フランス語/文法/所有形容詞
所有形容詞は名前の通り、形容詞の一種ですが、見た目は冠詞によく似ています。冠詞の項で、名詞はいつも「何か」と一緒に用いられると書きましたが、この所有形容詞も「何か」の一種なのです。
所有する人を表す形容詞、それが所有形容詞です。つまり、「私の」「あなたの」という意味ですね。英語でいう 「my bag (私のバッグ)」 の my がそれです。
使い方
[編集]男性単数形 | 女性単数形 | 男女複数形 | |
---|---|---|---|
1人称 単 | mon | ma | mes |
2人称 単 | ton | ta | tes |
3人称 単 | son | sa | ses |
1人称 複 | notre | notre | nos |
2人称 複 | votre | votre | vos |
3人称 複 | leur | leur | leurs |
私の |
君の |
彼の,彼女の,それの |
私たちの |
あなたの,あなたたちの,君たちの |
彼らの,彼女たちの,それらの |
所有形容詞は形容詞ですから、名詞に付きます。さて、名詞のどこに付くのでしょうか? 上で、所有形容詞は「何か」の一種であると書きました。冠詞に代わって名詞の前に置かれるのです。
- le père → mon père (私の父)
- la mère → ma mère (私の母)
表の見方
[編集]初めて表を見た人は、所有形容詞の量に戸惑いを覚えるかもしれません。しかし、よくよく眺めてみれば、規則性があって意外と単純です。列に沿って、 「モン・マ・メ、トン・タ・テ、ソン・サ・セ…」 と覚えてしまえば、簡単です。
性と数
[編集]「彼女のバッグ」と言うには、まず横の列から「彼女の」の段を探しましょう。上から三列目ですね。次に、「バッグ」の性と数に合わせて、縦の三列の中からひとつ選びます。 「le sac (バッグ)」 は男性名詞ですから、ひとつのバッグなら 「son sac」、複数あるなら 「ses sacs」 となりますね。お気づきでしょうか、所有形容詞の性と数は、所有者ではなく、被所有物に合わせて変わるのです。 「私のリンゴ」と言いたいなら、「私」が男性か女性かに関わらず、 「ma pomme」 としなければなりません。そして当然ながら、 「ma pomme」 から所有者の性を判断することは無理でしょう。
- fleur (花/女性名詞)
- ma fleur 私の花
- votre fleur あなた(たち)の花
- sa fleur 彼(彼女)の花
- oiseau (鳥/男性名詞)
- leur oiseau 彼ら(彼女たち)の鳥
- tes oiseaux 君の鳥たち
- nos oiseaux 私たちの鳥たち
母音で始まる名詞
[編集]女性名詞が母音で始まっている場合は、男性形の所有形容詞を使います。これは、女性形を使うと母音が続いて、発音しにくくなるためです。 「ma orange マ・オらンジュ」 と言うよりも、 「mon orange モン・ノらンジュ」 とリエゾンさせた方が、読みやすいですね。
- orange (オレンジ/女性名詞) → mon orange (私のオレンジ)
- île (島/女性名詞) → ton île (君の島)