中学校数学 2年生-図形/平行と合同

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平行線と角[編集]

定理[編集]

  • n角形の内角の和は180° ×(n-2)
  • 多角形の外角の和は360°
  • 対頂角は等しい
  • 平行な2直線に1つの直線が交わるとき、次の1,2が成り立つ。
  1. 2直線が平行なら同位角は等しい。
  2. 2直線が平行なら錯角は等しい。
  • 2直線に1つの直線が交わるとき、次のどちらかが成り立てば、その2直線は平行である。
  1. 同位角が等しければ、その2直線は平行である。
  2. 錯角が等しければ、その2直線は平行である。
  • 三角形の内角の和は180°である
  • 三角形の外角は次に述べる和に等しく、その外角とは隣あわない残りの2つの内角の和に等しい。


ここまでで平行線の性質について学んだ。ここでは、その性質を用いて三角形の内角の和の性質を考察する。 三角形の内角とは三角形の各々の辺が他の辺と作る角のことである。 ここで、三角形の3つの内角の和について次の性質が成り立つ。

  • 三角形の内角の和は常に180である。
  • 導出
平行と合同1.svg

三角形ABCを取り点Aを通り辺BCに平行な直線を描く。このとき、ここで描いた直線上で 点AよりもB側にある点をDと呼ぶとして、C側にある点をEと呼ぶとする。 すると、平行線の錯角が等しいことから

が成り立つ。ここで、

が成り立つが、この量は三角形の内角の和に等しい。


三角形の内角の和の性質を用いて、一般の多角形の内角の和も求めることができる。 ある3より大きい整数nについて、

  • n角形の内角の和は

で表わされる。 実はこのことは三角形についても成り立つ。

  • 導出

多角形のある頂点を取る。ここで、この頂点からその頂点の隣り以外の頂点へと線分を引く。 このとき、与えられた多角形は(n-2)個の三角形で表わされるが、この図形の内角の和は三角形の内角の和の性質より

である。

次に、多角形の外角の性質について述べる。 多角形の外角とは、ある頂点とその点を通る多角形の辺を取り、その辺を頂点を通りすぎて延ばした直線と、元の頂点を通るもう片方の辺とが成す角である。

ここで、任意の多角形の外角の和について次の結果が成り立つ。

  • 多角形の外角の和は 360に等しい。

例えば、直方体の外角は全て90であるので、その和は 360となる。

  • 導出

ある3以上の整数nについて、 n角形の内角と外角両方の和を取ると、これは

に等しい。ここで、多角形の内角だけの和を取ると

であることが知られているので、外角だけの和はそれらの差を取って

となる。

また、特に三角形の外角は簡単な性質を持つ。つまり、

三角形のある外角は、その外角に対応しない三角形の2つの内角の和に等しい

が成立する。

  • 導出

三角形ABCを取り、辺ABをAの側からBを越えてのばした点にDを取る。 求める外角の大きさを

で表わす。このとき、この角について

が得られるが、三角形ABCの内角の和がで与えられることから、

となり、このことを用いると、

となることが分かる。 このことは、三角形ABCのある内角に対応する外角はそれ以外の内角の大きさの和に等しいことに対応する。



合同[編集]

図のような三角形ABCと三角形DEFは合同である。

2つの図形が、その図形の位置や向きをかえるだけで、形と大きさをかえずに一致させることができる場合、その2つの図形は 合同(ごうどう、英:congruence) である、という。

合同条件[編集]

2つの図形が合同であるために、満たすべき条件を 合同条件(ごうどうじょうけん) という。

三角形[編集]

2つの三角形において、つぎの条件のいずれかが成り立つとき、その2つの三角形は合同である。

  1. 3組の辺がそれぞれ等しい       (三辺相等 、さんぺん そうとう)
  2. 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい (二辺夾角相等 、にへん きょうかく そうとう)
  3. 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい(一辺両端角相等 、いっぺん りょうたんかく そうとう)

2個の三角形が、上記の3つの条件のいずれかを満たすと、その2個の三角形は合同である。 この3つの条件が 三角形の合同条件(さんかっけい の ごうどうじょけん) である。


ある三角形について、それらの性質が全て同じであるための条件は、三角形の辺の長さや角の大きさなどの少数の量で書かれることが知られています。 ここでは、三角形が同じ形をしているための条件を学びましょう。

まず、ある図形の性質が等しいことを述べるための用語を定義します。 あるいくつかの図形について、それらの図形が持つ性質が全て同一であるとき、つまり、全く同じ大きさで同じ形の図形であるとき、それらの図形は、「たがいに 合同(ごうどう) である」といいます。

たとえば図のような三角形ABCと三角形CDAは、向きがちがっていても、合同である。三辺の長さが等しいので。

ただし、同じ形をしていれば、位置や向きは関係ありません

三角形ADCと三角形ABCは、二辺とあいだの角が等しいので、合同である。

合同であるための条件を 合同条件(ごうどうじょうけん) というが、合同条件がどのようなものであるかはその図形の性質によって決めることができます。 例えば、円について考えれば、円はその中心の位置と半径だけで定められる図形ですから、半径が等しい円は常に合同となります。

ここでは、多角形の例として三角形の合同条件を学習します。 三角形には3つの辺と3つの角があります。しかし、三角形が合同であることを述べるために それら全てが等しいことを述べる必要はありません。

一般に三角形には3つの合同条件があることが知られています。

  • 3辺の長さがそれぞれ同じであること。(三辺相等)
  • 2辺が同じ長さでその間の角の大きさが等しいこと。(二辺夾角相等)
  • 1辺の長さが等しく、両端の2つの角の大きさが等しいこと。(一辺両端角相等・二辺夾角相等)

しかし、本当にこれだけで合同であるといえるのでしょうか。それぞれの場合について調べてみましょう。

まず、3辺の長さがそれぞれ同じである場合について調べてみましょう。 ある三角形があるとします。このように一般的な図形を調べるとき、三角形はどんな形をしているかは書きません。正三角形かも知れませんし、全く辺の長さがばらばらのものかもしれません。 そのうちの1つの辺の長さを取りだし、それと等しい長さの線分を取ります。 次に線分の両端の点から、残りの2つの辺の長さに等しい半径を持った円を描きます。 これらの円は普通2つの交点を持ちますが、これらの点と線分の2つの端点をつないで得られた三角形はどちらも、元の三角形と全ての辺の長さが等しく、 上で述べた条件を満たしています。また、ここで得た2つの三角形はどちらも全く同じ形をしているので互いに合同であるといえます。 よって、3つの辺の長さが等しい三角形は1通りしかないことが分かりました。 こうして、3辺の長さが等しい三角形は互いに合同であるといえるのです。

次に、2辺が同じ長さでそのあいだの角の大きさが等しい場合について調べてみましょう。 ある三角形があるとします。 このとき、2本の半直線をその間の角が元の三角形のひとつの角になるように引きます。また、それぞれの辺の 長さが、三角形でその角を作っている辺の長さに等しくなるように点を取ります。残りの辺はその点をつないだ線分となるしか無いため、上の条件をもつ三角形は常に1通りに決まることになります。 よって、2辺が同じ長さでそのあいだの角の大きさが等しい三角形は、互いに合同となっていることになります。

最後に、1辺の長さがひとしくまわりの2つの角の大きさが等しい場合について調べてみましょう。 ある三角形があるとします。 このとき、三角形のある1辺の長さと等しい長さの線分を取り、 その辺の両端の角と等しい大きさの角をその線分の両方の端点から取り、 その角度を持つような直線を取ります。ここで、三角形のもうひとつの頂点はそれらの直線の交点となるから、三角形は1つに定まります。 よって、1辺の長さが等しく、まわりの2つの角の大きさが等しい場合も、 三角形は互いに合同となっていることがわかります。

以上で3つの条件全てについて、それらが三角形の合同条件となっていることがわかりました。

直角三角形[編集]

直角三角形

直角三角形のうち、直角の対辺を斜辺という。

直角三角形の場合、三角形の合同条件に加え、次の条件がある。

  1. 斜辺とそれ以外の辺がそれぞれ等しい
  2. 斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい

たったこれだけの情報だけでも、直角三角形が合同だといえる。「斜辺とそれ以外の辺がそれぞれ等しい」については、中学3年で学ぶ「三平方の定理」が利用できる。「斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい」については、三角形の内角の和が180°であることから、もう一つの鋭角がわかり、三角形の合同条件、「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」が利用できる。

図形の性質[編集]

二等辺三角形[編集]

三角形の辺のうちの2辺の長さが等しいとき、この三角形を 二等辺三角形(にとうへん さんかっけい) と呼ぶ。

二等辺三角形は、つぎの性質を持つ。

  1. 底角(2つの角)は等しい
  2. 頂角の二等分線は、底辺を2等分する
図の場合、角度α(アルファ)が底角である。

ここで、長さが等しい2辺を除いたもう1つの辺のことを 底辺(ていへん) と呼ぶ。 また、底辺のまわりにある2つの角のことを 底角(ていかく) と呼ぶ。さらに、 底角でない角のことを 頂角(ちょうかく) と呼ぶ。 二等辺三角形は次の性質を持っている。

底角の大きさは等しい。
頂角から底辺に下ろした垂線は、底辺を2等分する。
  • 導出

頂角に対応する点を点Aとし、底角に対応する点をそれぞれB,Cとする。 更に、頂角から底辺に下ろした垂線と底辺が交わる点を点Hと呼ぶ。 ここで、直角三角形ABHとACHに注目すると、 仮定から

であり、更にAHを共有している。 よって、直角三角形の2辺の長さが等しいことから 直角三角形ABHとACHは互いに合同であることが分かる。このことから、

となる。更に、

から、頂角から底辺に下ろした垂線が底辺をニ等分することが分かる。

よって、上の2つの性質が示された。

平行四辺形[編集]

  1. 2組の対辺はそれぞれ等しい
  2. 2組の対角はそれぞれ等しい
  3. 対角線はそれぞれの中点で交わる


平行四辺形は2組の向かい合う2辺がどちらも互いに平行である四角形である。 このとき、平行線の性質と三角形の合同条件を用いて平行四辺形の性質を 示すことが出来る。平行四辺形の性質は

向かい合う2辺の長さは等しい。
向かい合う2つの頂点で辺がなす角度は等しい。
対角線は互いに他を2等分する。
  • 導出

平行四辺形の頂点をある頂点から時計回りにABCDとする。更に、2本の対角線を 取り、その交点をMとする。

平行四辺形.png

まず、

向かい合う2辺の長さは等しい。

を示すため、三角形ADCと三角形ABCに注目し、これらが合同であることを示す。 まず、これらの2つの三角形は共通の辺ACを持つ。 更に、 ABとCDは平行、ADとBCは平行 なので、平行線における錯角の関係から、

が成り立つ。 よって、三角形ADCと三角形ABCは、1辺とそのまわりの2角が等しいこと から合同である。 このことから合同な三角形で対応する辺の長さが等しいことから、

となり、平行四辺形の対応する辺の長さが等しいことが分かった。 次に、

向かい合う2つの頂点で辺がなす角度は等しい。

については、例えば、

については、平行線の錯角の関係より

と、

が成り立つことから、

が成り立つことがわかる。よって、平行四辺形の向かい合う角は等しい。 更に、

対角線は互いに他を2等分する。

については、三角形ABEと三角形CDEが合同であることを示す。 まず、上で示したことから

となる。また、平行線の錯角の関係から

が得られる。よって、1辺とそのまわりの2角が等しいことから、 三角形ABEと三角形CDEが合同となる。よって、対応する辺であることから

が得られる。よって、平行四辺形の対角線は互いに他を2等分することが示された。