中学校社会 地理/日本の諸地域 中国地方・四国地方
地域データ
[編集]- 中国・四国地方の合計の人口: 約1154万人(2018年)、日本全人口の約9%
- 中国・四国地方の合計の面積: 約5万729 km2、国土の約13%
中国地方
- 鳥取県
- 県庁所在地: 鳥取(とっとり)市
- 島根県
- 県庁所在地: 松江(まつえ)市
- 岡山県
- 県庁所在地: 岡山(おかやま)市
- 広島県
- 県庁所在地: 広島(ひろしま)市
- 山口県
- 県庁所在地: 山口(やまぐち)市
四国地方
- 徳島県
- 県庁所在地: 徳島(とくしま)市
- 香川県
- 県庁所在地: 高松(たかまつ)市
- 愛媛県
- 県庁所在地: 松山(まつやま)市
- 高知県
- 県庁所在地: 高知(こうち)市
区分
[編集]中国山地と瀬戸内海と四国山地をさかいにして、地域が区分されている。 中国山地の北側を 山陰(さんいん) と言い、中国地方のうち中国山地の南側を山陽(さんよう)と言い、四国のうち四国山地の北側を 北四国(きたしこく )といい、四国山地の南側を 南四国(みなみしこく) という。
そして、中国山地の南側と、四国山地の北側の、瀬戸内海に面した地域を瀬戸内(せとうち)という。
- 瀬戸内
瀬戸内という地域名を用いれば、中国・四国地方は、 山陰 と 瀬戸内 と 南四国 の3つに分類できる。
瀬戸内では、季節風が南北の山地にさえぎられるので、雨が降りづらく、降水量が少ない。そのため、瀬戸内では水不足にもなる。 四国北東部の香川県の周辺の讃岐平野(さぬき へいや)などでは、古くは農業用水のために、ため池 を作って水を貯めることもあった。香川県での農業は、このような乾燥した気候のため、小麦の生産が盛んで、うどん・そば が特産品になっている。讃岐うどんは、香川県の特産品として全国的に有名。 また、瀬戸内、おもに香川県の沿岸部には、かつて塩田(えんでん)が広がっていた。
瀬戸内は水不足になりやすいが、広島県などの山陽側の瀬戸内は、工業などの産業が発展している。
中国・四国地方で人口の多い県は、広島県や岡山県など、中国地方側の山陽にある県である。人口は、沿岸部の、さらに平野部に集中している。瀬戸内の県でも、山間部には人口が少ない。
- 山陽
広島市は、人口が100万人を超えており、中国・四国地方の中心的な都市になっている。また、広島市は政府から地方中枢都市に認定されている。 いっぽう、山陰や四国は、過疎(かそ)の地域が多く、高齢化も進んでいる。広島市と岡山市は、政府から政令指定都市(せいれい してい とし)に認定されている。1980年(昭和55年)4月1日に広島市が日本で10番目の政令指定都市になった。2009年(平成21年)4月1日には岡山市が政令指定都市になった。
- 南四国
南四国は、南方にあることと、太平洋側の暖流の黒潮の影響もあり、温暖な気候である。 南四国は、夏に季節風が太平洋側から来るため、夏には雨が多い。いっぽう山陰は、冬には日本海からの季節風のため、雪も多い。
広島・岡山などの山陽の瀬戸内海の沿岸部では、海上交通などの便が良いこともあり、古くから山陽では産業が発達していた。
- 山陰
鳥取県や島根県などの山陰は、日本海に面することもあり、冬には雪も多く降ることもあります。このため、農業は、冬には、ほとんど行われないので、稲作では米の単作(たんさく)になっている事が多い。
瀬戸内工業地域
[編集]第二次大戦後は、多くの化学工場や石油工場などの石油化学コンビナートが、広島や岡山の瀬戸内海側の沿岸部に集まり重化学工業が発達し、瀬戸内は大きな工業地域になりました。瀬戸内工業地域(せとうち こうぎょうちいき)と言います。
コンビナートとは、関連する工場がパイプラインでつながれている、いくつもの工場の集まりのことです。石油工場や化学工場は、海外からの輸入をしやすくするため、沿岸部にあります。
岡山県の倉敷市(くらしきし)水島(みずしま)、山口県の周南市(しゅうなんし)徳山(とくやま)や
岩国市(いわくにし)などに石油工場、化学工場などコンビナートが多くあります。
これら瀬戸内工業地域が、太平洋ベルトの一部になっています。広島市の周辺では自動車工業も発達しています。呉(くれ)市の周辺では、造船(ぞうせん)業も発達しています。
四国側も、瀬戸内の沿岸部では、中国地方側ほどではないですが、工業が発達していて、機械工業などが見られます。愛媛県の新居浜(にいはま)には、化学コンビナートもあります。
愛媛県の今治(いまばり)はタオルの産地として有名で、日本国内で最大のタオル生産です。「今治タオル」(いまばりタオル)というようなブランドになっています。
農業など
[編集]- 南四国
促成栽培
南四国では、温暖な気候と、十分な雨をいかした農業が、さかんです。ビニールハウスなどの温室も利用して、きゅうりやなす、ピーマンなどの野菜などの促成栽培も行われています。昔は、米の二期作なども行われていましたが、近年では、より多くの収入を得られる野菜の促成栽培のほうがさかんです。また、かつて日本で米の生産調整が行われたこともあり、稲作から畑作に切り替わる農家も多かったことも理由でしょう。
南四国の促成栽培で生産された農産物は、東京や大阪などの大消費地へ、フェリーやトラックなどで運ばれ、日本全国に出荷されます。
南四国では山がちな地形が多く 山の斜面に作られた、階段状になっている、棚田(たなだ)や段々畑(だんだんばたけ) も多くある。
- 愛媛県
愛媛(えひめ)県では、みかん の生産が、全国でも上位の生産量。(みかんの、他の生産地域は和歌山県など) みかんは、気候が温暖な場所で育ちやすい。 愛媛県が山がちなこともあり、みかん畑の段々畑が有名。しかしオレンジの輸入自由化(1991年)もあり、みかんは競争が厳しくなっているので、レモン、いよかん など、類似の果物に栽培を切り替えた農家も多い。
- 岡山県
岡山県では、もも、ぶどう の生産が岡山平野などで、さかん。むかし話の桃太郎の場所が、岡山県。「きびだんご」の吉備(きび)とは、岡山の昔の地名のこと
- 鳥取
鳥取砂丘(とっとりさきゅう)では、らっきょう、長いも、などの栽培がさかん。その他の農地では、梨(なし)、メロンなどが栽培されている。梨は、「二十世紀なし」などが特産品になっている。
- (※ 範囲外? 教員向けの更新情報)なお、梨の生産量1位の県は近年では(平成28年ごろでは)千葉県が、梨の生産量で1位である。平成10年くらいまでは鳥取県が梨の生産量で日本1位だったが、その後、順位が変わった。
- 瀬戸内、四国の漁業
広島県の水産業で養殖が盛んなのと同様に、愛媛県や香川県でも養殖など水産業がさかん。香川県では はまち の養殖、愛媛県では宇和島湾(うわじま わん)で真珠(しんじゅ)の養殖など
- 山陰の漁業
鳥取や島根は、日本海に面することもあり、漁業もさかん。あじ、ぶり、ズワイガニなど。
広島の原爆投下の歴史
[編集]第二次大戦中の1945年の8月6日に、原子爆弾が投下された。広島は、日本の軍事拠点だった。呉(くれ)を中心に軍関係の施設が多かった。
原爆ドームが、ユネスコの世界遺産に登録されている。 現在では、原爆ドームは観光地にもなっており、国際的にも日本をおとずれた際の観光地として有名で外国人の観光客も多い。全国の学校から戦争について学びに来ることも多くある。
水産業
[編集]- 瀬戸内の水産業
瀬戸内の水産業では、養殖(ようしょく)が、さかん。広島で、かき の養殖が広島湾で、さかん。なお、広島の養殖は、かき の他にも、はまち、たい、ぶり、のり なども養殖している。愛媛で、まだい、ぶり、たい などの養殖がさかん。山口県は、くるまえび の養殖が、さかん。 瀬戸内海は多くの島があるので、養殖に使える。
なお、山口県の下関(しものせき)は、フグの産地としても有名。フグは、漁獲されることもあれば、養殖もある。
瀬戸内の漁業は、沿岸漁業が中心。いっぽう、山陰の漁業は、沖合漁業や遠洋漁業も多い。
交通網
[編集]瀬戸内海は、江戸時代には、大阪に向かう船が通るルートにもなっていた。
第二次大戦後の高度経済成長期の後半頃から、中国・四国地方の交通網が整備され始めた。
1990年ごろから、過疎化が起きたとされる。原因として、有力説では、交通網が整備された結果、買い物などのため大都市部に人が吸い寄せられて、かえって周辺の地方の産業が衰退する現象が起きたとされる。こういう現象を ストロー現象 という。
- ※ 受験研究社はストロー現象を紹介している。旺文社は、紹介していない。背景として、おそらくだが、ストロー現象の理論に関する反例が別の地方でいくつか知られている事だろう。例として関東で、かつて「ストロー現象」とされる千葉県のアクアライン開通などで、実際に統計を見ると、千葉県の人が増えている等の現象が知られている。
瀬戸大橋(せとおおはし)などを初めとして、いくつもの橋の開通により、フェリーの本数は減って、廃止するフェリーの便も出た。
- 山陽新幹線(さんよう しんかんせん)
1975年に開通。
- 中国自動車道
1983年に開通。
- 山陽自動車道
1997年に開通。
- 大鳴門橋(おおなると きょう)
1985年(昭和60年)6月8日に開通した。
- 瀬戸大橋(せと おおはし)
1988年に開通。 岡山県倉敷市(くらしきし)と、香川県坂出市(さかいでし)との間。この瀬戸大橋によって、本州と四国とが橋で、つながった。 瀬戸内海を船で渡る必要が無くなった。コレ以前は、中国地方と四国地方とのあいだの行き来には、船で渡る必要があった。
- 明石海峡大橋(あかし かいきょう おおはし)
1998年に開通。
瀬戸大橋や明石海峡大橋など、これらの本州と四国を結ぶための橋を、 本州四国連絡橋(ほんしゅう しこく れんらくきょう)という。
- 石見空港(いわみ くうこう)
1993年に開通。
地形
[編集]四国の南部に、高知県に高知平野(こうち へいや)がある。 四国の中央に東西に長い四国山地がある。高知県から見れば、高知の北に四国山地がある。
四国の北東部には、讃岐平野(さぬき へいや)が広がる。
その他
[編集]- 島根県の石見銀山(いわみ ぎんざん)
江戸時代16世紀〜17世紀ごろに銀をさかんに産出。世界遺産に2007年に登録された。
- 出雲大社(いずもたいしゃ)が島根県にある。
出雲(いずも)とは、島根県の昔の呼び名。日本の神話では、日本各地の神々は出雲に旧暦10月に集まる。そのため、旧暦の10月の神無月(かんなづき)は、出雲では神有月(かみありづき)という。