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制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/f(t) の積分および微分の Laplace 変換

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

§1

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の不定積分は,次のように合成積

と書けることに注意しよう.すなわち,積分するということは,合成積の意味で を掛けることを意味する. Laplace 変換の基本性質の(1)(3)を用いると,

よって

(2.6)

を得る.すなわち 領域での積分は 領域[1]では で割ることに対応する.

さて,

以下同様にして,帰納的に,

(2.7)

を得る.この左辺の Laplace 変換は,基本性質のLaplace 変換の基本性質の(1)(3)を用いれば,

であるから,

(2.8)

を得る.


例20

(2.8) を Laplace 変換の定義式から直接導け.

解答例

(2.8b)

すなわち

これと,基本性質(1)すなわち

および基本性質(2)とを再帰的に適用して式(2.8)を得られる.実際、

すなわち

これに基本性質(2)を適用すれば,

この導出方法は基本性質(1)(2)を使ってしまっているし,あと,こういうのは数学的帰納法で記述するべきであるが,基本性質(1)(2)は容易な積分なこともありこれで勘弁してほしい.

これらの結果を用いて、次の Cauchey の公式と呼ばれるものを示そう.

(2.9)

証明

合成積の記号を用いて表せば一目瞭然である.すなわち,

となるが,この式の正しいことは式(2.7)から明らかである.


なお Cauchy の公式を Laplace 変換すれば,その像は,左辺右辺ともに,

になることを注意しておこう.

§2

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の導関数を とする.微分積分法の基本公式,

の両辺を Laplace 変換すると

[2]

となる. を払えば,

(2.10)

となる. ならば,

となり, 領域での微分は, 領域で を掛けることに対応し,微分と積分が逆演算であることが鮮明となる.

(2.10) を 2 度繰り返すと

よって

以下同様にして,[3] 帰納的に

(2.11)

を得る.初期値がすべて の場合,この公式は,

とみなしてよいことを示している.なお の第 階導関数である. 式(2.11)Taylor の公式を示す.事実, について解くと,

となるが,式(2.8)および Cauchey の公式 (2.9) を用いて,この原像を求めれば,

(2.11a)
[4][5]

例21

を解け.

解答例

(2.11a) を代入すればよい.

  1. ^ Laplace 変換した領域をこのように略称する.
  2. ^
  3. ^


  4. ^
  5. ^ Taylor 展開の剰余項の積分表示について復習する.定積分の定義より

    よって

    これ以降、 は定数とする.最後の積分の項を部分積分する。 で積分すると になるとする.実際 で微分すると


    さらに積分の項を部分積分する。 で積分すると になるとする.実際 で微分すると


    さらに積分の項を部分積分する。 で積分すると になるとする.

    の指数が になるまでこの過程を繰り返すと次の最終形になる.

    厳密には数学的帰納法で記述するべきであるが,これで勘弁してほしい….