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センター試験 地学I対策

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

総説

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センター試験の中ではかなりマイナーな科目で、物理・化学・生物より受験数は1ケタ少ない。受験者の文理比率は文:理=9:1で文系理科とも呼ばれている。出版されている参考書も物理、化学、生物に較べると明らかに少なく、センター対策が出来る程度。しかし、文系受験者にとっては短期間で仕上がり、高得点も楽に稼げる、まさに穴場の科目。文系でセンター試験の理科を課しているところなら利用できないところはない。内容としては固体地球、岩石鉱物、地質図・地球史、大気海洋、天文の五大分野からひとつずつ大問が組まれている。よってどの範囲も必ず出ると考えて、余計なヤマを張って臨むべきではない。また、2011年までは数学の試験時間から地学の試験時間まで長い休憩があったが、2012年からは理科の時間が統一され、物理•化学•生物と同時に試験することとなった。また、こちらはかなり先のことだが、2016年からは、理科6科目体制から、8科目体制へ移行する事が決定しており、地学においても、「地学」と「地学基礎」の2科目が設定される事を大学入試センターは公表している。

問題

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第一問

過去には天文分野が置かれていたが、近年においては教科書のように固体地球分野が固定されてきているといえる。範囲としては地震、プレート運動、地磁気と偏りの無い出題が目を引く。ただし、問われていることは平坦なことばかりであり、地学を得点源にしたい受験生はこのあたりでは満点を狙いたい。また、全ての問題に言えることだが、新しい傾向の問題は皆無といってもよい。よって過去問を研究することで似たような(場合によっては同じ)問題に出くわす可能性が高くなる。

第二問

この大問では岩石鉱物分野について問われる。内容は鉱物の種類、岩石名とその組成、火山の特徴、多形など、地学受験者にとっては基礎中の基礎をまる暗記すればとけるような簡単な問題が多く、完答を狙える分野である。しかしそのため上記の内容を完璧に暗記していない受験生は全くと言っていいほど得点は取れない。あまり難しい問題にあたらず、基礎の徹底がこの分野克服の最良の策である。

第三問

地質図や地球史について問われる。地質図に関しては地質柱状図やロードマップなど、さまざまな形式が問われるが、走向や傾斜をもとに考えれば難しくはない。さらに地質図といっても図そのものに関与する設問ばかりではなく、クリノメーターの使用法、化石年代など、それ単体でも解ける問題も存在する。地質図に迷った時はこれらの設問から説くのもよい。地質図は慣れが重要なので本項目ほど過去問が威力を発揮するものはない。

第四問

A、Bの2つ、またはA~Cの3つの問題に分かれ、前者なら大気と海洋が各一題ずつ、後者なら大気が二題海洋が一題という構成が多い。5つの分野の中では温暖化など近年の環境問題に大きく関わる分野であり、踏み込んだ内容が出されたり、見たことのない図・グラフを問題文を手かがりに読み解かされるなど、最難関である。大気からは基本的な大気の構成や風、熱収支などがよく出題される。最近はあまり出されていないが、フェーン現象や天気図についても注意が必要である。海洋分野においては海水の大循環やエルニーニョ、降水が頻出。

第五問

2~3つの分野から出題されるが、大きくは天球や太陽・惑星、HR図、銀河から出題される。中でもHR図は図が出ないときもあるが、頻出であるので余白部分などに自分で作成できるようにしておきたい。桁数が多く、密度や質量などが絡む問題も出題されるが、単位に気をつければそれほど難しくもない。必要とされているのは確固とした教科書の理解である。ちなみに近年、少なくとも本試験では会合周期に関する出題がないので要注意である。

対策

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他の理系教科と比べても本科目は非常に過去問研究が重要である。これはまだ地学自体の全貌があまり解明されておらず、たくさんの説のある事項から聞きにくいということも影響していると思われる。よって過去に出題された問題に似通った問題も多く、大部分が基礎事項の丸暗記だけで解けるものである。また、有名な図表などからもよく出題されるので、暇があれば地学の図表を眺めることオススメする。計算もよく出題され、地学特有の桁の多さに圧倒されるが、過去問と全く同じ問題もよく見かける。また、大体は事実に忠実なのでその数値自体を暗記するという方法(太陽定数や銀河の公転周期などが例)も有効である。だが数値暗記については時間が余れば(おそらく大部分の受験生には余ると思われる)自分なりに計算してみることが重要である。全ての教科に言えることだが、設問条件の確認は重要である。なかでも地学は、問題文自体に解法が潜んでいることもある。時間は他の理科と比べても十分すぎる程あるので、見直しを怠らず、最後まで試験に集中することが大切である。 2013年度の本試験では、正誤判定の組み合わせ問題が初めて出題されたり、複数分野の融合問題が出題されるなどと、若干の出題形式の変更が見られた。また、選択肢が多い問題も増加した。現在の地学は記念受験組が多かったかつての地学とは異なり、純粋な地学受験者が大多数を占めている。その結果、平均点が高止まりしているので、今後、大幅な難化や出題形式・傾向の変化が見られる可能性がある。2013年度の問題には、単に丸暗記したり過去問を解くだけでは対応できない出題も見られたので、どのような問題にも対応できるよう教科書や資料集でしっかりと理解しておく事が以前より重要になったと言える。2014年度の本試験では平均点が50.22点と前年までの平均点と比べて大幅に下がった。内容も単なる教科書の丸暗記では対応できない融合問題や、正誤の紛らわしい選択問題が出題された。とは言え、地学の基本的な考え方が身についていれば、十分対応可能な良問が主であり、いたずらに恐れる必要はない。