一橋大対策

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本項は、一橋大学の「一般入学試験」対策に関する事項である。

一橋大学のホームページ(入学試験の概要が記載されている)http://www.hit-u.ac.jp/admission/index.html

一橋大学は、我が国最初の社会科学分野専門の総合大学である。

大学入学共通テスト対策

※以下は、2020年1月まで実施されていた大学入試センター試験における情報である。
一橋大は、センター試験よりも二次試験の配点がかなり高いが、第一段階選抜があるので最低でも82%は取っておきたい。また、どの学部も理科の配点が高く、特に社会学部はセンター180点満点のうち理科が100点と圧縮されずそのまま加点されるので理科の対策には気をつけるべきである。ただ、第一段階選抜を気にするあまり、2次試験対策がお留守になるほどにセンター試験対策に時間を注ぎすぎるのは好ましくない。マーク模試等で悪くても85%を超えられる、さらには90%をコンスタントに獲得できるのであれば、2次試験に重点を置いて対策した方が好ましい(確約はできないが、90%以上を獲得して第一段階選抜で不合格になることは考えにくい)。大切なのは、2次試験の対策が疎かになるほどにセンター試験の得点向上に力を注ぎすぎないことである。例えば、センター試験終了後に2次試験対策をまったくのゼロから開始するなどでは遅すぎる。2次重視の大学だけにセンター試験でボーダーを若干下ったが2次試験の得点力が盤石であることで合格、逆にセンター試験でボーダーを大きく上回ったが2次試験の得点力が脆弱であることで不合格、という事態が起こっても何らおかしくない。

二次試験対策

一橋大の入試問題はどの科目も一筋縄ではいかない応用問題ばかりが出題される。そのため、本学に合格するには早期に基礎を固め、そこから応用問題に対処できる発想力、思考力、計算力等を養成する必要がある。

英語

長文総合問題、自由英作文、リスニングが出題される。長文問題の難易度が高いが、一橋大学特有の問題なので、対策を十分にしている人としていない人との差が出ると言える。教科書レベルの学習では歯が立たない。基礎力養成を徹底し、過去問レベルの問題演習を繰り返そう。特に、一橋大学の長文総合問題の特徴として、説明問題が大半を占めることが挙げられる。

(余談:合格して入学する際に英語のクラス分けが行われ、「入学試験の成績で」発展・標準・基礎強化の振り分けが成されていた。しかし2008年度では入学式後にTOEFLのテストが行われた。TOEFLでの成績と入学試験での成績によって振り分けられたのか、それともTOEFLでの成績だけで振り分けられたかは不明。今後入学試験の成績だけで振り分けがされる事は無いと思われるが、受験生はそういったことは気にせず合格点を取れるように努めるほうがよい。)

数学

一橋大学の数学は難問も出題される。とはいえ、かつてのように「数学0点」での合格は困難であるので、日頃からの地道な勉強が欠かせない。 頻出分野として「整数問題」「確率」「微分積分」「図形問題」「ベクトル」が挙げられる。特に整数問題と確率は毎年出題される。

整数問題は問題によって難易度が極端に変わり、無理に整数問題を学習する必要はないという者もいるが、整数問題は確実に出題されるのできちんと学習すれば他の受験生と差をつける事が出来る。

確率の問題は「n個の玉が~」など個数が一般化されたものがほとんどで、整数問題と同じく多くの人が苦手とするので差がつきやすい。時に数列との融合問題(確率漸化式)も問われるので基本的な数列の学習は必須である。

微分積分はまだ標準的な問題が多く、ここでミスを犯すとかなり不利になるので確実に解いておきたい。

図形問題はやや難の問題が出され、ベクトルを用いて解く事もしばしばある。図形問題で大事な事は「きれいな図を書く」事である。例えば、円や空間図形をいびつに書くと途中の計算で考えづらくなったり勘違いをしたりでミスを誘発するだけでなく、採点者にも悪い印象を与えかねない。普段の学習から、きれいな図を描くように心がけたい。また中学校で習う図形の定義公式も一度目を通して復習するのも効果的である。

問題は前期、後期ともに5問120分。時間内に全て解ききる事は難しく、問題の難易を見極める力や半分以上は確実に得点出来る力を身につけるのが望ましい。また、解答用紙は3枚で一枚につき2問(内一枚は5問目のみ)の解答欄がある。解答欄は意外に狭く、要領良く解答を作成する力が要求される。計算用紙は問題冊子にはさまれており、用紙が足りないという事は無い。問題の質、難易は例年調節がなされている。

2009年度の後期日程(前期日程ではない)では今後新たに数IIIC(行列とその応用、式と曲線)が課されるが、「選択問題を用いるなどの十分な配慮をします」と大学側が公表しているので、該当分野を履修していない受験生は無理に学ぶ必要は無い。また、後期日程で数学が必要なのは経済学部志願者のみである。

地歴

一橋大学の場合、地理・世界史・日本史から選択する。

世界史

全問論述問題である。1200字の論述であり、教科書レベルの学習では非常に厳しい問題も出題される。以前は受験生のほとんどが解答出来ないような「奇問」とまで呼ばれる超難問が出題されたが、近年ではその傾向は減少している。そうは言っても、細かい知識、深い歴史観が要求される問題が出題されるため、単純に「問題が易しくなった」ということはできない。私立大学の世界史の試験とは異なり、歴史を体系的に理解しそれを記述できるかどうかを見ているため、私大対策をしても一橋大学の世界史では得点は難しい。各出版社から出されている論述問題集で徹底的に学習しよう。 以下のサイトに1977年からの過去問が全部掲載されている。 http://www.ne.jp/asahi/wh/class/kakamon.html

伝統的に経済史・社会史の研究の強い大学である事から、高校の歴史が「政治史」中心であるのに対して、高校生の学習が不足しがちな社会経済史に関する演習が重要。大学生学部1~2年生レベルの歴史学的な視点が求められているといっても過言でない。たとえば「アナール学派」という思潮について理解があるかどうかなどが、間接的に求められてくる。教養のある学生を選別する試験内容になっている。狭義の東洋史・西洋史にとどまらず、政治経済や社会学的な視点も求められる。

日本史

全問論述問題である。400字論述の大問が3題あり、計1200字の論述である。世界史などと違って小問ごとの文字数制限はなく、受験生の判断に委ねられる。これは本学の日本史の難しい所でもあるが、解からない小問の字数を自分の得意な小問に割く事が出来る為、受験生の腕の見せ所でもある。世界史以上に柔軟な思考力が求められていると言える。出題分野が非常に偏っており、出題の8割は近代以降、特に社会経済史からの出題である。また、過去問に出された問題を発展させたものを短いサイクルで繰り返し出題し、「傾向」は非常にわかりやすい。一番のポイントは過去問をいかに研究するかである。

地理

論述問題が大半を占める。過去問を見てみると、細かな知識を問う問題も見受けられるが、求められているのは細かな知識ではなく、『地理的思考』である。問題作成者が経済地理学の教授である事から、統計に基づく社会経済事情を問う問題が多い。(※今まで問題の作成をしてきた水岡教授は本年度を最後に退職。2017年度入試からの傾向は不明。)大量の統計資料を見ながら論述を書く事が要求され、難易度は高いので、過去問を利用しての演習は欠かせない。また、特定の発展途上国を取り上げた大問が出題されるのも特徴。発展途上国に関しては、発展途上国の諸問題に関して各国で共通する事柄を学習した上で、個々の国のケーススタディを行うと良い。

国語

国語は、どの学部でも配点が低い。あまり学習する必要は無いとは言われるが、国語が出来るか否かで合否が左右される事は多々ある。例えば、地歴公民の論述問題や、英語の要約問題・英文和訳問題などは国語の能力も問われる問題である。難易度は比較的低めとは言われるが、皆が誤答する問題を正解する力を付ける事は、合格へのステップとして有効である。現代文を重点的に学習する事は必須。古典の学習も必ずやっておくこと。

問題は現代文が2問、古文関連が1問で試験時間は100分である。記述主体の問題であるが、他の国公立の問題では100字以上の論述がしばしば見られる一方、一橋の場合解答字数は10~50字と少ない。しかし油断は禁物である。設問の指示で「自分の言葉で説明せよ」という条件が時折与えられ、普通に書くと論述が求められる回答を自分なりに解かり易く換言して要約しなければならない。(設問にそのような指示がなくても、換言して要約しなければならない場合もある。)ただし02年では100字、08年では80字の記述が求められる設問があるので、論述問題にも取り組んでおく事。漢字の書き取りも出題され、10題出題されるので、漢字の書き取りで取りこぼさないように。もう一方の現代文は文章を200字で要約するというシンプルだが非常に骨の折れる問題である。日々の練習が反映される問題なので定期的に取り組み、添削してもらおう。

古文関連の問題では、古文(近世期)は勿論、現代文と古文(漢文)を融合した「現古融合文」や「明治文語文」が変則的に出題される。出題パターンがはっきりしない一橋大学特有の問題なので、対策がやりづらいだけでなく、どの問題が出ても柔軟に対処しなければならない。一橋国語の中で一番気をつけたい分野である。過去問をこなすのが一番有用だが、量的に限界があるので駿台文庫から出版されている「一橋大学への国語」は是非活用したい。

模試

2021/2022年度の一橋大対応模試(本番とは異なり一日のみで開催)として、河合塾の一橋大入試オープン、東進の一橋大本番レベル模試(年2回開催)がある(基本は一般選抜・前期日程に対応。外国語は英語のみ)。各予備校は、大学の傾向を徹底的にチェックして大学別の予想問題を作成しており、多くの一橋大志願者が受験する為、受験すれば本番の入試に向けて大きな指針となり、また本番の雰囲気に慣れることにもなるので、一橋大志願者はこれらの模試をできる限り受験するべきだろう。

加えて、主に高1・2生が対象になるが、2023年度は東進で「一橋大入試直近日体験受験」(3月5日)という模試が開催される。これは同年の前期日程入試本番に出題された問題を直近日に同解答時間で解くというものである。試験スケジュールは違えど、前期日程入試と同じスケジュールで試験を受けることができる。高3卒対象の「本番レベル模試」とは違った本番ならではの感覚を味わうまたとない機会と言えるので、本学を希望するならば受験しておくと良いかもしれない。

その他

受験勉強に疑問などがある場合は、一橋大学 一橋祭運営委員会や、一橋大学KODAIRA祭実行委員会による受験生応援ページや、一橋新聞による受験生相談掲示板などで質問するのがよいだろう。一橋祭運営委員会はオープンキャンパス開催期間中に「夏本」、一橋祭開催期間中に「秋本」という受験生応援冊子を配布しており、KODAIRA祭実行委員会も6月のKODAIRA祭開催期間中に「黄本」を配布している。どちらもその年の1年生に対してアンケートをとっている。

脚注


関連リンク