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さて Cayley-Hamilton の定理を用いると, の関数は高々 次の の多項式で表されることがわかる.
それで を の多項式で表してみよう.
式 (5.21) をスカラで表した式,
(5.22b)
と, と を入れ替えた式,
(5.22c)
が成り立つであることは明らかであろう[1].前の式において を とおくと, であるから,式 (5.21) が得られ,後の式で を とおくと,
(5.22d)
となる.もちろん である.よって次の結果を得る.
定理 5.2
の固有方程式を
とすれば,
(5.22e)
が成立する.ここに,
である.ただし, とする
[2][3].
系
の原像 は,
ここに,
で与えられる[4].
を求めるには, の固有方程式が分かっているときには,この定理によるのが一番簡単なようである.
しかし,その原像を求めるときには必ずしも一番簡単とはいえない.
例116
を式の変形によって証明せよ.
解答例
- ^ その理由は直後に記述されている,念のため.
- ^
式 (5.22d) の両辺を で割ると,
- .
- .
- ^
式 (5.21) ⇒
式 (5.22b) ⇒
式 (5.22c) ⇒
式 (5.22d) ⇒
式 (5.22e)
の展開である.
- ^
は を含まない定数,よって式 (5.22e) の原像を求めればこの式となる.