中学校保健/欲求やストレスへの対処と心の健康

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欲求やストレスへの対処[編集]

欲求への対処[編集]

「食べたい。」などのように、何かを「したい。」と思う気持ちを欲求(よっきゅう)いいます。 中学生にかぎらず小学生にも欲求は存在するし、子供にも欲求は存在する。

欲求は生きるのにも、必要です。

  • 生理的欲求

空腹のときに食事をしたい欲求や、夜に眠りたい睡眠の欲求、糞尿の排泄など、生命を維持するのに必要な欲求 飢え、のどの渇き、睡眠、排泄、など

  • 社会的欲求

まわりの人から気に入られたいとか、主に人間関係に関する欲求。


「欲」と言うと、「欲張り」とかの悪いイメージを想像しがちですが、欲求は悪いとは限りません。欲求には社会にとって善い欲求もあれば、悪い欲求もあります。「欲求」と言葉そのものには善悪の判断はふくまれていません。

欲求不満(よっきゅうふまん)[編集]

欲求「○○をしたい。」は、実現するとは限りません。欲求が満たされない場合を欲求不満(よっきゅうふまん)と言います。

欲求不満は、実現しようとして努力のキッカケになる場合もあるが、あまり欲求不満が強すぎると、悩んでいき心に負担をかける。 欲求の内容や程度が、自分や社会にとって適切なものかを判断し、不適切であれば修正する必要があります。 ・・・と言うより、自分がどう思おうが、社会的圧力により、おおむね欲求を修正せざるをえません。

一人の人間が心に思いついた欲求を全て実現しようとすれば、誰だって多くの食料がほしいでしょうし、お金を使わないですむならそうしたいでしょうが、だからといって、お腹が空いたからと言ってスーパーマーケットなどのお店に売っている食料を買わずに食べたら、ただの犯罪行為です。

他にも欲求として、多くの時間を休みたいし、全ての人から気に入られたいと思うでしょうし、多くの異性と交際したいと思うでしょうが、そんなことは実現不可能ですし、もし実現しようとしてそのまま行動に起こせば他人に迷惑を書けてしまいます。


法律などの社会のルールに反している欲求は、修正する必要があります。欲求を修正して、社会のルールにしたがった欲求へと変更する必要があります。

かと言って、欲求が無ければ、たとえば食事に関する欲求が無くて食事をしなければ、生命を維持できません。

なので、欲求は、社会に受けいられそうな欲求へと変更したり、欲求の程度を修正したりする必要があります。


ストレス[編集]

暑さ・寒さとか、人間関係への気づかいとか、周りからの刺激によって、心身に何らかの負担がかかっている状態のことをストレス(stress)という。人間関係に関する悩みとか、学業に関する悩みとか、そのようなものもストレスです。

なお、刺激を与えている周りの原因そのもの(この例では、暑さ寒さとか人間関係など)をストレッサー(stressor)と言います。つまり、ストレスの原因がストレッサーです。


適度なストレスは必要です。 悩んだりすることも、心の成長には必要です。暑さ・寒さの変化とかを体験するのも、体をきたえるには必要でしょう。


「ストレス」という言葉そのものには、「その問題を、解決するべきかどうか?」の判断は、ふくまれていません。ただ単に、まわりからの刺激によって、身体に何らかの緊張がある状態をストレスと言ってます。そもそも英語のストレス stress とは「緊張」とか(物理的な)「ひずみを起こす物」という意味です。日本語で「ひずみ」と言うと、わるい意味で使われる事が多いかもしれません。ですが、物理的な「ひずみ」という意味は、たとえばスポンジにスプーンでも箸でも何でもいいので、なにかをスポンジに乗せると重さでスポンジが変形するように、単に物質に力が加わって一時的に変形することを「ひずみ」というだけに過ぎません。

物理的な「ひずみ」と同様に、心理的な「ストレス」という意味も、なにか外部の環境や状況について、その人が心理的に何かを感じつづけている状態に過ぎません。


ですが、強すぎるストレスは、心身に負担をあたえます。

ストレスを感じやすいということも悪いことではありません。たとえば周りの暑さ・寒さに気づかなければ、体を守れません。 人間関係で悩んだり、学校生活に関して中学生が悩むのも、成長して社会の仕組みについて理解が深まったからこそ、今まで気づかなかった人間関係に気づき始めて悩みはじめたのであり、心の成長の証でもあります。

だからといって、悩みがあったからって、悩んでいるだけでは解決しません。悩みを忘れても、悩みの原因である周囲の環境は変わらないので、解決しません。

悩みがあったら、悩みの内容を見つめて、適切に対応をする必要があります。


もし、少しの努力をしただけで解決できそうな悩み・欲求なら、努力をするのが心身の成長にもつながり、良いでしょう。 わがままな欲求、自分勝手な欲求なら、ガマンをするのも大事かもしれません。


ですが、解決しないといけない欲求なのに、そう簡単には解決できないような悩みなら、だれか他人に相談するのも大事です。保護者や友人や先生など、適切な相手に悩みの相談をしましょう。

人に相談するときは、子供だけで相談しあうのではなく、できれば保護者や先生など、なるべく大人にも相談するのが安全でしょう。

ストレスの解消法[編集]

(この節で説明するストレス解消法は、家庭内で行うことを前提にしています。)

ストレスの解決には、まずは、その原因となっている問題を、努力するなり、あるいは諦める(あきらめる)なりして、解決する事が、原則でしょう。

ですが、特に解決するべき環境やら問題が、あるわけでもないのに、「なんとなく不安」「なんとなく腹立たしい」「なんとなく○○」・・・と言ったような、漠然(ばくぜん)としたストレスを感じているなら、スポーツなどの運動でもして気分転換をするのも良いかもしれません。

軽いジョギングとか、あるいは腕立て伏せなどの筋力トレーニングとかでもしてみて、軽く運動して体を少しだけ疲れさすと、疲れることによって、漠然と悩んでるヒマが無くなります。また、運動する事で運動不足も解消されるし、一石二鳥です。

ただし、「宿題などが残っていて、ストレス解消の運動をしている余裕が無い。」という場合、まずは、なるべく、その宿題を終わらせるのが先です。先に宿題を終わらせないと、その宿題の不安が、新たなストレス発生の原因になってしまいます。


ストレス解消のための運動は、必ずしもスポーツで無くても良くて、たとえば家の掃除とか家の手伝いなどの運動でも、ストレス解消には良いでしょう。家の掃除などをすることによって家の中が片付くし、一石二鳥です。


「音楽を聴く」など、受動的に楽しめるメディアを楽しむ方法も、てっとり早く、感情を切り替えられます。


なお、「なんとなく退屈(たいくつ)である、暇(ひま)である」と感じるとしたら、それはストレスではなく、単に時間が余って退屈なだけです。時間つぶしの趣味とか勉強とかでもして解消してください。

また、「疲れすぎていて、ストレス解消の運動する気にならない。」という場合、それは、べつにストレスを感じてるのでは無くて、疲労を感じてるだけです。休憩(きゅうけい)とか休養とかストレッチとかをして、疲労を解消してください。

心と体の関係[編集]

たとえば心が緊張すると、冷や汗が出たりするように、心の状態の変化により、体の状態にも変化が表れることがあります。 他の例では、たとえば、興奮すると、心拍数が上がったりします。

体の状態が悪いときは、心の状態に原因がある場合もあります。

このように、心の状態がすぐれないために、体に不調が表れる症状を心身症(しんしんしょう)といいます。

なので、もしも体の状態が悪いのに、はっきりとした原因が分からなくて、病院などで医師の診察を受けても、とくに原因が分からないときなどは、自分の心の状態を見直してみたり、心を振り返ってみるのもよいかもしれません。


もっとも、あまりにも体の不調が長く続くようなら、心の不調ではないかもしれないので、そのような長く不調が続く場合などは、医師に相談して、医師の判断にまかせるべきです。


心が体の状態に作用するだけでなく、逆に、体の状態が心や精神に作用することもあります。たとえば虫歯などで歯が痛ければ、痛さで集中できないので、集中力が下がるというよう、精神の状態になるでしょう。

逆に、体の調子が優れるときは、集中力が上がります。


このように、心と体の状態が作用しあう理由は、心の状態と体の状態とは、神経ホルモンを通して、間接的に結びついているからです。

詳しく言うと、神経には、呼吸・消化・体温調節のような、無意識に働く神経があります、このような神経を自律神経(じりつ しんけい)といいます。


激しい運動などをしていなくても、体が疲労しているときがあります。たとえば作業などで同じ姿勢をつづけていたり、同じ作業ばかりをつづけていると、体の一部の部位ばかりを使っているので、その部位が疲れます。 また、同じ姿勢を続けていると、一部の部位に血流が流れにくくなって、体の状態が悪くなります。

なので、ときどき、体の体制を変えたりすることも必要でしょう。

  • 心が緊張したときの器官への影響
だ液 ・・・ 緊張すると、だ液が減り、口が渇く。
心臓 ・・・ 心拍数が上がり、脈拍が速くなる。
血管 ・・・ 縮む。
胃と腸 ・・・ 活動が一時的に止まる。


緊張している間だけ変化があらわれる。緊張が解かれると、変化は消え、もとどおりの普通の状態にもどる。

緊張すると、いざというときに体を動きやすくするため、このような器官の状態になるように、神経が自動的に調節している。したがって、緊張しているときの、前述したような体の変化(例:緊張すると口が渇く。)は、べつに悪いことでは無い。