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学習方法/高校受験/理科

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

高校受験の理科は、ほぼ暗記科目

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まず、どういう暗記が出るか

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高校入試の理科は、生物・地学・物理・化学 などの分野があります。

このうち、物理以外の、生物・地学は、暗記問題です。化学も、暗記の要素が多い。


暗記で問われるのは、用語だけでなく、その働きや、形状・部位なども問われる事もあります。

たとえば生物なら、道管と篩管なら、ホウセンカの、維管束の内側のほうが、道管か篩管か、覚えてないといけません(なお、内側が道管)。

また、道管で運ぶのが水、篩管で運ぶのが糖と、暗記していないといけません。


植物だけでなく、動物の問題も出ます。目や耳の組織で、どの部分が、どの働きをしているかを、覚えないと解けない問題も、高校入試では頻出です。


地学も、たとえば火成岩の断片の絵から、これは「花こう岩」か「安山岩」か「せん緑岩」かを問うような問題もあります。覚えるしかない。

地層の、示準化石と示相化石の、どっちが年代を知る手がかりかとか。なお、アンモナイトが、年代を知る示準化石です。シジミは、海などの環境を知る示相化石。


この手の、形や組合せを覚えるしかない問題は、暗記するしかありません。なにか良い語呂合わせでも使うとか、工夫してください。

たとえば、「道管が内側」というのを覚えるのに、「北海道内。サッポロ市街」とか、なんか語呂合わせで覚える的な。ただし、これだと、「道管で運ぶのが水」までは覚えられません。


植物の、胚珠と子房と卵細胞の位置関係みたいなのも出題されたり。しいて言うなら、中学で新しく習う、卵細胞や胚珠が出題されやすかったり(子房は小学校で習うので)。

忘れる事を意識して、進む

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ただし、暗記は、たとえ一度は覚えても、時間が立つと、忘れます。何周か書き取り練習などをするのも良いですが、しかし、もし書き取り後に2~3周の読み込みなどをしても覚えられない場合は、あきらめましょう。

時間が立つと忘れますので、春とか早めに書き取り練習をして覚えていても、受験前の1~2か月前くらいに、もう一度、総復習をして、書き取り練習などをしておきましょう。

また、忘れる事もふくめて、3年になったばかりの春の段階では、広く浅く、勉強しましょう。


中学理科で習う事のうち、公立中学入試で出てくるような暗記問題は、数が限られていますので、語呂合わせも有効です。(なお、高校に入ってからは、ほぼ無効になります。)

高校入試の理科は、高校で習う理科の内容とは、かなり違います。

このため、高校の先取りは、あまり入試対策としては、効果がありません。特に公立高校入試では、先取りは無効です。

私立の場合、一部の単元では先取りも効果がありますが、しかしそれよりも、高校にも寄りますが、圧倒的に、生物・地学・化学の、暗記問題の比重が大きい。

理解を深めるため、参考書を読もう。

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理科の場合、用語の丸暗記だけでは対応できない問題も多い。(もっとも、暗記も必要である。後述する。)

理解を深めるために、参考書などを買ってきて、説明を読んで、自然法則などを理解しておこう。

学校の教科書だけでは、あまり説明が書いてないので、自習しづらい。よって参考書が必要になる。

理科の参考書は、できれば2冊以上、出版社が別々の参考書を買っておくと良いだろう。

なぜなら出版社ごとに、説明の傾向とかが違う。また、2冊の本を読み比べていくと、重要知識は、どの参考書にも書かれているので、読み比べによって入試の出題傾向などが判断できる。ある分野を複数の観点から説明を受けることで、理解も深まる。さらに、ある分野を2回も学ぶことで、記憶も定着しやすく、暗記もしやすくなる。

図鑑などの知識は出ない。

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昆虫図鑑とか植物図鑑とか、そういう図鑑などで紹介されるような知識は入試に出ない。特定の動物や植物にのみ通用する知識は、高校入試および大学入試では出ない。

高校入試の生物分野の場合、たとえば細胞の仕組みなど、多くの生物に共通する知識が出題されるのである。


なお、動物も植物も、基本的には、実験や観測をしやすい小型の動物や、植物ならホウセンカやオオカナダモなどの植物が、入試の問題文中では出やすい。

つまり動物の場合、イヌやネコやウサギなどは出てくる場合もあるが、一方で、めったにライオンやオオカミなどの猛獣は出てきません。絶滅危惧種などの文脈でなら社会科や英語など出てくる可能性もありますが、理科では、あまり猛獣は出てきません。

ハ虫類でも、カメやトケゲは出てきても、ヘビは出づらい。

用語の暗記も必要

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傾向

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用語などの暗記のため、書き取り練習が必要である。

元素記号とか・・・、キチンと書き取り練習して、覚えよう。

生物名や薬品名は、それを問う入試問題が作りづらいので、入試では問われづらい。ただし、問題文中に薬品名(「BTB溶液」)などが出てくるので、どういう溶液かは覚えておく必要がある。

なお、高校に入ってからBTB溶液はあまり使わないので、そのためか、BTB溶液の性質が設問中で与えられる場合もある。教科書・参考書にある、BTB溶液をつかった実験の内容ごと、覚える必要がある。

なお、元素記号は、実験をしやすい元素が、よく出題される。

つまり、アンチモンとかモリブデンとか、そういう元素は、中学高校では実験が出来ないので、基本的には出題されない事が多い。

また、公立高校の入試の場合、化合物の分子式は、与えられている場合がある。化合物だけ与えられていて、酸素や水など他の分子式は与えられておらず、反応式の全体を書かせる問題などがある。


また、化学式を単独で書かせる問題よりも、実験の全体を出題する場合がある。「なぜこの物質が発生したのか、理由を下記から選びなさい」みたいな出題がされたりする。

場合によっては、論述問題というか記述問題などで、文章を書かせる場合もある。なので、教科書・参考書の説明の内容ごと、アタマに入れる必要がある。

教科書や参考書にあるような典型的な実験は、実験のパターンごと、覚えてしまおう。

対策

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さて、まだ習っていない分野を、いきなり暗記しようと思っても、ふつうは覚えられない。なので、習ってない分野については、まずは参考書の説明をキチンと読もう。最低でも、1度は説明を読んでから、そのあと、暗記のための書き取り作業などを始めよう。

ドリルやワークブックなどで、計算問題などを練習しよう

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また、計算問題を練習するため、ドリルやワークブックなどのような教材も、キチンと練習しておこう。持ってなければ、買っておこう。

理解していると思っている分野でも、一通り、問題を解いて確認しておこう。

難関校むけの問題集よりも先に、まずは、基本的な内容のドリルやワークブックや受験標準レベルの問題集を練習するのが先である。


中学の範囲外の入試問題への対策案

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基本

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私立高校などでは、高校の範囲からの出題など、中学の範囲外からも出題されることが考えられる。なので、難関高校むけの参考書などを買ってきて読んで、問題を練習しておくのが良いだろう。


高校生用の参考書は、中学生には使いずらいだろう。高校の理科は4科目に分かれているので、高校入試対策に4冊の本を買うハメになる。高校受験の受験勉強のさなか、さらに4冊も新たに参考書を買ってきて読みこなすのは無理だろうし、それよりも難関高校むけの受験参考書を買って読みこなすほうが便利だろう。


  • 難関校対策用の参考書は、意外と簡単。分厚いけど。

中学理科の場合、難関高校対策用の参考書でも、時間さえあれば、けっこうスラスラと読めます。というか、中高では、数学以外の科目は、時間さえ掛ければ、読んで大筋の内容を知るだけなら、たいていの参考書は読めます。ただし、難関校対策用の参考書は分厚いので、読みこなすのに時間は多めに掛かります。 なお、問題集まで含めると、難関校対策には時間が掛かるかもしれません。難関対策用の参考書でも、資料集などを読み込むような感覚で、読めます。はっきり言って、中学生むけの難関高校入試レベルの理科の参考書なんて、時間さえあれば、読むだけなら難しくありません。

時間とかに余裕があれば、力試しに難関校対策用の参考書を読んでみるのも、もしかしたら楽しいかもしれません。

また、高校に入ってしまうと、理科の教科書や参考書が科目ごとに分かれてしまうので、理科を全体的に1冊の本で学ぶことが、しづらくなります。(物理・化学・生物・地学の4科目に別れて、教科書も別々になる。) でも、高校入試の難関校対策用の理科の参考書なら、理科を全体的に1冊(または2冊)で学ぶことが出来ます。

中学理科は、全体的にバランスよく理科を学びやすい、最後の機会です。

先取りは9月くらいまでにヤメル

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ただし、難関私立高校でも、中学範囲の暗記問題は、たくさん出てきます。

このため、高校範囲の先取りの予習は、早めにヤメルのが良く、たとえば「9月終わりまで」とか時期を決めて、限定的に先取りを行うのが良いでしょう。

それ以降は(上記の例なら10月からは)、主な出題範囲である中学生用の参考書で、暗記的な細かい事を覚えたほうが良いでしょう。

なお、発展的な高校受験の参考書には、高校範囲の事も書いてあるので、結果として高校範囲のことも10月以降も覚える事になるが、しかしそこまで厳密に先取りをヤメル必要も無い。

出ない範囲

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分子生物学のDNAを中学でも教えるように改革がされた。

しかし、ほとんど、公立高校の入試には DNA は出ない(ただし、染色体と「メンデルの遺伝法則」は出る)。

高校入試に出るようになったのは、DNAではなく「メンデルの遺伝法則」である。

なぜなら、高校入試に出るのは、実験と観測をしやすい問題である。いっぽう、DNAみたいなのは実験と観測をしづらいので(電子顕微鏡が必要)、そういうのは出づらい。

現状を告発する。