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中学校保健体育/生活習慣病の予防

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
小学校・中学校・高等学校の学習>中学校の学習>中学校保健体育>生活習慣病の予防

生活習慣病を予防するためには、どのような対策をしなければなりませんか?

キーワード

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生活行動・特定健康診査・健康診断・早期発見・早期治療

健康的な生活行動の習慣化

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※生活習慣病にかからないようにするためには、どのような生活を心掛けなければなりませんか?

健康をいつまでも守り、生活習慣病にかからないようにするためには、生活習慣を出来るだけ工夫しましょう。例えば、次のような工夫が必要です。

  • 年齢や生活環境に合わせて無理のない運動をしましょう。
  • 毎日、時間を決めて食事をしましょう。
  • 年齢や運動量から栄養素のバランスを考えましょう。
  • 年齢や運動量から食事の量を決めて健康的な体重(適正体重)を守りましょう。
  • 休養や睡眠をとりましょう。
  • ストレスをためないようにしましょう。
  • 定期的に歯磨きをしましょう。

生活習慣病は大人になってからよくかかるので、中学生は生活習慣病に無関係に思えるかもしれません。しかし、生活習慣は、毎日の生活行動の積み重ねから生まれます。小さい頃から健康的な習慣を身につけて、それを続けるとずっと健康で幸せな生活を送れます。そうすれば、あなたの生活習慣から生活習慣病にあまりかからなくなります。

★生活習慣に関係する国内の推定死亡者数(2019年)

上のグラフは厚生労働省「令和5年版厚生労働白書」リスク要因別の関連死亡者数から抜粋しています。

★肥満と痩せの割合(2022年)

上のグラフは文部科学省「令和4年度学校保健統計」から抜粋しています。

★適正体重の求め方の例

年齢 男の子 女の子
a b a b
12歳 0.783 75.642 0.796 76.934
13歳 0.815 81.348 0.655 54.234
14歳 0.832 83.695 0.594 43.264

◆肥満・痩せ傾向の出し方

  1. 身長別標準体重[kg]:ax身長[㎝]-b
  2. 肥満度[%]:(実測体重[kg]-身長別標準体重[kg])÷身長別標準体重[kg]×100

→肥満度が20%以上の人を肥満傾向としています。

上の資料は公益財団法人日本学校保健会『児童生徒の健康診断マニュアル(平成27年度改訂)』から抜粋しています。

虫歯や歯周病を予防するための運動

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歯と口は、食べ物を細かくして食べやすくしたり、話したり、表情を作ったり、体の動きを支えたりなど、様々な働きをしています。歯と口の状態は、全身の健康と生活の質に大きな影響を与えます。

★食べ物をよく咬むと次の効果が表れます。

  • 食べ過ぎを防ぎ、早くお腹がいっぱいになります。
  • 顔や口の筋肉を鍛えると、表情が豊かになり、はっきりと話せるようになります。
  • 脳の機能が活性化します。その結果、記憶力や集中力も高まります。
  • 唾液をたくさん出すと、食べ物を美味しく感じられるようになります。
  • 唾液をたくさん出すと、飲み込みやすくなります。
  • 唾液をたくさん出すと、消化しやすくなります。その結果、虫歯や歯周病を防ぎます。

日本歯科医師会と厚生労働省は、1989年から8020運動に取り組んできました。8020運動に取り組むと、80歳までに全員に少なくとも20本の歯が残っているはずです。そのため、歯科検診を受けて、自分で歯や口の手入れをするように呼びかけています。2009年になると、8020運動と合わせてカミングサンマル運動も取り組むようになりました。カミングサンマル運動では、1口30回以上食べ物を噛むように伝えています。その結果、歯と口の健康を守れるようになります。

★80歳で自分の歯が20本以上残っている人

2005年 2011年 2016年 2022年
25% 40.2% 51.2% 51.6%

上の資料は厚生労働省「歯科疾患実態調査」80歳(75~84歳)から抜粋しています。

なお、2022年の統計は各種新聞等資料から抜粋しています。

★60歳で自分の歯が24本以上残っている人

2005年 2011年 2016年 2022年
60.2% 65.8% 74.4%  ?

上の資料は厚生労働省「歯科疾患実態調査」60歳(55~64歳)から抜粋しています。

適正体重を守ろう

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肥満を防ぐのは、生活習慣病の予防に欠かせません。しかし、痩せすぎはいけません。若い女性は健康的な体重(適正体重)なのに「体重を減らしたい」と思う人もいます。思春期に食事制限を厳しくすると、健康的な発育や発達が妨げられ、何も食べられなくなる摂食障害の原因になります。また、女性の場合は無月経や低出生体重児出産の原因になるかもしれません。

自分の適正体重を知り、自分の体型をよく考えて、ぴったりの食事を健康的にとっていきましょう。

★自分の体型をどのように見ていますか?(2016年調査)

上のグラフは公益財団法人日本学校保健会「平成30年度・令和元年度児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書」から抜粋しています。

早期発見・早期治療

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※生活習慣病を予防するために、国や地方はどのような対策を取っていますか?

メタボリックシンドローム
内臓脂肪は内臓とその周辺に脂肪がたまります。内臓脂肪は生活習慣病の発症に深く関わっています。内臓脂肪がたまり、高血圧・高血糖・脂質異常の中から2つ以上を伴うとメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)になります。 メタボリックシンドロームになると、生活習慣病にかかりやすくなります。メタボリックシンドロームが見つかるためには、血液検査・血圧・腹囲(へそ回り)などから診断を行います。

国や地域は生活習慣病を予防するために、健康情報の提供や特定健康診査の実施などを進めています。生活習慣病の初期段階は、明らかな自覚症状を示しません。そのため、長い間病院に行かず、病院に行ってみたら病状がかなりひどくなっているかもしれません。定期的に健康診断を受けて、早期発見・早期治療に努めましょう。

メタボ健診
2008年度から40歳以上74歳未満の人を中心に、特定健康診査(特定健診)が始まりました。その目的は、生活習慣病を予防するためでした。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こします。特定健康診査(特定健診)は「メタボ健診」ともいわれています。メタボリックシンドローム患者は、医師や保健師から生活習慣を見直すための情報提供と支援を受けられます。

★生活習慣病の予防

健康増進・発症予防

(一次予防)

  • 運動
  • 栄養
  • 休養
  • 喫煙や過度の飲酒をしない
早期発見・早期治療

(二次予防)

  • 自己管理:体重や血圧の管理
  • 検査
社会の取り組み例
  • 運動施設の整備
  • 様々な健康づくり活動
  • 健康情報の提供
  • 健康診断・保健指導

現代社会は、食生活の乱れ・運動不足・ストレスの傾向にあります。健康的な生活習慣を送るためには、個人の意識的な取り組みと社会的環境の整備も必要です。

日本生活習慣病予防協会の考え方「一無」「二少」「三多」があります。「一無」の意味は、無煙・禁煙です。「二少」の意味は、少食・少酒です。そして、「三多」の意味は、体を多く動かし(多動)、しっかり休養をとり(多休)、様々な人や出来事に親しむ生活(多接)です。

資料出所

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  • 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著  2021年
  • 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年