フランス語/文法/所有形容詞

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

所有形容詞は名前の通り、形容詞の一種ですが、見た目は冠詞によく似ています。冠詞の項で、名詞はいつも「何か」と一緒に用いられると書きましたが、この所有形容詞も「何か」の一種なのです。
所有する人を表す形容詞、それが所有形容詞です。つまり、「私」「あなた」という意味ですね。英語でいう 「my bag (私のバッグ)」 の my がそれです。

使い方[編集]

男性単数形 女性単数形 男女複数形
1人称 単 mon ma mes
2人称 単 ton ta tes
3人称 単 son sa ses
1人称 複 notre notre nos
2人称 複 votre votre vos
3人称 複 leur leur leurs
 
私の
君の
彼の,彼女の,それの
私たちの
あなたの,あなたたちの,君たちの
彼らの,彼女たちの,それらの


所有形容詞は形容詞ですから、名詞に付きます。さて、名詞のどこに付くのでしょうか? 上で、所有形容詞は「何か」の一種であると書きました。冠詞に代わって名詞の前に置かれるのです。

  • le père → mon père (私の父)
  • la mère → ma mère (私の母)


表の見方[編集]

初めて表を見た人は、所有形容詞の量に戸惑いを覚えるかもしれません。しかし、よくよく眺めてみれば、規則性があって意外と単純です。列に沿って、 「モン・マ・メ、トン・タ・テ、ソン・サ・セ…」 と覚えてしまえば、簡単です。

性と数[編集]

「彼女のバッグ」と言うには、まず横の列から「彼女の」の段を探しましょう。上から三列目ですね。次に、「バッグ」の性と数に合わせて、縦の三列の中からひとつ選びます。 「le sac (バッグ)」 は男性名詞ですから、ひとつのバッグなら 「son sac」、複数あるなら 「ses sacs」 となりますね。お気づきでしょうか、所有形容詞の性と数は、所有者ではなく、被所有物に合わせて変わるのです。 「私のリンゴ」と言いたいなら、「私」が男性か女性かに関わらず、 「ma pomme」 としなければなりません。そして当然ながら、 「ma pomme」 から所有者の性を判断することは無理でしょう。

  • fleur (花/女性名詞)
  • ma fleur 私の花
  • votre fleur あなた(たち)の花
  • sa fleur 彼(彼女)の花


  • oiseau (鳥/男性名詞)
  • leur oiseau 彼ら(彼女たち)の鳥
  • tes oiseaux 君の鳥たち
  • nos oiseaux 私たちの鳥たち


母音で始まる名詞[編集]

女性名詞が母音で始まっている場合は、男性形の所有形容詞を使います。これは、女性形を使うと母音が続いて、発音しにくくなるためです。 「ma orange マ・オらンジュ」 と言うよりも、 「mon orange モン・ノらンジュ」 とリエゾンさせた方が、読みやすいですね。

  • orange (オレンジ/女性名詞) → mon orange (私のオレンジ)
  • île (島/女性名詞) → ton île (君の島)