学習方法/高校地理

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本ページの記述は「いかに短期間で勉強して入試で得点できるか」に着目した学習方法を提案しています。ただし、編集者の主観や、編集者間での意見の相違も存在するうえ、入試で得点することだけが地理学習のすべてではないので、注意しながら読んでください。

また、以下の記述は高校地理全範囲を独学することを前提としています。

高校地理に限ったことではありませんが、現役高校生は学校のカリキュラムに併せて学習した方が効果は大きいと思います。現役の高校生(特に1年生・2年生)は、学校の授業をきちんと聞く、ノートを取る、宿題に取り組む、検定教科書や副教材をしっかり読む、不明点は学校の先生に質問する、定期考査ごとに復習する、などをきちんとこなすことが大切です。もちろん授業外での自習も必要ですが、学校の授業の質がよほど悪いわけでもなければ、独学はお薦めしません。くれぐれも、以下の記述を鵜呑みにせず、自身の理解状況や学校のカリキュラムなどを正しく認識して各自学習に取り組むようにしてください。ただし、本ページを参考程度として活用するのは一向に構いません。

1年生・2年生のうちに、「地理B」の教科書で扱うような基本的なことをある程度身につけられれば、3年生で問題演習を積む効果が大きくなると思います。

中学範囲の学習が不十分で高校に入学した場合は、中学の参考書や検定教科書に戻って確認するという作業も必要です。

地理Bを読む[編集]

まず、検定教科書はなるべく「地理B」の教科書を読むことをオススメします。なぜなら「地理A」の内容には中学卒業までの文系科目(中学地理だけでなく公民や家庭科など)や中学理科(季節風など)の復習的な内容が多いからです。すでに高校入試までに5教科をまじめに勉強してきた人には、地理Aの学習は、ほぼ不要です。

裏を返すなら、もし高校の学科が普通科なのに「地理A」の授業をしてるなら、高校側に抗議を入れたほうが良いでしょう。(なお、世界史Bのほうは、復習の話題は少ないので、普通科でも授業の意義はある。)


「地理A」に中学の復習的な内容が書かれているのは、どういう事情かというと、おそらく、検定教科書に書かれてないことは大学入試やセンター入試に出しづらいけど、受験生には中学レベルの知識も習得しておいて貰いたいので、なので高校地理Aの教科書に、(中学の地理の教科書には書かれてなかった)中学歴史や中学公民や家庭科や中学理科などの内容が書かれているのでしょう。

ですが、もし読者が、(中学時代は不良学生でなく、)すでに中学で普通に品行方正に授業に出席して勉強してきたのなら、特に「地理A」に深入りする必要はありません。さっさと「地理B」を読みましょう。


地理科目の場合、学習がある程度進んだところで、ひとまずセンター試験の過去問演習に取り組むのが、安全です(特に国立2次や私大入試で「地理」を利用しない人)。

センター試験の「地理」の場合、難易度は、グラフの読み取りなどの思考力を確認する問題が地理にはあるため、「世界史」「日本史」など他の科目よりも「地理」は暗記問題は少なく、低学年でも、センター過去問には解ける問題が多いのです。

また、じつは、大学受験では、国公立大の入試では、ほとんどの国公立大学では、二次試験に地歴公民がありません。このため、センター試験が、地歴公民では、事実上の最後の入試です。

ただし、センター試験はマークシート式であるため、記述解答させる問題は一切出題されませんので、二次試験や私大入試で記述問題が必要な場合には、センター以外の勉強もする必要があります。


ため、早い時期に取り組んだ場合でも、問題が自身の学力を大幅に超える可能性は低くなります。特に国立2次などで記述式解答が求められる人は、地名や地理用語を(漢字で書くべきところは漢字で)書けるように別途訓練を積むべきと考えます。


高校地理との関わり[編集]

  • 高校卒業要件として関係し、大学受験では使用しない人

現行の学習指導要領で高校を卒業するためには、世界史は必修、地理・日本史の一方が選択必履修です。地理・日本史のうち地理を選択した人(もしくは日本史が選択不可能な高校の生徒)は、最低限、「地理A」または「地理B」の単位 が取れるように 総授業数の3分の2以上の出席 かつ 単位認定に必要な成績 をとる必要があります。ただし、この他に高校での履修規定も遵守する必要があるので各自注意してください。

  • 大学受験ではセンター試験でのみ地理を利用する人

国公立志望生徒の大半がこの分類に入るでしょう。国公立2次・私大入試で社会1科目が課される大学を世界史・日本史・倫理政経などで受験する人も含みます。受験対策上はセンター試験に対応できれば十分です。志望大学ごとに「地理A」と「地理B」のどちらが必要かは違いますが、一般的には「地理B」などB科目の受験を要求している大学が多いです。特に国立大学や難関私大は、地歴科目の入試では、ほとんどB科目を要求している大学ばかりです。

  • 大学受験で国公立2次・私大入試まで地理を利用する人

国公立志望では、ごく一部でしょう。2次試験で社会2科目を課すのは東京大学(文系)のみです。私立大学では地理が受験科目に含まれている大学は少数派です。なお、国公立理系で地理を選択できるのは筑波大学(生命環境学群地球学類)・首都大学東京(都市環境学部地理環境学科)のみです。特に、論述問題が出題される大学を受験する場合は他の受験生よりも必要な準備・勉強量が増えるでしょう。

地誌でよく登場する国を狙って学習しよう[編集]

世界には約200の国・地域がありますが、入試で世界各国が均等には出題されることはありません。入試で重点的に扱われる国はほぼ決まっています。高校生向けの学習参考書は大学入試を意識して執筆されているため、地誌学習については多くの参考書で重点的に紹介される国から順に、重点的に紹介されている話題について重点的に勉強をすれば、学習した内容が入試で出題される確率が上がります。逆に、参考書であまり紹介されてない国や話題を勉強しても入試ではあまり役立たないでしょう。

検定教科書での日本地誌の記述量(ページ数)はそれほど多くはありませんが、入試では出題されることも多い[1]ので注意が必要です。

まずは、世界地誌や系統地理から先に勉強した方がよいのかもしれません。日本地誌は中学である程度学習していますが、世界地誌や系統地理の内容は高校で初めて学習することも多く(詳細は後述)、それら初めて学習することをしっかり理解するのには時間がかかるためです。なお中学範囲がしっかり理解できている人は、日本地誌についての勉強は、高校の最後での仕上げの学習だけでも入試に対応できるかもしれません。

普段の地理学習にあたって[編集]

関連づけながら勉強する[編集]

本ページの下記の内容は、「地理B」の教科書を念頭に書いています。

まずは地理Bの検定教科書をしっかり読みこむこと、これはとても大切ですが、検定教科書だけでは説明が断片的で不十分なこともあります。例えば、検定教科書で、熱帯地域では降雨が多いためアルミニウム分と鉄分の多い「ラトソル」という赤色の土壌をもつという説明、ボーキサイトは熱帯地方で産出されるという説明があっても、ラトソル土壌の地域がボーキサイトの産地になりやすいことが書かれていないでしょう。

落ち着いて考えれば、これらの説明が関連しあうことがわかると思います。しかし、落ち着いて考える時間がもったいないと考える人ならば、参考書を確認してこのような連関を暗記した方がいいのかもしれません。

地誌に関する記述も、検定教科書では概要のみの説明で留まったり[2]、国によっては記述自体がなかったり[3]する場合もあります。これらの内容の学習が求められる場合は、各自参考書などを購入して学習する必要が生じるでしょう。検定教科書は大学受験の有無を問わず日本中の高校生が使用するものなので、平易な内容で留められていることも考えられます。またページ数や文字数の制限もあります。そのため、受験校などによっては、検定教科書に記述されていなくても重要な学習事項となる可能性はありえます。

受験で地理を使用しない人(高校卒業要件として学習する人)・センター試験のみの人・2次試験でも使う人・私大入試で使う人など、高校地理の使い道は多岐にわたるので一概には言えませんが、まずは検定教科書やセンター対策程度の地理参考書を中心に普段の勉強を行うことも一つの方法となりえます。

大学受験においては高校範囲を大幅に逸脱した問題は出題されません。そのため検定教科書は、高校範囲の確認には不可欠です。検定教科書に好感を抱かない人でも、受験終了まできちんと保管し、参照したいときに参照できるようにすることを薦めます。

高校地理は中学で習わない新内容もある[編集]

高校の地理では、中学校の地理では習わない学習事項や用語も数多いです。 中学校での社会科地理分野では地誌分野を主に学習してきたと思います[4]。しかし、高校地理では系統地理分野の比重がかなり増加します[5]。この他、地誌分野の学習事項も増えます[6]。このため高校用の教材が必要です。中学で使用した教科書や参考書では不十分です。高校での検定教科書や参考書などで、高校地理の基礎知識を頭に入れる必要があります。

大学受験でセンター試験「地理A」のみを受験する場合でも、地理Aの検定教科書のみならず、必要に応じて地理Bの検定教科書を購入しておくと学習に役立つかもしれません。ただし「地理A」受験者にとって、基本は「地理A」です。

なお、地域史などの歴史的な経緯を学ぶさい、深入りしすぎないように注意してください。他分野の勉強時間が不足してしまいます。

  • 参考書

さて、参考書を買う場合、いきなり文英堂シグマベスト地理など受験参考書を練習するのは、内容が膨大すぎます。センター「地理」では、シグマベストまで細かい知識は要求されません。

出題傾向が、センターとシグマベストは、まったく違います。センター「地理」の場合、グラフの読み取りに地理の知識を組み合わせた問題が多く、直接的に知識を問うことはしません。

またセンター頻出の話題でもシグマベストには書いてなかったりする話題も多いので、センター対策用の他の参考書のほうが安全でしょう(なおチャート式には、高校「地理」はありません。)。まず買う参考書には、センター試験用などの入門的で、かつ教科書の範囲をひととおり扱ってる参考書を買う必要があります。


  • センター対策で省ける

センター試験で地理を使うだけなら、センターに出題される問題だけが解ければイイのであって、参考書のすべての事項を覚える必要がありません。センター試験のみで「地理」を使用する受験生(理系学部志望など)は、そもそも用語を漢字で覚える必要がありません。また、地理の論述対策も、センターのみの受験生は不要です。

地理は、世界史Bなどと比べて暗記項目が少ないぶん、論述問題など分析的な問題では、難しいことを問う問題もあります。センター試験のみの受験生は論述対策を勉強計画から省く必要があります。逆に省かないと、他科目の勉強時間が不足します。

また、センターで地理を使うだけなら、センター地理に出題されないような知識は不要です。たとえば地域史で瑣末すぎる知識の暗記は、受験勉強から省けます。 まずは教科書レベルの基礎知識を知らないと、受験問題の解きようがありません。

検定教科書の購入法[編集]

小学校・中学校・高等学校の学習/検定教科書の購入方法 を参照

センター試験の対策[編集]

地図帳はセンター対策では不要[編集]

学校で、地図帳を購入するでしょう。また、塾などで地理用語集、統計データ集などを買わされるかもしれません。ただし、参考書を活用すれば、センター対策ではこれらの副教材は不要です。参考書に掲載されている地図でも、そこそこ勉強できますが、でも地図帳があると辞書がわりに使えてあると便利ですので、購入しておきましょう。

もっとも、地図帳よりも、参考書と問題集のほうが必要ですので、優先順位を間違えないようにしてください。

地図帳には地名やその土地の産業についての情報が膨大にありますが、全てを暗記する必要はありませんし、そもそも全部の暗記は不可能です。辞書代わりに、学習に必要な地名の位置が確認できれば充分です。統計データ集なども同様に辞書代わりとして活用すれば充分です。教科書や参考書を読んで、暗記する必要があると思うものは暗記してください。

センター試験で暗記する事項[編集]

センター地理では、国立理系の人が地歴公民科目として受験することが多いことから、丸暗記みたいな問題は、あまり出題されません。

センター試験の地理では、設問にヒントとして、グラフが書いてあり、ある場所の地形の断面の標高とか、気候のグラフとか、その他さまざまなグラフや図表がヒントでありますので、数値をそのまま暗記する必要はありません。

センター地理は、どちらかというと、数学や物理、化学などのテストに、試験としての性質が近いのです。

このような特徴があるので、問題練習をする必要があります。

センター「地理」の勉強は、過去問やセンター対策問題集の練習まで含めて、事実上の基礎です。

センター「地理」は、中学卒業までの社会科の地理の内容とは、出題傾向が大幅に違います。


センター地理は、歴史科目と比べれば暗記量はかなり少ないですが、いちおう高校地理Bでも、最低限の暗記が要求されます。まず、主要国の国名と地理用語は覚えるしかありません。学習目的によって必要な暗記事項の多寡は異なりますが、教科書(・参考書)に掲載されている事項は覚えておく必要があります。

地名については、地図で国名や市長村名をそのままセンター試験で問うことは、ほとんどありません。また、そもそも地図で地名を問う問題が、センターでは、ほとんどありません。(問題文中に地名が出ることはありえますが。)

また、「地理」の「理」の字は、「理屈」の「理」ですから、センター試験の「地理」では、あまり地名を問うことはしません。

暗記すべきことは、たとえば「ブミプトラ政策」「ラトソル」などの重要語の内容や、どの資源(石油やアルミやリチウムなど)はどの国に多いとか、主要国(せいぜいポーランドやタイやイランあたりまで)の産業や近年の動向、各地域の代表的な山脈の位置や、その周囲の気候、・・・などです。

農産物については、地形と関連づけて覚える必要があります。たとえば「ドイツ南部の山岳地帯で、ブドウなど果樹の栽培が盛ん」(2017年センター地理B)みたいにです。 主要国について、このように農産物を覚えましょう。

なお各地の気候と地形も覚えておくことにより、果物や野菜などの農産物は、ほとんど気候と地形から導くことができ、暗記の負担をやや減らせます。(とはいえ、気候と地形を暗記する必要はある。)


センター試験では、直接的に各地の農産物を問うことは、あまりしません。もしセンターで農産物についての知識が問われるなら、例えば、たいていの場合は、地形などから気候を想像させ、そこから農産物を問うことをします。ただし、地形が設問に書いてあるとは限らず、地形が書かれてない場合も多いので、山岳地帯や盆地がどこなのかは暗記する必要があります。

結局、地理は暗記科目なのですが、受験生に暗記術(関連づけて覚える)を要求する科目です。


さて、宗教人口などを問う問題では、歴史の知識が役立つことはありますが、しかし直接的に歴史知識を問うことは、センター地理では、ありません。

語族についても、たとえば「フィンランド語がウラル語」と覚える必要もなく、「フィンランドは周辺国と違い、フィンランド語はゲルマン語ではなく、ラテン語でもない。」とさえ覚えられれば良いのです(2018年度センター地理B,本試験)。

センターの出題には、ときどき、グラフからは判断しようの無い難問もありますが、しかし、そういう問題は解けなくても良いのです。

実情は、主要な土地の地形・気候と、基礎知識を暗記・理解しておけば解ける問題だけ、センターでは解ければいいのです。


地理のセンター過去問集は、サイズ(判型)の大きめの書籍で[編集]

地理の入試問題では、地図などを読み取る問題もありますが、過去問集のサイズ(判型)が小さいと、縮小コピーされてしまい、記号などが潰れてしまっていたりして、あまり役立ちません。

このため、ややサイズ(判型)の大きめの問題集を購入する必要があります。

教学社の赤本は、地理の地図読み取り問題の練習では、縮小コピーされてしまっており、役立ちません。出題傾向を調べるだけに留めるか、問題練習したいなら他社の過去問集にしましょう。

一般入試で暗記する事項[編集]

その他の学習事項は、系統地理の理解があるとやみくもに暗記することを減らせるでしょう[7]。ただ、大学入試問題(特に私立大学)では地名などの一問一答問題など、単なる地理クイズ問題の域を出ない問題が出題されることがある[8]ので、系統地理の深い理解よりも、とにかく一問一答的に暗記した方が対応しやすいと考える人もいるでしょう。(ただし、この程度の学習では国立大学の論述問題には対応できません。)系統地理的な理解と地誌的な暗記とどう両立させるかは、各自の得手不得手、学習上の必要性によります。


受験参考書以外の書籍について[編集]

観光ガイド[編集]

大学受験の「地理」の問題では、観光地理学よりも自然地理学(地形・気候など)や産業地理学(農業・工業など)から出題されやすいです。都市名に限って言っても、まず産業関係の都市(農産物の産地・鉱物資源の産地・工業地帯など)が入試では出題されやすいです。もちろん各国の首都も問われるでしょう。しかし、観光をテーマとした出題はそもそも少ない[9]ため、受験勉強の観点では、観光関係を深く学ぶよりも自然環境や産業、地誌を学習した方が効果が大きいと思います[10]

書店の地理関連の書籍のコーナーでは、観光関係の本も置かれているので、受験対策で本を探しているときは注意してください。観光地についての理解も一般教養として求められると思いますが、受験地理でのウェイトは大きくはありません。例えば、各国の世界遺産については、検定教科書・参考書ともにあまり書かれていませんし、センター試験「地理」でもあまり世界遺産は出題されていません。ただし、「世界史」で紹介される世界遺産もあります。

もういちど読む山川地理[編集]

まず、検定教科書出版社のひとつの山川出版社は、地理の検定教科書を出していません。

『もういちど読む山川地理』(山川出版社)は社会人向けの書籍[11]で、内容は高校地理の学習範囲と必ずしも一致しません[12]。このため、大学受験で地理を利用する人には向かない部分もあるので、注意してください。(買わないことを薦める執筆者もいます。)


学習順序の提案[編集]

地誌を優先する[編集]

高校地理の分野は大きく分けて、いくつもの国で共通性の高いパターンや自然科学・政治経済などとの関係を扱った「系統地理」と、各国・各地域ごとに個別に説明する「地誌」の2つに分かれます。

大抵の教材では、「系統地理」が先に書いてあり、「地誌」は教材の後半または2冊目などで扱われます。

教材にもよりますが、参考書で(「教科書で」ではなく)、「地誌」から勉強したほうが速いです。

なぜならば、「系統地理」の内容は抽象的で初心者には難しかったり、あるいは中学で聞いたことのある内容だったりするからです。

たとえば、教科書で「系統地理」について読んで気団や緯度や地形が各地の気候に及ぼす影響を学ぶよりも、参考書で先に「地誌」を読んで各地の気候を覚えてしまうほうが早いのです。用語が分からなければ、その時点で索引などを見て系統地理を学べばいいのです。

系統地理では、プレートやら、気圧やら、理科的な知識と、地理との結び付きが行われる分野があります。なお、そういう理科と地理との融合分野を「自然地理」(しぜん ちり)といいます。こういう自然地理は、理系を志望する生徒にとっては興味深いでしょうが、はっきりいって、その知識だけでは得点が取れません。なぜかというと、じっさいの入試には、各地・各国ごとの個別・具体的なことが、入試に出題されるからです。

また、自然地理の学習だけでは、政策などの内容や、工業製品・工業団地などの特徴は、あまり覚えられません。

もし自然地理をまったく紹介しないとなると、丸暗記をする受験生が続出しかねないので、仕方なく自然地理を紹介してあるのでしょう。

なお、入試で気候やプレートなどが問われやすそうな地域は、ほぼ特定の地域に限られています。なので、その問われやすい地域ごとに、地誌で、問われやすい事を覚えてしまえばいいのです。

また、参考書なら、「地誌」分野のページでも、「系統地理」的な考え方との関連が書かれています。なので、丸暗記をする必要もありません。

もちろん、入試には「系統地理」からも出題されるでしょう。なので、系統地理の勉強も、のちのち必要になります。しかし、系統地理は、高校時代の後半までに習得できればイイのです。

他教科に例えるなら、「英語」科目での英文法みたいなものです。いきなり仮定法過去完了を練習するよりも、高校1年ごろは高校必修〜入試基礎レベルの単語を覚えにいったほうが、模試での得点は上がるでしょう。

系統地理も、英文法と同様でしょう(特に、自然地理)。

なお、中学校の検定教科書で単元の順序を調べたところ、中学では、気候と三大宗教にかぎって、世界地理の「系統地理」から教科書の前半で優先的に紹介してます。そのあとに、アジア州、アフリカ州、・・・と各州ごとの地誌がきます。そのあとに、日本の「系統地理」、そのあとに日本の「地誌」という順序です。

中学では、この順序が自然でしょう(まあ、個人的には、各地の気候の紹介のついでに、その地の農業も大まかに紹介したほうがイイとは思うが。)。

しかし、高校の地理学習では、中学地理のような学習順序とは、違うほうがイイかもしれません。

中国・韓国・アメリカの地誌は後回しに[編集]

大抵の高校「地理」参考書の「地誌」の解説では、中国がまっさきに説明され、ニュージーランドなどのオセアニアが最後です。

しかし、中国・韓国については、小学校・中学校でも習ってますし、当面は中国・韓国に深入りする必要はありません。

むしろ、東南アジアから学んだ方が良いでしょう。

なぜなら、中学校の地理ではマレーシアの地誌をあまり習いませんが、高校「地理」ではマレーシア確実に重点的に習うからです。

どういうことかというと、マレーシアは民族構成が複雑ですので、中学では時間が足りないので、マレーシアの詳細が中学教科書では範囲外になっているのです。中学校「地理」検定教科書を見ても、あまりマレーシアについては深入りしていません。また、中学1年の時点では、まだ必要な歴史知識や政治経済の知識が足りないという理由もあります。

しかし、マレーシアは東南アジアのなかでも第二次大戦後の工業化が早かった国であるので、第二次大戦後の東南アジア経済を理解するにはマレーシアの知識が欠かせません。

高校「地理」では、確実に、マレーシアの第二次大戦後の「ブミプトラ政策」とか「ルックイースト政策」とか政策の用語とその内容が問われますし、また、こういう政策については定期テストにも出題されやすいです。

高校1年生ならば、中学2年までに世界の歴史のあらましを習っていますし、中学3年のときには『公民』科目で政治や経済についても習っていますので、高校の地理では確実に、マレーシアの各種の政策や、マレーシアの産業やら民族構成などを習います。

この高校「地理」におけるマレーシアのように、高校「地理」では、中学校「地理」では説明を飛ばされていた国や地名が、高校では紹介されます。

いっぽう、もし朝鮮・中国から勉強するとなると、もし中学で習ってない事項となると「朝鮮半島の南の沿岸はリアス式海岸」とか、中国で戸籍の無い子どもは「黒孩子」(ヘイハイズ)と言うとか(しかも私大入試や国立二次では漢字で「黒孩子」を書かされる)、中国の地域料理と気候の関係とか、こういうのが入試には出ますが、はっきり言って、あまり重要でないことから勉強することになり、ツマラナイでしょう。

そういう「朝鮮半島の南の沿岸はリアス式海岸」などの細かいことは、高校時代の後半までに覚えればいいのであって、まずは、もっと本質的なことから学ぶべきですし、そのため、 東南アジア→南アジア→西アジア→アフリカ・・・ などの順序で地誌を学ぶのが良いでしょう。

いっぽう、アメリカ合衆国をさきに学んでも、中学で習ってない事項となると、各地の工業地帯や、各地ごとの農産物の傾向とか、やたらと細かいことになり、ツマラナイです。

アメリカ合衆国よりも先に、南米諸国(ブラジルとかアルゼンチンとか)や、あるいはロシア地域、ヨーロッパ諸国などを先に学んだ方が良いでしょう。

ロシアは、中学「地理」では、授業時間の制約上、ソビエト連邦時代の歴史をあまり扱えないので、中学ではロシア地理には深入りしていないので、高校「地理」の授業ではロシアが優先的に紹介されるでしょう。

念のため、中学「地理」の教科書を調べてみたところ、どうやらロシアよりもアフリカのほうが中学「地理」では説明が多いかもしれません。


いっぽう、オセアニアについては、特定の国について深入りすることになります。たとえば、オセアニアについては、教科書・参考書では、まずオーストラリアが重点的に紹介され、その次にニュージーランドが紹介され、・・・という順序になっています。

せっかくオーストラリアについて学んでも、ニュージーランド以外には、あまり他地域に応用が利きません。

二次対策[編集]

地理的知識の体系化[編集]

自分の生活環境を基点に、地理的分析をおこない、それをつうじて、地理的知識を体系化していくのが、ひとつの学習方法です。たとえば、自宅の近くに高速道路や国道があったとします。その場合、つぎのことなどが、検討できます。

  1. それらの道路は、どこからどこまで、開通されているのか。
  2. 道路の両端はどういうところで、なぜそれらが、道路でむすばれているのか。
  3. 両端の地域の間には、工業、農業、住宅街、産業など、どういう関係の地区があるか。
  4. 通っているのが高速の場合、そのインターチェンジはどういう地域におかれているか。
  5. かりにその道路が工業地帯をとおるなら、そこはどういう地理的特性により、工場立地条件をみたしているか。
    1. その地理的条件とおなじところが、他国にもあるか。
    2. ある場合は、その国では、日本と同様に、工業地帯が形成されているか。他のものが形成されている場合は、おなじ条件下で、他のどういう人間の営みが可能かがわかる。
  6. かりに道路の片端に農業地帯があるなら、そこは、どういう生産物をもっているために、海路・航空路ではなく、陸路によって、他の地域とむすばれているのか。
  7. 生産物によっては、陸路で運ばれものと、海路で運ばれるものとのちがいがあるか。そのちがいは、生産物のどういう特性によるか。
  8. 海路も使用されている場合、それは歴史的にどう開拓されてきたか。

また、たとえば、スーパーの品物に、青森県産のリンゴがあったとします。

  1. 青森県は、どういう気候条件があるために、リンゴが育つのか。
  2. その気候条件は、どういう地形的特性により、生み出されているのか。
  3. 同じ地形的特性のところが、他国や日本の他地域にあるか。
  4. ある場合、おなじようにリンゴが生産されているか。されていない場合には、かわりの生産物が、リンゴと似た条件下で育つものであるとわかる。
  5. また青森県でリンゴが大規模に生産されるのは、あくまで大都市などへの出荷の見込みがあるからである。リンゴ農園の土地代、設備費、人件費がかかり、農園が大きいほどそれらが大きい以上、出荷の見込みがなければ、一般的に、大規模な生産はされない。
  6. その出荷の見込みは、ひとつには、消費地への、運搬手段が確保されていることによる。その運搬はどのようにおこなわれているか。陸路の場合、その道路は歴史的にいつから存在するか。
  7. その道路が存在しない前は、その地域には何があったか。

地理的思考で重要なのは、各事物と、その存在する条件、その条件の存在する条件・原因、といった、複数の項をとらえ、各項を、ほかのものに移行させて考えていく、ということです。たとえば、生産物―その存在上の気候条件―気候条件の存在上の地形的条件という系列に関し、別の地域の同じ気候条件下で、別の生産物があるかをみれば、どの生産物同士が、同じ条件下で育つものかがわかります。あるいは、おなじ地形をもつ異なる地域をくらべることで、その地形のもと、どのような人間の活動が可能であるかをまとめてみることができます。

情報の入手[編集]

高校の地理の教科書は、各テーマに関し、具体例をあげつつ、基本事項をまとめています。 具体例の記述の部分と、理論的な説明の部分とを、見分け、それぞれを頭にいれます。また具体例については、その内容を抽象化し、それを他の類似のものにもあてはめる、という扱いをとります。たとえばこのようなことが、教科書の有効なあつかいとしてあります。また『用語集』は各社の教科書の内容を横断的に網羅しているので便利です。

地図帳は帝国書院『新詳高等地図』がくわしいとされています。地図だけでなく、各種のデータが図示されているので、所在地の特定にくわえ、データをもとにそこの環境的条件を確認できます。数値的データについては、古今書院『世界と日本の 地理統計』にまとめられています。ある産業や地域の歴史的経緯については、日本史・世界史の教科書を参考にできる事柄もあります。

より細かい具体的情報を得るには、各地の農業組合のホームページや、行政地域内の各種産業について載せる都道府県庁・市区町村役所のホームページが利用できます。新聞の各ページにも地理に関わる記事は多いのです。


大学での教科書や学術書は不要[編集]

地理の場合、日本では大学に地理学科は少なく、そのため、あまり改訂が活発ではなく、統計などが古くなってしまってる場合もあります。

よって、大学レベルの教科書は、ほぼ不要です。

時事的な話題については、大学レベルの学術書よりも、高校の検定教科書のほうが新しい場合も多くあります。

なので、高校地理Bの教科書を読みましょう。

もし、大学合格後や就職後に、検定教科書を越えた内容を勉強したいなら、当面は参考書を読みこなせば良いだけです。

また大学入試問題は、学習指導要領(およびそれに基づいて作成されている検定教科書)を逸脱した出題はなされないので、受験対策としても、大学レベルの教材は、必要性が薄いと思います。

なお、大学レベルの本は、一般の書店に置かれていないことも多いので、もし入手する場合には、取り寄せて購入するなり、図書館で読むなりすることとなると思います。

大学合格後の勉強[編集]

センター「地理」は入試としては良問[編集]

センター地理は、暗記の負担も少なく、その一方、教科書レベルの基礎知識を把握していれば、そこそこ解ける問題が多めに用意されてるので、国公立大の入試としては「良問」です。

しかし、「良問」なのは、あくまでも(税金による補助金の多い)国公立大の、1次試験の入試問題として、です。

実際の社会では、けっしてセンター試験みたいに、都合よく統計図表が3〜4か国だけ用意なんて、されません。

また、統計から国名を隠して、「この統計はどこの国の統計か?」なんて問われる機会は、実社会では、ほぼ皆無です。

実際の外国人は、けっして日本人の教育カリキュラムにあわせて、都合よく自国の説明なんて、してくれません。


このため、大学合格後の勉強で、国際的なことを勉強したい場合は、英語などの語学を学びつつ、そして「地理」として勉強するのでなく、歴史学や経済学などのような専門的な科目で、主要国の歴史や経済などを学ぶという学習方法に、頭を切り換える必要があります。

そもそも、日本の大学の学部学科に「地理学科」は、ほとんどありません。

脚注[編集]

  1. ^ センター試験地理B第6問は例年日本地誌が出題されています。
  2. ^ メキシコの詳しい地誌の説明など
  3. ^ キューバやパナマなど中米諸国など
  4. ^ このため、日本の各地方・世界の各地域を単位とした学習をしてきたことと思います。
  5. ^ 地形・土壌・気候・農牧業・鉱業・工業・集落と都市・環境問題などの形でテーマ分けし、理論的な学習や、個々の現象を一般化した学習も行います。
  6. ^ 東南アジアでの産業政策・中東での紛争と外交史(中東戦争など)なども、中学より詳しく習います。しかし地理は歴史科目ではないので、センター試験では直接的に外交史を問われることは無い。
  7. ^ 例えば、ユーラシア大陸の夏の季節風について、夏は大陸上に低気圧ができること(つまり、風は高気圧から低気圧へ吹く)とコリオリの力(北半球では風は進行方向の右側に曲がる)を考慮すれば、日本での南東季節風、インドでの南西季節風を統一的に理解できます。
  8. ^ 恐らく採点を簡素化するためでしょう。背景に受験者数が国立大学より多いのもあると思います。
  9. ^ センター試験地理Bの最近10年間での観光関係の出題は合計4題(09年、12年、13年、15年に各1問)です。
  10. ^ シンガポールについて、高校地理の教科書・参考書での記述は、マレーシアから独立したこと、華人が多いこと、ジュロン工業団地、赤道を通ることなどで、ゴミのポイ捨てなどに罰金を取る政策などは記述されていません。
  11. ^ 新版 もういちど読む山川地理 | 山川出版社 2017年7月9日閲覧
  12. ^ ページ数や記述量は系統地理より地誌が多いです。