民事訴訟法第133条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民事訴訟法

条文[編集]

(申立人の住所、氏名等の秘匿)

第133条
  1. 申立て等をする者又はその法定代理人の住所、居所その他その通常所在する場所(以下この項及び次項において「住所等」という。)の全部又は一部が当事者に知られることによって当該申立て等をする者又は当該法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることにつき疎明があった場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、住所等の全部又は一部を秘匿する旨の裁判をすることができる。申立て等をする者又はその法定代理人の氏名その他当該者を特定するに足りる事項(次項において「氏名等」という。)についても、同様とする。
  2. 前項の申立てをするときは、同項の申立て等をする者又はその法定代理人(以下この章において「秘匿対象者」という。)の住所等又は氏名等(次条第2項において「秘匿事項」という。)その他最高裁判所規則で定める事項を書面その他最高裁判所規則で定める方法により届け出なければならない。
  3. 第1項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、当該申立てに係る秘匿対象者以外の者は、訴訟記録等(訴訟記録又は第132条の4第1項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。)中前項の規定による届出に係る部分(次条において「秘匿事項届出部分」という。)について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)の請求をすることができない。
  4. 第1項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
  5. 裁判所は、秘匿対象者の住所又は氏名について第1項の決定(以下この章において「秘匿決定」という。)をする場合には、当該秘匿決定において、当該秘匿対象者の住所又は氏名に代わる事項を定めなければならない。この場合において、その事項を当該事件並びにその事件についての反訴、参加、強制執行、仮差押え及び仮処分に関する手続において記載し、又は記録したときは、この法律その他の法令の規定の適用については、当該秘匿対象者の住所又は氏名を記載し、又は記録したものとみなす。

改正経緯[編集]

2022年改正により、以下のとおり改正。

  1. 令和5年(2023年)2月20日施行
    2022年「住所、氏名等の秘匿制度」の創設に伴い、本条に定められていた「訴え提起の方式」を第134条に繰り下げ、現条項を新設。
  2. 施行時期未定分
    1. 第2項
      (改正前)書面により届け出なければならない。
      (改正後)書面その他最高裁判所規則で定める方法により届け出なければならない。
    2. 第3項
      (改正前)前項の規定による届出に係る書面(次条において「秘匿事項届出書面」という。)の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付の請求
      (改正後)
      訴訟記録等(訴訟記録又は第132条の4第1項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。以下この章において同じ。)中前項の規定による届出に係る部分(次条において「秘匿事項届出部分」という。)について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)の請求
    3. 第5項(2箇所)
      (改正前)記載した
      (改正後)記載し、又は記録した

解説[編集]

第3項
  • 「非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等」(民事訴訟法第132条の7にて規定)
    第132条の4第1項の処分の申立てに係る事件の記録(ファイル記録事項に係る部分を除く。)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製。

参照条文[編集]


前条:
第132条の10
【電子情報処理組織による申立て等】
民事訴訟法
第1編 総則
第8章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿
次条:
第133条の2
(秘匿決定があった場合における閲覧等の制限の特則)
このページ「民事訴訟法第133条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。