中学校社会 地理/日本の諸地域 九州地方

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中学校社会 地理/日本の諸地域 九州地方では、九州地方について学習します。

九州地方[編集]

九州地方の地図
長崎県の九十九島くじゅうくしま
鹿児島県屋久島の縄文杉じょうもんすぎ

九州の人口: 約1400万人 (2014年) 、日本全人口の約11%

九州の面積: 約4万4468 km2、国土の約12%

各県について[編集]

福岡県[編集]

県庁所在地:福岡市

佐賀県[編集]

県庁所在地:佐賀市

長崎県[編集]

県庁所在地:長崎市

熊本県[編集]

県庁所在地:熊本市

大分県[編集]

県庁所在地:大分市

宮崎県[編集]

県庁所在地:宮崎市

鹿児島県[編集]

県庁所在地:鹿児島市

沖縄県[編集]

県庁所在地:那覇なは

方言:スイ グスク・日本語読み:しゅりじょう) 。沖縄県の那覇市にある守礼門しゅれいもんは、この沖縄県が琉球王国だったころに琉球国の国王が住んでいた首里城というグスク (「城」のこと、沖縄方言) の正門のこと。首里城は世界遺産せかいいさんに登録されている。首里は今の那覇を表す。

九州全体の特徴[編集]

地方全体の特徴を捉え、関連づけて理解しよう。

山地や火山[編集]

鹿児島県桜島さくらじま。御岳とも呼ばれ、噴火湾に鎮座している。
大分県由布院ゆふいんの温泉。
由布岳ゆふだけ

九州地方は山が多く、さらに火山も多い。それゆえ、阿蘇山あそさんには世界最大級のカルデラがある。他にも、雲仙普賢岳うんぜんふげんだけや鹿児島湾の桜島などがある。九州南部の土壌は、火山の噴出物 (多くは火山灰) で出来たシラス台地が広がる。シラス台地は水はけが良く水持ちが悪いので、山肌などの斜面では、土砂くずれも発生しやすい上、水を張る必要のある稲作にはあまり向かない。そのためシラス台地では、農業に代わる産業として畑作 (サツマイモなど・サツマイモの「サツマ」とは鹿児島県の旧国名) や畜産 (豚やにわとりなど) が行われている。いっぽう、北部では、広い平野 (筑紫平野ちくしへいや) と豊かな水資源 (筑後川ちくごがわ) を利用し稲作もさかん (詳細は後述) 。

火山が多いこともあり、火山のエネルギー源となるマグマを利用した温泉も多い。例えば、大分県別府市の別府温泉や大分県由布市由布岳の湯布院など。地熱発電の開発も盛んで、大分県の八丁原はっちょうばるなど九州各地に地熱発電所がある。

火山の副産物か、防災も発達した。雲仙普賢岳うんぜんふげんだけ (以下、雲仙岳) は1991年の噴火の際、砕けた火山物質が高温のまま早いスピードで山を下る 火砕流かさいりゅう (英:pyroclastic flow) によって、多くの被害が発生した。

前述したが、阿蘇山は<bigカルデラ (英: caldera) という火山の頂上がくぼんだ地形で有名。阿蘇山のカルデラの直径は20km近くもある。

大陸との距離[編集]

長崎県にある、グラバー邸。江戸時代に貿易商のグラバー英:Gloverが住んでいた。
福岡市と韓国の釜山を結ぶ高速船
長崎県、上五島かみごとうの石油備蓄基地

韓国や中国などの外国に近い。それゆえ、長崎などは、貿易港や港町として発達した。現在も韓国や中国からの観光客に九州は人気。

沖縄には明治時代まで琉球王国が存在し、江戸時代などは中継貿易で繁栄していた。

気候[編集]

気候が温暖。夏や秋には台風の通り道になりやすい。降水量が多い (南部はシラス台地のため、ある程度水はけは良いため、洪水などが起こりずらい) 。気候が温暖なのは、南方にあることに加え、黒潮や対馬海流といった暖流が近くを通るからでもある。また、九州は太平洋に面しているため、南部は冬でも比較的温かい。いっぽう、九州北部は、冬は日本海側からの季節風の影響もあり、南部ほど温かくは無い。

農林水産業[編集]

農業・畜産業[編集]

前述のような温暖な気候を生かした農業として促成栽培そくせい さいばいが盛ん。宮崎平野では、きゅうりやピーマンの促成栽培が盛んで、ビニールハウスなどで行われることも多い。冬に行う促成栽培では、ボイラーなどで暖房をすることもある。

九州のその他の農業は、北部と南部で特徴が異なる。九州北部、とくに筑紫平野では、米作をし、米の収穫後に小麦などを栽培する二毛作にもうさくも行われる。九州南部は前述したとおりシラス台地により水持ちが悪いため、稲作には向いておらず、代わりに畑作や畜産がさかんである。シラス台地の広がる鹿児島県の農業では、水のあまり必要ではないサツマイモや茶の生産が盛んである。九州南部の畜産は、豚や ブロイラー (食用の鶏) 、肉牛 などの畜産がさかん。近年の畜産業界の経済競争では、外国産の安い肉に押されているので、日本産の肉は、安全性などの品質の高さを売りにしてブランド化している (例:「かごしま黒豚」「阿蘇あか牛」など) 。

沖縄県の諸島や、鹿児島県の離島など、南西諸島の亜熱帯あねったいの地域の農業では、パイナップルやサトウキビ、マンゴーなどが栽培されている。宮崎県でも、近年はマンゴーなど南国風の農産物の栽培も盛ん。宮崎県はピーマンやきゅうりなどの促成栽培や、ダイコンの栽培などが宮崎平野などで盛んである。

家屋[編集]

台風の通り道になりやすいため、家屋は強風にそなえた作りになっている。沖縄県などに、その特徴的な家屋が見られる。

工業[編集]

八幡製鉄所 (1901年)
長崎の造船所。 (三菱重工業) 。長崎市

日本有数の工業地域である北九州工業地帯が九州北部にある。第二次世界大戦前までは、筑豊炭田ちくほうたんでんの石炭と、ユーラシア大陸の中国から輸入した鉄鉱石や石炭により、北九州では製鉄業やセメント産業などの重化学工業が盛んだった。きっかけは、明治時代に、官営の八幡製鉄所が、福岡県の八幡村 (現在の北九州市) に出来たこと。

しかし、第二次大戦後には、東京にある京浜工業地帯や、大阪の阪神工業地帯など、他の工業地帯が発達し、水俣病などの公害が発生したこともあり、北九州工業地帯の地位は低下していった。また、1960年代に、エネルギー源が石炭から石油に変わるエネルギー革命 (日本ではこのことを指す) が起こり、石炭産業は衰えていった。九州各地にあった炭鉱はほとんどが閉山となる。以降、自動車や電子機械などの機械工業に転身をするため、九州は1970年ごろから、機械工業の企業の工場を誘致した (沖縄県を除く) 。

シリコンの結晶けっしょう

そのため、近年 (2019年現在) でも、IC (集積回路) 工場や自動車工場が、各地にあり、九州は全国的にも電子部品の生産が、盛んな地域になっている。それゆえ、九州を シリコン アイランド という。「シリコン」とは、電子部品に使われている材料の一種であり、半導体はんどうたいという材料の一種である。

久留米くるめ (福岡県) ではゴム工業が盛んである。化学工業も、臨海部を中心に大牟田市おおむたし (福岡県) や延岡市のべおかし (宮崎県) 、水俣市みなまたし (熊本県) で盛んに行われている。大分県は石油化学工業を得意とす。造船なども長崎の佐世保などで盛んである。

北九州市には公害の反省でエコタウンがあり、家電部品のリサイクルや回収、太陽光発電やバイオマスなどの新エネルギーの導入などが行われている。

沖縄県[編集]

動物[編集]

歴史[編集]

沖縄は、江戸時代までは、琉球りゅうきゅうという、日本とは別の国だった。今の沖縄のあたりが琉球王国だったので、琉球王国を沖縄県のかつての名前のように言うことがある。

エイサーの踊り

琉球は、江戸時代に日本国の領土になった。その後、明治時代の廃藩置県はいはんちけん)のときに、琉球が沖縄県になった。 第二次大戦では、沖縄では地上戦が繰り広げられた。多くの沖縄県民が犠牲になった。 第二次大戦の後、沖縄は、アメリカ合衆国に占領された。日本に沖縄が返還されたのは1972年のこと。ひめゆりの塔 (ひめゆりのとう) などの慰霊碑が建てられている。

沖縄には、多くのアメリカ軍の基地などの軍用地がある。日本国内にあるアメリカの軍用地の70%ほどが、沖縄県にある。

水納島 (みんなじま) 。沖縄県。
さんご礁で島の周りが囲まれている。
電照菊、夜間のビニールハウス。 (愛知県)
※写真は沖縄県では無い。
ビニールハウス内部 (愛知県)
※写真は沖縄県では無い。

沖縄のまわりの海は、さんご礁が多い。さんご礁 (さんごしょう) は、浅い海底で成長し、温かい海で成長する。 沖縄県の農業では、パイナップルや さとうきび 、マンゴーなども栽培されている。菊やランなどの、花をつくっている農家もある。菊の電照栽培 (でんしょうさいばい) も行われている。沖縄は温かいので、冬でも花がよく育つ。

観光業の割合が高く、観光を中心に第三次産業の割合も高い。

企業への消費者からの電話の問い合わせに受け答える コールセンター が沖縄では多い。産業の誘致のため、沖縄県が誘致したことと、また地方では賃金が安いため企業が地方にコールセンターを作ったためである。

  • 台風
伝統的な赤瓦 (あかがわら) 屋根。沖縄県。

沖縄は、台風が多い。なので、伝統的な家は、屋根が低い。 また、そのような伝統的な家は、風を防ぐため、家の周りには石垣 (いしがき) がある。また、屋根は、瓦 (かわら) を 漆喰 (しっくい) で固めてある。

防風林 (ぼうふうりん) も多い。

糸満 (いとまん) 市街。沖縄県。

最近では、コンクリート造りの家も多い。このような新しい家の多くは、屋根が平らで、家を低くすることで、台風の風を受けにくくするためである。

  • 水不足

沖縄では、川が短く、すぐ海に流れてしまうので水不足になりやすい。なので地下ダムをつくって水を貯めたり、家庭に貯水タンクをそなえる場合もある。

水俣病[編集]

熊本水俣病
赤:水俣市、青:葦北郡、薄黄色:その他の熊本県

化学工場の排水にふくまれていたメチル水銀が原因でおきた病気。水銀は猛毒 (もうどく) なので、この水銀に汚染された水を飲んだり、水銀に汚染された海水で育った魚や貝を食べたりすると、病気になる。体が水銀におかされると、神経細胞が破壊され、手足がしびれたり、動かなくなる。 熊本県の水俣 (みなまた) という地域や、水俣湾 (みなまたわん) の周辺で、1953年ごろに新聞報道などで有名になった公害なので、水俣病 (みなまたびょう) と言う。 なお、有名になったのは1953年ごろからだが、それ以前の1940年代ごろから、水俣病とおぼしき症例が知られている。 人間以外にも、猫や鳥など、水銀に汚染された魚を食べたり水を飲んだりしたと思われる動物の不審死がいくつもあり、当初は、水俣病の原因もよく分かっていなかったので、しびれている猫が踊って (おどって) るようにも見えたことから、当初は「猫おどり病」 (ねこおどりびょう) とも言われた。

伝統工芸[編集]

佐賀県では、伝統工芸の焼き物の、有田焼 (ありたやき) や伊万里焼 (いまりやき) が有名である。

18世紀に作られたと見られる有田焼 (伊万里焼)

これら陶器の技術は、戦国時代〜安土桃山時代の豐臣秀吉の朝鮮出兵などで、朝鮮人の捕虜などを通して、朝鮮半島から日本に技術が伝わった。佐賀県の有田焼 (ありたやき) 、鹿児島県の薩摩焼 (さつまやき) 、山口県の萩焼 (はぎやき) など。今では、その地方の特産品の一つになっている。

大陸との歴史[編集]

金印 (きんいん) 。漢委奴国王印
金印の印文。漢委奴國王印文

日本で弥生時代ごろ、漢の皇帝の光武帝 (こうぶてい) は、日本の奴国王 (なのくにのおう、ぬこくおう) に金印 (きんいん) を授けたという。 金印は、江戸時代の1784年に、今の福岡県の博多湾の志賀島 (しかのしま) で発見されている。金印の印の面には「漢委奴国王」と彫られている。「漢委奴国王」の日本語での読みは「かん の わ のな こくおう」とか「かん の わ の な の くに の おう」などと読む。

干拓[編集]

有明海の海岸線の変遷

有明海 (ありあけかい) に面した筑紫平野では、江戸時代から干拓 (かんたく) によって陸地が広げられてきた。有明海では、のり養殖などが、さかんである。干拓で得られた陸地は、田畑や住宅地などになる。

有明海の一部に諫早湾 (いさはやわん) がある。 1989年より着工した諫早湾の干拓事業が、有明海全体を含んだ環境保全上の議論となっている。