中学校数学 1年生-図形/平面図形

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線対称と点対称[編集]

線対称[編集]

ある図形について、ある一本の線を挟んで図形を折り返したとき、 両方の図形が丁度重なるという条件が満たされているとき、その図形は その線を軸とする線対称(せんたいしょう、英:line symmetry ライン・シンメトリー)な図形であるという。また、その時の線のことを対称軸(たいしょうじく、英:line of stmmetry)という。

  • 図形
  • 問題例
    • 問題

次の図形は線対称の条件を満たすかどうか述べよ。 (I)

|---|---|
|---|---|
|---|---|

(II)

|-(-|-)-|
|---|---|
|(--|--(|

(III)

|-(-|-)-|
|<--|-->|
|(--|--)|

(IV)

|-(||-)-|
|<--|=->|
|(-=||-)|
    • 解答

中心の線に対して上の図形を折り返したとき、左側の半分と右側の半分が 重なればよい。答えはそれぞれについて (I)線対称 (II)線対称でない (III)線対称 (IV)線対称でない となる。

一般に線対称な図形についてはある半面の図形上の点から軸に対して垂線(すいせん、英:perpendicular パーペンデュキュラー)を 下ろし、軸からの距離が元々の点と同じになるように反対側の面に 点を取るとそれは反対側の図形上の点になっていることがわかる。 これはそのような点はまさに軸を中心として折り返したときに、 元々の点に重なるような点だからである。この性質を用いて半面だけが かかれた図と軸が与えられたとき、線対称な図形を構成することが出来る。

  • 問題例
    • 問題

それぞれの図形の半面と軸がが与えられている。このとき、その図形が線対称に なるように反対側の図形を構成せよ。

(I)
<---|
-<--|
--/-|
---/|

(II)
<|-]|
-<--|
--/-|
-]-/|

(III)
<|-]|
-<--|
_-/-|
_]-/|
    • 解答

それぞれについて軸の反対側に軸について線対称になるように点を取ればよい。 それぞれに対して、

(I)
<---|--->
-<--|-->-
--/-|-╲--
---/|╲---

(II)
<|-]|[-|>
-<--|-->-
--/-|-╲--
-]-/|╲-[-

(III)
<|-]|[-|>
-<--|-->-
_-/-|-╲-_
_]-/|╲-[_

が得られる。

点対称[編集]

ある図形について、ある点を中心に180回転させたとき図形が最初の図形と 同一になるとき、その図形はその点を中心とした点対称(てんたいしょう,英:point symmetry)であるという。

  • 図形

点対称な図形に対しては、図形上のある一点から点対称の 中心に下ろした線上にその点と点対称の中心との距離が、 最初に選んだ点と点対称の中心との距離と等しくなるような 点を選ぶと、その点は図形上の点になることが知られる。これは、点対称の中心を 中心に図形上の点を180回転させた点は、まさしく上で述べたような 点と等しくなっていることによる。

  • 問題例
    • 問題

それぞれの図形についてその図形がある点を中心として点対称になっているかどうか 調べよ。

(I)
-(-|--(
---|---
)--|-)-
(II)
|(-|--(
|--|--|
)--|-)|
(III)
-(-|--(
-(-|-(-
)--|-)-
(IV)
-(-|--(
--=|--=
)--|-)-
(IV)
-(-|\-(
=--|--=
)-\|-)-
    • 解答

この場合についてもそれぞれの点について順に対応する点に図形があるかどうか 確認して行けばよい。それぞれ、 (I)点対称 (II)点対称 (III)点対称ではない (IV)点対称ではない (V)点対称 という結果が得られる。

直線と角[編集]

直線、線分とはなにか[編集]

一般的な使い方では、直線という言葉はいくつかの意味にもちいられることがある。しかし、数学では直線という図形には常に1つの意味しか与えられない。そのため、広い意味での直線が含んでいる意味に別の名前を与える必要がでてくる。ここでは、通常「直線」という言葉でまとめられがちな図形を表わす用語を紹介する。

Chokusen.png

2点を通るまっすぐな線を引くとき、その点で止まらずに無限に伸ばした線を直線(ちょくせん、英:line、あるいは straight line)という。ここで、直線が2つの点を通るとき、この直線をその点の名前を用いて表す。例えば2点A,Bをとるとき、点A,Bを越えた後にもその線をのばしていき、そのまま無限に遠い点までのばしていったものを「直線AB」(英:line AB)または「直線BA」(英:line BA)という。

直線上のある点で図形が途切れたとしても、その反対の方向に無限に長くまで続いている図形を特別に半直線(はんちょくせん、英:ray レイ)と呼ぶ。半直線の長さは無限であり、半直線の端点は1点だけ存在する。半直線の名前は、「半直線(端点)(もう一つの点)」というようにつける。例えば右図では、「半直線AB」(英:ray AB)とよぶ。「半直線BA」(英:ray BA)とすると、端点が点Bとなり、点A側は無限に伸びることになる。

2つの点の間を結んで得られるまっすぐな線を線分(せんぶん、英:segment セグメント)という。線分の長さは常に有限である。線分は端点の名前を取って呼ぶ。例えば、ある2点A,Bを取り、その点の間にまっすぐな線を引いたとき、その図形のことを「線分AB」(英:segment AB)または「線分BA」(英:segment BA)と呼ぶのである。

2直線の垂直・平行[編集]

直線が2本あるとき、この2直線は1点で交わるか、または全く交わらないかのどちらかになる。ただし、2本がぴったり重なっている場合はここでは考えない。

平行な2直線

2直線が全く交わらないとき、この2直線は平行であるという。 たとえば直線lと直線mが平行であるとき、これを記号//を用いて、

l//m

と表す。

単純な角

2直線が1点で交わるとき、交わる点を交点(こうてん、英:crossing クローシング)という。交点と、そこから伸びる2本の半直線からなる図形を(かく、英:angle アングル)という。角の大きさは2本の半直線の開き具合で表し、これを角度(かくど、英:the measure of angle)という。

角は記号を用いて、∠(始点)(交点)(終点)というように表す。例えば右図の角は、

∠ACB

だとか

∠BCA

というように表す。誤解のおそれがなければ、もう少し簡潔に表すこともできる。例えば右図の角は、

∠C

だとか

X

と表すこともできる。ただし、複雑な図形ではこのような表し方が混乱を招くことがあるので避けたほうがよい場合もある。

2直線が交わってできる角が直角になるとき、2直線は垂直(すいちょく)であるという。 たとえば直線lと直線mが垂直であるとき、これを記号 を用いて、

l⊥m

と表す。

垂線[編集]

次に、垂線(すいせん、英:perpendicular パーペンデュキュラー)という概念を紹介する。ある直線に対する垂線(すいせん)とは、その直線に対して垂直な直線のことである。

同じようにして、ある線分に対する垂線、半直線に対する垂線も考えられる。特に、与えられた直線上にない1点を通るような垂線を、その点からその直線に下ろした垂線といい、与えられた直線とこの垂線の交点を 垂線の足(すいせん の あし) という。直線は両方向に限りなく伸びているので、その直線上にない任意の点から垂線を下ろすことができる。

線分の垂直2等分線[編集]

次に、線分の垂直2等分線を紹介する。線分の垂直2等分線とは、ある線分の中点を通ってその線分に垂直な直線のことである。この図形は線分が与えられたとき必ず存在する。

垂直二等分線.png

線分の垂直2等分線の重要な性質として、その線上の点についてはその点から元の線分の両端の点との距離が、両端の2つの点に対して等しくなっていることがあげられる。このことの証明も三角形の性質を使う必要があるので、中学校数学 2年生-図形の範囲である。また、この事実を用いて、線分の垂直2等分線の定規とコンパスによる作図法が得られる。

三角形と角[編集]

角の2等分線[編集]

ここでは、角の2等分線を紹介する。角の2等分線は図形的な応用が多く、重要な平面図形の1つである。

角の2等分線とは、ある角が与えられたとき、その角の大きさを2等分するような直線のことである。ただし、状況によっては直線ではなく、与えられた角の頂点を端点とし、小さい角が作られている方に無限に続く半直線と解釈されることもあり、適宜判断する必要がある。

角の二等分線.png

例えば、直角は90であるので、その角の2等分線を取ったとき、 角の2等分線とそれ以外の直線がなす角は45である。

角の2等分線の性質として、その線上の点から角を構成している各々の辺に垂直になるように下ろした直線がそれぞれの点と交わる点をそれぞれの辺について取ったとき、それらの点とその角の頂点との距離が、2つの点に対して同じになっていることが知られている。このことの説明は三角形の合同の条件を用いないと難しいので、ここでは詳しくは述べない。中学校数学 2年生-図形を参照。

このことを用いて、角の2等分線をコンパスと定規を用いて作図する方法が存在する。

基本的な図形の作図[編集]

垂線[編集]

垂線もコンパスと定規を用いて作図を行なうことが出来る。まず、与えられた点からある適当な半径の円を取り、その円と与えられた直線の交点を2つ取る。さらに、ここで得た2つの点から同じ半径の円を描きその2つの円の交点を取る。このときこれらの円の交点と元々の点をつないだ直線が与えられた点を通り、与えられた直線に直交する図形となっているのである。ここで、最初の手順である与えられた点からの距離が等しい2点を与えられた直線上に取るという手順以降の手順は線分の垂直2等分線を得るための手順と同一であることがわかる。ここで、与えられた線分の端点は先ほどの最初の手順で得た2点である。つまり、この手順では与えられた点から等しい距離にある2点を端点とした垂直2等分線を求めたのであり、また、端点である2点から元々の与えられた点は確かに等しい距離にあるので、与えられた点自身もそれらの垂直2等分線上の点であることが分かる。ここで最後にひいた垂直2等分線は与えられた直線に垂直であり、与えられた点を通ることから確かに最初の条件を満たしている。よって、これらの手順である与えられた点を通り、与えられた直線に垂直な直線が得られることが分かった。

線分の垂直二等分線[編集]

垂直二等分線の作図

まず、与えられた線分の片方を中心としてある半径を持つ円を描く。ただし、この円の半径は線分の長さの より大きいものとする。次に、与えられた線分のもう片方の端点からも、同じ半径の円を描く。このとき、2つの円の交点は各々の端点から等距離にあることがわかるため、その線分の垂直2等分線上の点である。また、円の半径が線分の長さの より大きいので、ここで2つの円の交点は2つだけ得られる。よって、その2点を直線でつなげば、この線分の垂直2等分線が得られるのである。

角の二等分線[編集]

角の二等分線の作図
  • まず、角の頂点から角を構成する2つの辺上に、頂点からの距離が等しい点を各々の辺上に1つずつ取る。
  • 次に、上の作業で辺上に得た点から任意の半径の円を書き、それと同じ半径の円をもう片方の辺上の点からも書き込む。このとき、各々の点から書いた円が交わった点は角の2等分線上の点となっている。
  • ここで2つの点が得られるため、その2点を定規を用いてつなぐことで、元々の角の、角の2等分線が得られるわけである。ただし、実際には元々の角の頂点は常に2等分線上の点であるので、円の交点として求める点は1点だけでよい。

このようにして、角の二等分線(英:angle bisector)が作図できる。

円とおうぎ形[編集]

[編集]

点Oを中心とする円(えん、英:circle サークル)を、円Oという。

また、円周上に2点A、Bをとるとき、円周のAからBまでを、弧AB(こエービー、英:arc AB)という。「弧」は「こ」と読む。「弧AB」は「こエービー」と読む。

また、このときの点Aと点Bを結ぶ線分を、弦AB(げんエービー、英:chord AB)という。弦は「げん」と読む。「弦AB」は「げんエービー」と読む。

さらに、このとき、中心Oと、点A、点Bを結ぶと、ができる。このときの∠AOBを、弧ABに対する中心角(ちゅうしんかく、英:central angle)という。

おうぎ形[編集]

円の2つの半径と1つの弧で囲まれた図形を、おうぎ形(おうぎがた、扇形、英:circular sector サキュラー・セクター)という。

計量[編集]

円の周の長さと面積の求め方は、すでに小学校で学んだだろう。そのとき、円周率(えんしゅうりつ)というものを使用した。円周率は、円周の直径に対する割合であり、無限に続く小数である。そのために、これからは円周率を、(パイ)で表わす。

半径rの円の周の長さをlとして、面積をSとすると、

で表わされる。

おうぎ形の面積の大きさは、中心角の大きさによって決まる。例えば中心角が20°のおうぎ形の面積や弧の長さは、同じ半径の円の面積や周の長さの倍である。

おうぎ形の面積をS、弧の長さをl、中心角をa、半径をrとすると、

で表わす事ができる。

図形の移動[編集]

平行移動[編集]

平行移動

図形を一定の方向に、一定の距離だけ動かす移動を平行移動(へいこう いどう、英:translation トランスレイション)という。

回転移動[編集]

回転移動

図形を1つの定点Oを中心としてある角度だけ回転させることを回転移動(かいてん いどう)という。このとき、Oを回転の中心(かいてん の ちゅうしん)という。

対称移動[編集]

対象移動

図形をある直線を折り目として折り返すような移動を対称移動(たいしょう いどう)といい、折り目とした直線を対称の軸(たいしょう の じく)という。

対称移動によって点pが点qに移動するとき、対称の軸は線分pqの垂直二等分線になっている。


対象移動と平行移動の組合わせ

色々な図形[編集]

三角形[編集]

正三角形[編集]

3本の辺の長さが全て等しい三角形のことを、正三角形(せいさんかっけい、英:equilateral triangle)という。

3つの内角の大きさは全て等しく60°である。

直角三角形[編集]

内角のどれかが直角である三角形のことを直角三角形(ちょっかく さんかっけい、英:right triangle)という。直角に向かい合っている辺を斜辺(しゃへん、英:hypotenuse ハイポウテニュース)といい、それ以外の2本の辺を隣辺(りんぺん、英:cathetus カーセタス)という。

(中学校3年内容、三平方の定理を参照)隣辺の2乗の和は斜辺の2乗に等しい。

二等辺三角形[編集]

2本の辺の長さが等しい三角形のことを二等辺三角形(にとうへん さんかっけい、英:isosceles triangle アイソセリーズ・トライアングル)という。2本の等しい辺で挟まれた角を頂角(ちょうかく、英:vertex バーテクス)といい、それ以外の2つの角を底角(ていかく、英:base angle)という。

2つの底角は互いに等しい。頂角の2等分線を引くと底辺を2等分する。また底辺の2等分線を引くと頂角を2等分する。

直角二等辺三角形[編集]

頂角が直角である二等辺三角形、具体的には90°・45°・45°の三角形である。一般的な三角定規の1つはこの形である。(もう1つは90°・60°・30°)

直角三角形と二等辺三角形の両方の性質を持つ。

鋭角三角形・鈍角三角形[編集]

3つの内角が全て90°未満である時、その三角形を鋭角三角形(えいかくさんかくけい)という。また、90°を超えている内角を持つ三角形を鈍角三角形(どんかくさんかくけい)という。

四角形[編集]

正方形[編集]

4本の辺の長さが全て等しく4つの内角の大きさが全て等しい四角形のことを、正方形(せいほうけい、英:square スクウェアー)、または正四角形という。

4つの内角の大きさは全て90°であり、向かい合う2辺の長さは等しく平行である。対角線の長さは等しく、それぞれの中点にて90°に交わる。

長方形[編集]

4つの内角が全て等しい四角形のことを長方形(ちょうほうけい、英:rectangle レクトアンガル)という。

向かい合う2辺は平行であり等しい。対角線の長さは等しく、それぞれの中点にて交わる。

菱形[編集]

4本の辺の長さが全て等しい四角形のことを菱形(ひしがた、英:rhombus ロンバス)という。

向かい合う2辺は平行で、向かい合う2角も等しい。対角線はそれぞれの中点にて90°に交わる。

平行四辺形[編集]

向かい合う2辺が平行な組が2組ある四角形のことを平行四辺形(へいこう しへんけい、英: parallelogram ペーレログラム)という。

向かい合う2辺の長さは等しく、向かい合う2角も等しい。対角線はそれぞれの中点で交わる。

凧形[編集]

隣り合った2辺の長さが等しい組が2組ある四角形のことを凧形(たこがた、英:kite カイト)という。

長さの異なる2辺でできる2角は等しい。対角線は90°に交わる。

台形[編集]

(少なくとも)向かい合う2辺の1組が平行である四角形を台形(だいけい、英: trapezoid トラペゾイド あるいは trapezium トラピージウム)という。平行な2辺を底辺といい、片方を上底(じょうてい)といい、もう片方を下底(かてい)という。それ以外の2辺を脚(きゃく)という。下底の両端の2角を底角(ていかく)といい、上底の両端の2角を頂角(ちょうかく)という。

変形四角形[編集]

180°を超えている内角を持つ四角形を変形四角形という。対角線は交差せず、どちらか1本が図形の外にある性質を持つ。