利用者:Kzhr/OOo Writerできれいな組版を作る

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

OOoでも、少し努力をすれば、綺麗な印刷物を作ることが出来ます。一般的な組版への智識に加えて、OOoで大きな役割を果たすスタイル機能を理解すると、2,3ページに止まるものは兎も角として、特に長い構造的な文書において、綺麗な版面の実現が容易になります。

組版概論[編集]

参考文献: ISBN 4888883122, ISBN 4888883149, ISBN 4888883386

文章を読むためには文字がわれわれに読める形で並べられていなければなりません。タイポグラフィとは、そのときに、活字(決まった字形を何回でも使うことの出来るもの)を使っていかに文字を規則的に並べるか、ということを問題にします。タイポグラフィは内容と時期によって大きく影響されます。かのグーテンバーグが活字を製作したとき、彼がその42行聖書を印刷するのにそれまでの写本の伝統に則った造本を行ったのは、至極当たり前のことであるのです。日本語にも、日本で培われてきた組版の伝統があります。それらは、内容ごとに規則も住み分けをし、むしろ、その規則に従って内容があったのです。

組版の設計と本文[編集]

ハウス・ルールというものがあります。ハウス、というのはそれぞれの印刷所という意味に取っておけばいまはいいのですが、その印刷所における組版の仕方の決まり、たとえば本の表紙を開けるとタイトルページがきて、白紙のページがあって、というのもだいたいがハウス・ルールで定められてそこの印刷物がほぼそのようになっているものです。

英語圏には有名な Hart's Rule と Chicago Rule というのがあって、其々Oxford大学出版局、Chicago大学出版局のハウス・ルールです。たとえば同じ原稿を別々の印刷会社、或は製作会社に回したとして、文字数・行数を指定して出しても、全く同じものが返ってくることはまずありません。これは活版印刷をしていた時代に顕著でありましたが、CTSであれば今尚、電算写植・DTPでもよくよく見れば各社異なっているのがわかります。

OOoの組版機能[編集]

OOoの組版機能を知ることはきれいな組版を実現するために重要なことです。OOoにおいて標準の文字の単位は pt (DTP Point) であり、そのほかの単位はcm です。OOoにおいて 72pt = 6pi = 1in = 2.54cm ですが、OOoにおいては小数点第一位までしか取らないため正確にポイントとあわせようとしてもずれてしまいます。そのため、OOo Writerの全般設定から使う単位をポイントにしておきましょう。

スタイル機能について[編集]

スタイル機能は、たとえば本文や章題などの、文字の大きさ・行の左右の空間などが一定のスタイルに沿う「部分」に対して適用するもので、そのスタイルが適用された部分の文字の大きさなどを、一括管理が出来るようになります。

(中略)

こうして作ったスタイルを使いまわすにはテンプレートとして保存するのが便利です。

ベースを作る[編集]

ここでは実際に制作するときのベースとなるスタイルの作り方を考えていきます。

用紙と書字方向[編集]

A4、横書き、縦置き[編集]

A4、縦書き、縦置き[編集]

A4、縦書き、横おき[編集]

B5、横書き、縦置き[編集]

B5、縦書き、縦置き[編集]

本文の設定[編集]

振り仮名[編集]

実際に作ってみる[編集]

小説を組んでみよう[編集]

文芸作品を組む機会、というのはある人にしかないのですが、著作権などの独占権が消滅した素材でインターネット上で入手が容易なものはほとんど文芸作品ばかりであり、ここでは青空文庫から頂戴したテキストデータ(zip圧縮で提供されているものです)をもとに組んでまいりましょう。

釈迢空「死者の書」『初稿・死者の書』国書刊行会、2004.6[編集]

なぜ釈迢空か、という理由はありませんがなぜ初稿かといえばこれが角川版よりいろいろな組版上の技術が必要であるためです。組版従事者、すなわちタイポグラファは内容を読めずともかまいません。美しい版面をつくりあげられれば組版従事者としてほかのことは余事です。字のことは校正係に、内容は著者に、そして組版はあなたに責任があります。そういう意味で読みやすいとは到底いえないこの素材は実習に適しているといえましょう。

(この文書はOpenOffice 2.0.1日本語版(オフィシャルビルド)に基づいて製作されています)