大阪弁/進行・継続

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進行[編集]

動作が進行している状態(共通語の「~している」)を表すとき、動詞に「てる」または「とる」をつける。この時の動詞の活用は、過去形と同様である。

病院に毎日かよてる。 HHHHH LHHL HHHH
病院に毎日通っている。
音楽を聴いとるで。もしくは音楽を聴いてるで。 LHLLL HHHLL
音楽を聴いているよ。

過去形にしたときに「だ」で終わる動詞のときは、「でる」、「どる」と濁らせて用いる。

本を読んどる。もしくは本を読んでる。 HLL LHHL
本を読んでいる。

過去[編集]

過去のことについて述べる場合、「てる」→「てた」(「でる」→「でた」)、「とる」→「とった」(「どる」→「どった」)とする。

去年までアメフトをやっとったわ。もしくは去年までアメフトをやってたわ。もしくはしてたわもある。 HLLLL LLLHH HHLL
去年までアメフトをしていたよ。
前回の授業は休んでてん。 HLLLL HLLL HHHLL
前回の授業は休んでたんだ。

否定[編集]

否定の進行形を作る場合、「てる」→「てへん」(「でる」→「でへん」)、「とる」→「とらへん」または「とらん」(「どる」→「どらへん」または「どらん」)とする。

その服あろてへんねん。あるいはその服は洗ってへんのや。 HHHL HHHLLLL
その服は洗ってないんだ。
今は働いとらん。もしくは今は働いてへん。 LHL HHHHHLL
今は働いていない。

過去の否定[編集]

進行形の過去の否定は、進行形の否定の形に「かった」をつける。

まだ言うとらんかったな。まだ言うてなかったな。もしくはまだ言うてへんかったな。 LH HHHHHLLL
まだ言ってなかったね。

継続[編集]

ある状態の継続(「~してある」)は、動詞+「たある」(活用は過去や進行と同様で、撥音便のときは「たある」→「だある」)で表す。

ドアが開いたある。 HLL HHHLL
ドアが開いてある。
あんなとこにチャリ停めたあるで。 HHH HLL LH HHHLLL
あんな所に自転車を停めてあるよ。

過去[編集]

「たある」の「る」→「った」

昨日もうた紙に書いたあったで。 HLL HLL HLL LLHHLL
昨日もらった紙に書いてあったよ。

否定[編集]

「たある」の「る」→「らへん」または「らん」

ちゃんと閉まったあらんで。 LHL LHHLLLL
ちゃんと閉まってないよ。

過去の否定[編集]

否定の形に「かった」をつける

紙に包んだあらんかったわ。 HLL HHHHLLL LLL
紙に包まれてなかったよ。