ファイナンシャル・プランニング技能士試験/タックスプランニング

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

わが国の税制[編集]

税法体系[編集]

税の種類[編集]

国税には所得税、法人税、相続税、贈与税、印紙税などがあり、地方税には住民税、不動産取得税、事業税、固定資産税などがある。課税対象となる所得の額に比例して税率が高くなるものを(超過)累進税率という。

所得税の仕組み[編集]

所得税の基本的事項[編集]

所得税の定義[編集]

所得税の4つの原則に、実質所得者課税・個人単位課税(個人ごとに課税される)・暦年単位課税(毎年1月1から12月31までの一年間の所得に課税される)・応能負担がある。非永住者以外の居住者は、すべての所得に対して納税義務がある。非居住者は国内で生じた所得のみ課税対象である。 各種所得の金額は、基本的に「所得 = 収入(金額) - (必要)経費」で求められ、次に損益通算所得控除税額控除と、調整がなされた後ではじめて税金がかかり、源泉徴収申告・納付となる。

納税地[編集]

収入金額[編集]

未収金でも収入が決まった場合は収入金額に入れる。現金や経済的利益でなくとも、収入金額に算入されるものがある。事故などで損害を受けた商品に対して支払われた損害賠償金は課税所得となる。

必要経費[編集]

業務用固定資産の購入や借入れにおいて、業務使用が開始される前の期間分の借入金の利息は必要経費にできず、取得費となる。

非課税所得と課税所得[編集]

障害年金や遺族年金はいずれも非課税である。公社債等の債券の売買益は非課税となる。個人が受け取る損害保険金・所得補償保険金、事故により加害者から受け取った損害賠償金・慰謝料なども非課税である。生活用動産の譲渡益は非課税である(なので、譲渡損もないとされ損益通算の対象外である)。

所得の計算手順における総所得金額、課税総所得金額等[編集]

税額の計算方法[編集]

納付税額の計算[編集]

課税総所得金額や課税退職所得金額には超過累進税率が掛けられる。土地建物に係る課税譲渡所得金額には比例税率が掛けられる。

租税特別措置法による特別な税額計算[編集]

平成20年12月31日分まで、一定の要件を満たした、上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額に対する税額は10%(所得税7%、住民税3%)であり、平成21・22年分は500万円以下の部分は10%で、500万円超の部分は20%になり、平成23年からは金額にかかわらず20%(所得税15%、住民税5%)になる。

総合課税と分離課税[編集]

所得税は原則として総合課税である。総合課税されるのは、配当所得、不動産所得、給与所得、ゴルフ会員権などの譲渡所得、満期保険金などの一時所得、公的年金などの雑所得、等である。ほかの所得と総合しないものを分離課税という。分離課税の所得は、土地建物・株式等の譲渡所得・山林所得・退職所得がある。確定申告よって納税することを申告分離課税といい、税金が天引きされることを源泉分離課税という。

各種所得の内容[編集]

利子所得[編集]

利子所得(公社債投資信託・合同運用信託の収益分配金など)は、源泉分離課税となる。

配当所得[編集]

株式投資信託の収益分配金は配当所得となる。

不動産所得[編集]

不動産を貸付けたことによる所得を不動産所得という。事業的規模で営んでいても不動産所得になる。貸し付けていた建物を取壊すときの除却費は、事業的規模の貸付けであれば、原則として全額が不動産所得の必要経費になる。

事業所得[編集]

事業所得の計算は、「事業所得の金額 = 総収入金額 - 必要経費」で求められる。個人事業主の事業所得において、販売用の商品が受けた損害によって取得した保険金は総収入金額に算入する。販売用の商品を自家用に消費したり、知人に贈与しても、販売価格相当額・贈与時の棚卸資産の価額を収入金額に計上する。必要経費である売上原価において届出をしていない場合の評価方法は最終仕入原価法である。個人の減価償却において、償却方法の届出をしない場合の法定償却方法は定額法である。個人の場合は、償却限度額までの強制償却である。自宅と店舗等を兼用している場合の家事関連費(水道光熱費など)は、明らかに事業として使用している部分は必要経費に算入できる。

給与所得[編集]

給与所得は、「収入金額 - 給与所得控除額」である。給与所得控除を上回る特定支出(通勤費・出張費など)には、特定支出控除が認められている。

譲渡所得[編集]

不動産・動産の譲渡、法人に対する贈与などが当てはまる。不動産(貸付け用マンション・居住用の自宅を含む)や株式等の譲渡は申告分離課税による譲渡所得となる。ゴルフ会員権・事業用車両などの売却による所得は、総合課税の譲渡所得である。総合課税の短期譲渡と長期譲渡の区別は、取得した日から譲渡した日までの所有期間で判定する。受贈資産の譲渡の場合でも、それを譲渡した日から所有期間(購入日または取得日)が始まる。宅地の譲渡所得における譲渡の日は、その宅地の引渡しが行われた日か、契約の効力が発生した日を選べる。総合課税の譲渡所得には、短期譲渡と長期譲渡との合計で最高50万円の特別控除がある。譲渡所得の計算において、建物の取得費は「取得費 = その試算の取得に要した金額 + 設備費・改良費 - 減価償却費相当額」であり、維持費は費用に算入できない。事業者による譲渡は消費税の課税対象になる。

一時所得[編集]

懸賞の賞金品・生命保険の一時金などは一時所得となる。最高50万円の特別控除額がある。

雑所得[編集]

公的年金から受け取る老齢年金、生命保険契約から受け取る個人年金は、雑所得になる。公的年金等控除額は、公的年金の収入金額の合計に応じて、65歳未満は70万円、65歳以上は120万円からスタートする。年金保険は公的年金等以外の雑所得である。

退職所得[編集]

退職所得には、確定拠出年金からの一時金払いの老齢給付金などがある。退職所得の計算式は、「退職所得の金額=(収入金額-退職所得控除額)×2分の1」であり、退職所得控除額の計算式は、勤続年数20年以下の場合「40万円×勤続年数」であり(最低80万円)、20年以上の場合「70万円×(勤続年数-20年)+800万円」である。勤続年数における○ヵ月の端数は切り上げる。障害者になったことが原因で退職した場合、退職所得控除額に一律100万円が加算される。この退職所得の金額に対して所得税率がかかる。「退職所得の受給に関する申告書」で源泉徴収されても確定申告(還付申告)ができる。

山林所得[編集]

損益通算[編集]

所得の総合と損益通算の仕組み[編集]

一時所得・総合課税の長期譲渡所得は、損益通算後に2分の1を乗ずるので二次通算の対象である。

損益通算ができる所得とできない所得の区別[編集]

不動産所得・事業所得・山林所得・総合課税の譲渡所得において、その損失は損益通算が可能である。生活に通常必要でない資産(別荘など)の譲渡による損失、不動産所得の損失のうち土地を取得するのに要した借入金の利子の部分は、損益通算できない。

所得控除[編集]

控除の種類とその順序および手続[編集]

各種所得控除[編集]

雑損控除[編集]

災害や盗難などにより生活に必要な資産が損失したときが対象で、生活に通常必要でない資産は含まれない。控除額は「{(損害額 + 災害関連支出) - 保険金による補てん額} - 総所得金額等の10%」・「災害関連支出 - 5万円」のうち大きい方である。

医療費控除[編集]

納税者または同一生計の親族の医療費を支払った場合に対象になる。控除限度額は年間200万円までである。医療費の範囲は、看護師等による世話代などがある。対象外になるのは、病気が発見されない場合の健康診断、治療が必要でないときのメガネ、健康補助食品などである。病気が発見されない場合の健康診断は対象の範囲外である。医療費控除の請求の際は、会社員でも確定申告をし、医療費の領収書などの支払いを証明する資料が必要である。医療費控除の計上時期は、実際に支払った年の金額に限られる。この還付申告は5年以内であればいつでもできる。

社会保険料控除[編集]

社会保険料控除の対象は、健康保険料・年金保険料・雇用保険料などである。本人または同一生計の配偶者その他親族が負担すべき社会保険料を支払った場合、その全額が控除の対象になる。その年における支払額・給与や年金から引かれた額に限り、社会保険料控除が適用される。国民年金の保険料の場合、適用には書類の添付が必要である。給与所得者は年末調整で社会保険料控除ができる。

小規模企業共済等掛金控除[編集]

支払った掛け金の全額を控除できる。

生命保険料控除[編集]

一般の生命保険料と個人年金保険料に分かれており、それぞれ年間10万円超の支払いがあれば、それぞれ5万円(合計で10万円まで)が一律の控除額になる。

地震保険料控除[編集]

配偶者控除[編集]

納税者と生計を一にし入籍しており合計所得金額が38万円以下の配偶者がいる場合は、配偶者控除を受けられる。青色事業専従者として給与を受けている場合は対象にならない。納税者の配偶者のパート収入が103万円以下で他に収入がなければ、給与所得控除額65万円を差し引いた合計所得金額が38万円以下になるので、納税者には配偶者控除が適用される。

配偶者特別控除[編集]

納税者と生計を一にする配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満で、納税者自身も合計所得金額が1,000万円以下という要件を満たせば配偶者特別控除が受けられる。なので、配偶者控除と同時に受けることはできない。配偶者の合計所得金額に応じて、控除の度合いが異なる。

寄付金控除[編集]

障害者控除[編集]

本人、控除対象配偶者、扶養親族が障害者であるときに適用される。

寡婦(夫)控除[編集]

勤労学生控除[編集]

勤労学生で合計所得金額が65万円未満であれば、27万円の控除が受けられる。

扶養控除[編集]

所得税の、特定扶養親族(16歳以上23歳未満)に対する控除額は1人につき63万円である。一般の扶養親族では38万円を控除できる。

基礎控除[編集]

無条件に適用される38万円の人的控除である。

税額控除[編集]

税額控除の種類[編集]

各種税額控除[編集]

配当控除[編集]

申告不要制度を選択しない場合、配当控除が適用できる。課税総所得金額が1,000万円以下の場合、配当所得の金額 * 10% が配当控除額になる。

住宅借入金等特別控除[編集]

住宅ローン控除は、一定の要件を満たせば年末における住宅ローンの残高に応じた税額控除が受けられる制度で、平成25年(2013年)12月31日で期限が切れる予定である。最長10年間控除ができる。計算式は「住宅借入金特別控除額 = 年末の住宅借入金の残高 * 控除率」で、年単位で計算する。平成21年の借入残高の上限は5,000万円、一般の住宅の控除率は1%である。要件は、合計所得金額が3,000万円以下、金融機関等からの借入金の返済期間が10年以上、取得後6ヶ月以内に入居しその年の12月31日まで住むこと、などがある。最初の年は必ず確定申告する必要があり、翌年以降は年末調整で控除できる。所得税から控除しきれない分は、住民税から控除される。

所得税の申告と納付[編集]

源泉徴収[編集]

源泉徴収制度の対象となる所得・徴収額[編集]

割引金融債は 18% の源泉分離課税である。「退職所得の受給に関する申告書」が会社に提出されていないと、退職収入の20%の額が源泉徴収される。納め過ぎの場合、還付の手続きができる。

支払調書、源泉徴収票、徴収義務者[編集]

給与などの支払いをする者を源泉徴収義務者といい、支払いをした月の翌月10日までにその徴収額を納める。

源泉徴収票の見方[編集]

給与所得の源泉徴収票において、「給与所得控除後の金額」の欄には給与所得の金額が記されている。「所得控除の額の合計額」は年末調整で控除できる所得控除のみ記載されている。「控除対象配偶者の有無等」の「有」に○等の印が付いていれば配偶者控除の適用を示し、配偶者特別控除は適用されない。所得税において、50,000円を限度に地震保険料の全額が控除できるが、これには15,000円が上限の旧長期損害保険料控除額が含まれる。「源泉徴収税額」には所得税のみ記載される。

所得税の申告と納付[編集]

確定申告[編集]

給与所得者においても、1ヵ所から給与を受けていて、給与所得と退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合は確定申告しなければならない。確定申告をするとその年分の控除しきれない雑損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し控除できる。 平成21年と22年は、小口の個人の株主が受け取る上場株式の配当は年間100万円以下であれば確定申告不要である。

青色申告[編集]

1月16日以降に新たに事業を開始したときの申請は、事業開始から2ヶ月以内に、青色申告承認申請書を所轄の税務署長に提出する。正規の簿記により記帳されると、事業的規模の不動産所得から65万円の青色申告特別控除を受けることができる。一定の要件を満たすと、青色事業専従者給与として所得の必要経費に算入できる。純損失が生じた場合、繰越と還付を受ける特典がある。

納付[編集]

異議申立、審査請求[編集]

個人住民税[編集]

納税義務者[編集]

均等割と所得割・利子割[編集]

所得税計算との相違[編集]

生命保険料控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除などは、所得税と住民税で控除額が異なる。

個人事業税[編集]

事業税と納税義務者[編集]

不動産貸付業は、一定規模になったときに課税される。

所得と税額の計算[編集]

申告と納付[編集]

法人税[編集]

法人税の仕組み[編集]

ある事業年度における法人税の所得の金額は「所得 = 益金 - 損金」で求める。所得は「会計上の損益」を基に申告調整により計算するので、所得と会計上の損益は等しくない。内国普通法人の法人税率は、期末資本金が1億円以下の法人は、所得金額が年800万円以下の部分に対して平成23年(2011年)3月31日まで18%とされている。

益金[編集]

株主に支払う配当は損金不算入である。

受贈益および債務免除益[編集]

法人が無償で資産を受け取ると、雑収入等として益金に計上する。 役員が法人に資産を贈与した場合、受贈益とされ益金に算入する。「土地の無償返還に関する届出書」を提出すれば、借地権の受贈益の課税がされない。 債権者から債務を免除された場合、債務免除額が益金に算入される。

損金[編集]

減価償却[編集]

平成19年4月1日以降に取得した有形減価償却資産の残存価格が廃止となった。平成10年4月1日以降取得の建物の減価償却方法は定額法のみである。取得価額が10万円未満か使用可能期間が1年未満の原価償却資産は、事業用の場合、その全額を必要経費として損金算入できる。

役員報酬[編集]

役員に交際費等として毎月同額を支払い、精算がなされていないときは役員報酬になる。専務取締役などの役員報酬は、適正な額は損金に算入できる。

役員賞与、役員退職金[編集]

使用人兼務役員(部長や課長など)の使用人分の賞与・役員退職給与は、基準を満たさないと損金算入できない。

寄付金、接待交際費[編集]

寄付金や交際費は、求めた損金不算入額を決算利益に加算する。資本金が1億円以下の法人の交際費は、一定額を損金算入できる。

福利厚生費[編集]

全従業員が参加の慰安旅行は、一定の要件を満たせば役員分も含めて損金算入できる。

租税公課[編集]

法人が支払った交通反則金は損金不算入となる。

消費税[編集]

納税義務者と納税免除[編集]

個人事業者の場合、その年の前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下であれば免税事業者となる。個人事業主で基準期間が1年未満のときは、1年換算せずに実際の課税売上高で判定する。個人事業者の新規開業において、納税義務者の事業を引き継いだ場合でも最初の2年間は免税される。新たに法人を設立した場合は、資本金か出資額が10,000千円以上であれば課税事業者になる。

申告・納付[編集]

「簡易課税制度選択届出書」を所轄の税務署長に届け出ると、基準期間の売上高が一定以下であれば、簡易課税制度の適用が受けられる。

会社、役員間および会社間の税務[編集]

会社が役員の資産(土地など)を高額で購入した場合、時価との差額が役員賞与になる。役員に社宅を無償か低額で賃貸したときは、通常の家賃との差額が役員報酬になる。

決算書と法人税申告書[編集]

タックスプランニングの最新の動向[編集]