中学校社会 公民/内閣

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内閣総理大臣の執務(しつむ)の中心である総理大臣官邸(そうりだいじん かんてい)

内閣(ないかく、英:cabinet キャビネット)は、日本の行政権を担当する合議制の機関。内閣は、内閣総理大臣と国務大臣とで構成される。

内閣[編集]

日本の議院内閣制のしくみ

法律に基づき、実際に国の政治を行うことを行政(ぎょうせい)という。専門の行政機関が行政を行う。この行政機関を指揮・監督するのが内閣(ないかく)の仕事である。そして、内閣の最高責任者が内閣総理大臣(ないかく そうりだいじん)である。内閣総理大臣は首相(しゅしょう、英:prime minister プライム・ミニスター)とも、よばれる。

憲法第65条
行政権は、内閣に属する。
憲法第66条
内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。

内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

構成[編集]

内閣総理大臣(首相)[編集]

国会議員(こっかい ぎいん)の中から国会(こっかい、英:Diet ダイエット)が指名した人物を天皇が任命する。 通常は、衆議院で多数を占める政党( 与党(よとう) )の党首が首相に指名される。

国務大臣[編集]

国務大臣の職には、財務大臣や文部科学大臣などのような各省庁の長が多い。 国務大臣には、内閣総理大臣が任命したものを天皇が承認する。 ただし国務大臣の過半数は国会議員でなければならない。国務大臣の数は17人以内である。内閣法(ないかくほう)第2条第2項により「国務大臣の数は、14人以内とする。ただし、特別に必要がある場合においては、3人を限度にその数を増加し、17人以内とすることができる。」

憲法第67条
  1. 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だって、これを行う。
  2. 衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会九回中の期間を除いて十日以内に、參議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

国務大臣のことを「~~大臣」、もしくは「~~相(しょう)」と呼ぶ。

例.)  「岸田外相」(きしだ がいしょう)、外務大臣の名前が岸田という名の場合。

仕事[編集]

内閣総理大臣と全ての国務大臣が参加する閣議を開き、全会一致(ぜんかい いっち)で決定・実行に移す。

*閣議(かくぎ): 内閣全体の意思を統一させ、政治の方針を決める非公開の会議。

内閣総理大臣の仕事 [編集]

  1. 閣議(かくぎ)を主催(中心となってまとめる)する。
  2. 内閣を代表して、国会に法律案や予算案を提出する。
  3. 国の一般行政や外交について、国会に報告する。
  4. 行政の各部門(内閣府・省等)を指揮・監督する。
  5. 国務大臣の任命と罷免。
  6. NHK経営委員の任命。(承認は国会) 放送法 第31条 (※ 中学生は覚えなくてよい。)
憲法第73条
内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う。
1 法律を誠実に執行(しっこう)し、国務を総理すること。
2 外交関係を処理すること。
3 条約を締結すること。但し、事前に、時宜(じぎ)によつては事後に、国会の承認を経る(へる)ことを必要とする。
4 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
5 予算を作成して国会に提出すること。
6 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
7 大赦(たいしゃ)、特赦(とくしゃ)、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
放送法第三十一条第2項
委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のため、両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、両議院の同意を得ないで委員を任命することができる。この場合においては、任命後最初の国会において、両議院の同意を得なければならない。

内閣全体としての仕事[編集]

憲法第73条、79条、3条、7条参照

1. 国会に提出するための法律案や予算案を作成する(憲法第73条第5項)
2. 国会で決められた法律を執行する。またそのために必要であれば政令を制定する。(憲法第73条第1、6項)

政令(せいれい) :憲法・法律を実施するために内閣が出せる命令のこと。

3. 国家公務員の任用、免職などの事務を行う(憲法第73条第4項)
4. 外国との条約締結(ていけつ)や外交関係の処理。(承認は国会)(憲法第73条第3項)
5. 天皇の国事行為(こくじ こうい)に対する助言と承認(憲法3条、7条)

国事行為(こくじ こうい) :すでに国会などで決定したことを天皇が国民に示す儀式。

6. 最高裁判所長官の指名(任命は天皇)(憲法79条)
7. 刑罰が課せられている人に対する恩赦(おんしゃ)の決定(憲法第73条第9項)

恩赦(おんしゃ) :国家が国家的な祝賀(しゅくが)に際して特別に刑罰を減免する制度。減刑や刑の執行の免除など
憲法第3条
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
憲法第7条
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
1 憲法改正、法律、政令及び条約を公布(こうふ)すること。
2 国会を召集すること。
3 衆議院を解散すること。
4 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6 大赦(たいしゃ)、特赦(とくしゃ)、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7 栄典を授与(じゅよ)すること。
8 批准書(ひじゅんしょ)及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9 外国の大使及び公使を接受(せつじゅ)すること。
10 儀式を行ふこと

国会との関係[編集]

内閣総理大臣は国会議員の中から選ばれる。(憲法第67条)  また国務大臣の過半数は国会議員であることが定められている。(第68条)

このように、内閣が国会の信任に基づいて成立し、内閣が国会に対して連帯して責任を負う仕組みを議院内閣制(ぎいん ないかくせい)という。


衆議院が内閣を信頼できない場合は、衆議院は内閣不信任案(ないかく ふしんにんあん)を提出できる。(第69条) 衆議院が内閣不信任案を決議した場合、内閣は10日以内に、衆議院を解散するか、内閣を総辞職しなければならない。

衆議院の解散

すべての衆議院議員の議員としての地位を、任期満了前に失わせる。総選挙を行うためにやる。

「国民に信を問おうじゃありませんか」とは衆議院解散および総選挙を行うことをさす。

内閣総辞職

内閣の全国務大臣が全員いっせいに辞職することを内閣総辞職(ないかく そうじしょく)という。


日本では内閣と国会の関係は「議院優位の内閣制度」である。

日本の主な省庁[編集]

  • 省庁
日本の省庁の関係図簡略版
・ 法務省(ほうむしょう)
民法や刑法などの一般の法律を運用するための制度を作っている。なお、教育に関する法律や制度は文部科学省が担当(たんとう)している。医療に関する法律は厚生労働省が担当している。税金に関する法律や制度などは財務省が担当している。このように、法律によっては、他の省庁が担当するので、法務省では、それら他省の管理する法律・制度以外の一般の法律を担当している。
・ 外務省(がいむ しょう)
外国との外交のしごとをしています。
・ 厚生労働省(こうせい ろうどうしょう)
おもに、医療(いりょう)や、国民の健康にかんする仕事をしています。失業問題などの労働問題も、この省であつかっています。
病院の医師は、厚生労働省の職員では無い。
・ 文部科学省(もんぶかがくしょう)
おもに学校教育に関する制度を作ったり仕事をしています。
小学校など学校の教員は、文部科学省の職員では、無い。教育委員会も、文部科学省とは別の組織である。文部科学省は教育委員会などを通して学校を監督する立場にある。
・ 財務省(ざいむ しょう)
国の予算や決算をつくる省です。税金をあつめる税務署は、財務省が管理しています。
・ 農林水産省(のうりんすいさんしょう)
農業や漁業に関する制度をつくったり、振興したりするなどの仕事をしています。
じっさいに農業を行うのは、農家であり、農林水産省の職員では無い。
・ 経済産業省(けいざいさんぎょうしょう)
商業や工業の振興や、貿易に必要な制度をつくったりしています。
・ 国土交通省(こくどこうつうしょう)
交通機関を管理しています。
実際に土木工事などの作業をおこなうのは民間企業であり、国土交通省の職員では無い。たとえば国道などの道路工事なら、管理をしているのは国土交通省かもしれないが、じっさいに建設機械などを用いて工事をするのは民間の工事会社であるのが普通である。
・ 防衛省(ぼうえいしょう)
自衛隊(じえいたい)を管理しています。
・ 総務省(そうむしょう)
地方自治に関する仕事や、消防・防災などの仕事をしています。放送や通信に関する制度をつくる仕事もしています。選挙の事務もしている。消防署の消防隊員は、総務省の職員ではない。
・ 環境省(かんきょうしょう)
環境保護などの仕事をしています。
・ 内閣府(ないかくふ)
内閣の重要政策に関する内閣の事務を助ける。

公務員[編集]

各省庁の行政を実際に行こなっているのは、公務員です。公務員(こうむいん)は国民のために働くことが憲法で義務づけられています。(憲法第15条 第2項)

公務員になる人の選び方は、なりたい人の中から、試験を行い、試験の合格者が公務員につけます。(公務員試験)  公務員の選び方には選挙はありません。(※ 範囲外: 「試験」と聞くと、ついついペーパーテスト(筆記試験)だけかと思いがちだが、実際には公務員の採用試験には面接もあったり、年齢制限などもある。また、大卒などの学歴がないと、特定の職種が受験できないという、受験資格の制限もある。)

公務員は働く場所により、大きく2つに分けられる。

国家公務員(こっか こうむいん): 国の機関で働く公務員。

地方公務員(ちほう こうむいん): 地方公共団体で働く公務員。

憲法第15条
  1. 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
  2. すべて公務員は、全体の奉仕者(ほうししゃ)であつて、一部の奉仕者ではない。
  3. 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
  4. すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。


実際の業務は、高度で専門的なため、国会議員がその実態を知るのは難しい。

これを 隠れ蓑(かくれみの) にして、「公務員が役所のためだけに働いたり、あるいは特定の政治家や企業などと結びついたりすることがあるだろう」と考えられ、批判の対象になっている。(※ 範囲外: いわゆる「癒着」(ゆちゃく)などの言葉は、公務員と特定の企業・政治家との結び付きを指す。2011年の原発事故で話題になった「原子力ムラ」も、そのような原発行政と電力業界との癒着(ゆちゃく)の体質を批判している。
(※ 範囲外: なお「癒着」(ゆちゃく)とは、もともと生物学的な用語であり、傷口がふさがる際に、くっつく事などをいう。転じて、本来なら監督官庁として企業からは独立すべき行政が、企業と結びついていることを「癒着」と批判するようになった。)


※ 範囲外: 官僚は権力者か?
※ 「官僚」(かんりょう)とは、政策決定に影響を与えるほどの上級の公務員のこと(参考文献: 帝国書院の検定教科書)。

上述の「癒着」のようなハナシをきくと、あたかも官僚組織が絶大な権力をもっており、政治家などが目を離すと暴走しがちなように思えるだろう。

しかし第二次世界大戦後の日本では、その官僚の仕事内容は、単に、政治家の議決した法律のとおりに、各種の政策を実行しているだけである。

法律を議決する権限も、いっさい官僚にはない。日本で法律を制定できるのは、国会の、国会議員のみである。

「官僚が法案を考えている」といわれるが、これは単に、政治家が、法学者や法律研究者などの有識者の意見を参考にするのと同様に、公務員の意見も参考として聞いているだけのことにすぎない。

結局、もとを正すと、一見すると「官僚の暴走」と思えるものは、じつは政治家の権力の暴走なのであり、国民の愚かさの暴走なのである。


よく、政治評論家が、政治家が増税政策などの、国民の多くにはウケの悪い政策を、官僚のせいにしたりする。なぜなら、もし政治家のせいにすると、その政治家を選挙で選んだのは国民たちなので、自分たち国民じしんの(頭が)悪いことになってしまうので、なので官僚のせいにするのである。


行政権の肥大化[編集]

行政の仕事(行政権)が、国会・裁判所(他の三権)に比べて多くなっている事を言う。

仕事の増大にともない各省庁の権限も強化され、メディアなどからは(公務員の)「既得権益(きとく けんえき)だ」という批判もある。

これは法律の作成が実際には各省庁で行われていたり、法律に基づき細かなことを定める政令・省令・通達・規則が増えていることなどが影響している。

仕事が増えれば増えるほど、(労働時間が増えるなどのために、給料を多く払う必要があるので)費用がかさむので、国民の税負担が増す。

行政改革[編集]

こういった問題点に対し省庁再編(2001年~)、規制緩和、独立行政法人に仕事を移す、民間委託(官から民へ)などを行なった。

外国での議院内閣制および大統領制[編集]

日本の議院内閣制は、イギリスの制度にならったものである。

いっぽうアメリカ合衆国では行政の最高責任書の選挙は議会によらず、事実上は国民によって直接に選ばれる大統領(だいとうりょう、英:President プレジデント)が行政の長になる。(実際はアメリカ国民が大統領選挙人(英:the Electoral College ジ・エレクトラル・カリージ)を選ぶ。この選挙人は議会とは異なる。)

アメリカの場合、議会には大統領の不信任決議権が無く、また大統領にも議会の解散権が無い。このように議会と大統領が独立している。 アメリカでは、法律の立法は、議会だけが立法権を持ち、大統領には立法権は無い。大統領には、議会が提案した法案への法案拒否権(ほうあんきょひけん)がある。大統領は議会には議席を持たない。

くわしくは、単元『中学校社会 公民/外国での政府のしくみ』。