デーヴァナーガリー文字/発音転写

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このページではウィキブックス内におけるデーヴァナーガリー文字の発音を転写する規則を示す。ヒンディー語の言葉を日本語に取り入れるカタカナ表記とは区別する。発音転写とはヒンディー語の発音をそのままカタカナで表したものであり(例:दिल्ली→ディッリー)、カタカナ表記とはヒンディー語の語彙(主に固有名詞)を日本語で表すもので、必ずしもヒンディー語の発音に一致しない(例:दिल्ली→デリー)。同様に、アルファベット転写と英語表記も区別する(例:दिल्लीはアルファベット転写ではdillī、英語表記ではdelhiとなる)。

注:ここに挙げる方法の他の転写法もある。

デーヴァナーガリー文字からカタカナへの転写[編集]

母音[編集]

転写は次の通り。

ヒンディー語 日本語
アー
イー
ウー
エー
アェ
オー
アォ

長母音と短母音は明確に区別する。また、英語からの借用語などでは「ए」が短母音化することもある。

  • सेट(seṭ、セット)、कालेज(kālej、大学)など英語からの借用語における「ए」は「エ」や「イ」と発音し、またウィキブックスのページ内でもそのように転写する。

子音[編集]

有気音と無気音、反舌音とそうでない音の区別をしない。rとlの区別をしない。

  • 「क」(k)「ख」(kh)は区別せずカ行で表す。
  • 「ग」(g)「घ」(gh)は区別せずガ行で表す。
  • 「च」(c)「छ」(ch)は区別せずチャ行で表す。
  • 「ज」(j)「झ」(jh)は区別せずジャ行で表す。
  • 「ट」(ṭ)「ठ」(ṭh)「त」(t)「थ」(th)は区別せずタ行で表す。
  • 「ड」(ḍ)「ढ」(ḍh)「द」(d)「ध」(dh)は区別せずダ行で表す。
  • 「ड़」(ṛ)「ढ़」(ṛh)「र」(r)「ल」(l)は区別せずラ行で表す。
  • 「ण」(n)「न」(nh)は区別せずナ行で表す。
  • 「सि」(si)「ति/टि/थि/ठि」(ṭi/ṭhi/ti/thi)「तु/टु/थु/ठु」(ṭu/ṭhu/tu/thu)は「シ」「チ」「ツ」ではなく「スィ」「ティ」「トゥ」と表わす。

鼻母音[編集]

鼻母音記号ं ँは「ン」で表す。

日本語からデーヴァナーガリー文字への転写[編集]

  • ア段:子音字単独では「ア」の音を含まないことがあるので長母音「ा」で表す。発音は「アー」。ただしア行の「ア」は短母音「अ」で表す。例:「अकिटा」(akiṭā、アキター;秋田)
  • イ段:短母音「ि」で表す。発音は「イ」。ア行の「イ」は短母音「इ」で表す。例:「नागासाकि」(nāgāsāki、ナーガーサーキ;長崎)
  • ウ段:短母音「ु」で表す。発音は「ウ」。ア行の「ウ」は短母音「उ」で表す。例:「गिफ़ु」(gifu、ギフ;岐阜)
  • エ段:長母音「े」で表す。発音は「エー」。ア行の「エ」は長母音「ए」で表す。例:「इवाटे」(iwāṭe、イワーテー;岩手)
  • オ段:長母音「ो」で表す。発音は「オー」。ア行の「オ」は長母音「ओ」で表す。例:「टोक्यो」(ṭokyo、トーキョー;東京)

子音

  • カ行:子音字「क」で表す。例:
  • サ行:子音字「स」で表す。ただし「シ」はヘボン式に従い「शि」(shi)で表す。例:
  • タ行:反り舌音の子音字「ट」で表す。ただし「チ」「ツ」はヘボン式に従い「चि」「ट्सु」で表す。例:「चिबा」(cibā、チバー;千葉)
  • ナ行:子音字「न」で表す。例:
  • ハ行:子音字「ह」で表す。ただし「フ」はヘボン式に従い「फ़ु」(fu)で表す。例:「फ़ुकुइ」(fukui、フクイ;福井)
  • マ行:子音字「म」で表す。
  • ヤ行:子音字「य」で表す。
  • ラ行:子音字「र」で表す。
  • ワ行:子音字「व」で表す。
  • ガ行:子音字「ग」で表す。
  • ザ行:子音字「ज़」で表す。ただし「ジ」はヘボン式に従い「जि」(ji)で表す。
  • ダ行:反り舌音の子音字「ड」で表す。
  • バ行:子音字「ब」で表す。
  • パ行:子音字「प」で表す。
  • キャ行、ギャ行、ニャ行、ヒャ行、ビャ行、ピャ行:結合子音字「क्य」「न्य」「ह्य」「ब्य」「प्य」で表す。
  • シャ行、ジャ行、チャ行:子音字「श」「ज」「च」で表す。ヂャ行も「ज」で表す。
  • 長音:ア段、エ段、オ段はもともと長音なのでそのままでよい。イ段、ウ段は「ी」「ू」で表す。
  • 促音:直後の子音字を連ねて表す。

デーヴァナーガリー文字からアルファベットへの転写[編集]

ヒンディー語とほとんど同じ言語と言われるウルドゥー語はアラビア文字を使う(デーヴァナーガリー文字を使う人もいる)。そのため、それぞれの言語の話者の意思疎通にはアルファベットを用いることがある。転写方法にはいくつかあり、それぞれ長所と短所がある。

  • デーヴァナーガリー文字をそのままアルファベットに置き換える方法

デーヴァナーガリー文字/母音・子音を参照。ただしこれはṭなど付点のついた文字を用いるので、この文字が表示できない環境では役に立たない。このようなときはw:京都・ハーバード方式を用いる。

  • ヒンディー語での発音を英語のそれに置き換える方法

英語のbee,coolなどのようにeeで「ई」の音を、ooで「ऊ」の音を表すことがある。この方法でキーボードからデーヴァナーガリー文字を入力するソフトがある。

英語からデーヴァナーガリー文字への転写[編集]

ヒンディー語には英語から借用した語彙が多い。これらの語は次のような特徴をもつ。

  • 英語のつづりをそのままデーヴァナーガリー文字に置き換えたのではなく、発音に合わせる。
  • t,dは反り舌音(t→ट、d→ड)で表し、そのように発音する。
  • 「र」(r)の音をしっかりと発音する。

  • बस(bas、バス):バス、英語busから
  • डिपार्टमेंट स्टोर(ḍipārṭmenṭ sṭor、ディパールトメント・ストール):デパート、英語department storeから