囲碁用語について

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囲碁における世界初のプロ制度であるところの、日本の囲碁の家元制度が出来たのが今から400年前。そして、日本に囲碁が伝わるのは、さらに1000年ほどの時間をさかのぼる。囲碁の発祥地が中国であることには異論の余地がないが、日本にも長い歴史が息づいている。そのような中で、囲碁に関する言葉も当然ながら長い歴史を持って受け継がれていると考えるべきであろう。

しかしながら、これらの言葉には地域差などが多分に含まれる。時代々々によっても違うであろう。これらの違いを違ったままにしておくのは不便である。その最も妥当な解決策は、日本棋院の周辺の言語環境を基準とすることであろう。具体的にはその出版物であるところの書籍や囲碁新聞、あるいはTVの囲碁番組に出演している棋士のコメントなどが参考になる。

囲碁用語[編集]

見合い
着手として今すぐ一手打たなくとも、局所的な意味が保たれている状態を指す。具体的な例として、下図の黒の死活において、aもしくはbに黒は一手いれることによってルール的な2眼を確保することが出来る。しかしこの場合、白が2回連続着手しないかぎり黒はどちらかに必ず打てるのですぐに打つ必要がなく、貴重な一手を他に使うことが出来る。このようにどちらかに打てばいい状態を「見合い」という。


コスミ
下図のように自分の石に対してナナメに打つ手をコスミという。aとbが見合いであり、ナナメでありながら、絶対に切られない。しかしながら局面によっては切らせて打つ選択肢もありうる。


アキ三角
下図のような石の形をアキ三角と呼ぶ。aに黒石もしくは白石がある場合は、アキ三角とは呼ばない。この形は効率の悪い形として愚形の代表的な形とされるが、aに黒石があるほうがより愚形である。四角の形は初心者にも効率の悪い形として理解しやすいが、この三角の形は初心者には効率が悪いように見えない場合も多い。「もう一手打つと四角になるのがアキ三角」である。
一方で、アキ三角を含むような定石(ツケオサエ定石)もあるなど、絶対に打ってはいけないものでもなく、大きな目的を達するためのアキ三角であれば、グズむ手としてプロの碁にも現れる。


手数
  1. ある石の一団のまわりの空点の数を手数(てかず、てすう)と呼ぶ。
  2. 手数は、攻め合いのときなどに非常に重要で、狭義には攻め合い時の取られ切るまでの着手数のことを指す。
  3. もしくは単にもっと一般的な局所的な着手数「手の数」ことも手数と呼ぶ。


詳しくは手数 (囲碁)を参照。


ノビ
下図の白の手が「ノビ」である。連絡する手をのぞけば、ノビは1手で2手手数が伸びる唯一の手であり、相手と石がくっついている局面で効力を発揮する。(この図では、白の手数が4手から6手に増えている) 逆に、手数が2手増えない手は、ノビのように見えてもノビとは呼ばれない。(下図の黒の手はノビではない。)


ワタリ
図のように盤端から連絡する手をワタリもしくはワタる手と呼ぶ。一般に、相手の下をくぐるような1線の連絡および2線の連絡をワタる手というが、3線の連絡も場合によってはワタると表現する場合があるかもしれない。


オシツブシ
下図のような黒の手をオシツブシと呼ぶ。1の1の点が、白からは着手禁止の点であるため、3目ナカデにすることが出来ず、黒生きである。同様に4目ナカデや5目ナカデを阻止する手もオシツブシと呼ばれる。