JavaScript/クッキー

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

クッキー[編集]

JavaScriptを使用してクッキー(Cookie)を操作することは一般的です。クッキーは、ウェブサイトがユーザーのブラウザに保存する小さなデータの塊で、サイトの動作を追跡するためやユーザーエクスペリエンスを向上させるために使用されます。以下は、JavaScriptを使用してクッキーを設定、取得、削除する基本的な方法です。

クッキーの設定[編集]

// クッキーを設定する
document.cookie = "key=value; expires=Thu, 01 Jan 2025 00:00:00 UTC; path=/";

上記の例では、keyという名前のクッキーにvalueを設定しています。expiresで有効期限を指定し、pathでクッキーの有効なパスを指定しています。

クッキーの取得[編集]

// クッキーを取得する
function getCookie(name) {
    const cookieValue = document.cookie.match('(^|;) ?' + name + '=([^;]*)(;|$)');
    return cookieValue ? cookieValue[2] : null;
}

const myCookieValue = getCookie('key');
console.log(myCookieValue);

上記の例では、getCookie関数を使用して指定された名前のクッキーの値を取得しています。

クッキーの削除[編集]

// クッキーを削除する
function deleteCookie(name) {
    document.cookie = name + '=; expires=Thu, 01 Jan 1970 00:00:00 UTC; path=/;';
}

// 'key'という名前のクッキーを削除する
deleteCookie('key');

上記の例では、deleteCookie関数を使用して指定された名前のクッキーを削除しています。

これらのコードは基本的な例であり、実際の使用に応じて変更することができます。クッキーのセキュリティやプライバシーの観点から、機密情報を保存するのには注意が必要です。

JavaScript/クッキーのユースケース[編集]

JavaScriptを使用してクッキーを操作することは、さまざまなユースケースで利用されます。以下に、代表的なユースケースをいくつか挙げてみます。

ユーザーの設定の保存
クッキーは、ユーザーが選択した設定(言語、テーマ、フォントサイズなど)を保存するのに役立ちます。これにより、ユーザーがサイトを再訪した際に、前回の設定が維持されます。
セッション管理
クッキーはセッションIDを保存するために使用され、ユーザーのログイン状態を維持するのに役立ちます。セッションクッキーは、ユーザーがサイトを閲覧している間だけ有効で、ブラウザを閉じると削除されることが一般的です。
トラッキングと分析
クッキーはウェブサイトの利用状況をトラッキングするために使用され、アクセス解析やユーザー行動の理解に役立ちます。これにより、サイトオーナーはユーザーがどのようにサイトを利用しているかを把握できます。
広告のターゲティング
クッキーは広告ネットワークがユーザーの興味や行動に基づいて広告をターゲットするのに使用されます。ユーザーが特定の商品やサービスに関心を示すと、関連する広告が表示されることがあります。
ショッピングカートの管理
ショッピングカートの中にあるアイテムや選択した商品をクッキーに保存することで、ユーザーがサイトを移動してもショッピングカートの内容を保持できます。
ユーザーの認識
クッキーはユーザーがサイトを訪れるたびに一意のIDを割り当て、ユーザーを識別するのに利用されます。これにより、パーソナライズされた体験を提供できます。

これらは一般的なユースケースの一部であり、ウェブ開発においてクッキーは広範な用途で利用されています。ただし、ユーザープライバシーに配慮し、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

サードパーティ クッキー
サードパーティ クッキー(Third-Party Cookie)は、ウェブサイトにおいて異なるドメインに属するサードパーティから提供されるクッキーのことを指します。クッキーは、ウェブブラウザに保存される小さなデータの断片で、主にユーザーのブラウジング情報を記録したり、追跡したりするために使用されます。

サードパーティ クッキーは、異なるウェブサイトやドメイン間でのデータ共有やトラッキングに使用されます。具体的なユースケースとしては、オンライン広告ネットワークや分析ツールが挙げられます。広告ネットワークは、異なるウェブサイト上で表示される広告をトラッキングするためにサードパーティ クッキーを使用し、ユーザーの興味や行動に基づいてターゲティング広告を提供します。

しかし、サードパーティ クッキーにはプライバシーの懸念があります。ユーザーが異なるサイトでの行動がサードパーティによって追跡されることは、プライバシー侵害の懸念を引き起こすことがあります。また、クッキーによるトラッキングは、広告主やデータブローカーが個別のユーザープロファイルを構築する可能性をもたらします。

これに対して、多くのブラウザがプライバシー保護の観点からサードパーティ クッキーの制限やブロックを導入しています。例えば、Google Chromeがサードパーティ クッキーに対して変更を予告しており、プライバシー向上を目指しています。同様の動きが他の主要なブラウザでも見られます。これにより、オンライン広告業界は新しい方法で広告ターゲティングを構築する必要が生じています。


JavaScript/クッキーのベストプラクティス[編集]

JavaScriptを使用してクッキーを操作する際には、いくつかのベストプラクティスを考慮することが重要です。以下は一般的なベストプラクティスの一部です。

  1. セキュア属性を使用する: クッキーを設定する際にSecure属性を指定することで、セキュアな接続(HTTPS)でのみクッキーが送信されるようになります。
    document.cookie = "key=value; Secure; expires=Thu, 01 Jan 2025 00:00:00 UTC; path=/";
    
  2. SameSite属性を検討する: SameSite属性は、クロスサイトリクエストに対する保護を提供します。SameSite=StrictまたはSameSite=Laxを使用して、不正なクロスサイトリクエストを防止できます。
    document.cookie = "key=value; SameSite=Lax; expires=Thu, 01 Jan 2025 00:00:00 UTC; path=/";
    
HttpOnly属性を使用する
HttpOnly属性を設定すると、JavaScriptからクッキーにアクセスできなくなり、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃のリスクが低減します。
  1. document.cookie = "key=value; HttpOnly; expires=Thu, 01 Jan 2025 00:00:00 UTC; path=/";
    
クッキーの有効期限を制御する
クッキーの有効期限を適切に設定し、不要なクッキーを避けることで、ユーザープライバシーを守ります。
デフォルトでSecureな通信を使用する
クッキーを送信するページやリソースがセキュアな通信(HTTPS)で提供されるように心がけましょう。
クッキーの内容を検証する
サーバーサイドでクッキーの内容を信頼性のあるものにするようにし、不正な変更が行われないように検証します。
ユーザーコンセントを尊重する
クッキーを使用する前に、ユーザーに同意を得るポリシーを採用し、クッキーに関する情報を提供します。

これらのベストプラクティスを遵守することで、セキュリティやプライバシーのリスクを最小限に抑えることができます。