高等学校数学A/整数の性質

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中学の復習[編集]

ものの個数や順番などを数えるさいに用いる 1,2,3,4,…… が自然数である。

ここでは 0 は自然数に含めないことにする。

自然数に、0と負の自然数 −1,−2,−3,−4,…… を合わせたのが整数である。

約数と倍数[編集]

約数と倍数[編集]

2つの整数 a,b があり、aがbで割り切れるとき、すなわち整数kを用いて

a=bk

と表せるとき、bをaの約数といい、aをbの倍数(ばいすう)という。

たとえば 21 と 7 については、21=3×7 と表せるので、21 は 7 の倍数であり、また 7 は 21 の約数である。


2 は 14 と 6 の約数である

といえる。


どの整数も1で割り切れるので、1はすべては整数の約数である。

また、どの数も0倍すれば0になるので、0はすべての整数の倍数である。


さて、

21=(−3)×(−7)

でもあるので、 −3 や −7 も 21 の約数である。

このように、約数では、負の数も約数になりうる。

8 の正の約数は 1, 2, 4, 8 である。
8の約数は −8, −4, −2, −1, 1, 2, 4, 8 である。

隣接する数個の数の積[編集]

たとえば 4×5 や 10×11 や 7×8 のように、隣接する2つの数の積は、かならず2の倍数である。なぜなら、隣接する2つの数のうち、どちらか一つは2の倍数だからである。

では、3つ以上の隣接する数の場合は、どうであろうか?(「隣接する3つの整数の積」とは、たとえば 4・5・6 や 10・11・12 のような数である。)

少し考えればわかるように、次のことが成り立つ。

隣接する3つの整数の積は、かならず 6 の倍数である。

(理由) なぜなら、隣接する3つの数のうち、かならず1つは3の倍数である。 また、隣接する2つの数は、2の倍数を1つ含む。なので、隣接する3つの数には、少なくとも1つの2の倍数が含まれる。 よって、隣接する3つの数には、3の倍数と2の倍数が、必ず含まれる。 よって、隣接する3つの数の積は2の倍数でも3の倍数でもある。つまり6の倍数である。

このことを文字式で表すと次のようになる。整数nに対して

は 2の倍数である。
は6の倍数である。

素数と合成数[編集]

2以上の自然数 n のうち、約数がその数 n じしんと1しかないものを 素数(そすう)という。

素数の具体例をあげると、

2, 3, 5, 7, 11, 13, ……

などが素数である。


一方、2以上で、素数でない正の整数のことを 合成数(ごうせいすう)という。 合成数の具体例をあげると、

4, 6, 8, 9, ……

などが合成数である。

「素数」の定義からわかるように、合成数とは「2つ以上の1と異なる自然数の積で表される数」のことであると言ってもよい(※ 啓林館などの検定教科書)。

30=2×3×5

のように、すべての合成数は素数の積の形で表すことができる。


約数のことを因数(いんすう)ともいい、素数である因数のことを 素因数 (そいんすう)という。

さきほどの計算例

30=2×3×5

のように、自然数を素数の積の形で表すことを 素因数分解 という。

60=22×3×5

のように、素因数分解では、同じ素数の累乗は、指数をつかって一つにまとめるのが普通である。

素因数分解は、積の順序の違いを考えなければ、ただ一通りであり、このことを 素因数分解の一意性 という。

公約数と公倍数[編集]

公約数と公倍数[編集]

2つ以上の整数に対して、共通の約数のことを 公約数 (こうやくすう)という。

公約数のうちで最も(もっとも)大きいものを最大公約数 (さいだい こうやくすう)という。


2つ以上の整数に対して、共通の倍数のことを 公倍数 (こうばいすう)という。

正の公倍数のうちで最も小さいものを 最小公倍数 (さいしょう こうばいすう)という。


公約数や公倍数を求める場合、自然数の範囲だけで考える場合もよくある(つまり正の約数、正の倍数だけを考える場合もよくある)。このページでも、特に指定しないかぎり、今後は 正の約数 および 正の倍数 だけを考えることにする。

2つの自然数が1より大きい公約数を持たない場合、互いに素 (たがいにそ)という。

たとえば 3 と 8 は 互いに素 である。

(例題1)

12 と 30 の最大公約数を求めたい。 そのため、まず、12と30の約数をそれぞれ求める。

12の約数  1, 2, 3, 4, 6, 12
30の約数  1, 2, 3, 5, 6, 10, 15, 30

であるから、12と30の公約数は

1, 2 ,3, 6

であり、最大公約数は6である。


(例題2)
6 と 8 の最小公倍数を求めたい。まず、それぞれの倍数は、

6の倍数  6, 12, 18, 24, 30, 36, ……
8の倍数  8, 16, 24, 32, 40, 48, ……

なので、24が最小公倍数である。


(例題3)
12 と 30 の最小公倍数を求めてみよう。

12の倍数  12, 24, 36, 48, 60, 72, ……
30の倍数  30, 60, 90, 120, ……

よって 60 が最小公倍数である。

ここまでの例題では、最小公倍数や最大公約数を求めるために、素朴に倍数や約数をすべて書き出してきたが、実はこれは多くの場合あまり得策ではない。今から述べるように、素因数分解を用いる方法がしばしば便利である。

たとえば、60 と 84 の最小公倍数と最大公約数を求めよう。それぞれ素因数分解すると、

60 = 2 × 30 = 2×3×10 = 22 × 3 × 5
84 = 2 × 42 = 2×2×21 = 22 × 3 × 7

となる。

最大公約数は、2つの素因数分解の共通している部分を取り出して、

22 × 3 = 12

つまり、最大公約数は 12 である。


最小公倍数は、

22 × 3 × 5× 7 = 420

と計算すればよい。最小公倍数は 420 である。


3つ以上の数でも、最大公約数や最小公倍数は定義できる。

たとえば 24, 28, 36 の3つの数の場合、

素因数分解すると

24 = 23 × 3
28 = 22 × 7
36 = 22 × 32


なので、上と同様に考えて、最小公倍数は

23× 32× 7 = 504 である。

よって、最小公倍数は 504 である。


一方、最大公約数についても同様に、素因数分解の共通部分を考えて、22 つまり 4が最大公約数である。


比較的小さな数の最大公約数や最小公倍数を求めるには、これまでに述べたような素因数分解を用いる方法が有効である。素因数分解をするのが困難なぐらい大きな数の場合には、少し後で述べるユークリッドの互除法を用いるとよい。

最小公倍数・最大公約数の性質[編集]

この節では、2つの自然数 a, bの最大公約数を記号で G ,最小公倍数を L と書くことにする。

これは、

英語で最大公約数は Greatest common measure であり、
一方、英語で最小公倍数は Least common multiple なので、

頭文字をとって、それぞれ G と L で表している。

Gはaとbの最大公約数なので、定義より、

a = G a'   および  b = G b'   (ただし a,b は互いに素)

と表される。

さて、このとき次が成り立つことがわかる。

異なる2つの自然数 a, b について、最大公約数 G と最小公倍数 L との間には、

L = G a' b' 

a・b = GL

の関係がある。   (ただし a,b は互いに素)


具体例を考えてみる。たとえば a=18, b=28 について考えてみよう。

素因数分解すると

18 = 2 × 32
28 = 22 × 7

なので最大公約数Gは 2 であり、最小公倍数 L は22×32×7=252である。

ところで、G a' b'を計算してみる。 G=2なので、a'=18÷2=9、b'=28÷2=14である。よって、Ga'b'=2×9×14=252であり、これは確かにLと等しい。


具体例から成り立ちそうなことが感じられたところで、この公式を証明してみよう。

(1つ目の式の証明)

Lはa=Ga'の倍数なので、整数mを用いて

と表せる。一方、Lはb=Gb'の倍数でもあるので、mGa'はGb'の倍数である。すなわち、ma'はb'の倍数である。 ここで、a'とb'は互いに素であることに注意すると、mはb'の倍数である。すなわち、m=nb'と表せる。よって、

と表せる。一方、Ga'b'はaとbの公倍数なので、Lの倍数である。これらがともに成り立つのはn=1のとき、またそのときに限る。//

(2つ目の式の証明)

a = G a'であり、またb = G b'なので、ab=GGa'b'である。 一方、L=Ga'b'よりGL=GGa'b'である。よって、

ab = GL

である。//

ユークリッドの互除法[編集]

旧カリキュラムでは『高等学校数学B/数値計算とコンピューター』で説明しているので、参照せよ。

整数の性質の活用[編集]

n進法[編集]

対応表
10進法 2進法 3進法
0 0 0
1 1 1
2 10 2
3 11 10
4 100 11
5 101 12
6 110 20
7 111 21
8 1000 22
9 1001 100
10 1010 101
11 1011 102
12 1100 110
13 1101 111
14 1110 112

われわれが普段使っている自然数の書き表し方では、十の塊ができるたびに、位が1つあがる。このような書き表し方を十進法という。十進法では0から9までの十個の数字を使っている。

だが、十個の数字を使うことに、数学的な必然性はない。自然数を書き表す際に、n個の数字を使って、nの塊ができるたびに位を1つ上げる書き表し方のことを n進法 という。

たとえば 2進法 なら、0から順に自然数を小さい順に書くと、

0 → 1 → 10 → 11 → 100 → ・・・

のようになる。

十進法と区別するために2進法では、右下に添字(2)をつける。つまり、先ほどの書き表し方は

0(2) → 1(2) → 10(2) → 11(2) → 100(2) → ・・・

と書くべきである。

他のnについてもn進法で数を書き表すことができ、n進法では右下に添字 (n) をつける。

念のため、3進法で自然数を順に書き表すと、

0(3) → 1(3) → 2(3) → 10(3) → 11(3) → 12(3) → 20(3) → 21(3) → 22(3) → 100(3) →・・・

のようになる。

さて、ここでたとえば10000(10)は104であったことを思い出そう。これと同様に考えると、10000(2)は24、すなわち16(10)である。同様に考えると、2進法で「 101(2) 」と書かれる数を十進法になおすには、

1×22 + 0×21 + 1×20 = 5 (10)

とすればよいことがわかる。

このような指数との対応を考えると、2進法の小数も考えることができる。たとえば、「 101.1(2) 」なら

1×22 + 0×21 + 1×20 + 1×2ー1 = 5.5 (10)

という意味になる。つまり、2進法の 0.1(2) とは、十進法になおすと分数 のことである。同様に、2進法の 0.01(2) とは、十進法になおすと分数 のことである。また、3進法の 0.1(3) とは、十進法になおすと分数 のことである。は十進法では無限小数 0.33333333… であったが、同じ数を3進法で書き表すと有限小数 0.1(3) になる。

2進法と16進法については『高等学校情報/社会と情報/情報のデジタル化』でも説明してある。コンピュータ産業では、よく2進法と16進法を使う。

無限小数など[編集]

さきほど「無限小数」という言葉を断りなく使ったが、「無限小数」とは、さきほどの十進法の0.3333333…の例のように、小数点以下にずっとゼロ以外の数字が続く数のことである。

説明の単純化のため、十進法を前提にして話す。

のように同じ数字が繰り返し続く無限小数を 循環小数 という。循環小数を小数で記述する場合は、例のように、くりかえし現われる数字の最初と最後の数字の上に、黒丸点をつける。さきほどの例の「162」のように、循環小数において、くりかえし現われる数字の配列のことを 循環節 という。

有限小数や循環小数は、よく知られた方法により分数を用いた表記に書き直すことができるので、これらの小数で表される数は有理数である。逆に、有理数は必ず有限小数か循環小数のいずれかで表すことができるが、特定の有理数を小数で表すときどちらになるかは何進法で表記するかによって変わる。この「有理数は必ず有限小数か循環小数のいずれかで表すことができる」という事実を証明するには、次の節で述べる「部屋割り論法」を用いればよい。


は無理数なので、これらの小数部分は、循環しない。また、円周率 も無理数なので、やはり小数部分は循環しない。

部屋割り論法[編集]

たとえば、6人を、ホテルの5個の部屋に入れたら、どう入れても、すくなくとも1つの部屋には2人以上の人数がいる。

つまり、n個の部屋に、n+1人を入れたら、どう入れても、すくなくとも1つの部屋には2人以上の人数がいる。

このような考え方を 部屋割り論法 または 鳩の巣原理 という。

合同式[編集]