験
このオオカナダモ実験のような、微妙に条件を変えた2種類の標本を用意して実験することを「対照実験」(たいしょう じっけん)という。(※ 中学の検定教科書には書いてないが、参考書に書いてある。高校で「対照実験」を習う)。対照実験は、調べる条件以外は、すべてを同じにする必要があります。つまり、基本的には、同じ日に、同じ実験者が、同じ場所で、試験管と標本だけを別に分けて実験します。
- 発展: 植物は、まずは糖を光合成で作っている。
植物は光合成で最終的にデンプンを作りますが、決していきなりデンプンを合成しているのでは、ありません。 まず、光合成では最初は、二酸化炭素や水などを材料にして、ショ糖(ショとう)やブドウ糖などの糖(とう)を合成しています。その糖の一部を材料として、植物はデンプンを葉や根などで合成しているのです。
小学校の理科で、人体の消化のしくみの勉強で、デンプンは最終的にブドウ糖に分解される、というふうに習ったと重います。
一方、光合成の順序は消化の順序とは逆です。光合成では糖をもとに、デンプンを作っているのです。
また、糖は、水に解けやすいですが、デンプンは水に溶けにくいのです。植物が体の中で栄養を運ぶときには、水に栄養を溶かした状態で運びます。もし、デンプンのままだと、溶けていないので、デンプンの栄養を運べないので、不便なのです。
なおデンプンとは、糖がいくつもつながった物です。
イモなどでは、根に多くのデンプンをたくわえている。
イモなどの根にあるデンプンは、夜中のうちに、葉から根へと糖が送られており、糖からデンプンを合成している。
イモなどの植物で実験をして確認したい場合は、その植物を一日中、光に当てないでおくと、その日の夜は、糖が足りないので、デンプンが合成できず、なので翌日のデンプンが不測しているので、イモの部分を切り出してヨウ液をつけても、あんまりヨウ素デンプン反応が強くは起こらず、こうして、これらの仮説を確認できる。
植物の呼吸
[編集]植物は光合成とは別に、酸素を吸って二酸化炭素を吐く呼吸(こきゅう、respiration)も行っている。 呼吸は、昼も夜も行われている。いっぽう、光合成は日光のある昼間しか行われていない。呼吸では、デンプンを酸素を使って分解して、エネルギーを取り出している。
- 呼吸をたしかめる実験
- (※ 実験を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
用意するもの
- 石灰水、ポリエチレン袋2個、袋2個分の植物の葉。ストロー2本、試験管2本、セロハンテープ2枚分。
方針
- 光の有無の対照実験。
手順
- 対照実験のため、袋2個とも、葉を同じくらい入れる。
- 袋の先に、あとの実験で試験管に気体を出すためのストローを取り付け、2袋のストローとも、ストローを曲げてセロハンテープで留める。
- いっぽうの袋を光に当てる。もういっぽうの光は、暗い所に置く。
- 2時間ほど放置する。
- 袋の中の空気を、試験管の石灰水に通してみる。
- 結果
- 明るい場所に置いたほう ・・・ 石灰水が、にごらない。 → 二酸化炭素が無い、少ない。 → 光合成が行われているため。
- 暗い場所に置いたほう ・・・ 石灰水が、にごる。 → 二酸化炭素が多い。 → 二酸化炭素が発生した。 → 呼吸が行われて二酸化炭素を吐き出したため。また、暗いので光合成は行われていないので、二酸化炭素は植物に吸収されない。
光合成と呼吸で出入りする気体の関係は、逆である。
つまり呼吸では、
- 栄養分(ブドウ糖など) + 酸素 → 水 + 二酸化炭素
という関係である。
デンプンが元になったブドウ糖を、呼吸で分解することで、植物はエネルギーを得ている。(ブドウ糖の化学式はであり、水素(化学式はH)が含まれている。デンプンの構造は、ブドウ糖などの糖がいくつも、くっついた形をしている。デンプンや糖などにふくまれる水素によって、呼吸後の水(化学式は)が得られている。
発展: 補償点と光飽和点
[編集]- (※ 高校の範囲内なので、中学一年生は覚えなくてもよいですが、高校入試にも出ることがあるので、考えてみてください。)
植物は夜中にも呼吸を行っている、と習いました。
呼吸の量と、光合成の量と、光の強さの関係を、グラフにまとめましょう。右のようなグラフになります。
光の ある・なし には関係なく植物は呼吸をつねに行っています。光合成を行っている時も、呼吸を行っています。そのため、光合成を行っている時も、呼吸によって、二酸化炭素を排出しています。
光が強いときには、呼吸による二酸化炭素の排出量よりも、光合成による二酸化炭素の吸収量のほうが大きいのです。なので、結果的に光が強いときには植物は、二酸化炭素の(光合成による)吸収量から(呼吸による)排出量を差し引いたぶんだけ、二酸化炭素を吸収することになります。
植物の呼吸による二酸化炭素の排出と、光合成による二酸化炭素の吸収速度が、つりあった状態での光の強さのことを、補償点(ほしょうてん,compensation point)あるいは光補償点(ひかりほしょうてん)といいます。
見かけの光合成速度がゼロになる点は、補償点である(光合成速度と呼吸速度が等しいため)。
真の光合成速度(photosynthetic rate)を求めるには、見かけの光合成速度(apparent photosunthetic rate)に、呼吸速度(respiration rate)を足し合わせなければならない。呼吸速度を測定するには、暗黒で測定すればよい。
実験による測定で、直接に量を測定して得られる測定値は、真の光合成速度から呼吸速度を差し引いた値である。
- 真の光合成速度 = 見かけの光合成速度 + 呼吸速度
- 測定値=見かけの光合成速度
あるていどまでは光の強さが増すにつれて、光合成速度も大きくなる。
しかし光が、ある一定値よりも強くなると、たとえ、それ以上に光が強くなっても、光合成速度が変わらない状態になる。この状態を光飽和(ひかりほうわ)といい、飽和した直後の光の強さのことを光飽和点(photic saturation point)という。
発展: 陰生植物と陽生植物
[編集]小学校の理科で、日かげのほうが育ちやすい植物と、日なたのほうが育ちやすい植物を習ったと思います。
アオキやコケ類・シダ類(fern)などは、日かげのほうが育ちやすいです。このように、ひかげのほうが育ちやすい植物を陰生植物(いんせいしょくぶつ)といいます。
ススキやアカマツやシラカバは、日なたのほうが育ちやすいです。このように、ひなたのほうが育ちやすい植物を陽生植物(ようせい しょくぶつ)といいます。
日光のあたり具合によって、育ちやすいかどうかが変わってくるわけですから、これはどうやら光合成に関係性がありそうだと思うでしょう。じっさいに、光合成とは関係があります。
答えをいうと、右のグラフです。(※ 高校の範囲内なので、中学一年生は覚えなくてもよいですが、高校入試にも出ることがあるので、考えてみてください。)
このグラフを参考にして、今までに習った知識を整理してください。
なお、この発展の章のグラフのような、光合成についての光の強さと光合成量などの関係のグラフのことを「光合成曲線」(こうごうせい きょくせん)などといいます。
植物の仲間
[編集]これから説明する、シダ植物やコケ植物や藻類も、植物にふくまれる。
シダ植物とコケ植物
[編集]植物には、種子を作らない植物もある。シダ植物やコケ植物は、胞子(ほうし、spore)で増える。
ワラビやゼンマイなどはシダ植物である。シダ植物(Fern)には、根・茎・葉の区別があり、維管束を持つ。
コケ植物には、根・茎・葉の区別が無く、維管束を持たない。ゼニゴケやスギゴケがコケ植物である。
シダ植物とコケ植物の両方とも葉緑体を持っており、光合成を行う。
シダ植物
[編集]- 葉は、地上に出ている部分が葉。地表に出ている茎のように見える部分は、実は葉の柄である。
- 茎は、地中にある。地表に出ている部分は葉の柄(え)であり、茎でない。シダ植物の地中にある茎のことを 地下茎(ちかけい) という。
- 根は、地下の茎の横に生えている無数の ひげ根 が、根である。水は、根から吸収する。
細かい葉の裏側に、胞子のう(ほうしのう)があり、その中で胞子(ほうし、spore)が出来る。
胞子のう が乾燥して水分がなくなると、胞子のう が割けて、胞子が飛び散る。
しめった場所に落ちた胞子は発芽する。
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シダ植物の葉の裏側には、胞子のうが付いている。
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シダ植物の葉の裏側にある 胞子のう群(ほうしのうぐん)。
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シダ植物の胞子のう。
- (※ 前葉体を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
発芽した胞子には前葉体(ぜんようたい)というハート型のものになる。この前葉体の役割は、受精のためである。前葉体で受精が行われる。シダ植物の受精には水が必要なので、水がある場所で発芽する仕組みになっている。
前葉体の造精器(ぞうせいき)で精子が作られ、造卵器(ぞうらんき)で卵(らん)が作られる。前葉体が水につかると、精子は泳いでいき、卵にたどり着けば受精が行われる。
コケ植物
[編集]- (※ スギゴケとゼニゴケを図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
- (※ 雄株(おかぶ)と雌株(めかぶ)を図示した画像を募集中。だれか作ってください。)
雄株(おかぶ)と雌株(めかぶ)に分かれているものが多い。維管束は無い。水は、体の表面全体から吸収する。体全体に葉緑体があり、光合成を行う。 シダ植物とちがって、コケ植物は根・茎・葉の区別が無く、そのため根を持たないので水を吸収する力が弱い。なので日かげで無いとコケ植物は育ちにくい。
雄株には造精器があり、雌株には造卵器がある。受精すると、造卵器(ぞうらんき)が胞子のう になる。胞子のう で、胞子が作られる。
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ゼニゴケの雄株。雄株の雄器(ゆうき)は丸い。仮根の位置を示してある。仮根は、根では無い。また仮根での水を吸収する力は弱い。
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ゼニゴケの雌株のイラスト。また仮根での水を吸収する力は弱い。
スギゴケの場合、直立しているので茎があるように見えるが、根・茎・葉の区別は無い。またスギゴケには維管束は無い。
コケ植物には下部に 仮根(かこん、rhizoid,) という根のような物があるが、これは別に水を吸収する力が強いわけではなく、単に体を支えるためのものである。ゼニゴケ・スギゴケの雄株・雌株とも、仮根がついている。
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スギゴケの雌株の解説。胞子のう、および、仮根の位置が示してある。
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スギゴケの雄株の各部。
スギゴケ、ゼニゴケとも、コケ植物の増え方は、胞子(ほうし)をつくって増える。コケ植物は、種子はつくらない。雌株にのみ、胞子のう が出き、胞子のうの中で胞子が落ちて、周囲に ばらまかれる。地面に落ちた胞子は発芽して成長し、やがて雄株または雌株になる。
スギゴケでは雄株(おかぶ)は、雄器(ゆうき)の中に、精子(せいし)をつくる。雌株(めかぶ)は雌器(しき)の中に、卵(らん)をつくる。精子は水の中を泳ぎ、精子が卵に到達すると受精が起きる。雌株は受精によって、雌器に 胞子のう がつくられ、胞子のう の中で、胞子がつくられる。
藻類
[編集]- (※ 理科用のワカメやコンブ、ヒジキやノリを図示した画像を募集中。だれか作ってください。食品画像のワカメ等ではなく。)
藻類(そうるい)には、海水中に生息するものと、川や湖などの淡水中に生息するものがある。
ミカヅキモやケイソウ、アオミドロは、淡水中で生息する藻類である。
いっぽう、ワカメやコンブ、ヒジキやノリなどは、海水中に生息する藻類である。
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海水中でのワカメ (1m - 3mほどの大きさになる)
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ワカメは海底に定着する
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海中でのコンブの形状のイラスト。
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オオバアオサ
オオカナダモは水中や水辺で生息しているが、種子植物であり被子植物の単子葉類であり、まったく藻類では無い。
海水中・淡水中の藻類に共通する性質
[編集]コケ植物と同様に、藻類には根・茎・葉の区別は無い。また、藻類には維管束も無い。そもそも、まわりが水ばかりなので、維管束で水を運ぶ必要性が無い。
藻類によっては、緑色ではなく赤色のものもあるが、どの種類でも葉緑体を持つ。赤色の藻類でも、葉緑体を持っているが、その他に赤色の色素をもっているので赤く見えている。どの種類の藻類でも葉緑体を持っているため、光合成をする。
ワカメやコンブなどは、やわらかい。これは海水の流れの力を受け流すためである。
ちなみに、海中でのワカメの色は、やや赤色っぽい、褐色(かっしょく)である。ワカメは湯通しすると緑色になる。食用のワカメが緑色なのは、湯通ししてあるからである。
- (※ 発展) なお、葉緑体や葉が緑色なのは、緑以外の青や赤の光を吸収しているからである。つまり、実際に葉緑体が光合成に利用している光の色は、緑ではない。葉緑体などで青や赤が吸収された葉の透過光や反射光を見ているので、葉が緑色に見える。
- ほか、藻類(そうるい)が褐色または紅色(べにいろ)なのは、海底ふかくに届きやすい青色や緑色の光を利用しやすくするためだろう(受験研究社)、と考えられている。
増え方
[編集]増え方は種類によって異なる。
- ワカメ や コンブ
- ワカメやコンブは、胞子で増える。
- ミカヅキモ や ハネケイソウ
- ミカヅキモやハネケイソウは、分裂(ぶんれつ)で増える。
まとめ
[編集]種子植物 | シダ植物 | コケ植物 | 藻類 | |
---|---|---|---|---|
ふえ方 | 種子 | 胞子 | 胞子 | 胞子 |
維管束 | ある | ある | ない | ない |
根・茎・葉の区別 | ある | ある | ない | ない |
光合成 | 行う |
発展: リンネの二名法
[編集]生物の種類の名前には、世界共通の学名(がくめい)がある。学名のつけかたには世界共通の規則が定められており、二名法(にめいほう)という命名法にもとづく国際的な規則が定められている。 たとえばヒトの学名は Homo sapiens (ホモ・サピエンス)である。 二名法で用いられる言語はラテン語であり、2単語のラテン語で学名を表している。最初の Homo は属名(ぞくめい)というものであり、 sapiens が種小名(しょうしゅめい)である。このように二名法では、属名と種小名を併記する。このような命名法を、18世紀の中ごろにカール・フォン・リンネが確立した。
たとえばアンズの学名は Prunus armeniaca である。イチョウの学名は、Gingko biloba である。
属名 | 種小名 | |
---|---|---|
アンズ | Prunus | armeniaca |
イネ | Oryza | sativa |
ヒト | Homo | sapiens |
トキ | Nipponia | nippon |
イヌ | Canis | familiaris |
ネコ | Felis | domesticus |
いっぽう、「ヒト」 や 「イヌ」 や 「ネコ」 や「アンズ」や「イチョウ」などと言った、ある種について、日本で一般的に使われる呼び名は、和名(わめい)である。
発展:種子植物の受粉
[編集]植物の精細胞と卵細胞
[編集]花粉(かふん)の中に精細胞(せいさいぼう)が、ふくまれている。
めしべの胚珠(はいしゅ)の中に、卵細胞(らんさいぼう)が、ふくまれている。
- めしべの先に花粉がつく受粉をすると、花粉から花粉管(かふんかん)が、のびる。この受粉しただけの段階では、まだ受精卵(じゅせいらん)が出来ていない。
- 花粉管が胚珠に達すると、花粉管の中の精細胞と、卵細胞が結びつく。精細胞と卵細胞が結びつくことを受精(じゅせい)という。こうして、受精が行われ、受精卵ができる。
- ※ くわしくは中学3年で習います。よく分からなければ、とりあえず、次の小学校の復習を読んでください。小学校で習うようなことも、高校入試には、ときどき出てきます。
受粉について、小学校の復習
[編集]- おしべ
おしべの先には、ふくらんだ物が付いている。これは花粉がつまっている。このおしべの先にある、花粉のふくろを、 やく という。「やく」のことを、「花粉ぶくろ」ということもある。
- めしべ
めしべは、 柱頭(ちゅうとう) と、 花柱(かちゅう) と、 子ぼう(しぼう) の3つの部分からなる。
- 柱頭(ちゅうとう)
めしべの先にある、ふくらんだ部分です。おおくの植物では、柱頭には、ねばねばとした液体がついている。この「ねばねば」は、花粉をつけやすくするためです。花粉が柱頭につくことを受粉(じゅふん)といいます。花粉は、おしべの先の「やく」から出るのでしたね。
- 子ぼう
めしべの根元にある、ふくらんだ部分です。子ぼうは、受粉のあとに、子ぼうが実(み)になります。「受粉」とは、柱頭の先に、花粉がつくことでしたね。そして、花粉は、おしべの先の、「やく」から、出るのでしたね。 柱頭に花粉がつかないと、子ぼうは、実(み)になりません。
子房は、植物によって、「花びら」や「がく」の上にある場合と、花びらの下にある場合があります。 アサガオやアブラナでは、子ぼうは、花びらの上にあります。 ヘチマやカボチャでは、子ぼうは、花びらの下にあります。
- 花柱(かちゅう)
柱頭と子ぼうとのあいだの、やや細い部分です。
受粉(じゅふん)
[編集]めしべにある柱頭(ちゅうとう)に、花粉がつくことを 受粉(じゅふん) といいます。受粉をした花には、変化が起こります。 柱頭いがいの場所についても、受粉ではありません。子房に花粉がついたのは、柱頭ではありません。子ぼうに花粉がついても、とくに変化は起きません。 花柱(かちゅう)に花粉がついても、とくに変化は起きません。
受粉をして花に変化がおきるのは、柱頭(ちゅうとう)に花粉がついた場合だけです。だから、柱頭に、花粉がついたばあいだけを、受粉(じゅふん)といいます。
柱頭は、ほとんどの植物では、柱頭は「ねばねば」していて、花粉がつきやすいようになっていることが多いです。
「子ぼう」の中には、「はいしゅ」(胚珠)があります。柱頭に花粉がついて、受粉をすると、やがて子ぼうがふくらんでいき、そして実(み)になります。実(み)のなかには、種(たね)があります。この種は、元は、はいしゅでした。
さまざまな受粉方法
[編集]- (※ 以下、自花受粉や虫媒花など、小学でも習う場合もあるが、中学の範囲。高校入試にも出てくるだろう)
- 受粉のしかた
- 自家受粉(じかじゅふん)
アサガオでは、おしべとめしべが同じ花にあります。このような花の場合、花が開くと、おしべの花粉が、めしべにふりかかります。このような仕組みの受粉を 自家受粉(じかじゅふん) といいます。自家受粉では、虫や鳥などの助けは、いりません。
- 自家受粉の例:アサガオ、イネ、エンドウ、など
- 他家受粉(たかじゅふん)
めしべの柱頭が、ほかの株(かぶ)の花のおしべから出た花粉と、受粉をすることです。 花粉を運ぶ方法は、虫によって運ばせる方法や、風によって飛ばす方法などがあります。
- 虫媒花(ちゅうばいか)
虫によって、はこばせる方法は、花のみつを吸いにきた虫に、花粉がつくようにする方法です。 このような仕組みで花粉を虫にはこばせる花を、 虫媒花(ちゅうばいか) といいます。虫媒花は、他家受粉に、ふくまれます。 虫媒花は、花粉がねばねばしていることが多いです。これは、虫の体に花粉がつくうえで、都合がいいです。 また、虫媒花の、花の色や大きさは、目立つものが多いです。これは、虫に気づかれやすくするために、都合がいいと考えられています。 虫媒花は、蜜(みつ)をだします。
- 虫媒花の例: アブラナ、ヒマワリ、カボチャ、など
- 風媒花
風によって花粉を運ばせる方法の花を、 風媒花(ふうばいか) といいます。風媒花は、他家受粉に、ふくまれます。 花粉は、さらさらしていて、軽いものが多いです。これは、風に飛ばされやすくて、都合がいいと考えられています。
風媒花は、花が目立ちません。また、風ばい花は、みつが少ないです。
- 風媒花(ふうばいか)の例: スギ、 イネ、マツ 、トウモロコシ 、ムギ 、ススキ 、ヤナギ 、など
多くの植物で、虫ばい花と風ばい花のどちらかが、花粉の運び方ですが、植物のなかには、ほかの運び方で花粉を運ぶものも、あります。水媒花(すいばいか)や、鳥媒花(ちょうばいか)がある。他家受粉に関しては、水媒花も鳥媒花も、他家受粉である。
- 水媒花(すいばいか)
花粉を水に流させて、花粉を運びます。 この水媒花は、水中に生えている植物で、みられることがあります。
- 水媒花(すいばいか)の例: クロモ、 キンギョモ、など
- 鳥媒花(ちょうばいか)
鳥の体に花粉をつけて、花粉を運ぶ花です。木に咲く花に多いです。 冬ごろに咲く花が多いです。冬は、虫が少ないので、虫をエサにしている鳥は、少ない虫のかわりに、花のみつを吸う場合があるのです。
- 鳥媒花(ちょうばいか)の例:ツバキ、サザンカ、ビワ、など
- 人工受粉(じんこうじゅふん)
人間が、手作業で、花粉をめしべの柱頭にくっつける受粉のしかたを、人工受粉(じんこうじゅふん)といいます。
農業で、実を確実に作らせて、収穫を多く得たい場合に、人工受粉が使われることが多いです。