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公認会計士試験/平成30年論文式/会計学午後/第3問問題1

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

問題[編集]

 株主資本等変動計算書に関する次の問 1 および問 2 に答えなさい。

問1 A社の当期(X1 年4 月1 日〜X2 年3 月31 日)に関する次の〔資料Ⅰ〕〜〔資料Ⅲ〕に基づき,〔資料Ⅲ〕に示した当期の株主資本等変動計算書の①〜⑨に当てはまる語句または金額を答えなさい。なお,税効果を考慮する必要がある場合には,実効税率を30 %とし,税効果会計を適用すること。また,金額がマイナスの場合には,その金額の前に△を付すこと。

資料Ⅰ〕 自己株式に関する補足情報

1.前期末における自己株式の保有株数は10 万株である。

2.自己株式は移動平均法により払出価額を計算すること。

資料Ⅱ〕 純資産に関する当期中の取引等

1.A社はX1 年9 月1 日を企業結合日,自己を取得企業,B社を被取得企業とする吸収合併を行った。B社の貸借対照表に計上された金額は,総資産700,000 千円,負債300,000 千円,資本金250,000 千円,利益剰余金150,000 千円であった。企業結合日においてB社の保有する土地の時価は帳簿価額を50,000 千円上回っていた。その他の資産および負債の時価は,帳簿価額と同一であった。

 A社株式の企業結合日の時価は1 株1,000 円,交付株式は総数45 万株,時価総額は450,000千円であった。A社株式の交付に当たっては,保有自己株式5 万株を充て,残りは新株を発行した。取得に直接要した費用はなかった。

 A社は株主払込資本変動額の全額を資本金とした。

2.X1 年6 月の定時株主総会において,繰越利益剰余金から現金による配当50,000 千円の支払を決議し,配当を実施した。

 定款の規定により,取締役会の決議を経て,X1 年9 月末を基準日として,X1 年12 月に現金による中間配当30,000 千円の支払を行った。

 それぞれの配当金支払について会社法の規定による必要最低限の利益準備金の積立てを行うこととしている。

3.X2 年3 月期の決算に当たり,前期に設定した圧縮積立金70,000 千円を取り崩し,新たに圧縮積立金20,000 千円を積み立てた。

4.X2 年2 月に,自己株式(時価1 株1,100 円,総数7 万株)を取得し,現金で支払った。

 X2 年3 月に,自己株式(時価1 株1,200 円,総数2 万株)を処分した。

5.当期期首に,前期から保有しているその他有価証券の一部(帳簿価額40,000 千円)を,100,000千円で売却した。このうち,前期末に時価評価の対象となっていたその他有価証券の売却益は40,000 千円,時価評価の対象となっていなかったその他有価証券の売却益は20,000 千円であった。なお,当期において,A社はB社の保有する有価証券(Z社株式:帳簿価額10,000 千円,X2 年3 月31 日の時価20,000 千円)をその他有価証券として引き継いでいる。A社は,合併以前にはZ社株式を保有していない。またA社は当期に,上記以外の有価証券の取得および売却は行っていない。

6.A社における新株予約権の状況は次のとおりである。なお,資本金に計上する額は,会社法に規定する最低限度額とする。

⑴ X1 年4 月に,期首の新株予約権については,権利が行使されずに全て行使期限が到来した。
⑵ X2 年1 月に,新株予約権を200,000 千円発行した。この新株予約権の行使時に追加的に払い込む金額は300,000 千円である。
⑶ X2 年1 月に,⑵の新株予約権のうち30 %が行使され,新株を発行した。

7.X1 年7 月に,ヘッジ対象が消滅し,繰延ヘッジ利益70,000 千円(税効果調整後)の減少があった。

 X2 年3 月1 日にX2 年5 月31 日を決済日として, 1 ドル110 円で円売りドル買いの為替予約を10,000 千ドル締結した。この為替予約は,ヘッジ会計の要件を満たしている。X2 年3 月31日の為替相場は1 ドル116 円であった。A社はこれ以外のヘッジ契約は行っていない。

8.当期純利益は,350,000 千円である。

資料III〕 株主資本等変動計算書 (単位:千円)

株主資本 評価・換算差額等 純資産合計
資本金 資本剰余金 利益剰余金 株主資本合計 その他有価証券評価差額金 繰延ヘッジ損益 評価・換算差額等合計
資本準備金 その他資本剰余金 資本剰余金合計 圧縮積立金 繰越利益剰余金 利益剰余金合計
当期首残高 500,000 150,000 80,000 50,000 70,000 200,000 △80,000 140,000 70,000 100,000 1,280,000
当期変動額
 新株の発行(新株予約権の行使)
 新株の発行と自己株式の処分(吸収合併によるもの)
 ?
 圧縮積立金の積立て
 圧縮積立金の取崩し
 当期純利益
 自己株式の取得
 自己株式の処分
 その他有価証券の売却による増減
 純資産の部に計上されたその他有価証券評価差額金の増減
 ヘッジ会計の終了による増減
 純資産の部に計上された繰越ヘッジ損益の増減
 新株予約権の発行
 新株予約権の失効
当期変動額合計
当期末残高

問2 個別財務諸表においては利益処分計算書(または損失処理計算書)が,連結財務諸表において は連結剰余金計算書が開示されてきたが,現在は株主資本等変動計算書に変更されている。そ の変更理由をディスクロージャーの観点から説明しなさい。

解説[編集]

問1[編集]

吸収合併
(借) 諸資産 750,000 (貸) 諸負債 300,000
払込資本 450,000
(借) 払込資本 450,000 (貸) 資本金 410,000
自己株式 40,000
X1.6 配当
(借) 繰越利益剰余金 50,000 (貸) 利益準備金 0
未払配当金 50,000
X1.12 配当
(借) 繰越利益剰余金 33,000 (貸) 利益準備金 3,000
未払配当金 30,000
※配当時資本金:期首500,000+吸収合併410,000=910,000
圧縮積立金の取崩し
(借) 圧縮積立金 70,000 (貸) 繰越利益剰余金 70,000
圧縮積立金の積立て
(借) 繰越利益剰余金 20,000 (貸) 圧縮積立金 20,000
自己株式取得
(借) 自己株式 77,000 (貸) 現金預金 77,000
自己株式処分
(借) 現金預金 24,000 (貸) 自己株式 19,500
その他資本剰余金 4,500
※自己株式単価:簿価(期首80,000-吸収合併40,000+取得77,000)÷(期首10万株-吸収合併5万株+取得7万株)=@975
その他有価証券
 期首再振替仕訳
(借) 繰延税金負債 60,000 (貸) 投資有価証券 200,000
その他有価証券評価差額金 140,000
 売却
(借) 現金預金 100,000 (貸) 投資有価証券 40,000
投資有価証券売却益 60,000
 期末時価評価
(借) 投資有価証券 150,000 (貸) 繰延税金負債 45,000
その他有価証券評価差額金 105,000
新株予約権
 X1.4 行使期限到来
(借) 新株予約権 100,000 (貸) 新株予約権戻入益 100,000
 X2.1 発行
(借) 現金預金 200,000 (貸) 新株予約権 200,000
 X2.1 行使
(借) 現金預金 90,000 (貸) 払込資本 150,000
新株予約権 60,000
(借) 払込資本 150,000 (貸) 資本金 75,000
資本準備金 75,000
ヘッジ会計
 X1.7 ヘッジ会計の終了
(借) 繰延税金負債 30,000 (貸) ヘッジ手段 100,000
繰延ヘッジ損益 70,000
 期末時価評価
(借) 為替予約 60,000 (貸) 繰延税金負債 18,000
繰延ヘッジ損益 42,000
当期純利益
(借) 損益 350,000 (貸) 繰越利益剰余金 350,000
株主資本
資本金 資本剰余金 利益剰余金 自己株式 株主資本合計
資本準備金 その他資本剰余金 資本剰余金合計 利益準備金 圧縮積立金 繰越利益剰余金 利益剰余金合計
当期首残高 500,000 150,000 80,000 230,000 50,000 70,000 200,000 320,000 △80,000 970,000
当期変動額
 新株の発行(新株予約権の行使) ②75,000 75,000 75,000 150,000
 新株の発行と自己株式の処分(吸収合併によるもの) 410,000 ④0 0 40,000 450,000
 剰余金の配当 ⑤3,000 △83,000 △80,000 △80,000
 圧縮積立金の積立て 20,000 △20,000 0 0
 圧縮積立金の取崩し ⑥△70,000 70,000 0 0
 当期純利益 350,000 350,000 350,000
 自己株式の取得 △77,000 △77,000
 自己株式の処分 4,500 4,500 19,500 24,000
 その他有価証券の売却による増減
 純資産の部に計上されたその他有価証券評価差額金の増減
 ヘッジ会計の終了による増減
 純資産の部に計上された繰越ヘッジ損益の増減
 新株予約権の発行
 新株予約権の失効
当期変動額合計 485,000 ③75,000 4,500 79,500 3,000 △50,000 317,000 270,000 △17,500 817,000
当期末残高 985,000 225,000 84,500 309,500 53,000 20,000 517,000 590,000 △97,500 1,787,000
評価・換算差額等 ①新株予約権 純資産合計
その他有価証券評価差額金 繰延ヘッジ損益 評価・換算差額等合計
当期首残高 140,000 70,000 210,000 100,000 1,280,000
当期変動額
 新株の発行(新株予約権の行使) 90,000
 新株の発行と自己株式の処分(吸収合併によるもの) 450,000
 剰余金の配当 △80,000
 圧縮積立金の積立て 0
 圧縮積立金の取崩し 0
 当期純利益 350,000
 自己株式の取得 △77,000
 自己株式の処分 24,000
 その他有価証券の売却による増減 △28,000 △28,000 △28,000
 純資産の部に計上されたその他有価証券評価差額金の増減 ⑦△7,000 △7,000 △7,000
 ヘッジ会計の終了による増減 △70,000 △70,000 △70,000
 純資産の部に計上された繰越ヘッジ損益の増減 42,000 42,000 42,000
 新株予約権の発行 200,000 200,000
 新株予約権の失効 △100,000 △100,000
当期変動額合計 △35,000 △28,000 △63,000 40,000 794,000
当期末残高 105,000 ⑧42,000 147,000 140,000 ⑨2,074,000

問2[編集]

「株主資本等変動計算書に関する会計基準」17項参照