中学校社会 地理/世界の気候

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世界の国々には一年を通して暑い国もあれば、夏でも日本の冬と同じぐらいの気温にしかならない国など様々だ。また、砂漠のようにほとんど雨の降らない国や、逆に一年中たくさん雨が降る国、他にも季節によって雨の多い時期と少ない時期のある国とさまざまな特徴がある。

降水量の平均的な状態を捉えて特徴付けたものを気候(きこう)という。ここでは、世界の気候を見ていこうと思う。なお、一部発展的な内容の用語もある。無理に覚える必要はないが、知っておくと大変便利なので、できればそちらも見てほしい。

気候区分により色分けした世界地図。色と気候の関係はこちら
ケッペンの気候区分により色分けした世界地図。細かい記号の意味はこちら

世界の気候について[編集]

世界の気候については一般的に、ドイツの気候学者ケッペン植生に注目して気温と降水量から区分したケッペンの気候区分が用いられる。この正確な内容については高校地理Bで習うが、中学校では以下のことを理解してもらえれば十分である。

気候は大まかに5つに分かれ、寒帯気候(かんたいきこう)亜寒帯気候(あかんたい きこう)温帯気候(おんたいきこう)熱帯気候(ねったい きこう)乾燥帯気候(かんそうたい きこう)がある。

この5つの気候は降水量を元にしてさらに細かく分けられる。 たとえば熱帯気候は、一年中降水量が多く森林の多い熱帯雨林気候(ねったいうりん きこう)と、雨の多い時期と雨の少ない時期の差が大きく木々のまばらなサバナ気候に分かれる。

本記事では、まずは5つの大まかな気候から説明する。

温度のもっとも低い寒帯気候、その次に温度の低い亜寒帯気候、温度のそれほど暑すぎもなく寒すぎもない温帯気候、気温が高く雨の多い熱帯気候などがある。

乾燥帯である砂漠(さばく)では、普通温度が高い。だが、必ずしも乾燥帯で温度が高いとは限らない。内陸の草原地帯などは、雨が少ない地域では乾燥しているが、温度は砂漠ほどは暑くない場合もある。

乾燥帯であるかの有無は、雨の量などが関わってくるので、涼しくても雨が少なければ乾燥帯でありうる。

この他の気候もある。地域の特性によって、様々な気候がある。

たとえば南アメリカ大陸のアンデス山脈など、標高の高い地域での気候で、高山気候(こうざん きこう)がある。 標高が100m増えるごとに、気温が0.6度ほど下がる。このため、標高が高いほど寒い。

熱帯(ねったい)[編集]

ケッペンの気候区分における熱帯の分布図

熱帯は、一年中、暑くて雨が多い。地域によって、雨季乾季がある。日射量が多いため、もっとも寒い月でも平均気温が18度を下回ることがなく、一年を通して気温の変化がほとんどない。そのため、四季ははっきりしない。一年中高い気温のため、上昇気流が発生して低気圧が生まれる。この低気圧が大量の雨をもたらすため、降水量も多い。


分布場所は、おもに、赤道から北回帰線・南回帰線の間にいる。熱帯の場所では、インドネシアなどの東南アジアの島々の熱帯雨林や、南アメリカ大陸のアマゾン川の流域の熱帯雨林や、アフリカ州のケニアの草原(サバナ)などがある。

熱帯の種類
 気候名 特徴(とくちょう)  場所

熱帯雨林気候 年中、雨が多い。
密林。
アマゾン川流域
東南アジアなど
サバナ気候 雨季と乾季がある。
サバナという長い草の草原。
アフリカのケニア 

熱帯は2つに分かれる。年中、雨が多く、森林が多く広葉樹のしげる熱帯雨林気候が一つ。もう一つは、雨季と乾季があり、木々はまばらで、草地(サバナ)の多いサバナ気候にである。長い草が多くなる。

熱帯での農業では、米やカカオ(チョコレートの原料)や綿花など、成長期に多くの雨や水を必要とする作物が作られる事が多い。

熱帯雨林気候[編集]

シンガポールの雨温図

赤道直下の地域に分布していて年中多雨で気温の年較差は少ない。午後からはスコールと呼ばれる激しい雨が降る。数十メートルの高さまでになる多種類の熱帯性植物がうっそうと(しげ)っておりこのような森林を熱帯雨林(ねったいうりん)(tropical rainforest [1])と呼ぶ。

一年を通して高温多湿となるので、人々の衣服や住居は湿気を上手く逃がすようなものになっている。たくさんの雨が降るためにラテライトと呼ばれる鉱石の混じったやせた赤土に地面が覆われ、農業には向かない。しかし、焼畑農業(やきはた のうぎょう)によって、キャッサバやタロイモ、ヤムイモの生産が伝統的に行われてきた。現在はプランテーションによる天然ゴム・アブラヤシ・カカオの生産も盛んに行われているが、もともと農業に向かない土地であるため、プランテーションによる農業が熱帯雨林の破壊をもたらしている面もある。

この気候に属する、主な都市はシンガポール(シンガポール)、ジャカルタ(インドネシア)、クアラルンプール(マレーシア)である。

サバナ気候[編集]

バンコクの雨温図

南回帰線から北回帰線の間の多くの地域に分布する。夏は雨の多い雨季となるが、冬は雨の降らない乾季になる。丈の高い草原の中に乾燥に強い樹木がまばらに生える、サバナとよばれる草原が多く見られる。

人々の生活や農業は熱帯雨林気候と大体同じだが、ガンジス川の河口のバングラデシュや、メコン川流域のベトナム南部・カンボジア、チャオプラヤ川流域のタイなどでは米の二期作が行われており、生産量も多い。

この気候に属する主な都市は、ホーチミン(ベトナム)、バンコク(タイ)、リオデジャネイロ(ブラジル)である。

乾燥帯(かんそうたい)[編集]

乾燥帯の種類
 気候名 特徴(とくちょう)  場所


砂漠気候 雨がとても少ない。
わき水のオアシスしか水がない。
アラビア半島
アフリカ北部
ステップ気候 雨が少しだけ降る。
ステップという短い草の草原。
砂漠の周辺
モンゴルなど 

降水量は非常に少ない。そのため、森林が育たない。雨が少なすぎて植物のまったく育たない砂漠気候 (さばく)と、少しは雨が降るので草などにかぎり植物が育つステップ気候に分けられる。

年間・一日ともに気温差が大きい。回帰線近くの地域では夏は非常に暑く50度近くになることもあるが、冬は20度程度となる。比較的高緯度の地域では冬の気温が氷点下になることも珍しくない。内陸の草原地帯などは、雨が少ない地域では乾燥しているが、温度は砂漠ほどは暑くない場合もある。乾燥帯であるかの有無は、雨の量などが関わってくるので、すずしくても雨が少なければ乾燥帯の場合もある。

乾燥帯での農業は、砂漠・ステップともに、雨が少ないので、あまり盛んでは無いが、もし農業をする場合には、小麦などのやや乾燥に強い作物を育てる事が多い。

砂漠気候[編集]

カイロの雨温図
砂漠気候の世界的な分布(BWh)
砂漠気候の世界的な分布(BWk)

年間を通して雨はほとんど降らないため、植物は自生できない。このため、砂や岩石が広がる土地となっている。しかし、川の流域やオアシスとよばれる湧き水のあるところでは植物が自生することができる。

人々は強い日差しと砂嵐とよばれる砂を含む強い風を避けるために、体を覆う服を身に着ける。降水量が非常に少ないため、人々が生活する場所は川の流域や湧き水のあるところに限られており、そこではカレーズと呼ばれる地下水路で水を運んで農業を行ってきた。また、オアシスや大河の流域には交易の重要拠点となったところもあり、そこでは商業も盛んに行われてきた。砂漠の農業は、オアシスの周辺で行われ、小麦やなつめやしなどを育てる事が多い。

この気候に属する主な都市は、バグダッド(イラク)、ドバイ(アラブ首長国連邦)、カイロ(エジプト)である。 乾燥帯の分布場所は、主に緯度20度 〜 40度付近に分布する。

ステップ気候[編集]

ステップ気候の世界的な分布(BSh)
ステップ気候の世界的な分布(BSk)

雨は少ないとはいえ、雨季には雨も降るため、ステップと呼ばれる丈の低い草の生える草原が広がる。

ステップ気候の位置は、砂漠の周辺にあることが多い。アフリカのサハラ砂漠の周辺や、アラビア半島の砂漠の周辺にも、ステップ気候の地域がある。 分布場所は、おもに砂漠気候からサバナ気候・温帯への移行地域に分布している。

また、モンゴルのような大陸の内陸でも、雨雲が届かず、雨が少ないので、ステップ気候である事が多い。

ステップ気候の住民の伝統的な生活では、山羊や羊などの家畜をともなって遊牧をしている事が多い。季節によって、草や水が多いところを求めて移動するからである。家畜の食べ物には、草を食べさせる。川や湖の近くでは農業や放牧・遊牧が行われてきた。しかし、近年では過剰な放牧や農地の拡大によって水がなくなったり、草が生えなくなったりして砂漠化が進んでいる地域もある。

この気候に属する主な都市は、ラホール(パキスタン)、ダカール(セネガル)である。

温帯(おんたい)[編集]

温帯の種類
 気候名 特徴(とくちょう)  場所

温暖湿潤気候 季節風(モンスーン)がある。
夏は高温で雨が多い。冬は低温。
降水量は多い。
東アジア
北アメリカ南東部
南アメリカ南東部(パンパ)
西岸海洋性気候 偏西風の影響で緯度のわりに気温は高め。
季節による温度差は温帯の中では小さい。
ヨーロッパ州の西岸
北アメリカ州の西岸
オーストラリア南東部 
地中海性気候 夏は暑くて乾燥する。
冬は雨が多く降る。
イタリアなどの
地中海沿岸地域 

もっとも寒い時期でも氷点下になることは少ないが、夏は地域によっては熱帯と同じぐらいの暑さになることがある。このため、四季の変化に富み、多くの動物・植物が生息する。気温・降水量共に農業に適していることから、古代から現代に至るまで農業や産業の発展した地域が多い。

雨の降りかたなどによって、気候の区分が、次の3つの、温暖湿潤気候(おんだん しつじゅん きこう)西岸海洋性気候(せいがん かいようせい きこう)地中海性気候(ちちゅうかいせい きこう)に分けられる。

  • 温暖湿潤気候

温帯の中でも日本のように、1年間を通して気温の変化が大きく、降水量も多い気候を温暖湿潤気候とよぶ。

  • 西岸海洋性気候

ヨーロッパの大西洋沿岸では、偏西風の影響のため、1年間を通して降水量の変化が小さい。このヨーロッパの大西洋沿岸の一帯のような気候のことを西岸海洋性気候(せいがん かいようせい きこう)という。日本では道南地方の室蘭市と日高地方で分布している。一年間を通して、雨が降る。

  • 地中海性気候

イタリアなどの、ヨーロッパ州とアフリカ州の間にある地中海の周辺の国に多い気候である。夏には乾燥するが、冬は偏西風のために雨が降る。

温暖湿潤気候[編集]

東京の雨温図
温暖湿潤気候の世界的な分布

温帯モンスーン気候または温帯湿潤気候ということもある。主に中緯度の大陸東岸に分布する。

この気候に属する主な都市は、東京(日本)、シャンハイ(中国)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)である。

季節風の影響を強く受けるため、温帯の中で四季の変化が、もっともはっきりしている。

日本や、周辺の東アジア諸国での温暖湿潤気候での季節ごとに変化する原因は、季節によって風向きが変わる季節風(きせつふう)が気候に影響を与えるためである。

夏は低緯度の海からの風を受けるために高温多湿となるが、冬は高緯度の大陸からの風を受けるために乾燥した寒い季節となる(しかし、0度を下回ることは少ない)。また、夏には台風のような熱帯低気圧に襲われることもある。

夏は暑く、冬は寒いので、ここに住む人々はそれぞれの季節にあうような生活スタイルを作っていった。例えば日本の伝統的な衣服は夏は涼しく、冬は暖かくなるような素材が好まれた。豊かな水と適度な気温のため、農業に適している。日本などの東アジア周辺では米作りが盛んである。バナナなどの暑い気候でしか作れないものなど以外は、ほとんど栽培可能。

温帯の植物は、いっぱんに、広葉樹林と針葉樹林が混合している。 また、アルゼンチンのパンパ・アメリカのプレーリーのように豊かな草原地帯もある。パンパやプレーリーでは放牧も盛んに行われている。

西岸海洋性気候[編集]

シュツットガルト(Cfb)の雨温図
西岸海洋性気候の地域の世界的な分布

この気候に属する主な都市は、ロンドン(イギリス)、パリ(フランス)、メルボルン(オーストラリア)である。ちなみに日本でも北海道の室蘭市と日高地方が属している。

大陸西岸の高緯度地方(緯度40度 - 60度付近)に分布する。西ヨーロッパの多くはこの気候に属している。温暖湿潤気候などと比べると、西岸海洋性気候の気温の年間の変化は小さい。夏はあまり暑くならずすごしやすい。冬は長く寒いが、暖流からの偏西風(へんせいふう)の影響を受けるため、緯度のわりに冷え込みはきびしくない。例えばロンドンやパリは、サハリン(樺太)と同じ緯度だが、冬の平均気温は5度くらいで東京よりも少し寒いぐらいである。また、降水量は一年を通して一定である。

落葉広葉樹や針葉樹林もあるが、牧草も育ちやすい。牧畜に適している地域であるため、農業と牧畜を組み合わせた混合農業が盛んに行われてきた。例えばフランスは小麦の生産が盛んな国であるが、チーズなどの乳製品の生産量も多い。

地中海性気候[編集]

サンティアゴの雨温図
地中海性気候 (Cs) の世界的な分布

イタリアのような地中海沿岸が中心だが、南北アメリカ大陸の西側にも見られる。夏は乾燥帯なみに乾燥するが、冬には雨が降る。また、ヨーロッパ州の沿岸の場合、大西洋沿岸には暖流の北大西洋海流が流れているので、緯度の割には温かい。冬はあまり気温が下がらないため、常緑広葉樹林(じょうりょくこうようじゅりん)となる。

赤土やテラロッサと呼ばれる石灰岩が風化してできた土に覆われているため、土地はあまり豊かではない。しかし、夏の強い乾燥に耐えられるオレンジ・レモンなどの柑橘類やぶどう、オリーブの生産が盛んで、雨の降る冬に小麦を栽培する。こうした農業を地中海式農業(ちちゅうかいしきのうぎょう)という。また、日光の少ない地域の人々が夏にやってくることも多いため、リゾート地として有名なところも多い。

この気候に属する主な都市は、ローマ(イタリア)、アテネ(ギリシャ)、サンフランシスコ(アメリカ)である。

亜寒帯(あかんたい)(冷帯(れいたい))[編集]

寒帯と亜寒帯の種類
 気候名 特徴(とくちょう)  場所
 亜寒帯(冷帯)  タイガ。針葉樹。
冬は長くて寒く、特に真冬はかなり低温となるが、
夏は比較的暑い。
シベリア中部、
アラスカ中部、
カナダ中部など

ツンドラ気候 ツンドラ。コケ類。
地中は永久凍土。
シベリア北部、
アラスカ北部、
カナダ北部など
氷雪気候 年中、氷雪。
植物は育たない。
南極大陸や北極 
モスクワの雨温図
亜寒帯冬季少雨気候 (Dw) の世界的な分布
亜寒帯湿潤気候 (Df) の世界的な分布


シベリアのような気候である。冬は長く、特に真冬は寒さがとても厳しいが、夏は気温が上がり、天気が良ければかなり暑くなる。夏には気温が高くなるため、樹木も育つ。 森林には、針葉樹やシラカバなどの木々が多い。

亜寒帯での針葉樹林のことをタイガといい、これが多く分布する。

ユーラシア大陸の北部や、北アメリカ大陸の北部に多く見られる気候である。ロシアの首都のモスクワの気候も亜寒帯である。亜寒帯の分布地域は、中国北東部・朝鮮半島北部・ロシアの半分以上・アメリカ北部からカナダにかけての地域など、おおむね緯度40度以上の高緯度地域に分布する。

季節は、温帯と同様に、四季が見られるが、夏は温帯ほどではないがやはり暑くなる。また、夏は日照時間が長いため昼夜の気温差が大きいのも特徴であり、特に内陸地方では昼にかけては暑くなるが、朝夜は一転して冷え込む。冬の平均気温は0度を下回るのが普通である。

季節による、1年間の夏と冬との温度差が大きい。特に中国の北京のように、夏と冬の気温差が40度近くもあるところも存在する。

冬の寒さが厳しい気候なので、人々は寒さ対策を行ってきた。朝鮮半島のオンドルはその典型例である。春から夏にかけては比較的温暖なので、その時期に小麦を栽培することが多い。特にロシア南部の黒土地帯は世界有数の小麦生産地帯である。また、寒さに強い、カブ・ソバ・ライ麦・ジャガイモの生産も盛んである。また、タイガは豊かな針葉樹林地帯であるので、林業も盛んである。

この気候に属する主な都市は、札幌(日本)、ペキン(中国)、モスクワ(ロシア)である。

細かくは、亜寒帯には亜寒帯冬季少雨気候(あかんたいとうきしょううきこう)亜寒帯湿潤気候(あかんたいしつじゅんきこう)などがあるが、中学校ではあまりこの区別は重要ではない。

寒帯(かんたい)[編集]

ツンドラ気候(ET)の世界的な分布
氷雪気候(EF)の世界的な分布

年間を通して寒い場所であり、氷がほとんど溶けない。ツンドラ地帯では夏の間だけは氷や雪には閉ざされないが、暑くはならず、季節ごとの温度差もあるが、真夏でさえ、気温が0度未満の地域もある。

地面が凍ってしまうので、木々は育たない。

ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北部、グリーンランド、南極大陸に分布する。夏でも平均気温は10度を上回ることはない。このため、樹木は育つことができず、夏にコケなどが育つ程度である。氷雪地帯では一切の植物が育たない。土地も凍りついている、永久凍土とよばれる土地に覆われている。ただし、夏の間だけ表面がとけてコケなどが育つところもあり、そうしたところをツンドラという。

細かくは、寒帯にはツンドラ地帯・氷雪地帯がある。

ツンドラ気候[編集]

カナダの北部、ロシアの北部やノルウェーの北部では、寒帯の中では、比較的暖かい地域であり、夏には気温が0度を上回り、氷が溶ける場合もある。寒帯の中では、暖かいと言っても、あくまで「寒帯の中では」という限定つきであり、温帯や亜寒帯と比べると低温である。

さて、寒帯でも、夏に氷が溶ける場所では、コケや草が生える。このような夏に氷が溶けてコケや草が生えた地域をツンドラという。このような気候をツンドラ気候という。

ツンドラ地帯ではコケなどが生息しているため、トナカイなどを遊牧することで生活する人々もいる。

この気候に属する主な都市は、バロー(アメリカ合衆国アラスカ州)などであるが、人口は数千人程度である。

氷雪気候[編集]

グリーンランドや南極大陸(なんきょくたいりく)など、もっと寒いところでは夏でも気温が0度を大きく下回り、夏でも氷が溶けない。1年中ずっと、地面が雪や氷に覆われている。そのため、植物が育たない。農業はまったくできず、この環境の中で生きている動物も限られている。

砂漠とならんで人間が住むには非常に厳しい場所のため、大きな都市は存在しない。南極に昭和基地などの観測用基地(かんそくようきち)が、またはグリーンランドなどにイヌイットの集落があるくらいである。

ちなみに、イヌイットの家のことを、イグルーと言う。

  1. ^ ターゲット編集部『英単語ターゲット1400 [5訂版]』、旺文社、2021年1月24日、P.362