中学校理科 第2分野/生物と環境

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食物連鎖[編集]

陸上と海中での食物連鎖のイメージ。

動物性プランクトンは、エサとして、植物性プランクトンを食べている。 具体的に言うと、ミジンコやゾウリムシなどの動物性プランクトンは、ケイソウやアオミドロなどの植物性プランクトンを食べる。

そして、動物性プランクトンも、メダカなどの小さな魚に食べられる。

メダカなどの小さな魚も、さらに大きな魚に、エサとして食べられる。

植物プランクトン(ケイソウなど) → 動物プランクトン(ミジンコなど) → 小型の魚(メダカなど) → 中型の魚 →大型の魚など

というふうに、より大型の生き物などに食べられていく。

生きてるあいだは食べられずに寿命を迎えて死んだ生物も、微生物などにエサとして食べられていく。

このように、生き物どうしが、「食べる・食べられる」 の関係を通じて関わり合っていることを 食物連鎖(しょくもつれんさ) という。

食物連鎖は、なにも水中の生き物だけでなく、陸上の生き物にも当てはまる考え方である。

生物量ピラミッド。このピラミッドは例の一つである。書籍によって、段数は変わる。この左図の場合、消費者は第一次消費者から第三次消費者までの三段階である。
生産量ピラミッドの説明図。植物は生産者となる。草食動物および肉食動物は消費者である。
このピラミッドは例の一つである。書籍によって、段数は変わる。ふつうの書籍では、生産者は植物になる。ふつうの書籍では、一般の動物は、草食動物も肉食動物も消費者となる。
この図の場合、草食動物が第一次消費者であり、肉食動物が第二次消費者である。

ある生物が、別の生物を食べる場合、食べる側の生物を 消費者(しょうひしゃ) という。

動物は、他の動物または植物を食べているので、動物はすべて消費者である。肉食動物も草食動物も、どちらとも消費者である。

植物を 生産者(せいさんしゃ) と言う。食物連鎖の始まりの生物は、植物になる。草食動物は、生産者では無い。

生物量ピラミッド[編集]

  • 生物量(せいぶつりょう)
また、ある生物の集まりを、質量や個体数などで表したものを生物量(せいぶつりょう、英:biomass バイオマス) という。
  • 生物量ピラミッド

本ページの図のように、三角形で図示された生産者と消費者の個体数の関係を、生物量ピラミッド または 生体量ピラミッド などという。植物など、ピラミッドの下段ほど個体数が大きいので、ピラミッド状の三角形で図示されている。


生物量ピラミッドでの「消費者」は、書籍での説明の必要に応じて、「第一次消費者」「第二次消費者」、・・・ など、多段階に分類される。 第一次消費者は、第二次消費者に食べられる。第二次消費者の視点から見れば、第二次消費者は第一次消費者を食べる。 第三次消費者が書かれていれば、第三次消費者は、第二次消費者を食べる。第二次消費者は、第三次消費者に食べられる。

つまり、栄養は、

生産者 → 第一次消費者 → 第二次消費者 → 第三次消費者 → ・・・

というふうに、移動していく。

  • ピラミッドの上段に置かれる個体ほど、個体数が少なくなる。
  • ピラミッドの下段に置かれる個体ほど、個体数が多い。
ピラミッドの最下段の生物は、かならず植物になる。
ピラミッドの最上段の生物は、ふつうの環境では、肉食動物がピラミッドの頂点にくる生物である。

第一次消費者が生きるためには、それに食べられる生産者が必要なので、よって、第一次消費者の数は、生産者よりも少なくなる。 つまり、不等式で書けば

生産者(植物) > 第一次消費者

である。

同様に、第二次消費者が生きるためには、食料として第一次消費者が必要なので、

第一次消費者 > 第二次消費者

となる。

生産者と第一次消費者との個体数の関係を合わせれば、つまり、

生産者(植物) > 第一次消費者 > 第二次消費者

となる。

第三次消費者が書かれている場合も同様にして、

生産者(植物) > 第一次消費者 > 第二次消費者 > 第三次消費者

となる。

このように、ピラミッドの上に置かれる個体ほど、個体数が少なくなる。
書籍の必要に応じて、第四次消費者や第五次消費者が書かれている場合は、個体数の大小関係は

生産者(植物) > 第一次消費者 > 第二次消費者 > 第三次消費者 >第四次消費者 > 第五次消費者

の関係である。

  • ピラミッドの上の消費者ほど、体が大きい。

たとえば、第二次消費者の体の大きさは、第一次消費者を食べられるので、第二次消費者は第一次消費者よりも体が大きい。

生物どうしのつり合い[編集]


なんらかの理由で、生産量ピラミッド中での、ある生物の個体数の比率が変わっても、時間が経てば、もとどおりに近づいていく。

なぜならば、たとえばある草食動物が増えても、植物は増えないので、そのうち食料としての植物が不足していく。また、その草食動物を食料として食べる別の肉食動物も、そのうち増えてしまう。
そうすると、草食動物の食料としての植物不足と、草食動物を食べる肉食動物の増加により、つぎは、草食動物が食べられて減ってしまう。

そのため、しだいに、もとどおりに近づいていく。


他の場合も考えてみよう。 つりあいの状態から、なんらかの理由で、肉食動物が増えた場合も考えよう。仮に、この状態を「(肉食動物=増)」と書くとしよう。

  1. 肉食動物が増えると、草食動物は食べられるので、草食動物は減っていく。(草食動物=減) そして肉食動物は、植物を食べないので、まだ個体数は変わらない。
  2. 次に、草食動物が減ったぶん、植物が増える。(植物=増) また、草食動物が減ったぶん、肉食動物が減ってしまう。(肉食動物=もとどおり)
  3. 次に、植物が増えたぶん、草食動物が増える。(草食動物=もとどおり)
  4. 草食動物が元通りになったので、その分、食べられる植物の量が増えるので、植物の量が雄どおりになる。(植物=もとどおり)

このように、食物連鎖を通じて、個体数の比率は調節されている。


  • 食べられる生物の増減にともない、食べる側の動物の個体数は、少し遅れて増減する。
もし、食べられる生物が増えると、食べる側の動物の個体数は、少し遅れて増える。
もし、食べられる生物が減ると、食べる側の動物の個体数は、少し遅れて減る。

(※ 画像を募集中。カナダでの、オオヤマネコ(捕食者)とカンジキウサギ(被食者)の個体数のグラフなどを作成してください。)


  • 環境によるピラミッドの変化

環境破壊や森林伐採などで、ある地域で、大規模に森林が破壊されてしまうと、生産量ピラミッドの最下段の生産者が減ってしまうので、上の段の消費者の動物も、その地域では生きられなくなってしまう。

人工的な環境破壊のほかにも、火山の噴火、山くずれ、洪水などの自然災害で、生物の量が大幅に減る場合もある。

分解者[編集]

アオカビの構造。

落ち葉や、枯れ木、動物の死がい や ふん などの有機物を分解して無機物にする生物を分解者(ぶんかいしゃ)と言う。 おもに、菌類(きんるい)や細菌類(さいきんるい)が、分解者である。

菌類とは、いわゆるカビやキノコのことである。シイタケやマツタケは菌類である。アオカビやクロカビは菌類である。

細菌類とは、たとえば、大腸菌(だいちょうきん)、乳酸菌(にゅうさんきん)、納豆菌(なっとうきん)などが、菌類である。

分解者の分解によって、有機物は、二酸化炭素や水や窒素化合物などに分解される。

これら、菌類や細菌類は、葉緑体を持っていないので、光合成によって栄養を作ることができない。 菌類は葉緑体を持っていないため、菌類は植物には、ふくめない。細菌類も、同様に、植物にふくめない。

菌類の栄養の取り方は、カビ・キノコともに、菌糸をのばして、落ち葉や動物の死がいなどから、養分を吸収している。

  • 菌類
  • 細菌類

発展: 生物濃縮[編集]

食物連鎖で生物間を移動する物質は栄養素だけではなく、生命には望ましくない有害物も、食物連鎖を移動していく。 たとえば、かつて農薬として使用されていたDDT(「ディーディーティ」と読む)は、自然界では分解されにくく、脂肪に蓄積しやすく、そのため食物連鎖を通じて高次の消費者へも取り込まれ、動物に害をおよばした。

生物内で分解・排出できない物質は、体内に蓄積しやすいという特徴がある。さらに、その生物を食べる消費者の体には、もっと多く蓄積しやすい。このため、生態ピラミッドで上位の生物ほど、高濃度で、その物質が存在しているという現象が起き、この現象を生物濃縮(せいぶつ のうしゅく、biological concentration)という。

毒性のある物質で、生物濃縮を起こす物質によって、高次の消費者を死亡させたり、高次の消費者の生命が脅かされた事例が過去に起きた。 生物濃縮を起こす、危険物質は、DDTやPCB(「ピーシービー」と読む)といった人工合成物や、有機水銀や鉛(なまり)といった重金属(じゅうきんぞく)などがある。

現在、アメリカおよび日本などでは、DDTの使用は禁止されている。

日本で起きた水俣病は、おもに有機水銀の生物濃縮による。