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中学校保健体育/性感染症の予防

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
小学校・中学校・高等学校の学習>中学校の学習>中学校保健体育>性感染症の予防

どうしたら性感染症を予防出来ますか?

キーワード

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性感染症

性感染症の感染経路

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※性感染症はどんな病気ですか。

性感染症は、性的接触から感染します。感染者の精子・腟分泌液・血液中の病原体・性器や口の粘膜などが相手の粘膜や皮膚に触れると感染します。例えば、性器クラミジア感染症・淋菌感染症・性器ヘルペスウイルス感染症・梅毒などがあります。このうち、梅毒は梅毒トレポネーマ(病原体)から感染します。梅毒の症状は進行段階で変わります。発熱・発疹など、違う病気の症状と見分けにくくなります。症状自体が現れたり消えたりを繰り返したりするので、感染を広げやすくなります。近年、梅毒の感染者が大きく増えています。性感染症は、無症状だったり、自覚症状をほとんど感じなかったりします。例えば、性器ヘルペスウイルス感染者の70~80%は無症状です。本人が性感染症に気づかないため、性的接触で相手に感染を広げるかもしれません。10代で性感染症にかかる人もいるので、青少年の感染が社会問題になっています。

梅毒の治療薬(サルバルサン)は、秦佐八郎とドイツのパウル・エールリヒが一緒になって作りました。

★主な性感染症

病名(病原体) 潜伏期間 主な症状・特徴 治療
性器クラミジア感染症

(クラミジア・トラコマチス)

1~3週間 男性:尿道の痒み・排尿痛

女性:おりものがわずかに増えるだけで、無症状です。

抗生物質の内服
淋菌感染症(淋菌) 2~9日 男性:尿道の痒み・排尿痛

女性:無症状です。

抗生物質の内服
性器ヘルペスウイルス感染症

(単純ヘルペスウイルス)

2~21日
  • 外性器やその周辺の痒み・痛み・水疱などがみられます。
  • 繰り返し再発します。
  • 感染しても、無症状です。
抗ウイルス剤の内服など
尖圭コンジローマ

(ヒトパピローマウイルス)

3週~8か月
  • 性器やその周辺に先の尖った疣が出来ます。
  • 痛みを伴いません。
外科的な切除など
梅毒(梅毒トレポネーマ) 3〜6週間程度
  • 3週間後、性器と足の付け根にしこりが見られます。
  • 約3カ月後から全身に赤い斑点が見られます。
抗生物質の内服・注射など

★性感染症報告数(2021年調査)

感染症 報告数(人)
男性 女性
性器クラミジア感染症 15458 14545
淋菌感染症 8097 2302
性器ヘルペスウイルス感染症 3387 5594
梅毒 5261 2717

上の表は厚生労働省「性感染症報告数」の統計資料から抜粋しています。

性感染症の予防対策

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※どうすれば性感染症を予防出来ますか?

1回の性的接触だけで性感染症にかかります。性感染症は自然に治りません。性感染症の治療を受けないと、卵管・子宮・尿道に炎症が現れ、不妊症の原因になります。また、炎症が卵管にあると、受精卵は子宮ではなく卵管に着床します(子宮外妊娠)。受精卵が成長すると、卵管が破れて命を落としてしまいます。さらに、母親が性感染症にかかると、胎児も性感染症に感染します。その結果、胎児の早産や流産につながります。

性的接触を避けて性感染症を予防しましょう。また、コンドームは直接接触しないので、性感染症の予防につながります。

症状がみられたり、感染の不安があったりしたら、出来るだけ早く医療機関(泌尿器科・皮膚科・婦人科など)で検査・治療を受けましょう。ただし、自分がしっかり治療を受けて治っても、相手が感染していたら繰り返し感染します。そのため、相手も自分も同時に治療を受けなければなりません。

★性的接触の繋がり

もし、それぞれの人が過去に違う人と性的接触をしたら、そのカップルは不特定多数の人とつながっています。その中に感染者がいれば…

資料出所

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  • 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著  2021年
  • 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年