高等学校理科 物理II 電気と磁気

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本項は高等学校理科 物理IIの電気と磁気の解説である。


目次

[編集] 電気と磁気

この章では、w:電気w:磁気が関わる現象を扱う。電気と磁気は1900年代の中頃にその現象の全貌が明らかにされ、それ以降多くの応用を生み出してきた。詳しくはw:マクスウェルの方程式などを参照。現代の技術のほとんどは電磁気に関する技術を用いている。例えばw:自動車w:電子レンジw:テレビw:計算機などである。一方、理論的な立場から言えば、我々の身体を形作っているw:タンパク質w:脂肪もなんらかの形で電磁気力を用いて結合している場合が多く、我々の世界で電磁気力に関連しない現象はほとんど存在しないといえる。そういった意味では、電磁気力は我々の存在そのものを司っている力といえる。また、電磁気力はそのように広い応用範囲と様々な現象を司っているにもかかわらず、その現象を記述する式が比較的単純であることでも知られている。ここでは、それらの力の記述方法を見ていく。

[編集] 電界と磁界

電磁気力を記述する重要な量として、w:電界w:磁界の2つが挙げられる。電磁気力は通常電気力と磁気力の2種類の異なって見える力から構成されている。特に電気力を媒介するものが電界であり、磁気力を媒介するものは磁界と呼ばれる。電界と磁界には共通点も多いが、それらの発生の方法など異なった部分も多い。ここでは、最初の章で電気力が関連する現象を見ていき、次の章で磁気力が関連する現象を見ていく。

[編集] 電荷と電界

[編集] 電荷

一口に電気と言ってもその現れ方は様々であり、その現象の全貌を述べることは簡単ではない。ここでは、電気のうちで特に簡単に観測が可能な現象から取扱っていく。種々の観測によると、電気は単独で存在することはなく、常に何らかの微細な粒状の物体の性質として振舞っていることが知られている。特にこの中で最も小さい電気の単位をw:電気素量(素電荷)と呼ぶ。この量は極めて小さいため、通常我々の目には電気は連続的に存在するように見える。

電気を持った微細な物体は通常の方法で観測することはできないが、ある物体がまわりよりも多くの素電荷を持っていたとすると、そのことは簡単に観測することができる。これは、素電荷は質量のある物体どうしに互いに力を及ぼし合う関係があり、その力は容易に観測が可能なものであるからである。実際には素電荷には2種類の符号を持つものがあり、それらは異符号のものは互いに引き合い、同符号のものは互いに反発し合うことが実験的に知られている。このように素電荷のある量の集まりであり、物体のまわりに蓄積されるものをw:電荷と呼ぶ。電気力によって反発しあったり、引きつけあったりする物体を電荷を持つ物体と呼ぶ。また、ここで観察される力を、w:クーロン力と呼ぶことがある。

ここで、電荷の単位はC(w:クーロン)で与えられる。

これらの電荷を持った物体間に働く力の大きさは、物体間の距離と簡単な関係を持っていることが知られている。実験的には、電荷の間に働く力は、重力の場合と同様に力を及ぼし合う2物体の間の距離の2乗にw:反比例することが知られている。更に、電荷の大きさが大きいほど電荷間に働く力が大きいことも考慮すると、電荷q1,q2を持っているお互いの間の距離rの2物体の間に働く力は、


f = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} \frac {q _1 q _2}{r^2}

で与えられる。ここで、ε0は真空のw:誘電率と呼ばれる物理定数であり、値は8.854\times 10^{-12}[F/m]である。

  • 問題例
    • 問題

電荷q1, q2の間の距離がrの場合と2rの場合では、間に働く力の大きさはどちらがどれだけ大きいか答えよ。 また、距離が2rの時の2点間の力の大きさを答えよ。

    • 解答

クーロン力は、物体間の距離の逆2乗に比例するので、距離が2rの時は、rの時の大きさの\frac 1 4となる。また、働く力の大きさは、クーロン力の式を用いて、


f = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} \frac {q _1 q _2}{4r^2}

となる。

[編集] 電界

既に、ある電荷のまわりの電荷には、その電荷からの距離の逆2乗に比例した力がかかることを述べた。電荷が複数ある場合には、実際に新たに置かれた電荷が受ける力は、それらを足し合わせたものとなる。

ここで、ある電荷が受ける力は、その電荷の大きさに比例することを合わせて考えると、その電荷の大きさにかかわらず、まわりの電荷の大きさだけで決まる量を導入しておくと都合がよい。ここで、そのような量としてw:電界を導入する。このとき、電界\vec Eの中にある電荷qに働く力\vec fは、


\vec f = q \vec E

で与えられる。電界は、w:電場とも呼ばれる。

上のクーロン力の結果と合わせると、まわりに電荷が存在しないとき、qの電荷がまとう電界\vec Eは、


\vec E = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} \frac {q}{r^2} \vec e _r

で与えられる。ただし、rは電荷からの距離であり、\vec e _rは、電荷とある点を結んだ直線上で、電荷と反対方向を向いた単位ベクトルである。

電荷の回りの電界は、平面上で放射状のベクトルとなることに注意。

[編集] 電位

w:重力を扱ったとき、重力に対するw:位置エネルギーを定義した。ここで、クーロン力に対しても位置エネルギーを定義することができる。クーロン力も重力の場合と同様に逆2乗力なので、クーロン力に対する位置エネルギーも、重力の場合と同様に定義できる。ただし、クーロン力に対して電界を定義したのと同様、位置エネルギーに対しても、物体が持つ電荷の大きさを省いて定義できる量を導入すると都合がよい。このような量をw:電位と呼ぶ。

クーロン力の結果と、重力の位置エネルギーの結果を見合わせると、q[C]の電荷がまとう電位Vは、


V = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} \frac {q}{r}

となる。

  • 発展 位置エネルギーの定義

位置エネルギーは力の大きさをw:積分することで定義されるが、ここでは詳しく扱わない。古典力学電磁気学などを参照。

電位の単位はw:ボルトであり、この量は既に中学校理科などで扱ったw:電圧の単位と同じである。実際電気回路に電圧をかけることは、回路中のw:電子に電界をかけて動かすことと等しい

  • 問題例
    • 問題

直線上で距離0, b[m]の点に、電荷q, q'を持つ物体が置いてある。この時、位置a[m](a<b)の点の電位を求めよ。

    • 解答

電位の式を用いればよい。電荷が複数あるときには、電位はそれぞれの電荷がつくり出す電荷の和になることに注意。答えは、


V = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} (\frac {q}{a} + \frac{q'}{b-a})

となる。


[編集] コンデンサ

中学校理科では。基本的な電気回路について扱った。ここで、電界、電位などの知識を用いて、新たな回路素子であるw:コンデンサを導入する。

コンデンサは、回路中に電荷を蓄積できる部分を与える素子である。具体的にはコンデンサの両端にある電位Vが与えられたとき、コンデンサには、電位に比例する電荷Qが蓄積される。このとき、コンデンサの性質を表す量をCとおいて、

Q = CV

としてCを取る。Cは静電容量と呼ばれ、単位はF(w:ファラド)で与えられる。

具体的に電圧をかけられたとき、内部に電荷を蓄えるようにするには、例えば導体の平面を2枚向かい合わせるようにする方法がある。この方法では、向かい合った平面間に一様な電界が生じるように、2枚の平面に同じ大きさで符号が逆の電荷が蓄積される。このコンデンサの静電容量Cは、


C = \epsilon  _ 0 \frac S d

で与えられる。ここで、Sは導体平面の面積であり、dは導体間の距離である。

  • 発展 静電容量の計算

ここで与えた静電容量は、平面上に電荷が一様に分布するとの仮定で導かれる。このとき、導体間に生じる電界Eは、導体が持つ電荷をQ, -Qとした時、導体間の各点で、


E = \frac Q {\epsilon _0 S}

で与えられる。この式については、計算にw:マクスウェルの方程式が必要である。詳しくは電磁気学を参照。電界が求められたので、ここから電位を計算できる。導体間の各点で電界の大きさが等しいので、電位の大きさは電界の大きさに電界が存在する距離をかけたものになる。詳しくは電位の定義を参照。ここで、電位Vは、


V = Ed = \frac d {\epsilon _0 S} Q

となるが、この式と静電容量Cの定義を見比べると、


C = \epsilon  _ 0 \frac S d

が得られる。


[編集] 電流による磁界

磁石のまわりには物体を動かす力のあるものが生じている。 これを磁界と呼ぶ。 電流が流れているときにも、そのまわりには、w:右ねじの法則に従う向きに磁界が生じる。 電流I[A]が直線的に流れているとき、磁界の大きさは 
B = \frac {\mu_0} {2\pi a} I
であることが知られている。 ここで、aは磁束密度を測る点と、電線の距離。 また、μ0は真空のw:透磁率を表し、値は4\pi \times 10^{-7}[H/m]である。


[編集] 電磁誘導と電磁波

[編集] 電磁誘導

磁場を伴う物体が運動すると、そのまわりには電場が生じる。 仮に、コイルの近くでそれを行なったとすると、生じた電場によってコイルの中には電流が流れる。 生じる電場の大きさは、 
\vec E = \frac 1 {2\pi a} \frac {d\vec B}{d t}
となる。(半径aの円形のコイルの場合。) Eの単位は[V/m]であり、Bの単位は[T]である。


[編集] 電磁波

磁場の動きによって電場が引き起こされることを電磁誘導のセクションで見た。 実際には電場の変化によって磁場が引き起こされることも知られている。 これによって何もない空間中を電場と磁場が伝播していくことが予想される。 (:電磁波の伝播のschematicな絵) 電磁波は何もない空間の中を伝播することができ、速度は光速に一致する。 このことから、光は電磁波の一種であることが分かる。

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