中学校理科 第2分野/身近な生物の観察
ルーペの使いかた
[編集]ルーペ(独: lupe)とは、いわゆる「虫めがね」などのことである。ルーペでは、決して太陽を見てはいけない。(目を痛めるので。) ルーペの倍率は5倍~10倍程である。
タンポポなどの道端の植物など、肉眼で確認できる程度のものは、このルーペで見るのが効率的である。ちなみに、タンポポで、花びらのように見える物は、じつは一枚一枚が花全体である。それぞれの「花びらのような物」に、おしべ や めしべ が個別についており、独立した花なのである。
ルーペの使い方
- ルーペを目の近くに近づけたら(眼鏡ぐらいの位置)、ルーペは動かさない。ピントがあわない場合などは、観察物を動かせる場合は対象物を動かす。観察物を動かせない場合には自分(観察者)が移動する。
- さまざまなルーペ
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最も典型的な手持ちタイプ。多くがレンズが1枚だけ、低倍率だが広視野。
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高倍率の折りたたみ(フォールディング)タイプで、理化学、ジュエリー鑑定などに用いる。
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主に印刷物の検査に用いるもの。対象物に載せるだけで焦点が合う。
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リネンテスター。主に繊維や印刷物の検査に用いる。対象物に載せるだけで焦点が合う。未使用時は小さく折りたためることが利点。
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いわゆる時計見(キズミ)。眼窩(がんか)に挟み込んで使うタイプで、両手が自由に使えるため、時計修理などに使用する。
顕微鏡の使いかた
[編集]双眼実体顕微鏡
[編集]双眼実体顕微鏡は、観察する物をプレパラートにする必要が無い。倍率は20倍~40倍ほどである。
ピント(焦点)合わせなどの調整は、以下のように行う。
- まず、水平で直接日光の当たらない場所に、顕微鏡を置く。
- ペトリ皿などに観察したい物を乗せ、その皿をステージの上に置く。けっしてペトリ皿などを使わずに、直接は乗っけてはいけない。
- 観察者の両目の間隔に合わせられるように、接眼鏡筒が左右に動かせるようになっている。
- なので、取り付けた接眼レンズを使って両目でのぞきながら、接眼鏡筒を左右に動かして、調節する。
- 視野やピントのおおよその調整をするため、鏡筒を支えながら粗動ねじをゆるめて、取り付けた接眼レンズで両目でのぞきながら、鏡筒を上下して、視野やピントなどの、おおよその調整を行う。
- 最初に右目でピントの調整を行うため、調整ねじ(「調節ねじ」とも言う)をゆっくり回して、右目で見えるピントを合わせる。
- 次に左目でピントを合わせるため、左目側の接眼鏡筒に付いている視度調節リングをゆっくり回して、左目で見えるピントを合わせる。(右目側の接眼鏡筒には、視度調節リングは付いていないのが一般。)
一般的な顕微鏡
[編集]顕微鏡のレンズには、接眼レンズ(eyepiece)と対物レンズ(objective)の2種類が必要である。
顕微鏡の倍率は、
- 接眼レンズの倍率 × 対物レンズの倍率
である。
たとえば接眼レンズの倍率が15倍であり、対物レンズの倍率が4倍なら、顕微鏡の倍率は60倍である。(15×4=60より)
一般に中学校などで使うような形式の顕微鏡の倍率は、40倍から600倍までである。
ミジンコやミドリムシなど、いわゆる「微生物」と言われるものは、ルーペなどでは倍率が小さすぎて確認できない場合が多い。微生物などは、顕微鏡以上で観察しよう。
- 手順
まず、プレパラート(ドイツ語: Präparat)の準備が必要である。鏡筒上下式顕微鏡と、ステージ上下式顕微鏡のどちらとも、プレパラートが必要にななる。このプレパラートの準備方法を、つぎに説明する。
プレパラート
[編集]顕微鏡で観察する時は、プレパラート(ドイツ語: Präparat)を使う必要がある。
うすい物しか観察できない。あつい物を観察したい場合は、うすい切片にする必要がある。
- スライドガラスの上に、観察したい対象を乗せる。必要に応じて、対象物に水をスポイトなどで1滴たらして、水分を補う。
- 柄付き針(えつきばり)やピンセットでカバーガラスを乗せ、このとき空気のあわが入らないようにする。
- カバーガラスから、はみでた水を、ろ紙で吸い取る。
- (※ 柄つき針を使ってる画像を募集中。だれか作ってください。)
一般的な顕微鏡の使用手順
[編集]- まず、水平で直接日光の当たらない場所に、顕微鏡を置く。
- レンズを取り付ける時は、まずは接眼レンズ(せつがんレンズ)を取り付け、次に対物レンズ(たいぶつレンズ)を取り付ける。この順番を逆にすると、もし鏡筒の内部にホコリなどが入ってしまうと、対物レンズの上にホコリが落ちてしまい邪魔になる。(外すときは、逆の順序である。対物レンズを外し、接眼レンズを外す。)
- 対物レンズを、もっとも低倍率の物にセットし、次に接眼レンズをのぞきながら、視野全体が明るく見えるように反射鏡と しぼり を調節する。
- プレパラートをステージの上に乗せクリップで固定し、顕微鏡を横から見ながら、なるべく対物レンズとプレパラートを近づける。ピント合わせは、まだ行わない。なるべく近づける理由は、ピント合わせを行うとき、レンズとプレパラートとを離す方向でピント合わせを行うことで、ぶつからないようにするためである。
- 接眼レンズをのぞきながら、ピント合わせのため、対物レンズとプレパラートを離していくように、調節ねじ をゆっくり回して調整する。
以上の手順で、観察を始められる。さらに高倍率で観察したい場合には、対物レンズをレボルバーを回して、高倍率の対物レンズに替える。
- ※ 接眼レンズを先につけるのは、要するに、取り付けでは、上側に来るレンズを先につける、という事である。なぜなら、こうすれば、取り付けによってホコリが上から下に落ちるときに、下にレンズが無いので、そのまま顕微鏡の外にホコリが出ていくからである。
- いっぽう、取り外しでは、もし上から取り外すと、下に残っている対物レンズにホコリが落ちてしまうので、これを避けなければいけない。そのためには、取り外しは、対物レンズから取り外せば済む。
顕微鏡で見える像は、上下左右が反対に見える顕微鏡が普通である。なので、プレパラートを動かすと、像は反対方向に動いて見える。よって、プレパラートを動かしたい場合には、動かしたい方向とは反対の方向に動かす。
いきなり、高倍率の対物レンズで観察すると、視野がせまいので調整が難しくなる。そのため、まずは低倍率の対物レンズを使用する。
また、高倍率にするほど、明るさは暗くなる。
スケッチのしかた
[編集]理科におけるスケッチのしかたは、美術スケッチとは、ことなる。
理科におけるスケッチのしかたを述べる。
- 鉛筆の濃さ・かたさは、H,HB,Fなどを用いる。(つまり、ボールペンは不要。)
- 影は、つけない。二度書きしない。線をかきまちがえた場合は、消しゴムで消す。
- 輪郭(りんかく)は、はっきりかく。線を、ぼかさない。そのため、エンピツは削っておく。細い線を描けるようにするため。
- 目的とする対象物だけを描く。(余計な情報はつけない。メモ書きも、つけない。どうしてもメモを残したい場合は、ノートにスケッチを書いてる場合、スケッチの描かれているページとは別のページに描くなどして、スケッチとメモを明確に区別できるようにする。)
中学では、立体感の表現方法まで覚えなくてもよいが、もしスケッチで立体感をつける場合は、点の多い・少ないで表現する。(奥まっていて影になりそうなところほど、点が多くなる。) 立体感の表現は、やや難しいので、中学校では描かないほうが無難だろう。