中学校保健体育/エイズの予防
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- どのような病気をエイズといいますか。
- エイズの予防対策を考えてみましょう。
キーワード
[編集]HIV(ヒト免疫不全ウイルス)・エイズ(後天性免疫不全症候群)
エイズの病原体
[編集]※どのような病気をエイズといいますか。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の病原体に感染すると、エイズを発症します。HIVはリンパ球(白血球の一種)で増殖します。HIVは、リンパ球の多い体液(精液、腟分泌物、血液など)を経由して感染します。そのため、薬物乱用者同士が注射器具を使い回したり、妊娠・出産などで母親から胎児に感染したり、感染者との性的接触からも感染します。昔は、HIVの混入薬品(非加熱血液製剤)から感染が広がりました。現在の医療機関は、加熱処理済みの血液製剤を使っています。
エイズの特徴
[編集]※エイズの特徴について、調べてみましょう。
CD4リンパ球は、体を病原体から守ってくれます(免疫)。HIVはCD4リンパ球に感染して、CD4リンパ球を破壊します。CD4リンパ球の数が減ると、様々な感染症にかかりやすくなります。このような症状をエイズ(後天性免疫不全症候群)といいます。
一部のHIV感染者は風邪のような症状を示します。しかし、大半のHIV感染者は全く症状を示しません。HIVの潜伏期間はかなり長く、発症するまで10年以上もかかります。感染力は潜伏期間でもあるので、感染拡大の原因になっています。
現在、HIVそのものを取り除く治療方法やワクチンはありません。しかし、近年、HIVの量を抑え、免疫力を回復させて維持させるような治療方法が注目されています。もし、HIVに感染しても発病を長く抑えられるようになってきています。そのため、HIVの拡大を防ぐためにも、出来るだけ早く発見して、すぐに適切な治療を始められるようにしましょう。
★HIV感染後のウイルス量の変化
HIV感染の予防対策
[編集]※どうすればエイズを予防出来ますか?
1回の性的接触だけでもHIVに感染します。しかも、無症状期間がかなり長いので、気づかないうちに他の人に感染を広げてしまいます。また、他の性感染症に感染していると、HIVに感染しやすくなります。
近年、20歳代〜30歳代のHIV罹患率が高く、毎年約1000人の新規感染者も報告されているため、HIV感染予防の重要性も高まっています。HIVの感染を予防するため、HIV感染者の血液・精子などの体液に直接触れないようにして、感染経路を塞ぎましょう。そのためにも、性的接触を避けたり、コンドームを正しく使ったり、他の人の血液に触れないようにして、HIV感染の確率を下げましょう。HIVは普段の生活で感染しません。また、感染の不安や疑いがあれば、HIV検査とカウンセリングを全国の保健所などで匿名・無料で受けられます。
もし、性衝動に任せて性的接触をしたり、HIV感染をいつも不安に思ったりしたら、明るく健康的な生活を送れません。正しい情報に基づいて賢い行動をとりましょう。
★このような場面ではHIVに感染しません。
- 食べ物・食器など
- 握手・会話など
- トイレの便座・電車の吊り革など
- 風呂・プールなど
- 蚊・ペット
- 咳・くしゃみ・汗・涙など
★HIV感染者・エイズ患者の新規報告数
★HIV感染者の年齢層別・感染経路別内訳
[1]年齢層別内訳
[2]感染経路別内訳
ただし、血液製剤の感染例を除きます。
世界と日本のHIV状況・世界と日本のエイズ状況 |
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世界のHIV感染者数は3900万人程(2022年推計)と考えられています[1]。2022年、約63万人がエイズ関連の疾病で亡くなりました。この数字は、2005年の190万人と比べると大きく減少しています。抗レトロウイルス薬(HIV治療薬)が世界中に広まってからエイズ関連死も減少しています。抗レトロウイルス薬(HIV治療薬)は従来の薬剤よりも少ない副作用で費用面も優れ、多くの人々に治療とその維持を出来るようにしました。
日本国内のHIV新規感染者報告数は、これまで長い間、増加傾向から横ばい傾向で推移していました。しかし、最近は他の先進国と同じように、減少傾向になっています。予防対策とともに、早期発見・早期治療が大切です。 |
資料出所
[編集]- 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著 2021年
- 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年