Lojban For Beginners 日本語訳/内部の前置詞( sumti tcita )

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

内部の前置詞( sumti tcita )


前回までは、ある sumti に元の用言 selbri が関連づける他の sumti を付け足して説明する方法を見てきました。元の selbri が関連づけるのではない語(つまり定位置のない語)を付け足すやり方を、ここでは見ていきましょう。5章で学んだように、 selbri 自体がつなげる語でなくても、前置詞( sumti tcita )あるいは時制の cmavo を使って selbri に付け加えることができましたね。例えば、 de'i 「それが起こった日付は~」を使って

le vi xatra cu se mrilu de'i li ze
「この手紙は七日に郵送される。」

と言えます。ところで、この手紙が四日付けだ、と言いたいとしましょう。ここで、 de'i li vo 「四日付けで」をそのまま「手紙」に付けるわけには行きません。以下のようになってしまいます。

le vi xatra de'i li vo cu se mrilu de'i li ze
「この手紙は、四日付けに、郵送される、七日付けに。」

sumti tcita は文のどこに置いても文自体の selbri に意味を付け加えてしまうのです。つまりこれでは、郵送されるのは四日なのか七日なのか分からない、ということです。四日付けの手紙とするには、「手紙」という sumti に説明を付け加える形でなければなりません。

le vi xatra be de'i li vo cu se mrilu de'i li ze
「四日付けのこの手紙は、七日に郵送される。」

これで良くはなりました。しかし、何にでも当てはまるわけではありません。例えば cmene はそれ自体は何の sumti もつなぎませんから be を使えませんね。その場合には pe を使うことになるでしょう。

まず、じっくり行きましょう。 fi'e 「それを作った作者は~」という sumti tcita があります。これは finti 「開発する」から来ています。この語は、「出来事」ではなく、「物」に付きます。「本」の作者や「曲」の作曲者でありえますが、「出来事」の作者ではないのです。つまり、こう言えます。

le cukta be fi'e la dikens.
「ディキンズ作の本」
小ネタ:偶然にも、これは le cukta be fi la dikens. 「ディキンズが作者の本」と同じ意味です。そして sumti tcita の良いところは、 sumti の定位置の順番を忘れてしまっても使える、ということです。付け加える語が何番目に位置するのだったか、忘れることはよくあることですから。

それではここで le cukta 「本」の代わりに la .Oliver.tuist. 「オリバー・ツイストという題名」だったらどうでしょう?

それ自体では何の sumti も結び付けない名称に be を付けると selbri 扱いしてしまって変なので、 pe にします。

la .Oliver.tuist. pe fi'e la dikens. cu mutce xamgu
「ディキンズ作の、オリバー・ツイストという題名のものはとても良い。」

これならばあなたはただ「“ディキンズ作”と関連性が深い“オリバー・ツイストという題名もの”はとても良い」と言ったことになるだけなので、「オリバー・ツイスト」を selbri 扱いすることにはなりません。