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高等学校 生物基礎/植生と遷移Ⅰ

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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キーワード[編集]

環境・環境要因・非生物的環境要因・生物的環境要因・作用・環境形成作用・相互作用

生物と環境の関係[編集]

 生物は、環境から色々な影響を受けつつも、自分達の活動でその環境を変えられます。環境には様々な要素(環境要因)があり、大きく分けると、非生物的環境要因生物的環境要因になります。

 日光・水、重力、土壌・空気・温度などが非生物的環境要因として挙げられます。一方、ライオンとライオンが餌を取り合ったり、シマウマを食べたり、動物達の住処などが生物的環境要因として挙げられます。このように生物と自然は繋がっています。

 そして、非生物的環境要因は生物に影響します(作用)。一方、生物の生活が変わると、非生物的環境要因も変わります(環境形成作用)。小さな生物が土の中に多くいて、その生物が落ち葉などを小さくして堆肥になります。その結果、植物が育ちます。また、様々な木が森林に生えており、その木々が日陰を作ります。その結果、森林は涼しくてじめじめしています。このような具体例が環境形成作用として挙げられます。さらに、生物と生物が影響するような関係もあります(相互作用)。

生活形[編集]

生活形[編集]

 植物は、じっと動いていないようにも見えます。しかし、植物は土の中・水の中・日なた・日陰などで育っています。もし、土の中や水の中なら根を長く伸ばして栄養をたくさん吸い取れるような体を変えて育ちます。もし、日なたなら葉を大きく広げて、日光をいっぱい浴びるように体を変えます。もし、日陰なら葉を小さくして、少しでも光を取り入れられるように体を変えます。このように、それぞれの場所に合わせて、体を変えて育っています(生活形)。樹木(木)は太くて硬い茎と根で作られ、何年も生きられるようにしています。この植物を「木本植物」といいます。一方、草は春や夏に大きく成長して、たくさんの花を咲かせたり、実をつけたりします。秋になると枯れてしまいますが、種子を残して、また次の年に芽を出して成長します。そのため、草は柔らかい茎で作られています。この植物を「草本植物」といいます。

 砂漠は、特別な植物だけが生きられます。サボテン・トウダイグサのようなトゲトゲの植物は水をたくさん貯えます。サボテンとトウダイグサは、見た目もそっくりです。しかし、全然違う種類の植物です。

 このように、同じような植物が同じような場所によく生えています。植物の生活形を見ると、植物の育ち方も分かります。

 もし、寒くて雪も多かったら、樹木の高さは低く枝や幹も柔らかくなります。その結果、樹木は雪の重みに耐えられるようになります。もし、砂漠のようにからっとしていたら、地下深くの水を吸うために、根をかなり長く伸ばします。

 トマトやナスのように種から芽が出て、1年後に実をつけて枯れてしまう植物(一年生植物)もいれば、木の根に栄養を溜めて、何年も何年も生きられるような植物(多年生植物)もいます。このような違いも生活形から分けています。

クリステン・ラウンケルの生活形[編集]

 植物は、その地域の気候に合わせて、生活形を変えています。植物は、冬を迎えると成長を止めて特別な芽(休眠芽)をつくります。この休眠芽は寒さや乾燥に強く、芽を出しません。デンマークの植物学者クリステン・ラウンケルは、休眠芽の高さから、生活形を分けています。

 地上植物が熱帯多雨林に多くあり、休眠芽も地面から遠く離れています。もし、休眠芽が地面に近かったらあまり育たないからです。地表植物や半地中植物がツンドラに多くあり、地面のすぐ近くにあります。そうすれば、雪に覆われても休眠芽が凍らないからです。様々な一年生植物が、砂漠に見られます。砂漠地域に雨が降ると芽を出して大きくなり、また新しい種を作ります。次の雨が降るまで種の状態で休みます。このように、植物は天候に合わせて、休眠芽の付け方を工夫しています。

資料出所[編集]

  • 東京書籍株式会社『生物基礎』浅島誠ほか編著【生基701】
  • 実教出版株式会社『生物基礎』最上善広ほか編著【生基703】
  • 新興出版社啓林館『高等学校 生物基礎』赤坂甲治ほか編著【生基706】
  • 数研出版株式会社『高等学校 生物基礎』嶋田正和ほか編著【生基708】
  • 株式会社第一学習社『高等学校 生物基礎』吉里勝利ほか編著【生基710】
  • 株式会社浜島書店『二訂版 ニューステージ 生物図表』2024年度版
  • 数研出版株式会社『チャート式シリーズ 新生物 生物基礎・生物』本川達雄ほか編著 2023年