制御と振動の数学/第一類/連立微分方程式の解法/連立微分方程式の解法/(sI-A)^-1の原像/(sI-A)^-1の原像

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

さて Cayley-Hamilton の定理を用いると, の関数は高々 次の の多項式で表されることがわかる. それで の多項式で表してみよう. 式 (5.21) をスカラで表した式,

(5.22b)

と, を入れ替えた式,

(5.22c)

が成り立つであることは明らかであろう[1]前の式において とおくと, であるから,式 (5.21) が得られ,後の式 とおくと,

(5.22d)

となる.もちろん である.よって次の結果を得る.


定理 5.2

の固有方程式を

とすれば,

(5.22e)

が成立する.ここに,

である.ただし, とする [2][3]

の原像 は,

ここに,

で与えられる[4]

を求めるには, の固有方程式が分かっているときには,この定理によるのが一番簡単なようである. しかし,その原像を求めるときには必ずしも一番簡単とはいえない.

例116

を式の変形によって証明せよ.

解答例


  1. ^ その理由は直後に記述されている,念のため.
  2. ^ 式 (5.22d) の両辺を で割ると,


  3. ^ 式 (5.21) 式 (5.22b) 式 (5.22c) 式 (5.22d) 式 (5.22e) の展開である.
  4. ^ を含まない定数,よって式 (5.22e) の原像を求めればこの式となる.