公認会計士試験/平成30年論文式/経営学/第2問問題4
問題
[編集]次の文章を読み,問1~問5に答えなさい。なお,計算問題については,数値が小数点第2 位で割り切れない場合には計算途中での四捨五入はせず,最終数値の小数点第3位を四捨五入して小数点第2 位まで答えること。
コールオプションはある期限までに,定められた権利行使価格で原資産を購入する権利である。今,原資産は満期まで配当せず,ヨーロピアン型のコールオプションを前提とする。コールオプションの価値を計算する場合,複製の概念を用いて評価することができる。ここでは二項モデルを用いたオプション価格の評価を考える。
問1 コールオプション価格を決める変数には,①原資産価格,②権利行使価格,③満期までの期間,④無リスク利子率,⑤原資産価格の変動率,がある。このうちオプション価格と負の関係がある変数を①〜⑤から一つ選びなさい。
問2 現在5,000 円の市場価格で取引されているA社株1 株が,1 年後に10,000 円になるか,2,500 円になるかどちらか二つの状態しかないとする。この場合,権利行使価格が5,500 円のコールオプションを一枚複製すると考えると,A社株を何株保有すべきであるか答えなさい。
問3 無リスク利子率を年率1 %とすると,複製するためにいくら借り入れるべきか答えなさい。
問4 複製することによるコールオプション価格を求めなさい。
問5 オプション戦略として,原資産価格がどちらにも大きく動かないと見込んでいる投資家が組む戦略として最も適切な記号を一つ選びなさい。
- ア.同じ権利行使価格のコールオプションを買い,プットオプションを買う戦略
- イ.同じ権利行使価格のコールオプションを売り,プットオプションを売る戦略
- ウ.同じ権利行使価格のコールオプションを買い,プットオプションを売る戦略
- エ.同じ権利行使価格のコールオプションを売り,プットオプションを買う戦略
正解と解説
[編集]問1
[編集]②
問2~問4
[編集]現在 | 1年後 | |
---|---|---|
┌→ | 10,000 | |
5,000 | ┤ | |
└→ | 2,500 |
現在 | 1年後 | |
---|---|---|
┌→ | 4,500円 | |
-C円 | ┤ | |
└→ | 0円 |
現在 | 1年後 | |
---|---|---|
┌→ | 10,000X +1.01Y | |
-5,000X - Y | ┤ | |
└→ | 2,500X +1.01Y |
※株式の購入数をX株,安全資産の購入額をY円とする。
よって,
- 10,000X +1.01Y = 4,500
- 2,500X +1.01Y = 0
- ∴ X = 0.6株,Y=-1,485.15円
つまり,A社株を0.6株購入し,安全資産は1,485.15円借入れ(-1,485.15円購入)すればよい。
また,-C = -5,000X -Yより,
- C = 5,000×0.6 +(-1,485.15) = 1,514.85円
問5
[編集]イ(ショート・ストラドル)