テンプレートエンジン/Rust
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Rustには、テンプレートエンジンとして利用できる強力なライブラリが複数存在します。それぞれ特徴が異なるため、用途に応じて選ぶことが重要です。以下は、Rustで使われる主要なテンプレートエンジンです。
Handlebars (handlebars-rust)
[編集]- 特徴: JavaScriptのHandlebarsテンプレートエンジンをRustに移植したもの。ロジックレスな構文を採用し、直感的で使いやすい。
- 主な用途: シンプルな構文を好むプロジェクト、ウェブアプリケーション。
- 基本例:
use handlebars::Handlebars; use std::collections::HashMap; fn main() { let mut handlebars = Handlebars::new(); let mut data = HashMap::new(); data.insert("name", "Rustacean"); let template = "Hello, {{name}}!"; let result = handlebars.render_template(template, &data).unwrap(); println!("{}", result); // Output: Hello, Rustacean! }
- 利点:
- シンプルで学習コストが低い。
- JSONのようなデータ構造をそのまま渡せる。
- 制限:
- ロジックレス設計のため、複雑なテンプレート処理には不向き。
Tera
[編集]- 特徴: DjangoのテンプレートエンジンにインスパイアされたRust製テンプレートエンジン。強力な機能と柔軟な構文を提供。
- 主な用途: 高機能なテンプレートエンジンを必要とするウェブアプリケーション。
- 基本例:
use tera::{Context, Tera}; fn main() { let tera = Tera::default(); let mut context = Context::new(); context.insert("name", "Rustacean"); let template = "Hello, {{ name }}!"; let result = tera.render_str(template, &context).unwrap(); println!("{}", result); // Output: Hello, Rustacean! }
- 利点:
- 制御構文(条件分岐、ループなど)が豊富。
- 拡張性が高く、カスタムフィルタや関数を追加可能。
- 制限:
- 初期設定や学習コストがやや高い。
Askama
[編集]- 特徴: Rustの型システムを活用した静的型付きテンプレートエンジン。コンパイル時にテンプレートを検証するため、安全性が高い。
- 主な用途: コンパイル時の安全性とパフォーマンスを重視するプロジェクト。
- 基本例:
use askama::Template; #[derive(Template)] #[template(source = "Hello, {{ name }}!", ext = "txt")] struct MyTemplate<'a> { name: &'a str, } fn main() { let template = MyTemplate { name: "Rustacean" }; println!("{}", template.render().unwrap()); // Output: Hello, Rustacean! }
- 利点:
- 静的型付けにより、コンパイル時にエラーを発見可能。
- シンプルで効率的なコード生成。
- 制限:
- テンプレートファイルのリロードが難しく、開発時にやや不便。
Maud
[編集]- 特徴: Rustのコードにテンプレートを埋め込むDSL(ドメイン固有言語)。テンプレートがそのままRustコードとして扱われる。
- 主な用途: テンプレートとコードの統一性を求めるプロジェクト。
- 基本例:
use maud::html; fn main() { let name = "Rustacean"; let rendered = html! { h1 { "Hello, " (name) "!" } }; println!("{}", rendered.into_string()); // Output: <h1>Hello, Rustacean!</h1> }
- 利点:
- Rustコードと統一された書き方。
- 型安全で、非常に高速。
- 制限:
- 独自の構文に慣れる必要がある。
- 複雑なテンプレートは読みづらくなる場合がある。
Liquid
[編集]- 特徴: ShopifyのLiquidテンプレートエンジンをRustに移植したもの。ロジックレスな構文を採用。
- 主な用途: シンプルなテンプレートが求められる場合や、Liquidの構文に慣れている場合。
- 基本例:
use liquid::{object, ParserBuilder}; fn main() { let template = "Hello, {{ name }}!"; let parser = ParserBuilder::with_stdlib().build().unwrap(); let parsed_template = parser.parse(template).unwrap(); let globals = object!({ "name": "Rustacean" }); let result = parsed_template.render(&globals).unwrap(); println!("{}", result); // Output: Hello, Rustacean! }
- 利点:
- シンプルでロジックレス。
- 他言語(RubyやJavaScript)と統一した構文。
- 制限:
- ロジックが制限されているため、複雑な処理には不向き。
選択基準
[編集]- シンプルなテンプレート:
Handlebars
またはLiquid
。 - 高機能なテンプレート:
Tera
。 - 型安全性とパフォーマンス重視:
Askama
。 - Rustコードとの統一性:
Maud
。
Rustには目的や要件に応じた多彩なテンプレートエンジンが揃っており、初心者から上級者まで対応可能です。