コントラクトブリッジ/ルール/スコアリング

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このページではコントラクトブリッジにおけるスコアリングの方法を述べる。

概要[編集]

コントラクトブリッジはゼロ和ゲームであるため、ディフェンダーサイドは常にディクレアラーサイドの点数の -1 倍を得る。 したがって、以下には簡単のためにディクレアラーサイドの得失点のみを記す。

パスアウトしたボードはいずれのサイドも0点を得るが、コントラクトが成立したボードには必ず得失点が発生する。 成立したコントラクトをディクレアラーが達成することをメイクという。 コントラクトをメイクするには、コントラクトの示すトリック数以上を得ることが必要十分である。 コントラクトがメイクできないことをダウンという。

デュプリケートとラバー[編集]

コントラクトブリッジのスコアリングにはデュプリケートおよびラバーと呼ばれる2つの方式が存在する。

デュプリケートは「複製」を意味し、本来はスコアリングの方法というよりも競技自体の方法である。 デュプリケートの点数計算をデュプリケートでない試合で行うことを特にシカゴということもある。

ラバーはより伝統的な方法で、1以上のボードからなるゲーム、2ゲームからなるラバーを先取することに対してボーナスが存在する。

ここでは共通の項目について述べた後、デュプリケートおよびラバーの順に解説する。 その次に、デュプリケートの試合で使われる IMP など、その他の指標について説明を加える。

バルネラビリティ[編集]

バルネラビリティは「バル」および「ノンバル」で表され、サイドごとに決まる。 バルの場合はノンバルの場合に比べて、ディクレアラーサイドでプレイした場合の得失点が大きくなる傾向がある。

メイクの点数[編集]

コントラクトをメイクした場合は、そのボードに対して

  • 宣言して実際に獲得したトリックに対する得点
  • 宣言した数を超えて獲得したトリックに対する得点
  • 宣言したコントラクトを達成したことに対する得点

の3つを得る。

基本トリック点[編集]

基本のトリック点は7トリック目以降 (オッドトリック) に対して与えられ、その大きさはトランプの種類によって異なる。 以下にノンダブルの場合の点数を述べる:

ノートランプの場合
第1オッドトリックに対して40点。第2オッドトリック以降に対して30点。
メジャースートの場合
第1オッドトリック以降に対して30点。
マイナースートの場合
第1オッドトリック以降に対して20点。

ダブルがかけられたコントラクトのトリック点は2倍、リダブルがかけられたコントラクトのトリック点はさらに2倍 (ダブルとあわせて4倍) になる。

オーバートリック点[編集]

宣言した数を超えて獲得したトリックに対する得点は、ノンダブルの場合には基本トリック点と等しい。 ノンバルの側による、ダブルがかけられたコントラクトのオーバートリック点は1トリックあたり100点である。 バルの場合およびリダブルがかけられた場合は、それぞれこの2倍となる。

ボーナス点[編集]

コントラクトのレベルによって、達成するとボーナスを得ることができる:

ゲーム
ノンバルで300点、バルで500点。
スモールスラム
ノンバルで500点、バルで750点。
グランドスラム
ノンバルで1000点、バルで1500点。

ただし、スモールスラムおよびグランドスラムは同時にゲームとなる。 したがって、合計のボーナスは

スモールスラム
ノンバルで800点、バルで1250点。
グランドスラム
ノンバルで1300点、バルで2000点。

となる。

以上にはダブルおよびリダブルの点数が含まれていない。 ダブルがかけられたコントラクトのメイクにはボーナスとして50点が、リダブルがかけられたコントラクトのメイクにはさらに50点 (合計100点) が加算される。

ダウンの点数[編集]

コントラクトがダウンした場合は、そのボードに対して、宣言に不足したトリックに対する失点を得る。

ノンダブルの場合[編集]

ノンダブルのコントラクトがダウンした場合は、ノンバルで1トリック不足ごとに50点、バルで1トリック不足ごとに100点を失う。

ダブルド、リダブルドの場合[編集]

ダブルドコントラクトがダウンした場合は

不足1トリック目
ノンバルで100点、バルで200点
不足2-3トリック目
ノンバルで200点、バルで300点
不足4トリック目以降
バルネラビリティによらず300点

を失う。

リダブルドコントラクトがダウンした場合の失点は、ダブルドコントラクトがダウンした場合のちょうど2倍である。

デュプリケートブリッジのスコアリング[編集]

デュプリケートブリッジのスコアリングは各ボードについて独立である。 上記の点数と下記のボーナスとを合わせたものをコントラクトブリッジ/ルール/スコアリング/点数表に記した。

デュプリケートブリッジのバルネラビリティ[編集]

各ボードにおいて両サイドにはバルネラビリティがあらかじめ定められている:

  • 16で割って 1, 8, 11, 14 余る番号のボードに対して、双方ノンバル。
  • 16で割って 2, 5, 12, 15 余る番号のボードに対して、NS サイドのみバル。
  • 16で割って 3, 6, 9, 0 余る番号のボードに対して、EW サイドのみバル。
  • 16で割って 4, 7, 10, 13 余る番号のボードに対して、双方バル。

「デュプリケート」の意味[編集]

デュプリケートブリッジの試合における競争相手は、同じテーブルについているオポーネントではない。 それぞれのボードは複製 (デュプリケート) されて複数のテーブルでプレイされるため、同じハンドを持つペアが存在する。 デュプリケートブリッジは「良い手札がくれば勝てる」という欠点を補うため「手札の同じ者と競う」試合形式である。 そのため各ボードごとに、同じハンドを持ってプレイしたペアと比較してスコアをつける。

デュプリケートブリッジのゲーム[編集]

デュプリケートブリッジにおける「ゲーム」とは、コントラクトのうちで基本トリック点が100点以上となるものを指す。 したがって、各デノミネーションに対して、ゲームとなるレベルのうち最低のものは

ノンダブルの場合
3NT, 4S, 4H, 5D, 5C
ダブルドの場合
2NTx, 2Sx, 2Hx, 3Dx, 3Cx
リダブルドの場合
1NTxx, 1Sxx, 1Hxx, 2Dxx, 2Cxx

となる。

パーシャルのメイクボーナス[編集]

デュプリケートブリッジにおける「パーシャル」とはゲームにならないコントラクトを指す。 パーシャルコントラクトをメイクすると、バルネラビリティによらず50点のボーナスを得る。

ラバーブリッジのスコアリング[編集]

ラバーブリッジのスコアリングには、ラバーの獲得および手札の組み合わせに対するボーナスが存在する。 バルネラビリティはゲームの獲得によって、ゲームとなるコントラクトのレベルは既に得た点数によって、それぞれ変化する。

スコアの区分[編集]

スコアの記入は縦横に線を引いた紙に行うのが一般的である。 点数には区別があり、それぞれを記入位置によって横線の「上」「下」と呼ぶ。

線の下に記入するのは基本トリック点である。 その他の点はすべてボーナスと呼ばれ、線の上に記入する。

縦に引いた線の左側には 'We' と書いて自分のサイドを、右側には 'They' と書いて相手のサイドを、それぞれ表す。 記入する点数はすべて得点として記入する。 すなわち、メイクの点数はディクレアラー側の得点として、ダウンの点数はディフェンダー側の得点として記入する。

ラバーブリッジのゲーム[編集]

ラバーブリッジにおけるゲームとは、線の下に記入した点数の合計が100以上となることである。 したがって1ボードごとにゲームかそうでないかが決まるのではなく、既に獲得したトリック点があればそれを加算してゲームかどうかを判定する。

一方のサイドがゲームを獲得すると、線の下に記入した点数の下に、さらに線を引く。 以後、すでに記入した点数はすべて線の上であるものとして扱う。

ラバー[編集]

2ゲームを相手サイドより先に獲得することをラバーという。 ラバーブリッジでは、ラバーの取得をもって1つの試合が終了したものとみなす。 ラバーの獲得はそれ自体が勝利を意味するわけではないが、ほとんどの場合において勝敗が確定的となるような点数がボーナスとなる。

ラバーブリッジのバルネラビリティ[編集]

ラバーブリッジにおけるバルネラビリティは、既に1ゲームを獲得したかどうかによって決まる。 ラバーの開始時には双方ノンバルであり、ゲームを獲得するサイドが現れるまで続く。 ゲームを獲得したサイドはバルになり、そのサイドが再度ゲームを獲得するとラバーを獲得して試合が終わる。 ノンバルのサイドがゲームを獲得すると双方バルとなって最終ゲームの獲得を争うことになる。

ラバーボーナスとアナーボーナス[編集]

ラバーボーナスはラバーの獲得に対して得るボーナス点である。 相手がノンバルの時に700点、相手がバルのときに500点を得る。

アナーボーナスはコントラクトにマッチするアナーが手札に揃っている場合に得るボーナスである:

ノートランプコントラクト
4枚のAをすべて持っているプレイヤーに150点。
トランプコントラクト
トランプのAKQJTをすべて持っているプレイヤーに150点。そのうち1枚が欠けた場合は、4枚を持っているプレイヤーに100点。

大会の形式[編集]

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ブリッジの大会では手札の配られ方による運の要素を排除するため、デュプリケートの形式をとることが多い。 ブリッジの大会形式には、チーム戦・ペア戦・個人戦といった種類がある。

チーム戦[編集]

チーム戦では4人で構成されるチームが2ペアずつに分かれ、別々のテーブルでプレイする。 各ボードにおいて、チームメイトのペアはNSとEWと、別々のサイドでプレイする。 評価はNSでプレイしたペアとEWでプレイしたペアとの成績を合計して行う。

ペア戦[編集]

ペア戦は最も多く行われる形式であり、その方法にもさまざまなものがある。 ハウエル (Howell) と呼ばれる形式では、1ペアを除いたすべてのペアは自分より1つ若い番号のペアが直前にプレイした位置でプレイする。 ミッチェル (Mitchell) と呼ばれる形式では、各ペアはNSかEWかを固定される。

いずれにおいても、評価は各ボードにおいて同じハンドを持ったペアとの比較をもって行う。

個人戦[編集]

個人戦の行われることはまれである。 1ラウンドごとにパートナーを代えてプレイし、ペア戦と同様の評価を行う。

大会での評価方法[編集]

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ブリッジ大会におけるスコアは一般に、同じハンドを持ってプレイしたプレイヤーとの成績の差を用いる。 チーム戦は1チーム対1チームの対戦を基本とし、相手チームのペアのみとの成績を比較する。 ペア戦では同じハンドを持ってプレイしたプレイヤーの成績の平均や、その中の順位を用いる。

ブリッジのスコアは、たとえばパーシャルをメイクすると100点程度、ゲームが500点程度であるが、スラムのメイク/ダウンでは2000点近い差がつくこともある。 これを単純に合計する (トータルポイント) と、大きい点差の付いたボードが1つあるだけで、他のボードが無意味なものになってしまう。 そこで、各ボードの点差を圧縮した各種の評価方法が考案、使用されている。

IMP[編集]

IMP は International Match Point の略で、各ボードの点差に応じて、勝ち越した側が以下のポイントを得る:

  • 20点未満の勝ち越しに0IMP
  • 20点以上50点未満の勝ち越しに1IMP
  • 50点以上90点未満の勝ち越しに2IMP
  • 90点以上130点未満の勝ち越しに3IMP
  • 130点以上170点未満の勝ち越しに4IMP
  • 170点以上220点未満の勝ち越しに5IMP
  • 220点以上270点未満の勝ち越しに6IMP
  • 270点以上320点未満の勝ち越しに7IMP
  • 320点以上370点未満の勝ち越しに8IMP
  • 370点以上430点未満の勝ち越しに9IMP
  • 430点以上500点未満の勝ち越しに10IMP
  • 500点以上600点未満の勝ち越しに11IMP
  • 600点以上750点未満の勝ち越しに12IMP
  • 750点以上900点未満の勝ち越しに13IMP
  • 900点以上1100点未満の勝ち越しに14IMP
  • 1100点以上1300点未満の勝ち越しに15IMP
  • 1300点以上1500点未満の勝ち越しに16IMP
  • 1500点以上1750点未満の勝ち越しに17IMP
  • 1750点以上2000点未満の勝ち越しに18IMP
  • 2000点以上2250点未満の勝ち越しに19IMP
  • 2250点以上2500点未満の勝ち越しに20IMP
  • 2500点以上3000点未満の勝ち越しに21IMP
  • 3000点以上3500点未満の勝ち越しに22IMP
  • 3500点以上4000点未満の勝ち越しに23IMP
  • 4000点以上の勝ち越しに24IMP

この方式はチーム戦でしばしば使用される。

MP[編集]

MP は Match Point の略で、各ボードの順位をもとに点数をつけるものである。 それぞれのボードの一方のサイドについて、最も悪いスコアを取ったペアに0点を与え、以降、順にスコアが良くなるごとに1点を加算して与える。最もよいペアのスコアは、そのボードをプレイしたペアの数から1を引いた値となる。 同点が生じた場合は、同点のペアを任意の順で並べた時に与える点数の平均を与える。

この方式はペア戦でしばしば使用される。

VP[編集]

VP は Victory Point の略で、もっぱらチーム戦で使用される。 ラウンドの IMP 合計をさらに圧縮して、チーム対戦の相手に対するスコアとする。

ボード数ごとに IMP 差を VP に換算する表が存在する。 以下に WBF の定める表を示すが、いくつかの流儀が存在する。

表の引き方はプレイしたボード数の列に書かれた IMP 差の範囲から実際のスコアでの IMP 差を探し、左の列に書かれた VP を双方のチームが取得する。 IMP をより多く取ったチームが VP の大きい方を、そうでないチームが小さい方を得る。

VP換算表: 8-20ボード
VPs 8 10 12 14 16 20
15-15 0-1 0-1 0-1 0-2 0-2 0-2
16-14 2-5 2-6 2-6 3-7 3-7 3-8
17-13 6-8 7-9 7-9 8-10 8-11 9-12
18-12 9-11 10-12 10-12 11-14 12-15 13-16
19-11 12-14 13-15 13-16 15-18 16-19 17-21
20-10 15-17 16-18 17-20 19-22 20-23 22-26
21-9 18-20 19-21 21-24 23-26 24-27 27-31
22-8 21-23 22-25 25-28 27-30 28-31 32-36
23-7 24-26 26-29 29-32 31-34 32-36 37-41
24-6 27-29 30-33 33-36 35-38 37-41 42-47
25-5 30-33 34-37 37-40 39-43 42-46 48-53
25-4 34-37 38-41 41-45 44-48 47-52 54-59
25-3 38-41 42-45 46-50 49-54 53-58 60-65
25-2 42-45 46-50 51-55 55-60 59-64 66-72
25-1 46-50 51-55 56-61 61-66 65-71 73-79
25-0 51+ 56+ 62+ 67+ 72+ 80+
VP換算表: 24-48ボード
VPs 24 28 32 36 40 48
15-15 0-3 0-3 0-3 0-3 0-3 0-4
16-14 4-9 4-10 4-10 4-11 4-11 5-12
17-13 10-14 11-15 11-16 12-17 12-18 13-20
18-12 15-19 16-20 17-22 18-23 19-25 21-28
19-11 20-24 21-25 23-28 24-29 26-32 29-36
20-10 25-29 26-31 29-34 30-36 33-39 37-44
21-9 30-34 32-37 35-40 37-43 40-46 45-52
22-8 35-39 38-43 41-46 44-50 47-53 53-60
23-7 40-45 44-49 47-52 51-57 54-60 61-68
24-6 46-51 50-55 53-58 58-64 61-68 69-76
25-5 52-57 56-61 59-65 65-71 69-76 77-84
25-4 58-64 65-68 66-73 72-79 77-84 85-93
25-3 65-71 69-76 74-82 80-88 85-93 94-102
25-2 72-79 77-85 83-91 89-97 94-102 103-112
25-1 80-87 86-94 92-100 98-106 103-112 113-123
25-0 88+ 95+ 101+ 107+ 113+ 124+