コンテンツにスキップ

中学数学1年 平面図形

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
中学校の学習 > 中学校数学 > 中学数学1年 > 中学数学1年 平面図形

平面と点

[編集]

図形の学習をどこから始めるか

[編集]

図形、ものの形の研究というと、積み木やボールのような立体物を思い浮かべる人もいるかもしれない。最近は3Dプリンターが普及し、立体を作ったり記録したり複製したりできるようになってきた。しかしまだ、手軽に迅速に、というわけにはいかないようだ。そこで図形の学習の手始めは、ノートや黒板のような(古くは地面や石板のような)平たいところに描ける「平面図形」を扱うことにする。実際のノートには(へり)があり、描ける広さには限りがあるが、我々の考える平面とは縁のない、限りなく広くて平らな面という、想像上の産物である。特に断らない限り、上下や左右の区別もない、どこまでも続く広がりを考える。それが平面である。

点とはなにか

[編集]

最も基本的な平面図形は、である。点には広がりがなく、その性質は位置のみ。位置を表す図形が点である、と考えて良い。広がりがないということは、色をつけて塗ることはもちろん、通常の筆記用具でも描くことすらできないが、これでは、ノートに形が描けるという平面図形の利点が活かせない。そこで描く人、読む人が共通のルールのもとに、点そのものではないものを描いて、点の位置を表すことにする。小さな黒丸を描いて、その中心付近に点が位置する、と考えよう。あるいは短い線を交わらせて、その交わったところに点が位置すると決めておく。または、見落としそうな小さい小さい黒い点を打って、目立つようまわりを丸で囲むことで、点の位置を表す。このようなルールのもとに描かれる図形は点そのものではないが、点の位置を平面の上に描いてそのイメージを伝えるには十分に機能する。こうした手法を「図示」と呼ぶ。

点が複数あるとき、それらを区別するために、点に名前をつける。現在の初等中等教育では、点の名前にはアルファベットの大文字、立体(傾けずにまっすぐ立てて書いた字)1文字を使って表す。アルファベットの大文字は全部で26種類しかないので、 など、数字と紛らわしい文字も、使う場面を限定して使うことがある。文字のまわりにちょっとした飾りをつけたり、文字の右下に番号の添字(そえじ)をつけて、別の文字として扱う工夫も行われる。

点の表す位置が変化を伴わず、全く動かない点として表されるとき、この点を定点と呼ぶ。特に区別なく点と言う場合には、定点を指すものと思ってよい。一方、点の位置が変化して、動く点として示される場合、点は動点と呼ばれる。何の制約もなく動き回る動点では掴み所がないので、多くの場合、動点は他の図形の内部を動いたり、周に沿って動くなど、動ける位置の領域が予め与えられている場合が多い。点が動いてゆく過程で、動点が定点を通過したり、他の動点と重なったりして、異なる2点が同じ位置を共有することも起こり得る。

2つの点があるとき、それらの位置が似かよっていれば2点は近くにあり、大きく異なっていれば遠く離れて位置する、と考えられる。その度合いを数の大小で表したものを「2点間の距離」と呼ぶ。実は、距離の測り方にも色々あるのだが、まずは小学校以来おなじみの、定規を当てて測るイメージでかまわない。2点, 間の距離を、2点の名前を並べて、距離、または距離と表す。

直線と角

[編集]

直線、線分、半直線

[編集]

平面上に異なる2定点A,Bが与えられているとしよう。このとき平面上の全ての点は、BよりもAに近い点/AよりもBに近い点/2点A,Bから等距離にある点、の3種類に分けられる。とくに、この3番目に属する点は、前2者を隔てるように引かれた、限りない長さを持つ、ひとつながりのまっすぐな線をなす。一定の条件を満たす点が、集まって別の図形を形作ることに注目しよう。この図形を「直線」と呼ぶ。一般社会では、この「直線」という言葉は、まっすぐに引かれた線の総称として用いられているが、数学ではまっすぐに引かれた線を、細かく3つの図形として区別し、別々の用語で表すことにする。

2点を通るまっすぐな線を引くとき、その点で止まらずに無限に伸ばした線を直線(ちょくせん)という。2点を決めると、この2点を通る直線は 1本あって、1本に限る。直線が2つの点を通るとき、この直線をその 2点の名前を並べて表す。例えば 2点 を考えるとき、これら 2点をまっすぐ結び、さらに点 を越えた後にもその線をのばして、そのまま無限にはるか彼方まで、両方の向きにのばしていったものを「直線 」(英:line AB)または「直線 」(英:line BA)という。「直線 」と呼んでも「直線 」と呼んでも、同じ 1本の直線を指しており、呼び方による区別はない。もし、1直線上に異なる3点が認められるとき、これらを使って直線を名付けると、6通りの名前が考えられる。実体が1つなのに複数の名前を持つのがいやなら、小文字の斜体1文字で直線に名前を付けて、直線 や 直線 のような呼び方をすることもできる。

一方、直線から、直線上の 2点で切り取った間の部分、即ち、2つの点の間をまっすぐに結んで得られる線を線分(せんぶん)という。このとき、この 2点をそれぞれ「線分の端点(たんてん)」と呼び、両方を指して「線分の両端(りょうたん)」という。線分の端点から、もう一方の端点までの距離を「線分の長さ」と呼ぶ。線分の長さは常に有限である。数学の世界で区別する、3種類の「まっすぐな線」のうち、長さを持つのは線分だけである。線分は両端の名前を、そのまま並べて表す。例えば、2点 を考えるとき、その点の間にまっすぐに引いた線のことを「線分 」(英:segment AB)または「線分 」(英:segment BA)と呼ぶのである。通常の使い方では「線分 」と「線分 」の区別はなく、同じ 1本の線分を表している。

直線上のある 1点で直線を切ると、線が途切れたところから、反対の向きに、無限にまっすぐにのびた 2つの部分に分けられる。その一方を半直線(はんちょくせん)と呼ぶ。このとき、この 1点を「半直線の始点」と呼び、のびてゆく向きを「半直線の向き」という。数学の世界で区別する、3種類の「まっすぐな線」のうち、向きを持つのは半直線だけである。半直線はそれぞれ 1つの始点を持つが、そこから無限にのびてゆくので、長さは考えない。半直線の名前は、半直線の始点に続て、のびてゆく先にある1点の名前を並べて表す。

例えば右図では、「半直線 」(英:ray AB)とよぶ。これに対し「半直線 」というと、始点が となり、点 までまっすぐに結び、さらに点 を越えた後もそのまま無限にはるか彼方まで、一方の向きにのばしていったものになる。

線分 を、点 の方にのばして半直線を作ることを、「線分 を延長する」といい、このとき生じた半直線 から、もとの線分 を除いた残りの部分を「線分 の延長」という。線分は延長して半直線を作るときだけ、向きを意識して「線分 」と「線分 」を区別することに注意しよう。

半直線にはもう一つ、始点と、始点から見たとき半直線が伸びてゆく先の遥か彼方の点を考え、その2点の名前を並べて名付ける方法がある。このように、向きだけを与える遥か彼方の点は「無限遠点」と呼ばれ、これについてはどの検定教科書にも記載がないが、半直線を示す際に、向きを表す点の手前なのか、さらに先なのかを区別する煩わしさがないため、図示とくに角の表記などで、どの教科書でも断りなく使われている現状がある。


1点を通る直線は何本もあるが、2点を通る直線は1本しかない。

3点を通る直線は、ないか、あったとしても高々 1本しかない。


線分 は、点 と点 をつなぐ他のどんな曲線よりも短い。この線分 の長さは2点 間の距離(きょり)に等しい。

図形の計量を記号で表す場合、 と書いて線分 の長さを表す。

交点

[編集]

2つの線が1点で交わるとき、交わる点を交点(こうてん)という。


交わる2直線・平行な2直線

[編集]

直線が2本あるとき、その位置関係は交わるか、交わらないかの 2通りしかない。

交わる場合、交点は 1つあって、1つに限る。

交わらないとき「平行な2直線」と呼び、2直線を「1組の平行線」という。

なお、直線が2本、ぴったり重なっている場合はここでは考えない。それは、2点を通る直線は 1本あって、1本に限ると決めたからである。

平行な2直線
平行な2直線

直線 と直線 が平行であるとき、これを記号//を用いて、

//

と表す。これは記号であるから、図示された平行線が異なる向きで描かれていても、右上から左下に向かう斜線を2本並べて示す。スラッシュを2本並べて書いたように見えることから「ダブルスラッシュ」あるいは略して「スラスラ」と読み下されることがある。

一方、図示では、平行に見えるように2直線を引いた上で、直線に同じ向き鏃(やじり)を書き込んで平行であることを表す。3本の直線が平行である場合は、3直線のそれぞれに同じ向き、同じ形状の鏃を書き込んで表す。また、2組以上の平行線がそれぞれ異なる方向を持つ場合は、異なる形状の鏃を使って区別して図示する。


直線を「 」という表記ではなく、 (エル)や のような文字で表す場合もある。

その場合、たとえば直線 と直線 が平行であるなら、

//

と表される。


※ 画像のサイズが適切かどうか分からないが、筆記体エルの画像 を作成しておいたので、コレを使うと、
と線 とが平行であることをあらわすには、
//
のように書くことになる。 (※ 場合によっては 筆記体エルの大きさが大きすぎ、または小さすぎかもしれない。正確なサイズについては、検定教科書や市販の参考書などで、確認されたい。)


[編集]

平面から、始点を共有する 2本の半直線が切り取る、平面の一部をという。

※ 1つの角が切り取る部分の割合を、平面全体を360°として表すことで、角の大きさを表す。直角90°より小さい角を鋭角、直角90°より大きく、平角180°より小さい角を鈍角と呼ぶ。また、360°の大きさをもつ角は存在しないが、複数の角の合計の値などに現れることがあるので、便宜上、全周角と呼び慣わしている。
※ 2本の半直線が共有する始点を「角の頂点」と呼び、各々の半直線を「角の辺」という。2辺によって切り取られた部分は、頂点から見ると1つの方角だけ囲まれておらず、開いている。この開いた方角を「角の向き」と呼ぶ。右図は、右上の方角に向いた角である。
※ 2本の直線が交わるとき、交点のまわりに4つの角ができている。4つの角のうち、正反対に向いた2角の組を「対頂角」と呼ぶ。対頂角は、互いに等しい大きさを持っている。交点のまわりにできる4つの角は、2組の対頂角から成り、一方の組が鋭角であれば、他の1組は鈍角になっている。また、4つの角のうち、1辺を共有する 2角の組を「補角」と呼ぶ。補角を成す2角の和は、平角180°に等しい。交点のまわりにできる4つの角から、4組の補角の組ができる。
※ 検定教科書によって、「対頂角」を"向かい合う角"と表現しているものがあるが、このように表現することは理解に苦しむところである。また、一方の端点を共有する2本の線分であっても、他方の向きにそれぞれ延長して半直線を成すことで、角を考えることができる。

角を文字で表す場合は、記号 を用いて、∠の記号のあと、2本の辺の向きで頂点を挟んだ 3文字を並べて表すことにする。例えば右図の角は、 だとか というように表す。

角の辺が 2本の半直線や線分からできているときに限って、頂点を表す文字だけで表すことができる。さきほどの図形の場合なら、角 は、単に と表してよい。この方法は、複数の角が共通の頂点をもつ場合には使えない。複雑になるようなら、アルファベットの小文字を使って ∠ と定義することもできる。 いずれの場合でも、 の記号は必要。さらに、小文字のギリシャ文字で角やその大きさを指して定義することも広く行われている。この場合、 の記号は省略される。

2直線の交わり方によって、交点のまわりにできる4つの角が、全て同じ大きさをもつ場合がある。このとき、各々の角の大きさは90°に等しい。このとき、2直線は互いに直交するといい、2直線は垂直(すいちょく)であるという。 たとえば直線 と直線 が垂直であるとき、これを記号 を用いて、

と表す。一方の直線を、他方の垂線と呼ぶ。

※ 通常、直線を1文字で表すには、小文字の斜体で表すのが日本の初等中等教育では一般的である。ここで、小文字 が数字1とまぎらわしいので、筆記体で表すことが広く行われている。

垂線

[編集]

2直線が交わるとき、その交わり方によって、交点のまわりにできる4つの角が全て同じ大きさをもつ場合がある。このとき、各々の角の大きさは90°に等しい。この状態を、2直線は互いに直交するといい、2直線は垂直(すいちょく)であるという。通常、直線を1文字で表すには、小文字の斜体で表すのが日本の初等中等教育では一般的である。ここで、小文字 l が数字1とまぎらわしいので、筆記体で表すことが広く行われている。線 と線 とが垂直であることを表す場合、 のように表し、「 垂直 」と読む。 また、ある2つの線が垂直に交わるとき、一方の線をもう片方の線の垂線(すいせん)であるという。

たとえば、右の図形の場合、線 は線 の垂線である。また の垂線である。


同じようにして、ある線分に対する垂線、半直線に対する垂線も考えられる。特に、与えられた直線上にない1点を通るような垂線を、その点からその直線に下ろした垂線といい、与えられた直線とこの垂線の交点を 垂線の足(すいせん の あし) という。直線は両方向に限りなく伸びているので、その直線上にない任意の点から垂線を下ろすことができる。

点と直線の距離

[編集]

平面上に点と直線があるとき、点と直線がどれだけ離れているかを数の大小で表して「点と直線の距離」あるいは「点から直線までの距離」「直線から点に至る距離」などと呼ぶ。具体的には、点が直線上にある場合を距離0とし、点が直線上にない場合には、点から直線まで下した垂線の足と、点との距離を測る。これを「垂線の長さ」と呼称する場合がある。この長さは、点を中心として描いた、直線に接する円の半径と等しくなっている。

平面上に互いに平行な2直線があるとき、その一方の直線上に点をとり、もう一方の直線までの距離を考えると、点を直線上のどこにとっても一定の値をとることがわかる。言い方を変えれば、平行線に共通な垂線を引くとき、平行線が垂線から切り取る線分の長さは、垂線をどこに引くかにかかわらず一定の長さとなる。この長さを「2直線間の距離」という。これは2直線が平行である場合にのみ定義される。 2直線間の距離は、平行線の両方に接する円の直径に他ならない。

線分の垂直2等分線

[編集]

線分の垂直2等分線

[編集]

線分 上(線分 に乗っかっているという意味)の点で、点 と点 からの距離が等しい点を 中点 (ちゅうてん)という。

右図では、点 が線分 の中点である。このとき、中点の性質により

が成り立つ。

線分 の中点を通り、線分 に垂直な線を、線分 垂直二等分線という。

つまり、線分の垂直2等分線とは、ある線分の中点を通ってその線分に垂直な直線のことである。垂直二等分線は、線分が与えられたとき必ず存在する。

線分の垂直2等分線の重要な性質として、その線上の点についてはその点から元の線分の両端の点との距離が、両端の2つの点に対して等しくなっていることがあげられる。このことの証明も三角形の性質を使う必要があるので、中学校数学 2年生-図形の範囲である。また、この事実を用いて、線分の垂直2等分線の定規とコンパスによる作図法が得られる。


線分の垂直二等分線の作図

[編集]
垂直二等分線の作図

まず、与えられた線分の片方を中心としてある半径を持つ円を描く。ただし、この円の半径は線分の長さの より大きいものとする。次に、与えられた線分のもう片方の端点からも、同じ半径の円を描く。このとき、2つの円の交点は各々の端点から等距離にあることがわかるため、その線分の垂直2等分線上の点である。また、円の半径が線分の長さの より大きいので、ここで2つの円の交点は2つだけ得られる。よって、その2点を直線でつなげば、この線分の垂直2等分線が得られるのである。


角の2等分線

[編集]

角の2等分線

[編集]

ここでは、角の2等分線を紹介する。角の2等分線は図形的な応用が多く、重要な平面図形の1つである。

ある角が与えられたとき、その角の大きさを2等分するような直線(または半直線または線分)のことを、その角の二等分線(にとうぶんせん)という。

たとえば、右の図では、まっすぐな線 の二等分線であるとすると、

が成り立つ。


例えば、60°の大きさを持つ角の二等分線は、角の大きさを30°ずつに分ける半直線であり、角の二等分線と角の辺の成す角はどちらも30°ずつになっている。

角の二等分線の性質として、その線上の点から角を構成している各々の辺に垂直になるように下ろした直線がそれぞれの点と交わる点をそれぞれの辺について取ったとき、それらの点とその角の頂点との距離が、2つの点に対して同じになっていることが知られている。このことの説明は三角形の合同の条件を用いないと難しいので、ここでは詳しくは述べない。中学校数学 2年生-図形を参照。

このことを用いて、角の二等分線をコンパスと定規を用いて作図する方法が存在する。

角の二等分線の作図

[編集]
角の二等分線の作図
  • まず、角の頂点から角を構成する2つの辺上に、頂点からの距離が等しい点を各々の辺上に1つずつ取る。
  • 次に、上の作業で辺上に得た点から任意の半径の円を書き、それと同じ半径の円をもう片方の辺上の点からも書き込む。このとき、各々の点から書いた円が交わった点は角の2等分線上の点となっている。実際の作図では、2円の交点のうち、角の頂点から遠い方の交点を使い、頂点から近い方の交点は作図の跡に残してはならない。
  • ここで、角の頂点と2円の交点のうちの1つの、計2つの点が得られるため、その2点を定規を用いてつなぐことで、角の二等分線が作図できる。

垂線の作図

[編集]

垂線もコンパスと定規を用いて作図を行なうことが出来る。まず、与えられた点からある適当な半径の円を取り、その円と与えられた直線の交点を2つ取る。さらに、ここで得た2つの点から同じ半径の円を描きその2つの円の交点を取る。このときこれらの円の交点と元々の点をつないだ直線が与えられた点を通り、与えられた直線に直交する図形となっているのである。ここで、最初の手順である与えられた点からの距離が等しい2点を与えられた直線上に取るという手順以降の手順は線分の垂直2等分線を得るための手順と同一であることがわかる。ここで、与えられた線分の端点は先ほどの最初の手順で得た2点である。つまり、この手順では与えられた点から等しい距離にある2点を端点とした垂直2等分線を求めたのであり、また、端点である2点から元々の与えられた点は確かに等しい距離にあるので、与えられた点自身もそれらの垂直2等分線上の点であることが分かる。ここで最後にひいた垂直2等分線は与えられた直線に垂直であり、与えられた点を通ることから確かに最初の条件を満たしている。よって、これらの手順である与えられた点を通り、与えられた直線に垂直な直線が得られることが分かった。

円とおうぎ形

[編集]

[編集]

を中心とする円(えん)を、円 という。

また、円周上の一部を (こ)という。2点 を両端とする弧を、 (こエービー)といい、記号 をつかってArc AB.svg とあらわす。「弧 」は「こエービー」と読む。

※ パソコンの入力上の理由のため、ウィキでは で代用する場合がある。

また、円周上の2点を結ぶ線分を (げん)といい、2点 を両端とする線分を (げんエービー)という。「弦 」は「げんエービー」と読む。

※ 円弧には短いほうの弧と長いほうの弧の2種類があるが、Arc AB.svgのように書いた場合は、普通は短いほうを指す。


長いほうの弧をあらわした場合、右図のように、長いほうの弧の上に点 をとって Arc ACB 2.svg と書く。


なお、ある円の弦で、もっとも大きい弦は、その円の直径である。


おうぎ形

[編集]

円の2つの半径と1つの弧で囲まれた図形を おうぎ形 (おうぎがた、扇形)という。


また、おうぎ形で2つの半径のつくる角のことを 中心角 (ちゅうしんかく)という。右図の場合、 が中心角である。

これも、おうぎ形

おうぎ形の中心角は180度より大きくてもいい。


計量

[編集]

円の周の長さと面積の求め方は、すでに小学校で学んだだろう。そのとき、円周率(えんしゅうりつ)というものを使用した。円周率は、円周の直径に対する割合であり、3.1415926535897…と無限に続く小数である。そのために、これからは円周率を、 (パイ)で表わす。

半径 の円の周の長さをℓとして、面積を とすると、

で表わされる。

おうぎ形の面積の大きさは、中心角の大きさによって決まる。例えば中心角が20°のおうぎ形の面積や弧の長さは、同じ半径の円の面積や周の長さの 倍である。

おうぎ形の面積を 、弧の長さを 、中心角を 、半径を とすると、

で表す事ができる。

ともいえる。

円の接線と接点

[編集]

右図のように、円と直線または線分が一点で交わるとき、その線は円に 接する (せっする)といい、また、接する線のことを 接線 (せっせん)という。

また、円と接線との共有する点を 接点 (せってん)という。


円の接線は、接点を通る半径に垂直である。


図形の移動

[編集]

移動

[編集]

図形を構成する全ての点の位置について、一定の規則に従って変化させ、その位置を変えることを移動という。移動には「平行移動」「回転移動」「対称移動」の3種類がある。移動する前の点と、移動後の位置にある点を「対応する点」と呼ぶ。移動によって、1つの点はそれぞれに対応する点へと位置を変え、異なる2点が同じ位置へと移動したり、1つの点が移動によって2つの異なる位置を占めるようになったりすることはない。さらに、移動の前後で2点間の距離や対応する角の大きさは保存され、結果として移動の前後で図形の形は変わらない。移動やその組み合わせによって、ぴったり重ね合わせることができる2つの図形のことを、互いに合同な図形という。

平行移動

[編集]
平行移動

図形の上にある点を全て、一定の向きに、一定の距離だけ動かす移動を平行移動(へいこう いどう)という。 平面上のどの位置にあっても、点は平行移動によって例外なくその位置を変える。

回転移動

[編集]
回転移動

図形を形づくる全ての点が、1つの定点 からの距離を保ったまま、定点 のまわりをある角度だけ回転することを回転移動(かいてん いどう)という。このとき、 移動の中心(いどう の ちゅうしん)といい、回転させる角度の値を回転角という。左回り(反時計回り)の回転角を正の値、右回りの回転角を負の値で表す。 平面上の点の中で、移動の中心を除く、その他の全ての点は位置を変えることになる。

また、平面上に1つの定点 を決めておき、位置をまで移動させた上でを通り越してさらに同じだけ移動させることで、図形を構成する点を全て移動させる点対称移動があるが、これは結果的に回転角180°の回転移動と同じになるので、回転移動の一種として扱われる。


対称移動

[編集]
対称移動

平面上に直線を定め、図形を形づくる点から直線まで垂線を下ろし、さらにその長さを2倍した位置に動かすことで点の位置を変える操作を対称移動(たいしょう いどう)という。最初に定めた直線を移動の軸(いどう の じく)と呼ぶ。この移動によって、軸上にのった点の位置は全く変わらないが、軸上にない点の位置は、すべて軸の反対側へと変化する。

対称移動によって点 が点 に移動するとき、軸は線分 の垂直二等分線になっている。

移動の経路

[編集]

平行移動は、移動の向きを固定したまま、徐々に移動の距離を伸ばしてやることで、結果として、点の構成する図形全体が形を保存したまま、平面上を進んで行く様子を考えることができる。回転移動についても同様に、平面上に中心を定め、全ての点が移動の中心からの半径を保ったまま、徐々に回転角を変化させることで、点が形づくる図形が形を変えずに、中心を回り込んで行く様が想像できる。このように移動途中で点の移動する量の変化にともなって、図形全体が形を保ったまま動いて行く様子を、移動する図形が平面を掃く、と表現する。

対称移動に関しては、移動の途中、半分の時点で点がすべて軸に張り付いてしまい、図形の形が保存されないため、図形が平面を掃く様子を考えることはない。検定教科書によっては、平面上から飛び出して、軸を折り目にして図形の位置を折り返す、と説明したものもあり、なおさら、図形が平面上を掃く状態は考えられない。

対称移動と平行移動の組合わせ

線対称と点対称

[編集]

線対称

[編集]

ある図形について、ある一本の線を挟んで図形を折り返したとき、 両方の図形が丁度重なるという条件が満たされているとき、その図形は その線を軸とする線対称(せんたいしょう)な図形であるという。また、その時の線のことを対称軸(たいしょうじく)という。

  • 図形


一般に線対称な図形についてはある半面の図形上の点から軸に対して垂線(すいせん)を 下ろし、軸からの距離が元々の点と同じになるように反対側の面に 点を取るとそれは反対側の図形上の点になっていることがわかる。 これはそのような点はまさに軸を中心として折り返したときに、 元々の点に重なるような点だからである。この性質を用いて半面だけが かかれた図と軸が与えられたとき、線対称な図形を構成することが出来る。

点対称

[編集]

ある図形について、ある点を中心に180 回転させたとき図形が最初の図形と 同一になるとき、その図形はその点を中心とした点対称(てんたいしょう)であるという。

  • 図形

点対称な図形に対しては、図形上のある一点から点対称の 中心に下ろした線上にその点と点対称の中心との距離が、 最初に選んだ点と点対称の中心との距離と等しくなるような 点を選ぶと、その点は図形上の点になることが知られる。これは、点対称の中心を 中心に図形上の点を180 回転させた点は、まさしく上で述べたような 点と等しくなっていることによる。