高等学校理科 生物基礎/遺伝情報とタンパク質の合成

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RNAとは[編集]

DNAの情報をもとに最終的にタンパク質が合成される過程では、けっして直接的にDNAがタンパク質を作るのではない。

まず、DNAの情報をもとにRNA(ribonucleic acid, リボ核酸)という1本鎖の物質に写し取られる(この段階を「転写」(てんしゃ)という)。RNAは1本鎖である。

また、けっして、いきなりタンパク質を合成するのではない。まずアミノ酸を合成する。アミノ酸を合成するために、アミノ酸配列をRNAに書き込んでいる(この段階を「翻訳」(ほんやく)という)。

RNAとアミノ酸合成までのしくみ[編集]

RNA[編集]

RNAのヌクレオチド
リボソームは、一連のメッセンジャーRNAを読み取り、トランスファーRNAに結びついたアミノ酸から所定のタンパク質を組み立てる。

DNAの塩基情報がRNAに写し取られ、そのRNAの情報をもとにタンパク質が合成される。RNAは1本鎖である。 RNAの基本構造は、 塩基+糖+リン酸 からなるヌクレオチドである。RNAの塩基も4種類であるが、しかしDNAとはRNAは塩基と糖の種類が違う。

RNAでは、DNAのアデニン(A)に結びつくのは、RNAのウラシル(U)であり、RNAはT(チミン)を持たない。(ウラシル、英:uracil)

つまり、RNAの塩基は、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシンの4種類である。

また、RNAの糖はリボース(英:ribose)である。

RNAポリメラーゼの働きによって転写される。


RNAの種類は、働きによって、メッセンジャーRNAとトランスファーRNAとリボソームRNAの3種類に分けられる。



タンパク質の合成の過程[編集]

まず、DNAの塩基情報を写し取ることで合成されるRNAをメッセンジャーRNA(略記:mRNA)という。 真核生物の場合、核内で、DNAの一部が二本にほどけて、そのうちの一本の情報がRNAに相補塩基として写し取られる。 なお原核生物の場合、そもそも核膜が無いので、原形質の中で同様にDNAがほどけて、RNAに情報が写し取られる。

また、このようにDNAの情報がRNAに写し取られることを転写(てんしゃ、transcription)という。

mRNAの塩基3個の配列が、1つのアミノ酸を指定している。この塩基3個の配列をコドン(codon)という。コドンは、すでに解読されており、この解読結果の表を「遺伝暗号表」(いでんあんごうひょう)といい、mRNAの配列で定義されている。ほとんどの生物で、遺伝暗号は共通であり、原核生物か真核生物かは問わない。

このように、mRNAの塩基配列にもとづいてアミノ酸が合成される過程を翻訳(ほんやく、translation)という。

塩基3つの組をトリプレットという。DNAの塩基は4種類あるので、トリプレットは4×4×4=64種類ある。天然のアミノ酸は20種類であり、じゅうぶんにトリプレットで指定できる。もし塩基2つでアミノ酸を指定する仕組みだとすると、4×4=16となってしまい、アミノ酸の20種類には不足してしまう。

遺伝暗号表
2字目
U C A G
1字目 U

UUU (Phe/F)フェニルアラニン
UUC (Phe/F)フェニルアラニン
UUA (Leu/L)ロイシン
UUG (Leu/L)ロイシン

UCU (Ser/S)セリン
UCC (Ser/S)セリン
UCA (Ser/S)セリン
UCG (Ser/S)セリン

UAU (Tyr/Y)チロシン
UAC (Tyr/Y)チロシン
UAA Ochre (終止)
UAG Amber (終止)

UGU (Cys/C)システイン
UGC (Cys/C)システイン
UGA Opal (終止)
UGG (Trp/W)トリプトファン

C

CUU (Leu/L)ロイシン
CUC (Leu/L)ロイシン
CUA (Leu/L)ロイシン
CUG (Leu/L)ロイシン

CCU (Pro/P)プロリン
CCC (Pro/P)プロリン
CCA (Pro/P)プロリン
CCG (Pro/P)プロリン

CAU (His/H)ヒスチジン
CAC (His/H)ヒスチジン
CAA (Gln/Q)グルタミン
CAG (Gln/Q)グルタミン

CGU (Arg/R)アルギニン
CGC (Arg/R)アルギニン
CGA (Arg/R)アルギニン
CGG (Arg/R)アルギニン

A

AUU (Ile/I)イソロイシン
AUC (Ile/I)イソロイシン
AUA (Ile/I)イソロイシン, (開始)
AUG (Met/M)メチオニン, 開始[1]

ACU (Thr/T)スレオニン
ACC (Thr/T)スレオニン
ACA (Thr/T)スレオニン
ACG (Thr/T)スレオニン

AAU (Asn/N)アスパラギン
AAC (Asn/N)アスパラギン
AAA (Lys/K)リシン
AAG (Lys/K)リシン

AGU (Ser/S)セリン
AGC (Ser/S)セリン
AGA (Arg/R)アルギニン
AGG (Arg/R)アルギニン

G

GUU (Val/V)バリン
GUC (Val/V)バリン
GUA (Val/V)バリン
GUG (Val/V)バリン, (開始)

GCU (Ala/A)アラニン
GCC (Ala/A)アラニン
GCA (Ala/A)アラニン
GCG (Ala/A)アラニン

GAU (Asp/D)アスパラギン酸
GAC (Asp/D)アスパラギン酸
GAA (Glu/E)グルタミン酸
GAG (Glu/E)グルタミン酸

GGU (Gly/G)グリシン
GGC (Gly/G)グリシン
GGA (Gly/G)グリシン
GGG (Gly/G)グリシン

※ コドン表の読みかたは『生物基礎』の範囲外なので、高校1年生は分からなくても気にしなくてよい
  • セントラルドグマ

遺伝情報は、原則としてDNA→RNA→アミノ酸→タンパク質というふうに一方向に写されていき、その逆方向は無い。この原則をセントラルドグマ(英: central dogma)という。

※ 逆転写酵素については『生物基礎』の範囲外なので説明を除外する(いちおう、数研出版の教科書には逆転写について書かれているが、しかし他社の『生物基礎』教科書では説明していない。)。エイズは免疫不全の病気であるが、そもそも生物基礎では、DNAの単元の次あたりに、これから免疫について習う。なので、まだ逆転写酵素について習うような段階ではない。
なお、遺伝やDNAとの関係については、よく「エイズを起こすHIVウイルスが逆転写酵素を持つ」と言われるが(専門『生物』科目で習う)、だからといってエイズが子孫に遺伝するわけではない。

RNAの種類[編集]

※ 検定教科書では、ここらの話題は小コラム送り。専門『生物』で習う。
  • メッセンジャーRNA

メッセンジャーRNA(mRNA)は、DNAの情報を写し取るためのRNAである。また、真核生物の場合、mRNAはリボソ-ム内へ移動し、そこでトランスファーRNAを正しくならべるための鋳型(いがた)としての役割を持つ。


  • トランスファーRNA

トランスファーRNA(tRNA)は、リボソ-ムまでアミノ酸を運ぶためのRNAである。なので、アミノ酸がトランスファーRNAに結合している。 後述するが、mRNAの塩基3個ぶんの並びによってアミノ酸が決定される。なので、この塩基3つぶんの情報しか、トランスファーRNAは情報をふくまず、タンパク質を構成する多くものアミノ酸の並びについての情報はふくんでいない。

アミノ酸を正しく配列するためには、真核生物の場合、メッセンジャーRNAが必要である。


  • リボソ-ムRNA

タンパク質の合成はリボソーム(ribosome)で行われ、トランスファーRNAの運んできたアミノ酸からタンパク質をつくる合成がリボソームで行われる。リボソームのもつRNAは、mRNAとは別の系統であり、DNAにもとづく別系統のRNAをリボソ-ムが持っているので、リボソームRNA(rRNA)という。

真核生物の場合、メッセンジャーRNAが核膜孔から出てきてリボソ-ムへ移動し、トランスファーRNAを正しく並べることで、結果的にアミノ酸を正しく並べる。

このように真核生物では、リボソーム内で、メッセンジャーRNAとトランスファーRNAが再会することになる。

このように、リボソ-ムで合成されるタンパク質でのアミノ酸の並びの決定方法は、おもにメッセンジャーRNAの配列にもとづくのであり、いっぽうリボソームRNAの配列は直接にはアミノ酸の並びの決定には関わっていない。

※ 発展: 真核生物でのタンパク質合成[編集]

トランスファーRNA[編集]
tRNA(トランスファーRNA)の模式図。
トランスファーRNAの分子モデル

トランスファーRNA(tRNA)は、リボソ-ムまでアミノ酸を運ぶためのRNAである。なので、アミノ酸がトランスファーRNAに結合している。

トランスファーRNAには、mRNAのコドンの3塩基(トリプレット)と相補的に結合する3塩基をもち、トランスファーRNAのその3塩基の部分をアンチコドン(anticodon)という。

トランスファーRNAに、どの種類のアミノ酸が結合するかは、RNAのアンチコドンの配列によって異なる。

一本の、メッセンジャーRNAに対し、トランスファーRNAはいくつも作られる。なぜならトランスファーRNAのアンチコドンは、メッセンジャーRNAのたったの3つぶんの配列にしか相当しないからである。

メッセンジャーRNAの塩基配列をもとに、トランスファーRNAのアンチコドンが決定される。メッセンジャーRNAのコドンとトランスファーRNAのコドンは、お互いに相補的であるので、配列が違うので注意。遺伝暗号表などはメッセンジャーRNAのコドンを基準としており、アンチコドンは基準にしてない。

さて、トランスファーRNAのアミノ酸の種類は、トランスファーRNAのアンチコドンの塩基配列にもとづいており、トランスファーRNAのアンチコドンの塩基配列の決定は、メッセンジャーRNAの塩基配列のコドンにもとづいておるから、最終的に(トランスファーRNAに結合している)アミノ酸の種類の決定はメッセンジャーRNAにもとづく事になる。

リボソ-ムRNA[編集]

タンパク質の合成はリボソーム(ribosome)で行われ、トランスファーRNAの運んできたアミノ酸からタンパク質をつくる合成がリボソームで行われる。リボソームも、独自のRNAを持っているのでリボソームRNA(rRNA)という。

真核生物の場合、メッセンジャーRNA(mRNA)が核から外に出てきて、トランスファーRNA(tRNA)とmRNAがリボソームで出会って、ポリペプチドをつくる。

リボソームに移動したmRNAの塩基配列に、tRNAのアンチコドンが結合する事によって、いくつもあるtRNAの並びが正しく並ぶ。

このようにアミノ酸の配列を決めているのはmRNAであり、けっしてリボソームRNAの配列はアミノ酸の配列決定には関わっていない。 また、リボソームへ移動するRNAは、けっしてトランスファーRNAだけでない。メッセンジャーRNAも、リボソームへと移動している。


さて、リボソ-ムで、tRNAからアミノ酸を切り離す作業が行われる。 そしてリボソームで、アミノ酸をペプチド結合でつなぎ合わせてポリペプチド鎖をつくり、そのポリペプチド鎖が折りたたまれてタンパク質になる。

アミノ酸を切り離されたtRNAは、mRNAからも離れ、tRNAはふたたびアミノ酸を運ぶために再利用される。

このように、リボソ-ムで合成されるタンパク質でのアミノ酸の並びの決定方法は、おもにメッセンジャーRNAの配列にもとづくのであり、いっぽうリボソームRNAの配列は直接にはアミノ酸の並びの決定には関わっていない。

原核生物での翻訳[編集]

mRNAへの転写が行われると、転写の終わりを待たずに、転写中に、ただちにリボソームがmRNAに直接に取りつき、そこでタンパク質の合成が行われる。

発展: スプライシング[編集]

※ 検定教科書はでコラム送りの内容。専門『生物』で詳しく習う。

(図を追加。) 真核生物では、DNAからRNAへの転写時に、核の中で、いったん全ての配列が転写され、そのあとに配列のいくつが除去されて、残った部分がつなぎあわされてmRNAが出来上がる。

イントロンを含むmRNA前駆体(pre-mRNA)を上に示している。イントロンをスプライシングにより除去したのち、翻訳されるよう成熟したmRNAが生成される。

RNAの転写直後の、まだ何も除去されてない状態を mRNA前駆体 という。除去される部分に相当するDNA領域をイントロン(intron)という。mRNA前駆体からイントロンが取り除かれて、残って使われる部分に相当するDNA領域をエキソン(exon)という。エキソンに相当する部分どうしのRNAが繋がる。よってエキソンの領域が、タンパク質のアミノ酸配列を決めることになる。


このようなイントロン除去の過程をスプライシング(splicing)という。スプライシングは核の中で起きる。

mRNAは、転写直後のRNAから、こうしてイントロンに相当する配列が除去されてエキソンに相当する配列どうしが繋がった物である。

スプライシングが完了してmRNAになってから、mRNAは核膜孔を通って核の外へと出て行き、リボソームでのタンパク質合成に協力をする。


  • 選択的スプライシング

ある遺伝子の配列から、2種類以上のmRNAが作られる場合がある。これは、mRNA前駆体は共通だが、スプライシングの過程で、エキソン対応領域が除去される場合もあり、どのエキソンを除去するかの違いによって、最終的に出来上がるmRNAが変わってくるからである。また、いくつかのイントロン対応領域が除去されずに残る場合もある。エキソンどうしが繋がるときに、となりどうしのエキソンではなく、離れたエキソンと繋がる場合もある。

こうして、数種類のmRNAが作られる。これを選択的スプライシング(alternative splicing)という。

こうして少数の遺伝子から、選択的スプライシングによって多種類のmRNAが作られ、多種類のアミノ酸配列が出来て、多種類のタンパク質が作られる。


  • 原核生物の場合

原核生物の場合は、一般に、転写で出来た配列が、そのままmRNAになる。よって原核生物ではスプライシングは起こらず、したがってイントロンを原核生物は持たない場合が普通である。


備考[編集]

RNAは上述のようにタンパク質の合成に必要なので、(ウイルスなどの生物かどうか不明な物体を例外として除けば)全ての生物がRNAを持っている、と考えられている。(※ 2016年センター試験『生物基礎』追試験の赤本(教学社)の見解)

※ 範囲外[編集]

※ 専門『生物』の範囲だが、下記の単元は内容上、口頭で生物基礎でも教師が教える可能性が高いので(90年代には生物Iあたりで口頭で教えられていた事もあるらしいので)、紹介する。

出産の「死産」や「流産」など[編集]

出産において、「乳児」(にゅうじ)というか「新生児」(しんせいじ)というか、いわゆる「赤ちゃん」が母体の中から産道(さんどう)を経て、出産されるわけである。

さて、不幸にして、母が赤ちゃんを出産したときに、すでに赤ちゃんが死亡している場合がある。

このような場合を「死産」(しざん)という。


また、出産前の妊娠中に、赤ちゃんが死亡してしまう場合もあり、このような場合を「流産」(りゅうざん)という。


さて、なぜこの遺伝子やDNAの単元で死産や流産の話をするかというと、死産や流産の原因はたいてい、赤ちゃんの遺伝子(DNA)の異常による先天異常だと考えられているからである。

統計的に、もしも赤ちゃんが死亡せずに生きて生まれた場合における新生児の先天異常率は、統計では約2%と言われる[2]が、しかしこの「2%」はあくまで生きて生まれた赤ちゃんだけを対象にしているので、流産も含めると、実際にはその何倍もの重大な遺伝子異常をもって出産される赤ちゃんがいたのだろう、と一般的に考えられている。


そしてどうやら、動物のメス(雌)の体には、もし赤ちゃんに重大すぎる遺伝子疾患のある場合に、妊娠を継続させずに流産させるという自然のメカニズムが、メスの生体にそなわっているらしい[3]、と一般的に考えらている(よく昔の高校や大学の生物関係の授業でも、そういう学説が口頭で紹介されていたらしい)。

先天障害[編集]

先天障害のうち、ダウン症という症状は、遺伝子の異常によるものである。(※ 検定教科書の範囲外だが、参考書で数研チャート式などに書いてある。昔からよく、口頭で高校でも教えられている話題。)

wikibooks では『高等学校生物/生物II/遺伝情報の発現』で、ダウン症などを説明してあるはず(版にもよる)。

※ 2020年代の現代では、高校生物における生理学(せいりがく)の話題が高校3年の選択科目の専門「生物」に移ったが、90年代ごろまでは高校1年で生理学の話題をあつかっていたので、こういう話題が高校1年の事実上の必須科目である生物Iで教えられていたわけだ。


※ 先天障害は他にもあるが、wikibooksでは専門生物のページに詳細をゆずるとする。本ページでは概要にとどめる。


性染色体の異常など

「男」や「女」といった生物学的な性別も、遺伝子によって決まる。

ヒトの場合、染色体のひとつに性染色体というのがあり、その性染色体が健常男性ならXYである。健常女子なら性染色体はXXである。

しかし、まれに先天的な遺伝子異常で、XXYやXYYなどの人間が生まれてくる場合がある。

※ 健常者の性染色体の話題は、昔は高校1年の「生物I」の範囲だったが、2020年代では高校3年の専門「生物」に移動している。
※ 性染色体(X染色体やY染色体)の異常による、クラインフェルター症候群やターナー症候群など、昔の高校や大学では、よく範囲外の話題として紹介されたものだったが、しかし2020年代の現代の高校では、健常な場合の性染色体の単元自体が高校3年の専門「生物」に移動した。
関連する、トリソミー(遺伝子重複の異常の3倍体、染色体XXYまたはXYYなどの場合。)やモノソミー(XOやYOなど。死産・流産が普通)の話題も、高校3年の範囲外にゆずるとする。
※ 90年代のテレビの科学番組で、『たけしの万物創世記』(番組名)だったか『特命リサーチ200X』(番組名)だったかでも、クラインフェルター症候群やターナー症候群などが紹介されており、意外とお茶の間でも、性染色体異常の概念は有名である。(ほとんどの日本人は病名(「クラインフェルターなど」)は覚えてなくても、欧米でも人権問題などで議論として、性染色体の異常でにより生物学的な性別が不明瞭なヒトがいることが議論になっているとテレビ番組(当時は科学番組など)で報道された事をうっすらと覚えている大人はいるだろう。90年代後半の当時、テレビ業界で科学番組が流行していた。)


2000年代の現代では「性同一性障害」といわれる障害では、先天異常だけでなく後天的な心理的な障害もあつかっているが、

もともとの用語の用例では、おもに「クラインフェルター症候群」のような、こういう性染色体などの遺伝子のなんらかの先天異常による性別に関する障害のことを「性同一性障害」と言っていた。(そして90年代の科学番組などでも「クラインフェルター症候群」や「ターナー症候群」などが「性同一性障害」として、まとめられ紹介されていたものである。一般人には「クラインフェルター」なんてカタカナ語、覚えづらいですもん。)


現代に応用するなら、いわゆる同性愛のレズだのゲイや、トランスジェンダーだのといったLGBTは、必ずしも後天的な趣向とはかぎらず(後天的な人もいるだろうが)、クラインフェルターやターナー的な生物学的な障害の場合もあるという事を、考える必要がある。


近年では、2017年ロンドン世界陸上の女子部門の金メダリストで、日本だけでなく海外でも、社会的な性別は「女」だが、生物学的な性別が検査の結果「男」とされた選手が、議論になった事例がある。

ヒトの場合、一般的に男のほうが筋力やスポーツ能力は高いので、女子スポーツに、生物学的性別が「男」とされる社会的「女」の『女性選手』が出場することが、特にスポーツ上でのほかの女性選手との不公平として問題視され、性同一性障害の女性の権利との兼ね合いから、各所で議論されることが、2000~2020年に、たびたび起きた。

2017年ロンドン世界陸上の金メダリスト「女性」選手が、そのようなトランスジェンダーの疑惑のある社会的「女性選手」だったが(生物学的性別の検査結果は権利保護のため非公表)、メダルを取ったので議論になった。メダルの取り消しはされなかったが(メダル保持者のまま)、国際陸上競技連盟(IAAF)は、今後はトランスジェンダーの「」選手は男性ホルモンを下げる薬を服用するようにとの要請するようになり、国際仲裁裁判所もIAAFの主張を認めた。


社会的「女」の生物学的「男」の選手のメダルが、大会の運営により、取り消しされた事例もある。

参考文献など[編集]

  1. ^ コドンAUGにはメチオニンに対するコードとしての働きと翻訳開始位置としての働きがある。mRNAのコード領域において初めてAUGが現れるとタンパク質への翻訳が開始される。
  2. ^ 小林正伸『なるほど なっとく! 病理学』、南山堂、2019年2月19日 2版1刷、39ページ
  3. ^ 小林正伸『なるほど なっとく! 病理学』、南山堂、2019年2月19日 2版1刷、40ページ