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中学数学1年 空間図形

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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小学校では直方体・立方体・円柱の勉強をしてきましたが、空間図形(くうかんずけい)には他にもさまざまなものがあります。ここではそれらの性質について学習しましょう。

様々な立体編

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錐体

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底面が1つだけで、底面の各頂点から出る辺が全て1点で交わる立体を(すい)あるいは錐体(すいたい)といいます。たとえば、角錐(かくすい)や円錐(えんすい)があります。「錐」という漢字は、木材に穴を開けるために使う「きり」を意味する漢字です。きりのように先が尖った(とがった)立体なので錐体といいます。

角錐

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底面が三角形の錐体を三角錐(さんかくすい)といい、底面が四角形の錐体を四角錐(しかくすい)、…などといいます。 角錐の底面の形が、たとえ三角形でも四角形でも五角形でも、角錐の側面の形は必ず三角形です。

円錐

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底面が円である円錐の側面を切り開くと扇形(おうぎがた)になります。

多面体

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いくつかの平面で囲まれている図形を 多面体(ためんたい) といいます。面の数によって、面が4個なら四面体(しめんたい)といい、面が5個なら五面体(ごめんたい)と言います。

正多面体

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全ての面が合同な正多角形で、1つの頂点に集まる面の数が全て同じ多面体を 正多面体(せいためんたい) といいます。以下の5種類があります。この5種類以外にはありません。

  • 正四面体
正四面体

同じ大きさの正三角形が4個集まってできた立体です。三角錐のうちの、すべての辺の長さが等しいものでもあります。

  • 正六面体
正六面体

同じ大きさの正方形が6個集まってできた立体です。立方体ともいいます。

  • 正八面体
正八面体

同じ大きさの正三角形が8個集まってできた立体です。すべての辺の長さが等しい正四角錐2つの底面をぴったりと重ねたものです。

  • 正十二面体
正十二面体

同じ大きさの正五角形が12個集まってできた立体です。

  • 正二十面体
正二十面体

同じ大きさの正三角形が20個集まってできた立体です。



名前 面の形 頂点に集まる面の数 頂点の数 辺の数
正四面体 正三角形 3 4 6
正六面体(立方体) 正方形 3 8 12
正八面体 正三角形 4 6 12
正十二面体 正五角形 3 20 30
正二十面体 正三角形 5 12 30


正多面体が5種類しかない理由
 

正多面体は合同な正多角体が1つの頂点に同じ数ずつ集まったものです。
まず、正三角形を1つの頂点に同じ数ずつ集めた立体を考えよう。
正三角形を1つの頂点に2つずつ集めても立体にはならない。
正三角形を1つの頂点に3つずつ集めると正四面体になる。
正三角形を1つの頂点に4つずつ集めると正八面体になる。
正三角形を1つの頂点に5つずつ集めると正二十面体になる。
正三角形を1つの頂点に6つずつ集めると、平面になってしまい、立体にならない。(正三角形の1つの角は60°だが、6つ集めると360°になり、平面になる。)
正三角形を1つの頂点に7つ以上集めると、平面どころか、正三角形が重なってしまう。

次は正方形。
正方形を1つの頂点に2つずつ集めても立体にはならない。
正方形を1つの頂点に3つずつ集めると正六面体になる。
正方形を1つの頂点に4つずつ集めると、平面になってしまい、立体にならない。(正方形の1つの角は90°だが、4つ集めると360°になり、平面になる。)
正方形を1つの頂点に5つ以上集めると、平面どころか、正方形が重なってしまう。

今度は正五角形。
正五角形を1つの頂点に2つずつ集めても立体にはならない。
正五角形を1つの頂点に3つずつ集めると正十二面体になる。
正五角形を1つの頂点に4つ以上集めると、平面どころか、正五角形が重なってしまう。(正五角形の1つの角は108°だが、4つ集めると432°になり、360°より大きくなる。)

そして正六角形。
正六角形を1つの頂点に2つずつ集めても立体にはならない。
正六角形を1つの頂点に3つずつ集めると、平面になってしまい、立体にならない。(正六角形の1つの角は120°だが、3つ集めると360°になり、平面になる。)
正六角形を1つの頂点に4つ以上集めると、平面どころか、正六角形が重なってしまう。


これ以降は、正多面体ができない。
このように考えると、正多面体は、ここで挙げた5種類しかないことがわかる。

立体の見方

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立体を普通に見えるように描いた図を 見取り図(みとりず) と言い、立体の面をダンボールの箱を崩すように開いて平面にしたものを 展開図(てんかいず) と言います。四角錐の展開図を書いてみましょう。底面が四角形で、側面が三角形ですから、中心が四角形で、四角形の各辺に三角形の底辺がくっついた図を書けばいいのです。

角柱や円柱は、1つの多角形や円を、その面に垂直な方向に積み重ねてできた立体と考えられます。

平面を回転させたとき、その通り道の全体となるような立体を 回転体(かいてんたい) といい、そのときの軸を 回転の軸(かいてんのじく) といいます。たとえば、二等辺三角形、長方形、円はすべて線対称な平面図形ですが、それぞれ対称軸を回転の軸として回転させると、円錐、円柱、球ができます。ですから、円錐、円柱、球はすべて回転体です。

平面や直線の位置関係

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空間にある二直線の位置関係

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平らに限りなく広がっている面を、平面(へいめん)と言います。空間に直線ABと、AB上にない点Cがあるとき、ABCをすべて通る平面はただひとつあります。

空間にある2本の直線ℓの位置関係は、かならず次の3通りのうちの、どれか1つになる。(※ 図では補助的に平面を追加してあるが、しかし平面と直線の位置関係は、この話題では考えてない。)



また、同じ空間内にある2本の直線が、交わらず、平行でもないとき、その2直線は、ねじれの位置にある、と言います。

空間にある直線と平面の位置関係

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空間にある1本の直線ℓと1枚の平面Pの位置関係は、かならず次の3通りのうちの、どれか1つになる。


直線ℓと平面Pが交わらないとき、直線ℓと平面Pは平行であるといい

ℓ//P

と書く。


直線ℓが平面と交わり、ℓが平面との交点Aを通るP内のほかのどの直線にとも垂直であるならば、 直線ℓは平面Pに垂直である といい、

ℓ⊥P

であらわす。 また、直線ℓを平面Pの 垂線 (すいせん)という。


ある線mが平面P内の二直線と垂直であることを確認できれば、その線mは平面Pと垂直である。



点と平面の距離

ある点と平面の距離は、右図のように、その点から平面に向かって線を垂直になるように、まっすぐにおろした線分の長さである。

右図の場合、線分AHの長さのことを 点Aと平面Pの距離という。

図のように、線AHと平面Pは垂直なので、

AH⊥P

とあらわせる。

また、線分AHの長さは、点Aと平面P上のほかのどの点をむすぶ長さよりも短い。

※ 図中に「H」とあるが、点と平面との距離にかぎらず、一般にある垂線とほかの線や面との交点をあらわすのに、慣習的によく「H」という文字を使うことも多い。べつにHで書かなくてもよく、BやCなど他の文字でもいい。

二平面の位置関係

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二つの平面がある場合には、かならず下図の二通りのうちのどちらかになる。


(イ)のように、平面Pと平面Qが交わらないとき、平面PとQは平行である といい、

P//Q

で表す。

PとQが交わるときは、その交わりはかならず直線である。PとQが交わる部分の直線のことを 交線 (こうせん)という。


平行な2平面に別の平面が交わってできる2本の交線どうしは、平行である。

つまり、右図の場合、

P//Q ならば l//m

である。



平面Pと平面Qがあって、平面Qに垂直な線を平面Pがふくんでいるとき、平面Pと平面Qは垂直であるといい,

P⊥Q

であらわす。



平面Pと平面Qが平行のとき(P//Q)、右図にのように、二平面の間の距離は、平面上のどの点を取っても一定である。右図の場合、どの点を取っても、線分ABの長さと同じになる。

この距離を、二平面P,Q間の距離 (きょり)という。

面積

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立体の表面の面積を表面積(ひょうめんせき)といい、側面の面積を側面積(そくめんせき)といい、底面の面積を底面積(ていめんせき)といいます。

体積

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角柱または円柱の底面積をS、高さをh、体積をVとすると、

と表わされます。

また、錐体の体積は、

と表されます。

投影図

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三角柱の投影図

立体を1つの方向から見て平面に表した図を投影図(とうえいず)といい、上から見た投影図を平面図(へいめんず)といい、正面から見た投影図を立面図(りつめんず)という。

立体を投影図で表すときには、平面図と立面図を使って表すことが多い。

平面図と立面図とだけでは、その立体の形がよくわからないこともある。このようなときは、横から見た図をつけ加えて表すこともある。