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公認会計士試験/平成30年論文式/経営学/第1問問題1

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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問題

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 次の文章を読んで,下記の問1問5に答えなさい。

 組織変革の必要性が喧伝されている。たとえば,組織をフラット化すれば,階層数が減り,上部への情報伝達が迅速に行われるようになる。しかしながら,(ア)スパン・オブ・コントロールが増えることになり,管理者の適切な判断や指揮ができなくなる危険性も大きくなる。組織を編成する際に目指されるのは,専門化のメリットをもたらすための分業とそれらの部分的な成果を合わせて組織全体の成果につなげるための調整のパターンを作り出すことである。

 大規模組織の編成の基底を支える代表的な原理が,組織目標の合理的な追求にとって最善の管理形態であるとして M.ウェーバーが 19 世紀に打ち出した( A )組織である。

 しかし,組織の編成や変革を考えるときに,多くの人が支持している理論は,望ましい組織とは組織がおかれている状況に応じて異なるということである。すなわち,組織編成に唯一絶対の解はないということである。ではどういった状況の場合はどういった組織が適しているのか。また,それはなぜなのか。こういった視点から組織に関する理論を構築しようとした一連の研究を組織の( B )と呼ぶ。

 様々な環境要因と組織構造との関係が調査されたが,P.ローレンスと J.ローシュは,外部環境と組織の関係を探究する中で,こうした問題に一つの解をもたらした。彼らの理論は,(イ)不確実性の高い状況下で有効性の高い組織は「分化と統合の同時極大化」を実現しているということであった。

 しかし,環境に適合する組織を理想とする( B )の根幹に対して,いくつかの反論が提出された。その代表格の一つが,第二次世界大戦における日本軍を対象に研究した戸部ほか(1984)『失敗の本質』である。(ウ)ある環境に適合することは,その後の環境変化に適合できない組織を作ることになるとの指摘がなされ,「適応は適応力を締め出す」という命題が提起された。したがって,企業は環境やその変化にただ追従するのではなく,戦略的に組織を変革できる能力,すなわち組織の自己変革力の重要性が認識されるようになった。

 組織と戦略の関係については,既に経営史研究家の A.D.チャンドラーによって( C )という命題も提示されていたが,『失敗の本質』は組織と戦略の関係について A.D.チャンドラーとは異なった関係性を示した研究とも言えよう。

問1 下線部(ア)に関連し,経営者一人や管理者を含めた組織構成員が 85 人の組織で,スパン・オブ・コントロールを 4 として階層的組織を設計する場合,この組織の最小の階層数はいくつになるか答えなさい。

問2( A ),( B )に当てはまる最も適切な語句を答えなさい。

問3 下線部イに関連し,分化とはどういったことを示すのか説明しなさい。

問4 下線部ウに関連し,なぜ「適応は適応力を締め出す」のか説明しなさい。

問5( C )に当てはまる最も適切な文を答えなさい。

正解と解説

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問1

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4(下のように地道に図を描けば正解できる)

問2

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  • A:官僚制
  • B:条件適合理論(状況適合理論・コンティンジェンシー理論)

問3

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問4

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問5

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組織は戦略に従う※アンゾフの命題は「戦略は組織に従う」

問1組織図
階層1 階層2 階層3 階層4
※1人配置 ※4人配置 ※16人配置 ※64人配置
22
23
06
24
25
26
27
07
02 28
29
30
31
08
32
33
34
35
09
36
37
38
39
10
40
41
42
43
11
03 44
45
46
47
12
48
49
50
51
13
52
53
01
54
55
14
56
57
58
59
15
60
61
62
04 63
16
64
65
66
67
17
68
69
70
71
18
72
73
74
75
19
76
77
05
78
79
20
80
81
82
83
21
84
85
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