中学数学1年 平面図形
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直線と角[編集]
直線、線分とはなにか[編集]
一般的な使い方では、直線という言葉はいくつかの意味にもちいられることがある。しかし、数学の世界ではそれぞれを分けて考える。
2点を通るまっすぐな線を引くとき、その点で止まらずに無限に伸ばした線を直線(ちょくせん)という。ここで、直線が2つの点を通るとき、この直線をその点の名前を用いて表す。例えば2点 をとるとき、点 を越えた後にもその線をのばしていき、そのまま無限に遠い点までのばしていったものを「直線 」(英:line AB)または「直線 」(英:line BA)という。
2つの点の間を結んで得られるまっすぐな線を線分(せんぶん)という。線分の長さは常に有限である。線分は端点の名前を取って呼ぶ。例えば、ある2点 を取り、その点の間にまっすぐな線を引いたとき、その図形のことを「線分 」(英:segment AB)または「線分 」と呼ぶのである。
直線上のある点で図形が途切れたとしても、その反対の方向に無限に長くまで続いている図形を特別に半直線(はんちょくせん)と呼ぶ。半直線の長さは無限であり、半直線の端点は1点だけ存在する。半直線の名前は、「半直線(端点)(もう一つの点)」というようにつける。例えば右図では、「半直線 」とよぶ。「半直線 」とすると、
1点を通る直線は何本もあるが、2点を通る直線は1本しかない。
線分 は、点 と点 をつなぐ他のどんな曲線よりも、もっとも短い。この線分 の長さを2点 間の
数学では、 と書いて線分 の長さを表す場合がある。
交点[編集]
2つの線が1点で交わるとき、交わる点を交点(こうてん)という。
2直線の垂直・平行[編集]
直線が2本あるとき、この2直線は1点で交わるか、または全く交わらないかのどちらかになる。ただし、2本がぴったり重なっている場合はここでは考えない。
2直線が全く交わらないとき、この2直線は平行であるという。
たとえば直線 と直線 が平行であるとき、これを記号//を用いて、
と表す。
直線を「 」という表記ではなく、 (エル)や のような文字で表す場合もある。
その場合、たとえば直線 と直線 が平行であるなら、
と表される。
- ※ 画像のサイズが適切かどうか分からないが、筆記体エルの画像
を作成しておいたので、コレを使うと、
- 線
と線 とが平行であることをあらわすには、
- のように書くことになる。 (※ 場合によっては 筆記体エルの大きさが大きすぎ、または小さすぎかもしれません。正確なサイズについては、検定教科書や市販の参考書などで、ご確認ください。)
角[編集]
小学校で習うように、右図のように2つのまっすぐな線が、一点でくっついていれば、角ができる。
- ※ 検定教科書によって、2つの「直線」と言ってる。別の教科書では、2つの「半直線」と言っている。直線か半直線かは、あまり重要ではないので、覚えなくていい。また、べつに2つの「線分」であっても、頂点でくっついていればいい。
角を文字で表す場合は記号 を用いて、∠(始点)(交点)(終点)というように表す。例えば右図の角は、
だとか
というように表す。
誤解のおそれがなければ、もう少し簡潔に表すこともできる。さきほどの図形の場合なら、角 は、単に
とあらわしたり、またはアルファベットの小文字を使って
- ∠
と表してもいい。
ただし、複雑な図形では のような表し方が混乱を招くことがあるので避けたほうがよい場合もある。
2直線が交わってできる角が直角になるとき、2直線は垂直(すいちょく)であるという。 たとえば直線 と直線 が垂直であるとき、これを記号 を用いて、
と表す。
- ※ 通常、直線をあらわす文字には、大文字の や でなく小文字で表すのが日本の中学高校での慣習だが、しかし の小文字 が数字1とまぎらわしいので、ウィキでは大文字で表記した。
垂線[編集]
線 と線 とが垂直であることを表す場合、 のように表し、「 垂直 」と読む。
また、ある2つの線が垂直に交わるとき、一方の線をもう片方の線の垂線(すいせん)であるという。
たとえば、右の図形の場合、線 は線 の垂線である。また は の垂線である。
同じようにして、ある線分に対する垂線、半直線に対する垂線も考えられる。特に、与えられた直線上にない1点を通るような垂線を、その点からその直線に下ろした垂線といい、与えられた直線とこの垂線の交点を 垂線の足(すいせん の あし) という。直線は両方向に限りなく伸びているので、その直線上にない任意の点から垂線を下ろすことができる。
線分の垂直2等分線[編集]
線分の垂直2等分線[編集]
線分 上(線分 に乗っかっているという意味)の点で、点 と点 からの距離が等しい点を 中点 (ちゅうてん)という。
右図では、点 が線分 の中点である。このとき、中点の性質により
が成り立つ。
線分 の中点を通り、線分 に垂直な線を、線分 の垂直二等分線という。
つまり、線分の垂直2等分線とは、ある線分の中点を通ってその線分に垂直な直線のことである。垂直二等分線は、線分が与えられたとき必ず存在する。
線分の垂直2等分線の重要な性質として、その線上の点についてはその点から元の線分の両端の点との距離が、両端の2つの点に対して等しくなっていることがあげられる。このことの証明も三角形の性質を使う必要があるので、中学校数学 2年生-図形の範囲である。また、この事実を用いて、線分の垂直2等分線の定規とコンパスによる作図法が得られる。
線分の垂直二等分線の作図[編集]
まず、与えられた線分の片方を中心としてある半径を持つ円を描く。ただし、この円の半径は線分の長さの より大きいものとする。次に、与えられた線分のもう片方の端点からも、同じ半径の円を描く。このとき、2つの円の交点は各々の端点から等距離にあることがわかるため、その線分の垂直2等分線上の点である。また、円の半径が線分の長さの より大きいので、ここで2つの円の交点は2つだけ得られる。よって、その2点を直線でつなげば、この線分の垂直2等分線が得られるのである。
角の2等分線[編集]
角の2等分線[編集]
ここでは、角の2等分線を紹介する。角の2等分線は図形的な応用が多く、重要な平面図形の1つである。
ある角が与えられたとき、その角の大きさを2等分するような直線(または半直線または線分)のことを、その角の二等分線(にとうぶんせん)という。
たとえば、右の図では、まっすぐな線 が の二等分線であるとすると、
が成り立つ。
例えば、直角は90 であるので、その角の2等分線を取ったとき、
角の二等分線とそれ以外の直線がなす角は45 である。
角の二等分線の性質として、その線上の点から角を構成している各々の辺に垂直になるように下ろした直線がそれぞれの点と交わる点をそれぞれの辺について取ったとき、それらの点とその角の頂点との距離が、2つの点に対して同じになっていることが知られている。このことの説明は三角形の合同の条件を用いないと難しいので、ここでは詳しくは述べない。中学校数学 2年生-図形を参照。
このことを用いて、角の二等分線をコンパスと定規を用いて作図する方法が存在する。
角の二等分線の作図[編集]
- まず、角の頂点から角を構成する2つの辺上に、頂点からの距離が等しい点を各々の辺上に1つずつ取る。
- 次に、上の作業で辺上に得た点から任意の半径の円を書き、それと同じ半径の円をもう片方の辺上の点からも書き込む。このとき、各々の点から書いた円が交わった点は角の2等分線上の点となっている。
- ここで2つの点が得られるため、その2点を定規を用いてつなぐことで、元々の角の、角の2等分線が得られるわけである。ただし、実際には元々の角の頂点は常に2等分線上の点であるので、円の交点として求める点は1点だけでよい。
このようにして、角の二等分線が作図できる。
垂線の作図[編集]
垂線もコンパスと定規を用いて作図を行なうことが出来る。まず、与えられた点からある適当な半径の円を取り、その円と与えられた直線の交点を2つ取る。さらに、ここで得た2つの点から同じ半径の円を描きその2つの円の交点を取る。このときこれらの円の交点と元々の点をつないだ直線が与えられた点を通り、与えられた直線に直交する図形となっているのである。ここで、最初の手順である与えられた点からの距離が等しい2点を与えられた直線上に取るという手順以降の手順は線分の垂直2等分線を得るための手順と同一であることがわかる。ここで、与えられた線分の端点は先ほどの最初の手順で得た2点である。つまり、この手順では与えられた点から等しい距離にある2点を端点とした垂直2等分線を求めたのであり、また、端点である2点から元々の与えられた点は確かに等しい距離にあるので、与えられた点自身もそれらの垂直2等分線上の点であることが分かる。ここで最後にひいた垂直2等分線は与えられた直線に垂直であり、与えられた点を通ることから確かに最初の条件を満たしている。よって、これらの手順である与えられた点を通り、与えられた直線に垂直な直線が得られることが分かった。
円とおうぎ形[編集]
円[編集]
点 を中心とする円(えん)を、円 という。
また、円周上の一部を 弧 (こ)という。2点 、 を両端とする弧を、弧 (こエービー)といい、記号 をつかって
とあらわす。「弧 」は「こエービー」と読む。
- ※ パソコンの入力上の理由のため、ウィキでは で代用する場合がある。
また、円周上の2点を結ぶ線分を 弦 (げん)といい、2点 を両端とする線分を 弦 (げんエービー)という。「弦 」は「げんエービー」と読む。
長いほうの弧をあらわした場合、右図のように、長いほうの弧の上に点 をとって と書く。
なお、ある円の弦で、もっとも大きい弦は、その円の直径である。
おうぎ形[編集]
円の2つの半径と1つの弧で囲まれた図形を おうぎ形 (おうぎがた、扇形)という。
また、おうぎ形で2つの半径のつくる角のことを 中心角 (ちゅうしんかく)という。右図の場合、 が中心角である。
おうぎ形の中心角は180度より大きくてもいい。
計量[編集]
円の周の長さと面積の求め方は、すでに小学校で学んだだろう。そのとき、円周率(えんしゅうりつ)というものを使用した。円周率は、円周の直径に対する割合であり、3.1415926535897…と無限に続く小数である。そのために、これからは円周率を、 (パイ)で表わす。
半径 の円の周の長さをℓとして、面積を とすると、
ℓ
で表わされる。
おうぎ形の面積の大きさは、中心角の大きさによって決まる。例えば中心角が20°のおうぎ形の面積や弧の長さは、同じ半径の円の面積や周の長さの 倍である。
おうぎ形の面積を 、弧の長さを 、中心角を 、半径を とすると、
ℓ
で表す事ができる。
ℓ
ともいえる。
円の接線と接点[編集]
右図のように、円と直線または線分が一点で交わるとき、その線は円に 接する (せっする)といい、また、接する線のことを 接線 (せっせん)という。
また、円と接線との共有する点を 接点 (せってん)という。
円の接線は、接点を通る半径に垂直である。
図形の移動[編集]
平行移動[編集]
図形を一定の方向に、一定の距離だけ動かす移動を平行移動(へいこう いどう)という。
回転移動[編集]
図形を1つの定点 を中心としてある角度だけ回転させることを回転移動(かいてん いどう)という。このとき、 を回転の中心(かいてん の ちゅうしん)という。
対称移動[編集]
図形をある直線を折り目として折り返すような移動を対称移動(たいしょう いどう)といい、折り目とした直線を対称の軸(たいしょう の じく)という。
対称移動によって点 が点 に移動するとき、対称の軸は線分 の垂直二等分線になっている。
線対称と点対称[編集]
線対称[編集]
ある図形について、ある一本の線を挟んで図形を折り返したとき、 両方の図形が丁度重なるという条件が満たされているとき、その図形は その線を軸とする線対称(せんたいしょう)な図形であるという。また、その時の線のことを対称軸(たいしょうじく)という。
- 図形
一般に線対称な図形についてはある半面の図形上の点から軸に対して垂線(すいせん)を 下ろし、軸からの距離が元々の点と同じになるように反対側の面に 点を取るとそれは反対側の図形上の点になっていることがわかる。 これはそのような点はまさに軸を中心として折り返したときに、 元々の点に重なるような点だからである。この性質を用いて半面だけが かかれた図と軸が与えられたとき、線対称な図形を構成することが出来る。
点対称[編集]
ある図形について、ある点を中心に180 回転させたとき図形が最初の図形と 同一になるとき、その図形はその点を中心とした点対称(てんたいしょう)であるという。
- 図形
点対称な図形に対しては、図形上のある一点から点対称の 中心に下ろした線上にその点と点対称の中心との距離が、 最初に選んだ点と点対称の中心との距離と等しくなるような 点を選ぶと、その点は図形上の点になることが知られる。これは、点対称の中心を 中心に図形上の点を180 回転させた点は、まさしく上で述べたような 点と等しくなっていることによる。