制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/Laplace 変換の定義とその基本的性質/定義

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

を実変数の実数値関数、 を実数とするとき,

(2.1)

で定義される の関数 Laplace 変換といい,

または

と表す.このとき を Laplace 変換の像, をその原像と呼ぶ.

一般には は実変数の複素数値関数でもよく, も複素数とするが,当分,上のように実数の範囲で考えておく.

さて無限積分 式 (2.1) の意味は,もちろん

であり,各 に対して右辺の極限が存在すれば,それは の関数を定義するので,それを とするのである. もっとも,ここで, は任意の有限区間で積分できるとしている.我々の目的は微分方程式や差分方程式を解くことにあるのだから, 多くの場合 は微分可能な関数で,せいぜい区分的に連続な関数である.そのときは,この条件を満たしている.


例16

の Laplace 変換を求めよ.


よって, ならば,

となるから,結局,

または

となる.


例17

を示せ.

解答例


Laplace 積分[1]の定義から分かる通り, の部分での値は積分には影響しない.

それゆえ,Heaviside の関数

に対しても,

でる.したがって の部分も考えると, とは 1 対 1 に対応しないことになる. の部分が関係してくる場合,たとえば の Laplace 変換を考えるときなどは,

と約束しておく.こうすると実質的に は 1 対 1 に対応する. “実質的に”というのは,不連続点などの例外点を除いて、という意味である. この約束は当分必要でないが,差分方程式を取り扱うときなどに重要となる.


  1. ^ Laplace 変換の定義式 (2.1) の右辺を Laplace 積分という.