ゲスタ・ローマーノールム/内容紹介

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はじめに[編集]

芥川龍之介による紹介[編集]

『ゲスタ・ローマーノールム』が日本に紹介され始めた明治・大正期に本書に注目していた文人には 芥川龍之介 (1892-1927)がいる。彼の未完の長編小説 『路上』 において、本書が紹介されている。以下に該当箇所を引用する(青空文庫版より)。


 「この間の君の小説は、大へん面白く拝見しましたよ。あれは何から材料を取ったんですか。」
 「あれですか。あれはゲスタ・ロマノルムです。」
 「はあ、ゲスタ・ロマノルムですか。」
   清水はけげんな顔をしながら、こう好い加減な返事をすると、さっきから鉈豆なたまめ煙管きせるできなくさきざみを吹かせていた大井が、卓子テエブルの上へ頬杖をついて、
 「何だい、そのゲスタ・ロマノルムってやつは?」と、無遠慮な問をほうりつけた。

        十三

 「中世の伝説を集めた本でしてね。十四五世紀のあいだに出来たものなんですが、何分なにぶん原文がひどい羅甸ラテンなんで――」
 「君にも読めないかい。」
 「まあ、どうにかですね。参考にする飜訳ほんやくもいろいろありますから。
 ――何でもチョオサアやシェクスピイアも、あれから材料をったんだそうです。ですからゲスタ・ロマノルムだって、中々莫迦ばかには出来ませんよ。」
 「じゃ君は少くとも材料だけは、チョオサアやシェクスピイアと肩を並べていると云う次第だね。」




脚注[編集]


参考文献[編集]