中学校社会 地理/時差
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基礎知識
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時差(じさ、英:time difference)とは、地球上の異なる地点間で生じる時刻の差のことである。オンライン会議やライブ配信など、グローバルなコミュニケーションが日常的になった現代では、時差を理解することがますます重要になっている。
時差の仕組み
[編集]地球は約24時間(正確には23時間56分4秒)で1回転している。1回転は360度なので、 経度15度の差につき、時差は1時間生じる(360度÷24時間=15度)。
経線(または子午線)は北極と南極を結ぶ線で、これを基準に時差が計算される。世界の標準となる経線は、イギリスのグリニッジ天文台を通る「グリニッジ子午線」(経度0度)である。
標準時と時間帯
[編集]協定世界時(UTC:Coordinated Universal Time)を基準に、各地域で使用する時刻を標準時(英:standard time)として定めている。
日本の標準時(日本標準時・JST)は「UTC+9」で、理論上は東経135度(兵庫県明石市付近)の地方時に基づいている。実際の運用では、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が原子時計により時刻を管理している。
広大な国土を持つ国々では、複数の標準時を採用している:
- ロシア:11の時間帯
- アメリカ:本土だけで4つの時間帯(その他、アラスカやハワイなども異なる時間帯)
- 中国:地理的には4つの時間帯があるが、政策として全土で単一の標準時(北京時間)を使用
国際日付変更線
[編集]国際日付変更線(こくさい ひづけ へんこうせん、英:International Date Line、IDL)は、おおよそ経度180度に沿って引かれた線で、日付の境界となっている。
この線を越える際の日付の調整:
- 西から東へ越える場合:日付を1日戻す(例:火曜日→月曜日)
- 東から西へ越える場合:日付を1日進める(例:月曜日→火曜日)
変更線は主に太平洋上にあり、人口密集地や同一国の領土を分断しないよう、実際の線は経度180度から若干ずれた経路をとっている。
デジタル時代の時差対策
[編集]- スマートフォンやパソコンは通常、自動的に現地時刻に調整される
- オンライン会議ツールの多くは、参加者の時間帯を自動的に変換して表示
- 世界時計アプリやウェブサービスにより、複数地域の時刻を簡単に確認可能
時差の計算
[編集]では、実際の時差を計算してみる。兵庫県明石市の東経は東経135度である。ただし「サマータイム」(夏時間)などの、季節による時刻調整は考えないとする。
なお、計算式は()内に示した。
- 例題1 東京とロンドンの時差は何時間か求めなさい。また、ロンドンの日時が1月1日の午前0時のとき、東京は何月何日の何時か答えなさい。
- 答え
- まず、問題文には1時間の時差が、経度で何度の違いかが書いていないので、それを求めます。 360 ÷ 24 = 15 なので、経度15度ごとに1時間の時差が生じます。
- ※注意: 問題文に1時間の時差の角度が書いてない場合は、決して暗記から思い出さずに、きちんと計算して確かめること。もし、間違えて「25度で1時間」(←間違い!覚え違い!)などと覚え違いをすると、その後の解答が間違ってしまうので。
- ロンドンの時間は経度0度であり、東京の時間は東経135度の兵庫県明石市の地点の時間として計算するので、ロンドンと東京の経度の差は135度である。
- ( 135度 - 0度 = 135度 )
- 経度15度で時差は1時間だから、東京とロンドンの時差は9時間である(135÷15=9時間)。
- 東京とロンドンの時差が9時間というのは、入試などに頻出事項なので、覚えておいても、構いません。
- ロンドンが1月1日の午前0時のとき、東京は1月1日の午前9時である。
- 例題2 東京とニューヨークの時差は何時間か求めなさい。ニューヨークの時間の経度は西経75度である。また、日本の時刻が1月1日の午前0時のとき、ニューヨークの日時はいつかを答えなさい。
- 答え
- この種の問題は、西経にある国の時差と、東経にある国との時差を問う問題です。ロンドンを基準として考えた場合、東経にある東京はロンドンよりも時間が進んでいます。一方、西経にあるアメリカの時間はロンドンよりも遅れています。
- 西経75度にあるニューヨークと、東経135度にある東京との時差を求めるために必要な間の角度を、まず、求めます。
- 75度 + 135度 = 210度
- よって、角度は210度となります。東経と西経の間の時差を求めるためには、2つの数を足し合わせます。
- どうして、こう計算するかというと、ロンドン(東経0度)を日米両国の基準にして考えてみれば、東経を(+135度)として表した場合、西は東の反対方向なので、西経75度は(-75度)として表せます。
- (135度) - (-75度) = 135度 + 75度 = 210度
- というわけです。
- 経度15度ごとに1時間の時差ですから、210度の角度差に対応する時差は 210 ÷ 15 = 14 より、14時間の時差です。
- 日本が1月1日の午前0時のとき、ニューヨークの時刻は、14時間だけ遅れるので、ニューヨークは前年の12月31日の午前10時になります。
大きな国の時差
[編集]ロシアやアメリカのような大きな国では、複数の標準時を持つこともあります。たとえばロシアでは、2014年以降11の時間帯があります。国土が東西方向に長いほど、原則的に標準時の数は多くなります。
アメリカ本土では4つの主要な時間帯があり、アラスカとハワイを含めると6つの標準時があります。アメリカの隣国のカナダも、同じように標準時が分かれています。
一方、国によっては独自の標準時を設けている国もあります。たとえば中国では、国全体で一つの標準時を採用しています。
- 例題3 ロサンゼルスが11月20日午前2時のとき、日本時間を求めなさい。なお、ニューヨークの経度は西経75度である。ロサンゼルスの経度は西経120度である。日本の兵庫県明石市の経度は東経135度である。
- 夏時間については、11月20日における時差なので、考慮する必要はない
- 答え
- ロサンゼルスの時間は西経120度の地点を時間として計算する。この問題では、ニューヨークの時間を計算する必要がない。ニューヨークの経度が問題文に書かれているのは、単に、引っかけ問題なだけである。
- 日本とロサンゼルスの経度の差は、東経の差と西経の差を合わせて255度である(135+120=255度)。
- 経度15度で時差は1時間だから、日本とロサンゼルスの時差は17時間である(255÷15=17時間)。
- 日本はロサンゼルスよりも早く時間が進んでいるので、ロサンゼルスの時刻に17時間を足して、日本時間は11月20日午後7時(19時)となる。
- ( 2:00 + 17:00 = 19:00 )
- UTCの特徴
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- 原子時計による国際原子時(TAI)と地球の自転に基づく世界時(UT1)を組み合わせて決定
- 必要に応じてうるう秒を挿入し、地球の自転との誤差を±0.9秒以内に維持
- グリニッジ子午線(経度0度)における平均太陽時にほぼ一致
- UTCの利用
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- 各国の標準時は、UTCからの偏差で定義(例:日本標準時はUTC+9)
- 科学観測、衛星通信、金融取引など、高精度な時刻同期が必要な分野で使用
- インターネットやコンピュータシステムの時刻同期プロトコル(NTP)の基準時
- 航空管制や気象観測などの国際業務での共通基準
- UTCと他の時刻との関係
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- グリニッジ標準時(GMT):歴史的な時刻基準。現在は非精密な一般用語として使用
- 国際原子時(TAI):うるう秒の調整がないため、UTCとの差は徐々に開く(2024年時点で37秒)
- 世界時(UT1):地球の実際の自転に基づく時刻。天文観測などで使用