Lojban For Beginners 日本語訳/合成語( lujvo )

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

合成語( lujvo )


ロジバンの合成語( lujvo )には少しだけ触れましたが、まだ自分で作ることはしていませんね。ロジバンでは lujvo を作るのに決まりがありますから、単語同士をただ繋げるだけではいけません。例えば、「イケメン」やら「イクメン」のような日本語の新語を作る調子で、ロジバンで合成語を勝手に作ると、違うものに見えるか、ばらばらになるか、コンピューターが解析不可と煙を出すか、してしまいます。

確実な作り方の一つは、se などの逆転させる語を付けて、 lujvo を作るやり方です。se dunda で、「~は与えられる物( x1 )で、それを与えるのは~( x2 )」というように、 sumti の位置が逆転しました。これに l をはさんで seldunda とすると lujvo になります。これの配列構造は se dunda と同じです。

「~は( x1 )与えられる物で、それを与えるのは~( x2 )、それが与えられるのは( x3 )」

le seldunda 「与えられるもの」と言っても、 le se dunda 「与えられるもの」と言うのとあまり違いません。しかし、 gismu のほとんどは合成語の為の短縮形( rafsi と呼ばれる)を持っています。短縮形( rafsi )はそのままでは使われませんが、合成語になる時に使われるものです。dunda の合成語の為の短縮形( rafsi )には、 dud と du'a の二つがあります。今の場合、 dud は使えません。子音で終わると cmene になってしまうからです。(なので、 cmene の中にはそちらが使われるものもあります。)

ですから、使うのは du'a で、lujvo は le seldu'a 「その与えられるもの」となります。 seldu'a の配列構造は、 seldunda と同じです。

位置を逆転させる為の他の cmavo でも同じです。しかし、その rafsi は少し異なっています。

se sel-

te ter- 

ve vel-

xe xel-

よって「受取人」を lujvo で表すと、 le terdu'a になります。


注:ちなみに、 tel は、 stela 「鍵やシールだ」の rafsi になります。しかし、「だからといって te を ter という不規則形にするのか、 stela の合成短縮形の方を違うものにしたら良かったではないか」と思われるかもしれません。現に、xelso 「ギリシアのものだ」の rafsi は( xel ではなく ) xes となっています。その疑問はもっともでしょう。しかし、1993年の rafsi の大規模再割り当ての後では、もう手遅れになってしまったのです。この言語の愛すべき変なところと思って下さい。

合成語を作ることによって、語彙の数は飛躍的に増えます。例えば日本語にあってロジバンの gismu にない語を作ることもできますし、日本語にない概念の語を作ることもできます。あまり使うことのない語もできるでしょう。例えば、

terna'e 

「~は( x1 )規則あるいは論理だ、それにより矛盾あるいは否定あるいは拒否あるいは無効にされるのは~という命題( x2 )、否定するのは~という命題( x3 )。」

という lujvo もできます。しかし、もっと使える合成語(lujvo )もできます。例えば、以下のものを作ってみましたが、どうでしょう。

lo tertcu「必要の目的となること」( nitcu 「必要とする」から)

lo ternu'e 「約束を交わした人」( nupre 「約束する」から)

lo selvu'e 「道徳の基準」( vrude 「美徳だ」から)

lo selte'a 「怖いもの」( terpa「怖れる」から)

lo selcta 「見られるもの」( catlu 「目を向ける」から)

lo selta'i 「疲れさせるもの」( tatpi 「疲れた」から)

lo seltu'i 「合意の点」( tugni 「合意する」から)

lo selzi'e 「自由にできること」( zifre 「自由だ」から)

lo selxei 「憎まれるもの」( xebni 「憎む」から)

lo selpa'i 「愛されるもの」( prami 「愛する」から)


この方法で妥当となる合成語( lujvo )は作れるのですが、注意するべき点は、同じ子音を重ねない、ということです。これは発音が難しいからであるし、一つの子音との区別がつきにくいからです。つまり、「洗剤」と言いたくて、lumci 「洗う」からそのまま vellu'i という語は作れません。こういう場合には、 y (あいまい母音)を間に挟み、velylu'i 「洗剤」とします。

実のところ、 y (あいまい母音)が使われるのは、このように lujvo の中にはさまれた形か、あるいは cmene に限られます。 gismu には y は含まれません。

また、 cmavo にも基本的には含まれません。例外は、言いよどんだ時の .y. 「ええと」そしてアルファベットです。 .y'y. 「 y 」や dy. 「 d 」など。つまり普通のロジバンの語には、 y (あいまい母音)は出て来ないのです。