中学校数学 1年生-数量/文字の式
出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
数学という学問と算数という学問で違うのは、文字を使うかどうかである。この章では、その文字について学んでいこう。
目次 |
[編集] 文字の式
数学では、小学校までの算数と違って数字の代わりとして文字を置くことがある。文字の式とはこのような文字を含んだ式のことである。単に文字といっても「あ」「い」…「ん」といった日本語ではなく、「a」「b」…「z」といったアルファベットなどを置く。
[編集] なぜ文字を置くのか
文字を数の代わりに置く事には理由がいくつかある。例えば、式を書いているとき、
- 2+3=5
のように、全ての数が分かれば文字を使わなくても問題はない。しかし、
- 太郎君は飴を2個持っていました。花子さんの飴と合わせると5個になりました。花子さんは何個の飴を持っていましたか?
というような場合を考えると、分からない数が出てくる。このような時、小学校では
- 5-2=3 答え 3個
と、求めてきた。しかしこの式は正確ではないのである。なぜならこの式は「5個の飴から2個の飴を引いたとき」の式だからである。ここで、花子さんの持っていた飴の個数はわからないけれども、ひとまず文字xで表すことにしておくと、次のように式が書ける。
- 2+x=5
上のようにすれば、「2個の飴に花子さんの持っていた分を加えて5個の飴になる」ということを正確に表す式を書くことができる。つまりこの例だと、文字は分からない数の代わりに置いて使うのである。このように、具体的な数値は求められるのにまだわかっていない数を未知数という。
未知数の他にも文字を数の代わりに置く場合がある。例えば、具体的な数値はわからないけれど、どんな数字でも入れられるような場合である。このような数は変数と呼ぶ。変数については関数のところで詳しく解説する。
もうひとつ、決まった数についてもうまく表せないときに文字を使って表すことがある。代表的なものは、円周率をπであらわすことであるが、高等学校の物理や化学では、多くの「決まった数(定数)」を文字で表すことがある。
| 数の代わりに置く文字の種類 |
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[編集] 文字の式の決まり
文字の式を書くときには決まりがある。
- 「×」の記号は省く。 例:a×b → ab
- 数と文字の積は、数を先に書く。 例:a×2×b → 2ab
- 記号π(パイ)が含まれる場合は、数→π→文字の順に書く。 例:a×π×4 → 4πa
- 同じ文字を2回以上かける時は、指数を使う。 例:a×a×a → a3
- かける数・かけられる数の1は省略する。 例:a×1 → a , (-1)×b → -b
- 除法では「÷」ではなく、分数を使う。 例:a÷b →

- 1つの項の中で、文字はアルファベット順に書く。 例:c×a×b= → abc
[編集] 代入と式の値
- 例題
- 1個40円のみかんをx 個と50円のりんごを1個買ったとき、この代金を文字式で表すと 40x + 50 (円) となる。では、みかんを5個買ったときの代金はいくらになるだろうか?
この問題を解くためには、未知数であるx の代わりに5を入れて計算すればよい。
- 40x+50 = 40×5+50 = 200+50 = 250 答. 250円
この問題で行ったように、式の中の文字を数でおきかえることを、文字にその数を代入するという。また、文字式に具体的な数を代入して計算した結果を、そのときの式の値という。
上の問題を今説明した言葉で言うと、x = 5 のとき、40x+50 の値は 250 であると言える。
[編集] 式の項
[編集] 文字を含む項
「項」については、正の数・負の数で一度触れた。例えば、2+5-9+4の式の項といえば、2、5、-9、4の4つのことである。この章では文字を含む項について考える。例えば、
- 7+5x -y
という式の場合、和の形で表すと7 + 5x + (-y )となる。したがって、この式の項は7、5x、-yの3つである。このように文字を含んだ式も含まない式も、項についての考え方は同じである。
[編集] 定数項と係数
では、次の式を考えてみよう。
9xy+2x-y2-4
この式の中で、文字を含む項は9xy、2x、-y2、文字を含まない項は-4である。文字を含む多項式の中で、文字を含まない項を定数項という。ここでは-4が定数項である。
また、9xyという項について、具体的な数字である9をxyの係数という。同様に、xの係数は2である。 では、y2の係数は何だろうか。-y2は、(-1)×y2と考えられるから、y2の係数は-1である。
| 定数項 |
| 文字を含まない項 |
| 係数 |
| 文字と数の積で表せる項のうち、数の部分 |
先ほどの式は、文字を2つ含む項、文字を1つだけ含む項、文字を含まない項で構成されている。これらをそれぞれ、2次の項、1次の項、0次の項(つまり定数項)という。-y2は-yyと同じなので2次の項である。また先ほどの式を、項の最高次数をとって二次式という。このように、式の中で一番大きい次数をとって、それがn次なら「n次式」という。
[編集] 同類項
文字の部分が同じ項のことを同類項という。次の式について考えてみよう。
4x+8x+2y-3y2
この式で4xと8xは、係数をのぞくと同じxとなりますから同類項だといえる。しかし、2yと3y2は同類項ではない。文字の部分がそれぞれyとy2となっていて指数が違うので、これらは文字の部分が同じとはいえない。したがって、同類項ではないということになる。
[編集] 同類項の利用
では、同類項を利用して計算してみよう。
同類項がある式では、式を簡単にすることができる。次の式について考えてみよう。
2x+4x+2
2xとは、2×xのことである。つまり、x+xと同じになる。同様に、4xはx+x+x+xである。
これらを考えると、
2x+4x = x+x+x+x+x+x = 6x
となる。このことから、同類項の加減では、係数の部分だけ計算すればよいということがいえる。
上の式を計算すると6x+2となる。では、次の式を計算してみよう。
x+5x-6x+y-8y+2y
答えは次のようになる。
x+5x-6x+y-8y+2y
=(1+5-6)x+(1-8+2)y
=-5y
これは、正の数・負の数で少しだけ触れた分配法則によって成り立っている。では乗除の式ではどうだろうか?

という式では、まず分母の掛け算をすると、分配法則を使って

と変形できる。ここで、分母の項の係数はどちらも分子の数「2」で割ることができるので、約分すると
=3xy+xy^2
となる。
[編集] 文字の式の利用
[編集] 等式
次のようなときを考えてみよう。
「ガム1枚で5円します。そのとき、ガムをa枚買うとb円になります。」
この場合、5a=bという式が立てられる。このように等号(=)で2つの式が等しいことを表している物を等式という。また、等式の右側を右辺、左側を左辺という。つまり、5a=bは等式で、左辺は5a、右辺はbである。
等式のことを方程式ともいい、方程式の文字に当てはまる数を求めることを「方程式を解く」という。簡単な方程式の解き方は、この後の「一次方程式」で学ぶ。
[編集] 不等式
次のようなときを考えてみよう。
「1冊a円のノートを2冊と、1本b円の鉛筆を3本買うと、代金の合計は500円より多い。」
この場合、2a + 3b > 500という式が立てられる。このように2つの数量の間の関係を不等号を使って表した式を不等式という。また、不等式の右側を右辺、左側を左辺という。つまり、2a + 3b > 500は不等式で、左辺は、2a + 3b、右辺は500である。
「xは50より大きい または xは50と等しい」を
と表す。
「xは50より小きい または xは50と等しい」を
と表す。
も
も不等号である。