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中学校社会 地理/世界と比べてみた日本 自然災害と防災

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

災害の種類

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「表層地盤のゆれやすさ全国マップ」内閣府 地震・火山対策担当作成 2005年10月19日発表

日本列島は環太平洋造山帯(かんたいへいよう ぞうざんたい、英:Ring of Fire)に属しているため、地震と火山が多い。

  • 地震


地震は、地下の岩盤が壊れて生じる断層(だんそう)によって起きる。このため、断層が多い場所で、地震が多い場所は、今後も断層が生じると考えられており、そのため今後も地震が起きると考えられている。地震が起こりうると考えられる断層地帯のことを、活動中の断層という意味で、活断層(かつだんそう)という。


大地震では、家屋の倒壊などの地震の直接の被害のほかにも、地震によって生じた土砂崩れや、地盤の液状化現象など、2次的な災害も起こりうる。

  • 津波

地震の震源(しんげん)が海の下や海の近くの場合では、津波(つなみ、英:tsunami)が起きることもある。なお、断層は海底でも生じる。

2011年に起きた東北の太平洋沖の地震(東日本大震災)では、津波によって大きな被害が出た。東北の海岸には防潮堤があったが、津波の大きさは、防潮堤を乗り越え、そして防潮堤をこわすほどの波の大きさだった。


火砕流 フィリピン・マヨン山(1984年)。日本では無いが、日本での火砕流のウィキペディア画像が見つからないので代用。
  • 火山の噴火

火山の噴火では、溶岩や火山灰が吹き出す。

1991年に噴火した雲仙岳では、くだけた火山物質が高温のまま、早いスピードで山を下る 火砕流(かさいりゅう、英:pyroclastic flow) によって、多くの被害が出た。

  • 水害

6月の梅雨や、秋ごろの台風では、集中豪雨のため、洪水(こうずい)などの水害(すいがい)が起きることもあります。 洪水など水の直接的な被害のほかにも、山くずれ や土石流(どせきりゅう)などの2次的な災害もあります。

  • 冷害

東北地方や北海道の農業では、ときどき、夏場でも気温が大して上がらず、農作物の生育が悪くなり不作になるという冷害(れいがい)もあります。

冷害により米などが不作になる場合もあります。 ただ、米は、もともと熱帯の作物であり、地域に合わない作物を作っていたという面もあります。 東北地方で米が栽培できるようになったのは、品種改良による。

  • 水不足

雨がほとんど降らないと、水不足や 干ばつ(かんばつ、英:drought) などが起こります。

防災

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富士山火山防災マップ
首都圏外郭放水路(しゅとけん がいかく ほうすいろ)。埼玉県 春日部(かすかべ)市。
放水路(ほうすいろ)とは、洪水や河川の氾濫(はんらん)を防ぐため、大雨などの時に水を蓄える施設。洪水時に多くの水を取り込めるように、この首都圏外郭放水路では通常時は水を取り込まず、空になっている。

あらかじめ、災害が起きそうな場所を予測して図示した ハザードマップ(防災マップ、英:Hazard map)がある。

津波や洪水、地震や土砂災害など、いろいろな災害ごとにハザードマップが、自治体など公的団体によって作成されています。

個人の対策も、避難先を決めておくことも大事。

大地震やマグニチュード何度の大災害が起きると、水道管や電線や道路などの、いわゆる ライフ ライン が破壊される場合もある。防災では、もしライフラインが破壊されても、しばらく(数日程度)は生きていけるように、非常用の食べ物や水、懐中電灯や携帯ラジオ、電池(懐中電灯やラジオ用)なども準備しておくべきだろう。


防災では無いが、大人になったら、住居は地震保険などに入っておくことも、必要かもしれない。


(※範囲外)首都圏外郭放水路の誤解

あまりにも誤解が多いので(ネット上にはデマが多い)コラムに書きますが、首都圏外郭放水路は、けっして水をダムのように溜め続けるためのものではありません。

そうではなく、最終的に雨水は川に流さなくてはいけないのですが、しかしいっぺんに流すと川が氾濫をする可能性があるので、一時的に水をためるだけの、中川・利根川の増水をゆるめるための緩衝(かんしょう)のための場所です。放水路から、放水される先が江戸川です。そもそも施設名に「放水路」と書いてあります。

また、「首都圏」とあるように、水害を防ぐ場所は東京都心です。放水路のある地元の埼玉県の郊外の水害を防ぐ用途ではありません。

周辺の中川、古利根川、などの水をこの放水路に取り込み、それを江戸川に流します。

よって、けっして、江戸川の周辺地域の人は、雨水を、この放水路が受けいれてくれるわけではありません。

「放水路」と書いてあるのに、まるで貯水池(ちょすいち)や遊水地(ゆうすいち)かのように誤解している頭のアレな人が、ネット上では後を絶ちません。

2002年という平成中期に完成した施設です。

なのにネット上では、埼玉県の洪水を昭和後半から防いできた、みたいな2重の意味で間違っている(1:そもそも埼玉ではなく東京の洪水を防ぐ用途。 2:昭和には無い)、頭のヘンなデマもあります。気をつけましょう。


開発と災害

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森林地帯の樹木などの植物は、雨の際に水を吸収し、水をためておく働きがあります。 洪水の原因の一つには、道路や住宅地などのために森林伐採をしすぎたという面もあります。

このため、山林の森林を伐採しすぎると、その山で土砂くずれが起きやすくなります。

また、明治時代から以降の日本は人口が増えすぎたので、昔だったら土砂くずれなどの災害が多くて人が住めなかったような山奥の場所にも、人が移住してきて住むようになったという面もあります。

都市では、地下通路など地下の施設(しせつ)が多いですが、その地下施設に水が流れ込むこともあります。さすがに公共の地下鉄などの交通機関の駅では、防水壁などの対策がしてあります。地下街なども同様。しかし単なる地下の通路などは、そこまで対策が取られていない場合もあります。

特に都市では、地面もアスファルトが多く、水が地面にしみこまないので、地下施設に水が流れ込みやすい面もあります。

(※範囲外 )「内水氾濫」(ないすい はんらん)

受験研究社の参考書に「内水氾濫」がある。

説明が、まちがっているというか、普通に自治体などで言われるものと異なっている。

神奈川県の川崎市が言うには、『川崎市 防災ポータルサイト』

内水氾濫とは

「内水氾濫」とは、下水道等の排水施設の能力を超えた雨が降った時や、雨水の排水先の河川の水位が高くなった時等に、雨水が排水できなくなり浸水する現象です。
下水道や水路等から雨水があふれだし、浸水被害が発生します。

である。

受験研究社の参考書では、なんか液状化現象がどうのこうのと言っている。ただし、まだ新しい用語なので、受験研究社の参考書のような用法、用例もあるのかもしれない。


たとえ河川が氾濫しなくても、下水が氾濫する場合がある。

日本では今まで、あまり下水の氾濫までは、世間では想定されていなかったので、対策が遅れている。


かつて、近代などの古い時代には遊水地(ゆうすいち)などにして宅地化していなかった地域などを、日本は第二次世界大戦語の昭和の住宅不足の解消のための宅地化や、あるいは平成の規制緩和などにより高層マンション建設などの都市化をしてしまい、このような問題が起こりやすくなっている。『防災基礎講座 基礎知識編:11.内水氾濫- 防災科学技術研究所』

最低限の規制が都市開発にあるので、内水氾濫が起きても水死などは基本的に起きずに人命はなんとか守られているが、しかし家屋の浸水などによる経済的な被害額がそこそこ大きい。また、下水の氾濫は、不衛生である。

※ 都市の環境問題と言うと、よく「ヒートアイランド現象」という都市部の気温の高さが語られるが、さらに、これからは内水氾濫も都市の問題として加わるかもしれない。

理科

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プレート。大陸プレートと海洋プレート。
日本周辺のプレートのようす。

地震の防災のためには、理科の勉強をして、地震のしくみを知ることも大切です。社会科だけでなく理科も勉強しましょう。

※ 理科でも習うので、予習ではいちいちリンク先を見なくても良いですが、いちおうリンク。