モノポリー/ビヨンド・ボードウォーク・アンド・パークプレース

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この追加ルールは以下の書籍に掲載されているものです。

Richard Hutton and Noel Gunther, Beyond Boardwalk and Park Place : the Unauthorized Guide to Making Monopoly Fun Again. Toronto/New York: Bantam Dell Publishing Group, December 1986, ISBN 0553343416 (Paperback)

この追加ルールの目的は、公式ルールに比べて現金の価値を相対的に低下させ、順番が早いプレイヤーやサイコロ運が良いプレイヤーが土地を次々に買えないようにすることで、より多くのプレイヤーが土地を買えるようにすることです。公式ルールに比べて運の要素が減少し、実力で勝負できるようになります。

抵当[編集]

抵当の制度はありません。土地を現金化する必要がある時は、公式ルール同様に他のプレイヤーと交渉して土地を売却するか、あるいは銀行に表示価格(ボードや権利書に印刷されている価格)の半額で売却しなければなりません。

物件の購入とオークション[編集]

すべての土地・鉄道・公共会社(以下「物件」とする)の定価は表示価格の2倍となります。たとえば、ボードウォークの価格は$800です。このルールにより、「止まったマスの物件を次々に買う」という戦略は通用しにくくなります。誰も所有していない物件のマスに止まったプレイヤーが物件の購入を拒否した(あるいは不可能だった)場合は、当該物件は直ちにオークションにかけられます。

オークションは表示価格(2倍にした価格ではない)の半額に$10を加えた額から開始します。ボードウォークの場合、表示価格は$400なのでオークションは$210から始めます。

マスに止まったものの購入を拒否したプレイヤーもオークションに参加できます。最初に、購入を拒否したプレイヤーは、入札するかパスする(入札しない)かを選択します。以降順次時計回りに各プレイヤーは入札額を釣り上げるかパスするかを選択します。入札は$5単位で行わなければなりません。入札額を誰も釣り上げなくなった場合は、最後に入札したプレイヤーが落札者となります。落札者は、たとえ手持ちの現金が足りなくても必ず落札額を支払わなくてはなりません。万が一物件・建物の売却や交渉で現金を調達してもなお落札額相当の現金を用意できなかった場合は、その場で破産となりゲームから抜けます。このルールは、物件を購入する意思が無いプレイヤーが必要以上に高額で入札する行為を防ぎます。 もし誰も入札しなかった場合、当該物件は次に誰かがその物件のマスに止まるまで銀行に置かれたままになります。

公共会社は鉄道とみなす[編集]

2つの公共会社は鉄道と同様に扱われ、表示価格は普通の鉄道同様に$200であるとみなされます。ただし、チャンスカードの「次の鉄道に進み~」を引いた場合は本来の4つの鉄道のいずれかに進みます。また「次の電力会社か水道会社に進み~」のカードを引いた場合は、次の「電力会社鉄道」か「水道会社鉄道」に進んだうえで通常の2倍の運賃を支払います。もちろん所有者がいなければ購入できます。

このルールでの鉄道の運賃は以下の通りです。

  • 鉄道1社を所有 ... $25
  • 鉄道2社を所有 ... $50
  • 鉄道3社を所有 ... $100
  • 鉄道4社を所有 ... $200
  • 鉄道5社を所有 ... $300
  • 鉄道6社を所有 ... $400

プレイヤー間での合意により、5社・6社所有時の運賃をそれぞれ$400・$800に変更する(すなわち、常に「1社増えるごとに運賃2倍」にする)こともできます。この場合、鉄道を6社保有することは、他のプレイヤーにとって極めて大きな脅威になります。

建物とレンタル料[編集]

1つのカラーグループの土地を独占した場合、土地に建物を建てられるのは公式ルールと同じですが、各グループ内で建物を均等に建てる必要はありません。たとえばあるグループ内の1つの土地に家3軒を建てて、残りの2つの土地は建物が無い更地のままにしておくことができます。

書籍には掲載されていませんが、次のようなルールもあります:家を均等に建てる義務はないが、ホテルを購入する際には、グループ内全ての土地に家4軒またはホテルが建っていなければならない。

建物の建設は、必ず自分の順番の、サイコロを振るに行わなければなりません。

刑務所に入っているプレイヤーは建物の建設およびオークションへの入札ができません。また徴収できるレンタル料は半額になります。公式ルールに基づく試合の場合、建物が多く高額のレンタル料を徴収される恐れがある終盤に、刑務所に留まってレンタル料支払いのリスクを減らすと同時に他者が自分の土地に止まるのを待つ戦略がしばしば用いられますが、このルールはプレイヤーに早く出所するよう促すものになっています。

$1紙幣は使用しません。すべてのレンタル料は$5単位に切り上げられます。 公式ルールでは、1つのカラーグループの土地を独占した場合、建物が無い土地のレンタル料は2倍になりますが、このルールでは「公式ルールの通常のレンタル料の2倍を$5単位に切り上げた金額」がレンタル料になるので、必ずしもきっちり2倍にはなりません。特に、建物が無い地中海通りのレンタル料は独占の有無にかかわらず常に$5です。 以下にいくつか例を示します。

  • セントジェームズプレースのレンタル料は$15(公式ルールでは$14)
  • セントジェームズプレースを含むカラーグループを独占すると、レンタル料は$30($14×2=$28を切り上げ)
  • 地中海通りのレンタル料は$5(公式ルールでは$2)
  • 地中海通りを含むカラーグループを独占すると、レンタル料は$5($2×2=$4を切り上げ)

他のプレイヤーや銀行に債務のないプレイヤーは「自己破産」を宣言することができます。宣言は1ゲームに付き1回までで、誰かが「自己破産」をしたらそれ以降は誰も自己破産を宣言することはできません。自己破産を宣言したプレイヤーは、まず手持ちの現金・物件・建物・釈放券をすべて銀行に返します。次に、銀行は$800の現金とブラウン(またはダークパープル)のカラーグループの2つの土地(地中海通り・バルティック通り)を自己破産者に与えます。もしこれらの土地を他のプレイヤーが持っていた場合は、銀行は土地1つに付き$120を土地所有者に補償金として与えて強制的に買い上げます。もし買い上げた土地に建物があった場合は銀行は所有者に対して、家1つにつき$50を、ホテル1つにつき$250を追加で補償金として支払い、建物は全て銀行に戻します。

公式ルール上銀行に支払うべきとされている現金は、物件や建物の購入を除いて、銀行に支払う代わりにボード中央に置きます。この置き場所を「ジャックポット」といいます。ゲーム中フリーパーキングに止まった(GOカードの指示による移動を含む)プレイヤーは、ジャックポットに置かれた現金を全部もらうことができます。 ゲームの、プレイヤーの実力の要素を損ねないために、上記の銀行に支払うべき現金の半額(端数切り上げ)をジャックポットに入れ、残りは銀行に支払うというルールもあります。

所得税マスに止まったプレイヤーは、$200と総資産の10%のどちらを払うか決める前に、自分の総資産を計算することができます。

現金・物件・釈放券と同様に、以下のものを交渉の対象とすることができます。

  • レンタル料の支払いを免れる権利(期限の有無は任意)
  • 拘束条件付きの物件取引(特定のプレイヤーに売却しないことを条件に土地を引き渡す、など)
  • 将来引くカードの内容に応じた報酬や、債務の肩代わり

プレイヤーは進行中の取引に対案を提示したり、また事前に一定額の現金を払うのと引き換えにレンタル料を免除させることを提案することもできます。

刑務所にいるプレイヤーは、建物の建設・競売への入札・レンタル料の徴収が出来ません。このルールはプレイヤーの早期出所を促しますが、このルールでも出所するか否かは重要な戦略となります。

GOカード[編集]

このルールでは、通常のチャンスカード・共同基金カードに加えて12枚の「GOカード」を使用します。GOのマスに止まったプレイヤーは、$200を受け取り、「GOカード」を引かなければなりません。

12枚のカードの内容は以下の通りです。

  • ゴルフを始めることにした。個人レッスン料として各プレイヤーに$25を支払う。
  • 鉄道会社が若者特別運賃を実施すると発表した。次に他の誰かが所有する鉄道に止まった時、運賃は半額で良い。
  • 無料駐車場に進みジャックポットに入っている現金を受け取る。ただし駐車料として各プレイヤーに$50を支払う。
  • 賃借人の一人と結婚する。お祝いとして各プレイヤーから$25もらう。
  • 保安官に選ばれる。他のプレイヤーを1人選び刑務所送りにする。
  • 鉄道がまた遅れる。鉄道を保有していれば、お詫びとして各プレイヤーに$50支払う。
  • 建物の修理費を完済する。次に自分の土地に誰かが止まった時に、レンタル料に加えて$50を徴収できる。
  • 市に建物を収用される。所有する建物を1つ銀行に返し、建設費の半額を受け取る。
  • ホームパーティーでゲームに勝つ。次に誰かの物件に止まった時、レンタル料の支払いは免除される。
  • 地域の重役にパーティーでカレーを振る舞う。カレー代としてジャックポットに$25を入れる。
  • 友人たちから「今月の大立者」に選ばれる。各プレイヤーから$50もらう。
  • 義理の兄が銀行の頭取になる。次にオークションに参加するとき、銀行が最終入札額に加えて$100の補助を出してくれる。

その他の追加ルール[編集]

この書籍には、さらにいくつかの追加ルールが掲載されています。

  • カラーグループを独占しなくても建物を建てることができる。
    • ただし1軒建設するごとに$100をジャックポットに支払う。建設費は表示価格の2倍となるが、売却時に受け取れる金額は通常と同じく表示価格の半額となる。
  • 1ゲームにつき1人1回だけ、表示価格の3倍を支払うことで、自分が止まったマス以外の物件を購入することができる。
  • 公式ルール同様に物件を抵当に入れることができる。ただしGOを通る度に抵当に入れている物件の価格の合計の10%を銀行に支払う。
  • 建物の建設は、自分の番のサイコロを振った直後にのみ行うことができる。
  • オークションの最中に交渉をしてもよい。
  • 競売に入札する権利を取引の対象としてもよい。
  • 競売の開始価格は任意とする。
  • オークションで最初に入札するプレイヤーは好きな価格で入札できる。
  • 自己破産ルールにおいて、プレイヤーが銀行からもらえる現金の額をその時点で残っていたプレイヤーの人数に応じて以下のようにする。
    • 6人:$700
    • 5人:$750
    • 4人:$850
    • 3人:$950
    • 2人の時は、自己破産を宣言することができない。
  • 1ゲームにつき1人1回だけ、自主的に刑務所に入ることができる。

これらのルール(ジャックポットを除く)は、取引をより面白くし、ゲーム時間を短縮する効果が見込めます。

自己破産ルールは、負けが近く、ゲームから脱落して誰が勝つかを見ていなければならなくなりそうなプレイヤーに復活のチャンスを与えます。また、同時にプレイヤーを最終的な破産に近づけます。

  • 計算の手間を減らすために、通常通り$1紙幣を使用する。
  • 開始時の所持金は$1000から$1200までの間で適宜定める。

上記のルールは、(公式ルールほどではないにせよ)ゲームの流れを早め、なおかつ各プレイヤーが一つ以上のカラーグループを独占出来るようにするでしょう。

まとめ[編集]

これらのルールを採用することで、(たとえ、通常の追加ルールと『ジャックポットに税金などの半分を払う』だけを採用した場合でも)モノポリーはより競争的で、面白いゲームになります。

参考文献と外部リンク[編集]