高等学校理科 物理II 力と運動
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高等学校理科 物理II > 力と運動
本項は高等学校理科 物理IIの力と運動の解説である。
目次 |
[編集] 力と運動
[編集] 物体の運動
高等学校理科 物理Iでは、物体の運動を直線上の運動を中心に扱った。 物理IIでは、より複雑な平面上の運動を扱う。平面上の運動では、 直線上の運動とは違って、物体の位置を表わすのに必要な量が 2つになる。これらは通常x,yと呼ばれ、どちらも時刻tの一意の関数となる。 これらの関数はどんなものでもよいが、ここでは主に、実際の物体の 運動としてよくあらわれるものを扱う。
[編集] 平面上の運動
平面上では物体の動きを記述するのに 2つの変数が必要になる。 例えば、
- x = x(t)
- y = y(t)
となる。
運動方程式は、力が物体が受ける加速度に比例するという点はかわらない。 しかし、今回は力と加速度はどちらもベクトル量である。よって、 運動方程式は
とかかれる。 通常は、この方程式を解くときは要素ごとにわけ、
- fx = max
- fy = may
とかかれる。
- 問題例
-
- 問題
時刻t = 0に、
を
で通過した物体の時刻tでの位置を求めよ。
-
- 解答
物体のx方向とy方向は互いに独立に等速直線運動をする。 ここではx方向もy方向も速度
なので、等速直線運動の式のベクトル量とした量
に代入すると、
となる。 要素ごとにかくと、
となる。
-
- 問題
時刻t=0に原点(0,0)をy方向に速度v0で等速直線運動していた質量mの物体に、 x方向の一様な力fがかかり始めた。このとき、時刻tにおける物体の位置と 速度を求めよ。
-
- 解答
x軸方向には等加速度運動となる。 物体が受ける加速度は、運動方程式により
となる。 更にx方向の初速度0,初期位置0であることを等加速度直線運動の式に 代入すると、


- v = at

となる。
更に、y軸方向の運動は等速運動であり、その初速度は、v0,初期位置は0であるので、 この値を等速運動の式に代入すると、
- y = v0t
- vy = v0
が得られる。
[編集] 運動量と力積
この章ではw:運動量を扱う。運動量はw:運動方程式を変形することで定義される。 この量は、物体の衝突に置いてエネルギーと並び、 保存量となる重要な量である。また、この章ではw:力積という量も導入する。 力積は運動量の時間変化を表わす量であり、その導出は運動方程式を用いて 成される。
物体が動いているとき、物体の速度と質量の積を 物体の運動量
と定義する。 また、物体に対して力fをΔtの間だけ 働かせたとき、
- P = fΔt
として、Pを力積と呼ぶ。 ここで、力積が運動量の変化率であることを示す。 実際ある物体に短い時間Δtの間力
がかかったとすると、
となるが、これは運動量の時間変化率
に時間Δtをかけたもので、運動量の時間変化に等しいことが分かる。 よって、物体にかかる力積は、物体の運動量の変化量に等しいことが分かった。
- 発展 微分と変化量
ここでは、短時間の運動量の変化率として、
という記述を用いているが、本来この量はw:微分を用いて定義される。ただし、指導要領の都合のため、ここではそのような記述はしていない。微分を用いた導出については、古典力学を参照。
- 問題例
-
- 問題
静止していた物体に時間Δtの間ある方向に一様な力fをかけた。物体が得た 運動量はどれだけか。更に、物体の質量をmとすると、物体がその方向に 得た速度はどれだけか。
-
- 解答
運動量の変化分は物体が受けた力積に等しいので、物体が受けた力積を計算すれば よい。物体が受けた力積は
- fΔt
に等しいので、物体が得た運動量も
- fΔt
に等しい。更に、運動量が
- p = mv
を満たすことを考えると、物体の速度は
となる。
運動量は、物体が全く力を受けないとき保存する。 これは物体に力が働かないときには、物体の受ける力積は0であり物体の運動量 変化も0であることから当然である。
さらに、複数の物体の運動量については、別の重要な性質が見られる。それは、 複数の物体のもつ運動量の総和はそれらの物体の間の衝突に際して 保存するということである。 これはつまり、例えばある2つの物体が衝突したとき、始めに2物体がそれぞれ持っていた 運動量の和は衝突が終わった後に2物体が持っている運動量の和に等しいということで ある。 ここで、いくつかの物体があるときそれらの持つ運動量の総和を、対応する物体系の 全運動量という。
物体の衝突について、運動量は常に保存する。しかし、物体系の全エネルギーは 常に保存するとは限らない。一般に物体の衝突についてエネルギーは常に失われていく。 もっとも物体系に限らない全エネルギーは常に一定であるので、物体が持っていた エネルギーは音や熱の形で物体系の外に逃げて行くのである。物体が衝突について 失うエネルギーは衝突に関わる物体が持っている物性定数によって決まる。 この係数をw:反発係数eと呼ぶ。反発係数は、物体が衝突したする前後の 物体間の相対速度の比によって定められる。 特に物体1と物体2が衝突前に速度 v1,v2を持っており、衝突後に 速度v1',v2'を持ったとすると、反発係数eは、
で定められる。ここで、右辺の始めの − 符合は、衝突の前後で物体の速度が より大きい物体は、衝突前により小さい速度を持っていた物体よりも 衝突後にはより小さい速度を持つことになるからである。 そのため、反発係数は一般に正の数である。 また反発係数は1より小さい数であり、物体間の相対速度は衝突前より 衝突後の方が小さくなる。特にe=1のときを完全弾性衝突と呼び 0 < e < 1のときを非弾性衝突と呼ぶ。完全弾性衝突のときは、 エネルギーは失われないことが知られている。一方、非弾性衝突の ときは物体系の全エネルギーは失われる。
- 問題例
-
- 問題
ある静止している物体2に運動量pで運動している物体が衝突した。このとき、 衝突した後の物体2が運動量p2を得たとすると、衝突後の物体1の運動量は どれだけとなったか。
-
- 解答
運動量の保存則を考えると、衝突の前後で物体1と物体2で構成される物体系の 全運動量は保存する。ここで、衝突前の物体系の全運動量はpであるので、 衝突後の物体系の全運動量もpとなる。更に、物体2の衝突後の運動量が p2なので、物体1の運動量は
- p − p2
となる。
ここで、物体系の全運動量が保存されることは、運動に関するw:作用反作用の法則から従う。 作用反作用の法則を用いると、物体系の間の衝突に際して、衝突に関わる それぞれの物体が受ける力は、大きさが等しく向きは反対となる。 このとき、それぞれの力に対して、衝突の時間Δtをかけたものは 衝突に際してそれぞれの物体が受け取る力積に等しい。ここで、 衝突に関して働く力の力積を全ての物体について足し合わせると、それらの 和は上のことから0となる。しかし、全運動量の計算ではまさにそのような 全物体についての運動量の総和を計算しているので、衝突によって得られるような 力積の総和は0に等しい。よって、衝突に際して物体系の持つ全運動量は保存される。
- 問題例
-
- 問題
質量mの2つの物体が速度v1,v2 で移動している。これらの物体が衝突したとき、 衝突後のそれぞれの物体の速度を、エネルギー保存則と運動量保存則を用いて 計算せよ。ただし、物体の衝突に関してエネルギーは保存するとする。
-
- 解答
この問題は2つの同じ大きさの物体を異なった速度でぶつけたとき その結果がどうなるかを計算する問題である。 実験の結果によると、一方が静止しており一方が動いているとき、 動いていた物体は静止し、静止していた物体は動いていた物体が持っていた 速度と同じ速度で動きだすことが知られている。ここでは、それらの 結果が計算によって確かめられることを見ることが出来る。 衝突後の物体の速度をそれぞれ物体1についてはv1',物体2については v2'とする。このとき、物体の衝突について全エネルギーが保存されることを 用いると、
が得られる。更に、物体の衝突について物体系の全運動量が保存されることを用いると、
- mv1 + mv2 = mv1' + mv2'
これらは、v'1,v'2についての2次方程式であり、解くことが出来る。 実際計算すると、解として
- (v'1,v'2) = (v1,v2),(v2,v1)
が得られる。前者の解は衝突に際して物体の速度が変化しないことを 示しているが、これは実際の情况として考え難いので、後者の解が現実の解となる。 この結果を見ると、物体が持つ速度が入れ替わることが分かる。
このことは実際に同じ大きさの球を用いて実験を行うと、確かめることができる。
[編集] 円運動と万有引力
ここでは、初等的な平面上の運動の1つとして、円運動を扱う。 円運動はw:単振り子の運動の類似物としても重要である。それとともに、 ここではw:万有引力による運動も扱う。万有引力はいわゆるw:重力と同じ力であり、 物体と物体の間に必ず生じる力である。一方これらの力は非常に弱いため、 惑星のように大きな質量を持った物体の運動にしか関わらない。 ここでは、太陽のまわりを回転する惑星のような大きなスケールの運動も 扱う。このような運動は円に近い軌道となることがある。このため、惑星の運動を理解する上で、円運動を理解することが重要である。
[編集] 円運動と単振動
[編集] 円運動
物体が円を描くように運動することを円運動と呼ぶ。円を描くような運動は、 例えば、円形のグラウンドのまわりを走る人間のように人間が意思を持って 行なう場合も指すが、自然現象として起こる場合も多い。例えば、 太陽のまわりを回る地球の運動や、地球の回りを回る月の運動はいずれも 円運動で記述される。また、一定の長さをもったひもと一定の質量を 持った物体で作られた振り子の運動は、ひもを固定した点から一定の距離を おいて運動しているため、物体は円軌道上を運動しており、広い意味での 円軌道ととらえることも出来る。ここでは、このような場合のうちで代表的な ものとして、完全な円軌道上を運動する物体の運動を扱う。
円軌道上を運動する物体の座標も一般の場合と同様
- x(t),y(t)
で表わされる。特に円軌道を表わす関数は高等学校数学II いろいろな関数で扱ったw:三角関数に対応している。
- 発展 三角関数を用いた円の表示
ここで、円運動が三角関数を用いて表されることを述べたが、このことは高等学校数学Cの媒介変数表示を用いている。媒介変数表示について詳しくは、対応する項を参照してほしい。
半径r[m]の円上を等しい速度で、円運動する物体の運動を記述することを考える。 更に、座標を取るとき原点の位置は円運動の中心の位置とする。 このとき物体の運動は、x,y座標を用いて、
- x = rcos(ωt + δ)
- y = rsin(ωt + δ)
によって書かれる。ただし、このときωは角速度と呼ばれ単位は[rad/s]で 与えられる。ただし、ここで[rad]はw:ラジアンであり、w:弧度法によって 角度を表わしたときの単位である。弧度法については 高等学校数学II いろいろな関数を参照。角速度は円運動をしている物体が どの程度の時間で円を一周するかに対応している。また、この量は下で分かるのだが、 円運動している物体の速度に比例する。
また、角速度に対応して、
で与えられる量をw:周期といい、周期の単位は[s]である。周期は物体が何秒間ごとに 円状を1周するかを表わす量である。この場合には物体はT[s]ごとに円状を1周する。更に、
をw:振動数と呼ぶ。振動数は周期とは逆に、単位時間当たりに物体が円状を何周するかを 数える量である。振動数の単位には通常[Hz]を用いる。これは、[1/s]に等しい単位である。 また、周期Tと、振動数fは、関係式
- Tf = 1
を満たす。この式はある円運動をしている物体について、その物体の円運動の 周期に対応する時間の間には、物体は円状を1周だけするということに対応する。
また、
- x = rcos(ωt + δ)
- y = rsin(ωt + δ)
の式でδは物体の位置のw:位相と呼ばれ、物体が円状のどの点にいるかを示す 値である。
また、このとき物体の速度のx,y要素は
- vx = − rωsinωt
- vy = rωcosωt
で与えられる。この式と、後の円運動の加速度の導出については、後の発展を参照。ここで、物体の速さをvとすると、
となり、物体の速度はrωで与えられることが分かる。
更に、
を計算すると、


- = r2ω(cosωtsinωt − cosωtsinωt)
- = 0
となり、円運動をしている物体の速度と円運動の中心を原点としたときの座標は直交していることが分かる。更に、円運動をしている物体の加速度は、
- ax = − rω2cosωt
- ay = − rω2sinωt
となる。これは
に対応しており、円運動をおこなう物体の加速度は、円運動をする物体の座標と ちょうど反対向きになることが分かる。
- 発展 円運動の速度と加速度
ここでは、円運動の速度と加速度を与えたが、この値は物体の運動が決まれば決まる値なので、円運動の式から計算できる。ただ、実際にこれらの式を得るためには、円運動の式の微分を行う必要があるため、ここでは詳しく扱わない。導出については、古典力学を参照。
- 問題例
-
- 問題
半径r[m]の円上を角速度ωで運動する物体の加速度の大きさを計算せよ。
-
- 解答
に注目するとよい。右辺について円運動をしている物体の座標が常に
を満たすことに注目すると、
となる。
-
- 問題
50Hzで円運動している物体の円運動の周期を計算せよ。
-
- 解答
を用いると、
![T [\textrm s] = \frac 1 {50}[\textrm s]](http://upload.wikimedia.org/math/8/e/8/8e8982ee9bea64185373c3c8cbf529e2.png)
- = 0.020[s]
となる。
- TODO
[編集] 単振動
円運動と関係の深い物体の運動として、w:単振動があげられる。単振動は あらゆる振動現象の基本になっており、応用範囲が広い運動である。 円運動と同様、単振動も三角関数を用いて運動が記述される。 また、周期や位相がある点も円運動と同じである。また、 単振動は波動に関わる現象とも関係が深く、位相、振幅などの量を共有している。
ここからは、単振動をする物体の性質をより詳しく見て行く。 単振動は様々な情况であらわれるが、もっとも単純なのはw:フックの法則で 支配されるバネに接続された物体の運動である。 ここでは、バネ定数kのバネに質量mの物体を接続するとする。 このとき、この物体に関する運動方程式は
- ma = − kx
で与えられる。このときこの方程式を変形すると、
で与えられる。このように、加速度と物体の座標が負の比例係数を持って比例関係にある式が、単振動の運動方程式である。 このとき、物体の運動を座標で表わすと、
- x = Asin(ωt + δ)
で表わされる。
- 発展 単振動の運動方程式
ここで、単振動の運動方程式と、単振動の運動の式を与えたが、実際には単振動の運動の式は運動方程式から導出できる。ただし、これについてはw:微分方程式を扱う必要があるので、ここでは詳しく扱わない。導出については、古典力学を参照。
sin関数は関数の値の増加に伴って周期的な振動を行なう関数なので、 物体は、x=0のまわりで周期的な振動をすることが分かる。 ただし、上の式の中でAはw:振幅と呼ばれ、物体の振動の範囲を表わす量である。 また、ω,δは円運動のときと同様単振動の場合でも角振動数、位相と呼ばれる。 ただし、この場合においてはこれらの量は物体の円運動ではなく、物体の振動に ついての量であり、それぞれ単位時間当たりに何[rad]だけ位相が進むかの量と 振動の周期の中で、どの位置に物体がいるかを表わす量に対応している。 また、周期と振動数も円運動の場合と同じ定義で与えられる。
また、この場合については運動方程式から角速度の大きさが決まる。 ここでの角速度は
で与えられる。この量は運動方程式で
- a = − ω2x
の形で与えられる。
- 問題例
-
- 問題
質量mを持つある物体について、バネ定数k1のバネとバネ定数k2のバネに つながれた場合では、 どちらの場合の方が物体の角速度が大きくなるか。 ただし、k1 > k2が成り立つとする。また、周期と振動数についてはどうなるか。
-
- 解答
この場合にはこの単振動の角振動数は、
で与えられる。この量はバネ定数kが大きいほど大きいので、角振動数は バネ定数k1を持つバネの角振動数の方がバネ定数k2を持つバネの角振動数 より大きくなる。また、単振動の振動数は単振動の角振動数に比例するので、 振動数についても、 バネ定数k1を持つバネの振動数の方がバネ定数k2を 持つバネの振動数より大きくなる。一方、この場合の周期については、
が成り立つため、バネ定数kが小さいほど大きくなる。よって、周期については バネ定数k2を持つバネの周期の方がバネ定数k1を持つバネの周期 より大きくなる。
-
- 問題
重力のある中に長さl[m]のひもでつるされた物体によって作られた物体の 鉛直下向きに垂直な方向の運動が単振動となることを求めよ。 ただし、振り子の動く範囲は小さいものとする。 このように単振動をする振り子を特に単振り子と呼ぶことがある。
-
- 解答
ひもが固定されている位置から鉛直に下ろした直線と、物体がつながれている ひもがなす角度を
- θ
とする。このとき、図形的に考えるとこの場合の水平方向の運動方程式は
- max = − mgsinθ
となる。ここで、
- θ
が小さいとき
となることに注意すると、運動方程式は
となり先ほどのバネにつながれた物体の運動方程式と等しくなる。 よって、この物体の運動も単振動で記述されることが分かった。更に、 先ほどの角振動数と比較すると、この場合の角振動数ωは
となることが分かる。
これらの結果から小学校理科の結果である
- 単振り子について
- 物体の重さは振り子の周期と関係しない。
- 振り子のひもの長さが長くなるにつれて、振り子の周期は長くなる。
の実験事実が運動方程式の結果と一致することが確かめられる。
[編集] 万有引力による運動
この章では、万有引力による運動を扱う。万有引力は全ての物体の間に存在しているが その力が媒介する運動として有名なものは、太陽の回りを回転する地球の運動や、 地球自身の回りを回転する月の運動である。実際にはこのような何かの回りを 回転する構造は宇宙全体に広く見られる。
例えば、空に見られる星はw:恒星と呼ばれるが、これらの星の回りにも太陽に対する地球と同じように、 惑星が回りを回っていると考えられ、実際にそのような惑星が確認された恒星もある。(w:系外惑星参照。)
このように宇宙の中で万有引力による回転運動は広く観測される。ここではこのような 運動は物体間に働くどのような力によって記述されるかを見ていく。
- 発展 万有引力発見の歴史
歴史的には、逆にこのような物体の間の運動を説明するような力を考えることで 物体間に働く力が発見された。歴史について詳しくはw:ニュートンなどを参照。
[編集] 万有引力の法則
まずは、物体間に働くw:万有引力の法則を述べる。種々の観測の結果によると、質量m1を持つ物体と質量m2を持つ物体の間には
で表わされる力が働く。(ここでGはw:重力定数であり、値は?である。)この力は物体間の距離の2乗に逆比例する力である。また、力にかかる係数Gは非常に小さいため、恒星のように極めて大きいスケールの物体の間にしか観測できるほどの力は生じない。
このような力を仮定したとき、この力を向心力として、物体はより大きい質量の物体のまわりを回転することが出来る。ただし、実際には事実として物体は2物体の重心のまわりを回転しているのだが、そのことは指導要領の範囲外である。(詳しくは、古典力学参照。)また、万有引力は円運動だけではなく、実際には軽い物体が重い物体のまわりをw:楕円運動することも許すことが知られている。(詳しくは、古典力学参照。)観測事実として実際に、太陽の回りの地球の運動は円運動に近い楕円運動であることが知られている。
- 問題例
-
- 問題
質量mの物体が質量Mの大きな物体の回りを、万有引力の力を向心力として、半径rの円運動をしている。このときの円運動の角速度を求めよ。
-
- 解答
半径r、角速度ωの円運動をするときの物体の向心力は
- − mrω2
である。一方、質量mと質量Mの物体の間の距離がrであるとき、2つの物体間に働く重力は、
で与えられる。よって、これらの力が等しくなるとき質量mの物体は質量Mの物体のまわりを回転することができる。よって、ωを求める式は、
となる。
[編集] 万有引力の位置エネルギー
地球表面での重力と同様、万有引力についてもこの力によって生じる w:位置エネルギーを考えることができる。位置エネルギーについては、既に高等学校理科 物理Iで扱った。ここで現われる位置エネルギーは逆2乗力に共通なものであり、次のw:電磁気力でも現われる。
質量Mの物体からrの距離に質量mの物体が存在するとする。ただし、Mはmよりはるかに 大きいとする。このとき、質量mの物体の位置エネルギーは
で与えられる。このグラフは
- 図参照
のように与えられる。また、このグラフは直観的な意味を持っている。 実は、このグラフの傾きはグラフが表わす位置エネルギーを持つ点に物体を置いたとき、 その物体が力を受ける方向とその大きさを表わしている。ここでは、 位置エネルギーの傾きが常にr=0に落ち込む方向に生じているため物体Mから距離r (rは任意の実数。)の点に静止している物体は必ずMの方向に吸い込まれて行くことを 表わしている。(詳しくは古典力学参照。)
- 問題例
-
- 問題
ある惑星上にある物体を宇宙の無限遠まで到達させるために宇宙船に惑星上で 与えなくてはいけない速度はどのように表わされるか。ただし、計算については 最初に宇宙船が出発した惑星以外の天体からの影響は無視するとする。 また、惑星の半径はR、 惑星の質量はMとする。
-
- 解答
惑星の引力による位置エネルギーは惑星表面で
であり、無限円点では0である。ただし、mは宇宙船の質量とした。 一方、宇宙船が無限円点に達するには、宇宙船の速度が無限円点でちょうど0に 等しくなればよい。ここで、惑星上での宇宙船の速度をvとすると、 エネルギー保存則より、
となる。よってこの式からvを求めればよい。答えは、









































